ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

KoЯn 『Requiem』

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  • キング・オブ・ニューメタル史上最もコンパクトな作品
  • KoЯnらしい鬱屈とした世界観とヘヴィリフ
  • 歌メロの比重が高く聴きやすいナンバー中心

 

キング・オブ・ニューメタルの名にふさわしい存在感と人気で、90年代後半以降のヘヴィミュージックシーンをSlipknotらと共にひた走る、ニューメタル界の大御所による14thフルアルバム。

 

28年もの間活動しており、もはやベテランと言えるキャリアを築き上げているのにも関わらず、ベテランにありがちな寡作化とは一切無縁。ここまでコンスタントにアルバムを作り続けられる創作意欲はさすがとしか言えませんね。多作であればいいというわけではありませんが、他のバンドももうちょっと見習ってほしいとか思ってしまいます(笑)

 

本作は国内盤ボーナストラックを加えても全10曲、トータルで36分ほどの収録ボリュームであり、ヘヴィさは健在なものの、ジョナサン・デイヴィスによるメロウな歌がかなりフィーチャーされている方向性。聴き辛さはほとんど感じません。

 

嗚咽するかのようなヒステリックな叫び、シャウトスタイルは極力抑え、メロディアスに彩られた旋律をしっかりと歌い上げるジョナサンの声は、彼が普通に優れたヴォーカリストであることを改めて感じさせてくれる。やはりジョナサンといえばどうしても「Daddy」とかで聴かれる悲痛な叫びの印象が強いのですが、本作で聴けるのは、至極真っ当にメランコリックな旋律をなぞる歌。

 

もちろん彼らの作品らしい鬱屈としたダークな世界観、ヘヴィさを際立たせたリフ運びなどは何もブレちゃいない。M1「Forgotten」のイントロのノイジーなギターから、ガッツリとヘヴィなサウンドへ進んでいく様、落ち着いたAメロでクリーンなバッキングへと変貌していくところなどはいかにもニューメタル的で、持ち味を失うことなくメロディアスに聴かせる手腕が光った作品であると思います。

 

ただ聴きやすいといっても、わかりやすい疾走パートとか、ギターソロのようなメタルらしいと感じさせる要素は当然ながら(?)無いので、そういった要素を好む層(僕もですが)には相変わらずウケは良くなさそうではあります。まあそれをやっちゃうとニューメタルとしての矜持に関わると思うのでこれで良いのでしょう。KoЯnらしいとも思えませんし。

 

ミドル〜アップテンポで展開し、哀愁寄りのメロウさ(あまりキャッチーとは言い難い)が目立つ歌を主軸としたヘヴィチューンで締められる。大体どの曲も似たような感じで、通常であれば聴いているうちにダレてしまいがちなんですけど、前述したように本作はかなりコンパクトなので、飽きずに楽しめるのは良い感じです。

 

特に気に入ったのは、サビで一際美しく哀しげな雰囲気を醸し出すメロディーが聴けるM2「Let The Dark Do The Rest」ですね。この曲が歌モノヘヴィチューンとして一番わかりやすく、メロディーもドラマチックだと思います。やったら特徴的な歌い回しが光るM9「Worst Is On Its Way」も好き。

サンデカデカデコンダデコンッ!!

 

ただ、M9のゆっくりと不気味にフェードアウトしていく終わり方がクライマックスとして味わい深いのに、国内盤だとそこからすぐにボートラのM10「I Can't Feel」が始まってしまうので、アルバム単一の出来としてなら輸入盤の方が良いかも...?(それほど抜きん出た楽曲とも思えないだけに余計に...)

 

なお「ヘドバン Vol.33」では、本作についてヴォーカルのジョナサンのインタビュー記事が載っているのですが、そこでの語り口は非常に紳士的かつ、良い人感に溢れていて、ホントにかつてゲロ食ったりしている人だったのか疑わしくなってしまいます(笑)

 

 

個人的に本作は

"ダークでヘヴィなKoЯnらしさを貫きつつ、最大限コンパクトかつメロディアスに聴きやすく仕上げた一作"

という感じです。

 


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