ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

NEW HORIZON 『Gate Of The Gods』

  • かつてのバンドメイトでタッグを組んだ
  • H.E.A.Tのようなハードロックとは異なるパワーメタル路線
  • スピードチューンを中心に完成度は極めて高水準!

 

スウェーデンのハードロックバンド・H.E.A.Tのキーボーディストであるヨナ・ティーと、2020年にそのH.E.A.Tを自身の夢の実現のために脱退した、エリック・グロンウォールがタッグを組んだプロジェクトの1stアルバム。

 

エリックは「南アフリカでタレントを発掘するための事業を行う」という名目で脱退したそうですが、そこから程なくして急性リンパ性白血病(細胞ががん化して、正常な血球が少なくなることにより、免疫力の低下や疲れ、体のだるさなどが顕著になるのだとか)を発症してしまうという、非情な現実を突きつけられてしまうことになります。

 

闘病の結果、エリックの症状はなんとか回復したそうで、2021年の11月、ヨナが発起人となってNEW HORIZONを結成。病魔に侵されたかつてのバンドメンバーと、新たな形で音楽活動をスタートさせるという、なんとも胸を打つ結成秘話ですね......

 

エリックが在籍していた頃のH.E.A.Tの最新作『H.E.A.T Ⅱ』は、エリックのダイナミックなヴォーカルと、躍動するバンドサウンド、メジャー級のキャッチーなメロディーが合わさったハードロックの快作として記憶に新しいです(「Dangerous Ground」は超名曲!)

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

そんなハードロック一直線の名作を生み出したバンドの人物による本プロジェクトのアルバム。意外にもH.E.A.T的なハードロックのスタンスではない。H.E.A.Tよりもグッとメタルの比重が増していて、広義のメロディックメタルに分類される音だと思います。

 

ライナーノーツによるとヨナは、IRON MAIDEN、HELLOWEEN、HAMMERFALL、MANOWAR、EDGUYといったメタルバンドを聴いてきており、そういったタイプのメタルサウンドを作りたいと思っていたらしい。エリックとタッグを組むにあたり、かねてからの自分が作りたがっていた、H.E.A.Tでは実現出来なさそうな楽曲を生み出せるチャンスだと思ったのでしょう。

 

楽曲のクオリティーは、どれもこれもメロディックメタルとして非常に高いクオリティーで安定しています。DYNAZTYを彷彿させるような普遍性を持った楽曲を主軸とし、曲によってはメロパワ/メロスピというワードが当てはまりそうな疾走曲も収録されていますからね。やっぱ優れたクリエイターって、多少畑違いな分野であろうと出来ちゃうもんなんですかね。

 

特に僕が気に入ったM6「Stardust」は、バッキングのキャッチーなキーボードに、整合感と突進力を見事に両立したドラム、パワーメタルを歌うに充分なハイトーンを響かせるヴォーカル、スケール大のサビを通過した後のギターソロに至るまで、何もかもがカッコ良く磨かれた名曲!ソロ後の儚ないキーボードから、神聖なコーラスを挟みつつ大仰に盛り上がるサビへと至る過程も実にドラマチックで良いですね!

 

M4「Cry For Freedom」、M9「Fearless(ハイトーンシャウトがアツすぎる!)のような勢いに満ちた楽曲のカッコ良さは文句のつけようがない。M3「Stronger Than Steel」、M7「Event Horizon」はパワーあふれるアップテンポメロディックメタルとしての魅力が煌めく。つまらない曲は存在せず、聴きどころに満ちた力作に仕上がっています。

 

しかしH.E.A.Tを聴いたときも思いましたが、やはりエリックのヴォーカリストとしての実力は非凡なものがありますよね。ロックとしての躍動感、毒々しさ、華やかさを完璧に表現できている歌声は、あのまま眠らせてしまうのは非常にもったいないことですから、(夢を中断させざるを得なかったのは気の毒ではあるものの)こうしてまた新たな歌を歌ってくれるようになったことは喜ばしいことです。

 

同じバンドを経験して培われた絆をもとに、新たに生まれた要注目のメタル・プロジェクト。今後も引き続きハイクオリティーなメタル・アンセムを期待しています。

 

...と思っていた矢先、そのエリックがなんとSKID ROWのヴォーカルに大抜擢されるという大ニュースが。彼の新たな挑戦が始まるというのは良いことですけど、ヨナとの友情の証である本プロジェクトの立場はどうなんの?SKID ROWもいいけど、こっちもちゃんと続けてよ。

 

 

個人的に本作は

"ダイナミックなヴォーカルで描かれる、ハイクオリティーなメロディックメタルアンセム集。劇的メロパワチューンは最高にカッコいい"

という感じです。

 


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