- 15分半の短さに活きるバンドの個性
- 全体通して明るくライトな雰囲気が強い
- オープニングチューンはキッズ大喜びのキラー
去年・一昨年と精力的に音源を発表し、バンバン全国ツアーも展開してきている姿勢が実に頼もしい3ピースメロディックハードコアバンド・Northern19の、ミニアルバムとしては7年ぶりになる作品。
2ndミニアルバム『PRESENCE』がもう7年前の作品だということにちょっと慄いております。「MESSAGE」とか、まだ割と新しめの楽曲という認識なんだけどな。
ただ、その期間を経ても作品自体の方向性は何ら変わっていない。実にノーザンらしい楽曲で占められていて潔いです。
去年発表したシングル『MOVE ON』はどちらかというとメロウで哀愁よりの作風でしたが、そこからツアーを経て作られた本作の楽曲は、やや明朗でポップな雰囲気をまとったものが主軸。もちろん底抜けに明るいポップパンクではなく、あくまで日本のメロコアらしい翳りがあるのが嬉しい。
まず何と言っても、オープニングを飾るM1「MEMENTO MORI」が素晴らしい。ポップさとどこか切ない哀愁が理想的なバランスで混在したサビは、歌メロに入った瞬間に「ノーザンのキラーだ!」と脊髄反射的に喜びたくなること請け合い。これこれ、好きこういうの。
疾走曲と呼べるものはそのM1とラストのM6「SURVIVE」くらいで、その他はポップよりだったり、ミドルテンポでノーザンらしい叙情性を発揮したりといった楽曲が立ち並ぶ。これまで彼らが発表してきたフォーマットに則った楽曲ばかりのため、新鮮味はあまりないものの、彼らの個性は充分に活きています。
ただやっぱりもうちょっと勢い重視の楽曲も欲しかったかな...。彼らのミドル曲はそれはそれで魅力のあるものですが、やはり疾走曲の破壊力と比べると一歩劣る印象が拭えないので。
ただM2「CALL ME」はブラストばりにアグレッシヴなドラムが登場したり、M3「FANTASY」はエモコアに接近した哀感のあるヴォーカルメロディーが支配的だったりと、しっかり聴きどころを作ってくれているので、退屈な瞬間は無い。
ポップサイドとなるM4「DUMB」とM5「NOW OR NEVER」は、どちらも牧歌的と言えるような雰囲気が支配的。緊張感を保たずにのんびり聴ける一幕となっています。こういう曲調でも、バッキングのコーラス、歌メロの運び方でバンドの個性はしっかりと放っているところが良いですね。なおM5は、ベースの敦賀さんがメインヴォーカルを務める初の曲であり、甘めの声質が曲調にマッチしています。
前述のM6はハードコア成分を強めたアグレッシヴなリフ、性急なリードヴォーカル、その中でも良さを失わないメロディーが光る楽曲。インタビューでは「遊んでいる感じもdustboxの影響はかなりある」と述べていましたが、そう言われてみると確かにdustboxのハードコアチューンに通じる雰囲気あるかも。
6曲合わせて15分半、一番長い曲で3分ちょいという極めてコンパクトな内容ながら、Northern19というバンドができることをソリッドに詰め込んだ一作という印象。最初と最後にキラーを配置し、合間にバンドが再現できる振れ幅を演出したような作りなので、これ一枚でバンドの資質がザックリと掴める内容です。
個人的に本作は
"バンドの個性が活きた疾走キラーとミドルチューンを極めて短く、明るく、わかりやすくまとめ上げた一枚"
という感じです。
MVが無いようなのでひとまずこれ