ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BLOODYWOOD 『Rakshak』

 

辺境の国のメタルバンド、というと僕は、B級の色を残したクサメタルだったり、やたらエクストリームだったり...というイメージを持っています。少なくともメインストリームを行く音楽性というのは、なかなか想像しにくいです。

 

国内盤が出るはずもないような、やたらマニアックな雰囲気をプンプン放つジャケットのCDが、これまたマニアックな趣味趣向を持った人しか入らなさそうなCD屋さんにしか置いてない、みたいな。

 

しかしインターネットが発達し、世界がどんどんボーダーレスになっている現代。音楽を作るコストも低くなっているのか、先進国以外の様々な国でも高品質なサウンドが生まれるようになってきているようです。チュニジアのMYRATHとかはまさにそれですよね。

 

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そして今回取り上げる、インド出身のBLOODYWOODも、あまりメタル関連の話題が上がることが少ない国出身ながら、ハイクオリティー&個性的なメタルをプレイするバンド。

 

2016年にインド音楽やポップミュージックをメタルアレンジするプロジェクトとしてスタートし、徐々にオリジナル曲を作り始めるようになっていった彼ら。本作『Rakshak』は、2018年から2021年にかけて作ってきた楽曲を収録したフルレンスアルバム。

 

メンバー曰く、元々インターネット上を活動基盤としていたバンドだけに、一曲ごとに配信するのが自然なスタイルだそうですが、メタルはアルバム単位で聴かれることが多いジャンルで、レコード会社からもアルバム制作を要請されたことから、リリースに踏み切ったのだそう。

 

さて、そんなインド・メタルが収められた本作ですが、収録されているサウンドは、辺境の国のB級メタルとは一線を画すスタイルとなっています。

 

それはズバリ、ニューメタル/ラップメタルLINKIN PARKRAGE AGAINST THE MACHINELimp Bizkitあたりから影響を受けたと思しき、モダンへヴィネスらしいリズムと重さを兼ねたリフ、マシンガンラップで畳み掛ける。

 

そしてその音像に、インドの民族音楽要素が大量に導入されているのが本作の、ひいてはこのバンドの大きな特徴。単に楽曲の一部に装飾として使いました、というようなレベルではなく、完全に楽曲のメインの聴きどころとして成立している。バッキングでは民謡要素を醸し出す笛の音が雄大に飛び回り、パーカッションが民族音楽としてのアイデンティティーをガッツリと主張。

 

ここまでインド音楽としての要素を押し出しておきながら、それがニューメタルサウンドとミスマッチになることがない。自然と調和して違和感なく聴かせることができている。

 

M2「Aaj」は、そんな彼らの個性が100%発揮された楽曲。メロディアスな要素の薄い一般的なニューメタルと異なり、しっかりとサビに当たる部分でキャッチーにしてくれるのが嬉しいですね。異国情緒に煽れつつ普遍的なメロディーの魅力が根付いている。

 

攻撃的な高速ラップの畳み掛けが圧巻なM5「Dana-Dan」は特に勢いに乗る楽曲ですが、こういった曲においてもインド民謡のアレンジは忘れない。そこから続く後半はよりメロウな成分が強くなり、M6「Jee Veerey」、M7「Endurant」、M8「Yaad」あたりは、ニューメタルとしてのヘヴィなアグレッション以上に、郷愁に満ちた憂いあるメロディーを奏で続ける哀愁曲。こういったメロディーにグッと来るのは、やはり同じアジア人としてメロディーに求める音楽性癖が似通っているからなのか。

 

ただ曲作りのパターンが全曲同一方向を向いており、かつインド音楽要素満載であるが故に、いち日本人の感覚としてはちょっとクドく感じられるというのはあるかも。これをずっと聴き続けるのは疲れちゃうかもでしょうね。

 

とはいえそれはインパクトの強さの表れでもあります。個性とクオリティーを両立し、普遍的なキャッチーさまで含んだ楽曲たちは、ヘヴィロックを好む層なら聴く価値ありです。

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィでタイトなニューメタル/ラップメタルに、違和感なく堂々とインド音楽要素をブチ込んだ超個性派ヘヴィサウンド"

という感じです。

 


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