ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

THOUSAND EYES 『BETRAYER』

  • メンバーチェンジと腕の故障を経ての最新作
  • 従来から全くブレない慟哭を貫くデスラッシュ
  • ミドル曲の存在も大きく、突き抜けっぷりは少々控えめ

 

慟哭の暴君、帰還。

 

中心人物であるKOUTAさんの腕の故障や、ドラマーのFUMIYAさんの脱退などを乗り越えて新体制となった、日本が世界に誇れるメロディックデスラッシュバンド・THOUSAND EYESの待望の4thアルバム。

 

前作『DAY OF SALVATION』時には自身のレーベルを立ち上げていたのですが、本作は国産インディーズメタルを数多く手掛けるワルキューレレコードからリリースされています。せっかく自主レーベル作ったのに何ででしょう。

 

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FUMIYAさんに代わり加入したドラマーのYU-TOさんは、FUMIYAさんのような多彩で鮮やかなスタイルよりも、もっとストレートで剛直なタイプとのことですが、本作を聴く限りリズム隊のクオリティーは申し分無し。

 

とはいえ確かに、ド派手に乱舞するドラミングを展開していたFUMIYAさんと比べて、YU-TOさんのプレイは幾分シンプルに感じられる。突進力はピカイチで、時折挟まれる超高速のバスドラ連打、およびブラストビートは迫力満点のため、個人的には不満は無いのですが、この変化をして面白みが減ったと感じる人も中にはいるかもしれません。

 

そしてキモであるツインギター、怒れるヴォーカルには寸分の狂いもありません。怒りを放ちサウンドに激情をもたらすヴォーカルとアグレッシヴなリフ、そこへ強烈な泣きを帯びたリードギターが加わり、天を突くかのようにどこまでも狂い鳴いていく...。劇的で悲痛な悲しみと怒りのコンビネーション、相変わらず恐るべき完成度。

 

M1「Garden Of Thorns」は、ヘヴィで切れ味鋭いギターリフで疾走し、凶暴極まりないヴォーカルの咆哮が合わさって、サビに至る頃には哀しみに満ちたリードギターが暴れたおし曲タ、イトルのシンガロングが繰り出される、THOUSAND EYESの王道とも呼べる曲。オープニングから期待にバッチリ応えてくれる。

 

タイトルトラックであるM5「Betrayer」や、インストのM8「Vanishing Hope」を挟んでからのM9「Crimson Sentinel」あたりは、THOUSAND EYESというバンド名に期待される哀愁・激情・疾走が揃った見事な慟哭デスラッシュナンバー。こういった楽曲をアルバム各所に配置してくれる構成も見事。特にM9は後半にかけてのハイライトになり得る名曲じゃないでしょうか。狂おしいほどの哀しみを描くギターがたまらん。

 

デスラッシュというジャンルはやはりスピード感が大事になってくるはずですが、本作は何気に疾走に頼らない、ミドル〜アップテンポの曲の存在感も大きい。先行配信されたM3「Everlasting Trail」は、往年のIN FLAMESっぽさのあるギターが非常に耳に残るメロディーを奏で(制作初期の段階ではIN FLAMESのモロパクリのような曲だったらしい)、M10「Shadow Dancer」でも一度聴いただけで彼らのものとわかるような、クサいギターのメロディーが終始鳴り止まない。

 

全編通して「さすが俺たちのTHOUSAND EYES!」と称賛できる、激情慟哭エクストリームメタルを貫いていて、彼らのスタンスのブレなさ、および楽曲制作能力の高さが今一度認識できる。

 

楽曲の平均的なクオリティーは文句なしといえますが、しいて言うなら過去作にあったアルバムを代表するほどの抜きん出たキラーチューンが欲しかったかな。「DEAD NIGHT, MOONLIGHT」「ONE THOUSAND EYES」「RAMPAGE TYRANT」のような超強力デスラッシュがあれば、さらにアルバムの印象が締まったものになったかと。

 

前述したM5やM9といったキラーもあるのですが、過去三作(特に前作、前々作)と比べると、カッチリとまとまった印象が強く、有無を言わせぬ突き抜けっぷりは少し鳴りを潜めた感があるので。これは過去作が全て同一路線だったことによる、リスナー側の慣れの問題もあるかもしれません。

 

なお、僕が買ったデラックスエディションは二枚組であり、ボーナストラックやデモ音源、過去曲のアコースティックアレンジが収録されたディスクは、オマケとしてはなかなかボリュームがありお得です。

 

本編に入れても違和感の無いような強力なナンバーから、このバンドとしては珍しいピアノとギターのユニゾンが聴ける曲もあって、ボーナスだからって舐めた出来にはなっていません。デモ音源だけにヴォーカルは小さめですが。

 

以前のブログ記事で書いた通り、ここ最近は仕事が忙しく、残業・休日出勤当たり前の状態になってきて、つい先日なんか、土曜の朝から出社して昼過ぎくらいに帰れる仕事に着手したのですが、同行する作業員がチンタラチンタラ不具合の調査に時間をかけ、予定スケジュールが延びに延び、終わった頃には終電の無い深夜帯にまでなるという、実にファックな出来事があったんですね。

 

そんなフラストレーションの溜まりがちなここ最近の自分の精神に、ネガティヴな感情を浄化させてくれる彼らの楽曲は、これ以上ないほどの優れたサウンドトラックになるのです。

 

 

個人的に本作は

"全くブレない千眼流デスラッシュを貫く安定&ハイクオリティーな出来。ミドルから疾走まで慟哭は止まない"

という感じです。

 


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