ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BIGMAMA 『Roclassick』

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  • ヴァイオリニストの強みが活きた"ロック×クラシック"
  • 楽曲の根幹は従来のエモコアから揺るがず
  • 仰々しすぎないクラシカルさが聴きやすい

 

もうすっかり春ですね。桜が咲いたと思ったら、もう早速散り始めてますし。こないだなんか一枚アウター羽織ってたら汗ばむくらいでした。

 

寒さからようやく解放されると思うと嬉しい限りですが、ここから間髪入れず地獄のような暑さに入っていきますからね。あまり喜んでばかりもいられません。

 

そんなうららかな春という季節、個人的にはこのアルバムが聴きたくなるかな〜と思って取り上げてみます。ヴァイオリンを専任メンバーとする日本のエモコアバンド・BIGMAMAが2010年に発表したミニアルバム......ってこれがリリースされてからもう12年経ってるのか...

 

なんで本作が春に聴きたくなるかっていうと、まあただ単にM1「走れエロス」にヴィヴァルディの「春」のフレーズが使われているってだけなんですが。

 

BIGMAMAといえば、今やすっかりイケメンバンドにドラマーを引き抜かれた(いや、もちろん双方の合意があっての脱退でしょうけど)気の毒なバンドというイメージがついてしまったんですが、この頃はまだバンドメンバーも安定しつつ、今では希薄になったメロコア的要素も良い塩梅で残っています。

 

このアルバムまではPUNK/CORE系統のサウンドの色が残っていて好きだったんですけどね〜...ってそんなことは今はいいや。

 

本作はヴァイオリンがあるというバンドの個性を活かすため、有名クラシックのフレーズをそこかしこに導入しており、タイトル通り"ロック×クラシック"というコンセプトで制作されたもの。

 

クラシックのフレーズを取り入れたと言っても、メロディーにそのまんま歌詞を載せたようなものではなく、バッキングのアレンジとか間奏とかに組み込んだくらいのもので、基本的にヴォーカルラインはオリジナル。楽曲の根幹は今までの作品と一切変わっていません。

 

このくらいのレベル感であれば、この人みたいにクラシックファンから蛇蝎の如く忌み嫌われるということはない...と思う。

 

前述のM1はバックでイントロやバッキングで「春」のメロディーを奏でつつ、ヴォーカルは軽快に駆け抜けていき、サビはキャッチーなメロディーと共に疾走するファストチューン。オープニングを始めるにふさわしい爽快感を味わわせてくれます。クラシカルなフレーズをギター・ベース・ヴァイオリンで重ねていくアウトロも効きどころ。

 

その後のM2「虹を食べたアイリス」は、これまた超有名なベートーヴェンの「運命」をラスサビの前で大胆に挿入し、ドラマチックな緊迫感をうまく高めることに成功したミドルエモコア。聴きやすくもシリアスに彩られるサビがまた魅力的です。

 

このオープニング2曲と、ドヴォルザークの「新世界」をリズミカルにアレンジしたヴァイオリンがインパクトを放ち、爆発力あるサビで大いにテンションを盛り上げるM6「荒狂曲"シンセカイ"」の3曲の出来が良く、他の曲は(あくまで相対的に)若干聴き劣りしてしまうというのが僕の感想ですが、その他の曲ももちろん完成度は高く安定していて、30分弱で終わらせる構成と相まって非常に聴きやすいのがありがたいです。

 

どうもクラシックを取り入れた楽曲というと、(それこそRhapsody Of Fireみたいな)かなり大仰でドラマチックで、一気に聴き通すとどうしても聴き疲れが......みたいになってしまうイメージを持ちがちな僕。本作はいい感じにソフトなので、身構えることなく楽に聴けるのが嬉しいですね。

 

有名フレーズの旋律の良さを殺さずに、自分達の楽曲の持ち味も損なわずに、うまい具合に織り交ぜることができた彼らのアレンジセンスを、短い中で味わうことができる良作です。

 

本作と同コンセプトの作品は、後年になって『Roclassick2』『Roclassick〜the last〜』と、合計3作リリースされていますが、残念ながら後発組は初代ほどのクオリティーには達していないという印象ですね...

 

あと本作とは全然関係ないけど、リアドさんがいなくなってからドラムどうしてんだろう?と思って調べたところ、得体の知れないバケツマンになってた(笑)

 

 

個人的に本作は

"クラシックの有名フレーズの魅力と、バンドらしいロックチューンのマリアージュの理想型"

という感じです。

 


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