ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

3/21 THE冠 / 超頭振狂想曲TOUR 2022 at 吉祥寺CLUB SEATA

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三連休の最後の日、日本のヘビーメタルをとことん堪能してきました。

 

日本が誇る愛すべきヘビメタバカ・THE冠が主催する「超頭振狂想曲TOUR」の二日目。本当はワンマンツアーを経てからの本公演だったようですが、コロナ蔓延のために6月に延期となり、このツアーからのスタートとなったようです。

 

今回の対バン相手はモダンメタルコアバンド・NOCTURNAL BLOODLUST。THE冠とノクブラの組み合わせといえば......そう、あの忌々しき台風のせいでおじゃんになってしまった大冠祭2018の共演以来です。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

あの時のショックは、流石に4年も経っただけに回復してはいますけど、当時は本当にやるせなかった...。まああれがあったからこそ、翌年の大冠祭2019の満員御礼っぷりは嬉しかったのですが。

 

とまあ、曰く付きの組み合わせとなりましたが、本日の天候は特に問題なし。家からかなり遠い(乗り換えは少ないのが救い)吉祥寺まで出向いて、彼らのライヴを存分に味わおうではないですか。

 

開演少し前に吉祥寺へ降り立ち街ブラ敢行。その辺のカフェにでも入ってのんびり過ごそうかと思っていましたが、目ぼしい場所はすでに満席で列ができている。東京のスタバとかって終始満席ですけど、あれはみんなどうやって入っているのか...謎です。

 

開場時間を少しすぎたあたりで向かうと、ちょうど自分の整理番号のあたりを呼ばれている最中で、めちゃくちゃタイミングが良かった。ワンドリンクのオレンジジュースを飲み干してフロアへ行くと、今回は椅子席になっていました。当日券が出ていたようですが、見渡した感じ座席はほぼほぼ埋まっていたようです。ただ、かつてと様変わりしたとはいえ、赤坂BLITZ新木場STUDIO COASTでワンマンをやったバンドを迎えて、この会場が祝日でソールドしないというのはやや口惜しいかも。

 

 

NOCTURNAL BLOODLUST

ステージ上の幕からひょっこり出てきたのは冠さん。NOCTURNAL BLOODLUSTが持ち時間を大幅に削らざるを得なかった大冠祭の件に触れたあと、「座っている場合ちゃうやろ!!」と煽り立ててからSEが流れ出す。

 

メンバーが後光に照らされながらやってくるのですが、まずどうしても目についてしまうのが、ヴォーカルの尋さんの両腕。信じられねえくらいに上腕筋がムッキムキで、本当に自分と同じ体の構造をした人物なのか疑わしくなる(笑) あのインパクトは生で見ないと伝わるめえ。

 

前回観た渋谷CYCLONEの時と同じく、オープニングは「Malice against」。疾走感とヘヴィさ、キャッチーさを兼ね備えた楽曲で、勢いよくスタートを飾るのにピッタリ。バンギャと思しき女性客を中心に、髪の毛をバッサバッサと振り乱すヘドバンの嵐が巻き起こる。

 

もちろん僕も大好きな曲なので、最初からエンジン全開でメロイックサインを突き上げてヘドバンで応える。中盤の大きな聴きどころであるギターソロは、原曲とはだいぶ違うアレンジになっていたようですが、タッピングを交えた高速ソロは鮮やかでカッコいい。

 

今回ヴォーカルの尋さん以外だと、上手側ギタリストのValtzさんがかなり目立っており、積極的にステージ前方へと立ち、ギターのヘッドを縦に構えて速弾きやリードを弾き倒しまくる。ちょっと音響のバランスが極端で、いやにリードギターの音量が大きくなってやかましく感じなくもなかったのですが(笑)、まあ埋もれて聴こえないよりは良いということで。

 

前編成で観たLOUD PARK 16の頃のド派手なパフォーマンスは消え、良くも悪くもモダンなメタルコアらしいまっとうなステージアクションが支配的。個人的にはメタルバンドとして本格派になったと好意的に受け止められるんですが、やはり昔からのバンギャの人は物足りないのかしら。

 

Punch me if you can」の重心の低いヘヴィリフで引き続きヘッドバンギングを巻き起こし、「ONLY HUMAN」では耳を擘くという表現がふさわしい(マジでちょっと痛いくらいでした)ホイッスルヴォイスを披露。

 

MCでは大冠祭で15分ほどしか出演できなかった件について触れていましたが、その日のことをドラムのNatsuさんに指摘されるまで8年前だと言い間違えていました。ここから今年出る8年ぶりのフルアルバムの告知につなげていましたが、それが意図的なものなのかは不明(様子からして多分本気で勘違いしていたと思われます)

 

そのフルアルバムについては「かなり激しいアルバム。だけど激しいだけじゃなくて、悲しさとか、切なさとかも入った、かなり良い作品」と言及しており、哀愁の効いたメタルが好物な自分としては期待せざるを得ませんね。

 

REM」をはじめ、ちょっとチャラ目な瞬間も多かったですが(途中にChoo Choo Trainのダンスを真似てみたりといったノリとか)全体的には非常にタイトかつヘヴィに引き締まったパフォーマンスで、現ラインナップのレベルの高さを改めて感じさせるアクトだったと思います。アルバムも楽しみ。

 

 

THE冠

続いてはお待ちかねのTHE冠。お馴染みのゆる〜いSEに導かれて、バンドメンバーと勇ましく登場してきた冠さんが大きな拍手を浴びて集結。「帰ってきたヘビーメタル」から勢いよく疾走スタート。

 

彼らのライヴが非常に熱く、かつエンタメ性に溢れた極上のものであることは、もう今更言うまでもないでしょう。ギター一本であるのに、先ほどのNOCTURNAL BLOODLUSTに引けを取らないほどの音圧でオーディエンスを圧倒する。

 

冠さんのヴォーカルは絶好調と言ってしまってよく(調子が悪い時を観たことが無い)、凄まじいキレッキレのシャウトを連発し、そこから淀みなく堂々とした太い声の歌唱へと移行させる技術は「凄い」としか言えん。なんであんな凄まじすぎるヴォーカルパフォーマンスができるのか...

 

SLANGのタンクトップが眩しすぎるドラムのYOUTH-Kさんと、いつの間にかウェーブのかかった金髪になりシャレオツな見た目になってた春輝さんによる、リズム隊の低音の迫力が素晴らしく、そこへかぶさるワウを効かせたK-A-Zさんのギターも破壊力抜群。ノクブラと同様にちょっとギターソロの時、音が大きくなりすぎた感はありましたが、彼らの強靭なアンサンブルを味わうのにふさわしい音響でした。この丁寧になりすぎない攻撃的な音がヘドバン欲を煽るんですよ。

 

今までライヴでは聴く機会に恵まれなかったのに、今日はいきなり2曲目にきた「ヘッドバンギン謝罪行脚」、哀愁疾走が魅力の「メタリックロマンス」にはメチャクチャアガったし、ロウソク(火は使えないので電球仕様)を頭につけて丑の刻参りのごとき様相で「花占い」もプレイ。定番をつまみつつ、フェスなどではなかなか聴けないレア目な曲も嬉しいセットリスト。

 

 

そして曲の完成度だけでなく、相変わらずMCも達者の一言。先日行われた宇治市の祭りについて言及したトークにて、8歳の男の子に「後でグッズあげるね!」と声をかけたら「いらん!」と一蹴されたり、子供の頃茶団子を人差し指にくっつけて「鼻くそ!」とかふざけていたというエピソードを話した瞬間、後ろの方で見ていた偉い大人たちの空気が変わったりした話をして会場は大ウケ。

 

そこからの故郷である宇治を思う「帰郷」に、「傷だらけのヘビーメタル」「哀罠メタル」では、ライヴでお馴染みのマイクを振り乱すパフォーマンスから、マイクを股間に打ち付ける仕草でこれまた笑いを誘う。どこまでいってもオーディエンスを楽しませるコミカルさを取り入れるのを忘れない。

 

そんな和やかな雰囲気が少し変わったのが後半のMC。「こういうことを言うのは難しいけど」と前置きをした上で、コロナや地震、そして今も確実に起きている戦争について触れ「偉い人間の判断によって、罪の無い人たちや子供たちが殺されるなんていうのは絶対に間違っている」と、いつになく真剣な口調で語る。

 

そこから"水に流すことの出来ぬ 罪の所在はどこなんだ"と歌う「糞野郎」へと繋がる。普段のライヴでは問答無用にテンションがブチ上がる超キラーチューンであり、それはこの日も同じではあったのですが、やはり前述のMCから来ると、どこか感じ方が異なってきますね。

 

戦国武将のごとき甲冑を着こなす「日本のヘビーメタル」で、オーディエンスと共に万歳三唱を巻き起こし、冠徹弥という男の生き様を示す「初志冠徹」で締め括る。最後の最後までメタリックなシャウトの切れ味は損なわれず、圧巻のラストを飾りました。本当に改めて思うんですが、どんな喉をしているのだろう...

 

 

大冠祭のシコリを吹き飛ばす充実の対バンでしたが、やはり「超頭振狂想曲」という名が示す通り、実にヘッドバンギングのしがいのあるライヴでした。ヘヴィな楽曲の良さはもちろん、モッシュピットが作れない分、ヘドバンが一番やりやすいアクションになりますからね。

 

ライヴ中冠さんが「皆さん首のケアを忘れずにね!この歳になると二日後くらいに痛みが来るんだよ」と漏らしていましたが、僕の方は翌日速攻で首筋を痛めたので、まだまだ自分は若いのだと自信を持てましたよ。