ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

8/14 Download Japan 2022 at 幕張メッセ

コロナが蔓延する世の中、まさかこの短期間で2回もフェスに馳せ参じるとは思いませんでしたよ。

 

2019年に日本に上陸した(規模は本場海外のものとはだいぶ劣るとは思いますが)Download Festival。2020年はMY CHEMICAL ROMANCEをヘッドライナーに、多彩な顔ぶれをそろえた面白いラインナップで、かなり高い期待感を持っていたのですが、みなさんご存知の通り、開催中止を余儀なくされました。

 

そこから待つこと2年ほど、とうとう開催に漕ぎ着けることに成功。フジロックサマソニも海外アーティストを迎えたフェスを開催することができており、ここにきてようやくフェス復権の兆しが見えてきている感じがします。

 

しかしこのDownload Japan 2022、規模としては2020年のそれよりもさらに小さく、今回は1ステージのみで、オープニングアクトBAND-MAIDを含めても全9アクトのみ。そのためフェスというよりは、規模が大きめなライヴイベントってな塩梅になってしまっている。

 

それにDREAM THEATERBULLET FOR MY VALENTINEなどは、単独公演でも多くのオーディエンスを集められそうなものの、全体的にすごく豪華といったラインナップではなかったためか、開催前日になってもイープラスのチケット情報は余裕あり。これはややチケットの売り上げが厳しいのではないか...と心配になる。

 

こんな時こそ海外アーティストを呼び込むプロモーターには金を払わねばとチケットを確保。ROCK IN JAPANの日焼けがヒリヒリ痛む中、明日普通に出社するという現実から目を逸らして、当日は幕張メッセに直行しました。

 

海浜幕張駅を降りてメッセへ向かう道中、もちろんメタルヘッズの姿は見かけたのですが......やはりと言いますか、数が少ない。かつてサマソニで同会場へ向かった時は、ヌーの大群かと思しき群衆が詰めていたのに対し、今日の歩道橋のなんと閑散としていることか。

 

とはいえ流石にメッセ内の入場口においては、ズラッとした行列ができており、建物の外へ出ていかないほど伸びている。ここまで人がいるのであれば、とりあえず閑古鳥は避けられるだけに、ちょっとここで一安心。とはいえ去年のDownloadとグッと人数が減っているのは明らか。

 

......しかしアレですね。つい先日ロッキンに行ってきたばかりだから余計にそう思うのかもしれないですが、来場しているお客さんがものの見事に黒い。色味が全然ない。

 

 

ロッキンは色とりどりのTシャツや夏フェスグッズを身につけた人たちがひしめきあっていたのに対し、この日の黒一色っぷりは、あまりにもわかりやすく「客層の違い」という事実を突きつけており、なんだか笑けてくる。蘇我スポーツ公園にここまで陰キャっぽい人たちは全然見なかったけどな。本当に同じ「日本のロックフェス」の光景なんだよな?

 

「メタルは所詮暗い日影者の音楽」という無慈悲な現実がありありと伝わってきて、直前にロッキンで楽しいフェスの空気を味わっていたことから、そのあまりのギャップに何だかいたたまれなくなってしまい......

 

精神の安定を図るため、列に並んでいる間ずっとsumikaを聴いてました

これからメタルのライヴだってのに。

 

列の進みのペースを考えて、THE HALO EFFECTに間に合うかちょっと心配してましたが(BAND-MAIDは完全に間に合わないことが確定)、何とか時間までには会場入り。幕張の大きなステージ、何だか久しぶりで感慨深いものがありますね...

 

 

 

THE HALO EFFECT

この日一番観たかったライヴが一番手。体力満タンの状態で観られるわけです。

 

かつてIN FLAMESに在籍していたメンバーで構築されたバンド(プロジェクト?)で、アルバムデビューして速攻来日というところに、いかに日本のメタルファンは彼らのような音を欲しているのか、という事実がわかる。

 

ただ精神的に不安定なところがある、イエスパー・ストロムブラードは本日のライヴには帯同せず、代役としてTHE HAUNTEDのギタリストのパトリック・ヤンセンが参加。イエスパーの生ギターはこれからも聴けそうにはないな〜...。まあこのご時世、外タレライヴが観られるだけありがたいと思わなきゃ。

 

デビューアルバム『Days Of The Lost』は、この日の二日前に発売されたばかりのためろくすっぽ聴き込めていない。そのためほぼ聴き覚えのない楽曲ばかりが披露される形になります。

 

しかしそんな予習不足の僕でも、このバンドが放つ哀愁の効いたメロディー、リードギターの泣きっぷりは存分に感じ取ることができる。ルックスだけでいえば、ベースのピーター・イワースが一番カッコよかったな。

 

ヴォーカルのミカエル・スタンネはオーディエンスからの熱い支持にかなりご満悦、といった感じでMC中はにこやかな笑顔を浮かべる。パフォーマンスも至極安定していて、独特なしわがれた感じのデスヴォイスが、哀愁叙情メロデスサウンドによくマッチしています。

 

アルバムに先駆けて先行配信された「Days Of The Lost」、「Feel What I Believe」における劇的なツインリードは、耳に入ってきた瞬間にハッとする魅力に満ちていて素晴らしい。特に後者はかなりツボな旋律なだけに、握りしめたメロイックサインにさらに力が入るというもの。

 

欲を言えば、せっかくミカエルがヴォーカルをとって、IN FLAMES人脈からなるバンドメンバーがいるのだから「Behind Space」とかでもやってくれれば、もうワンランク上の盛り上がりになったんだろうなあ。まあTHE HALO EFFECTとして来てるのだから、このバンドの曲のみでも不満は全くないのですが。

 

 

CODE ORANGE

2年前に発表した『Underneath』で、大きなインパクトを与えてくれたインダストリアルメタル/ハードコアバンド。

 

このバンドも、トップバッターのTHE HALO EFFECTに次いで楽しみにしていたバンド。音源の時点で只者じゃないオーラを出していたバンドでしたからね。ライヴも凄まじいものになりそうだと予感していました。

 

そして実際ライヴパフォーマンスはその期待に十分に応えてくれるもの。バックのスクリーンに、MVの雰囲気をそのまま持ち出したような、不気味で狂気的な映像がバックスクリーンに映されながら、各メンバーがアグレッシヴにステージ上を動き回る。オープニングのキャッチーな「Out For Blood」に、耳をつんざくほどの絶叫(さすがにこれは同期音源でしたが)が得体の知れない興奮を引き起こす「In Fear」といった楽曲には高揚させられますね。

 

先ほどの古き良きメロデスから一変、狂気の破壊音がスピーカーから垂れ流される様は実に爽快。メンバーの激しいパフォーマンスと合わせて、体を揺らしたくなりますね。こういう音はやはり生のライヴでこそ進化を発揮するのです。

 

長髪を靡かせながら、マイクスタンドを振り乱しつつ歌う、フロントマンのジャミー・モーガンは存在感抜群。収まり切らないと言わんばかりの怒気を発散し続ける。

 

しかし、そのアグレッションが高まりすぎたせいか、オーディエンスに向かって「サークルピット!」と煽り出し、それに釣られるがままフロア前方付近ではサークルが発生。大丈夫?運営側から文句言われない?

 

さすがに放置するわけにもいかないのか、スタッフの人たちがちょいちょい合間に入って動きを静止していたようですが、やはりこの怒涛の音塊にノせられてしまうと、いてもたってもいられなくなる模様。まあその気持ちはわかる。

 

本日中の出演バンドにおいても、最もハードコアを感じさせる音楽性だけに、ここで溜まりに溜まった鬱憤を晴らしたる!と意気込んでいた人は多いでしょうね。ラストの「Swallowing The Rabbit Whole」が終わった後、特に後を引く感じもなく、サラッと立ち去っていく姿も、甘さのないハードコアっぽくて素敵でした。

 

 

At The Gates

THE HALO EFFECT、CODE ORANGEに次いで楽しみだったアクトが彼ら。前半だけでお目当てのバンドがドドっと出てきてしまった。

 

このバンドについては2018年の来日公演で、かなり間近で観ることができたバンド。そのため、前2バンドに比べればそこまで是が非でも...!ってほどではなかったはず。

 

しかしこの日は、世紀の名盤である『Slaughter Of The Soul』の完全再現というではありませんか。バックのスクリーンにはそのジャケットがデカデカと映し出され、否応にも期待が上がってくる。これは観なければならないステージですよ。

 

当然ながらオープニングナンバーは「Blinded By Fear」。不気味なSEから、切れ味MAXのリフで爆走し、当たり前だと言わんばかりにサークルピットが出現。屈強なセキュリティのお兄さんが、なんとか沈静化させようと真ん中に入って捌いていく。

 

僕のすぐそばを、セキュリティさんに腕を掴まれたまま、外へと連れ出されていく人も見受けられ、その人たちにはご愁傷様...という感じでした。うん、暴れたくなる気持ちはわかるよ。この激音だもんね。

 

Slaughter Of The Soul」では、トーマス・リンドバーグの"Go!"の掛け声に合わせて、さらにオーディエンスの熱気は高まる。セキュリティの働きも虚しく、どんどんサークルはでかくなるばかり。

 

個人的には、振り絞るようなヴォーカルが怒りと共に強烈な泣きを帯びた「Nausea」の叫びにグッときましたね。音源通りの激情がここにある。

 

ザクザクしたギターリフも、疾風怒濤の疾走ビートも、文句をつける要素は何一つない潔いライヴでしたが、トーマスの赤のチェックシャツにポッコリお腹のルックスは、その殺気立ったライヴの雰囲気を少し緩めてしまっているような...(笑) まあ彼に限らず、平均的に太めでしたけど。

 

ちなみになぜかラストは『At War With Reality』収録の「The Night Eternal」。スローテンポならではの強烈な哀愁を醸し出す楽曲で、このドラマチックな旋律に合わせて、少し、また少しずつメンバーが退場してゆく様は、どこか裏寂しく感じられる瞬間でした。

 

 

ここで3本ガッツリ観て失った体力を回復するために、少しばかり休憩時間。外にあるキッチンカーで、ビーフライスのガーリックを注文してがっつく。

 

似たようなやつ、つい先日のロッキンで食ったばかりのような...。まあ気にするな。

 

どの店も列の長さはたかが知れており、すぐに食べることができるのはありがたいのですが、やはりお客さんの少なさは寂しいものがある...

 

白桃サワーを飲みながらSOULFLYを観てましたが、ドラムがかなりパワフルで上手いことがわかる。ルックスは短髪の白Tで、ブッチギリで一般人臭が漂っていたのに、プレイの迫力がすごい。

 

グルーヴィーで跳ねるようなリズムの面白さもあり、大勢のオーディエンスが飛び跳ねる光景を後ろから見るのが楽しい。これこそフェスの景色って感じで良いですね!

 

 

STEEL PANTHER

本日のメンツの中では、おそらく僕の好みからは特に縁遠い音かもしれません。

 

80年代ヘアメタルというのは、僕は世代でもないし、特に好みというほどでもない。しかしそういうバンドを観られる機会に恵まれるのがフェスというもの。

 

VIPの人が入れるスペースを見てみると、派手めのうちわを持っているような人もいて、今回唯一そういったノリが似合うバンドだなと。

 

ド派手な衣装とヘアースタイルで登場してから、早速ドキャッチーなハードロックがでお出迎え。何気に本日初の歌モノアクトでは?

 

正直琴線に触れるタイプの音楽性ではないんですが、演奏がうまいし華があるので観てて単純に楽しいです。さらに演奏前に着物を着込んだ芸者さんを呼び込んで、さらにステージがより一層賑やかに。今までのバンドとあまりにもカラーが違いすぎるな。

 

しかしこの芸者さん、どうやら本業はポールダンサーだったようで、出てきたらすぐに着物を脱ぎ散らかし、やたら露出度の高いハイレグ衣装を見せつけるように体をよじる。この日一番下品な瞬間だ(笑)

 

ただラスト付近になると、実際にポールダンスを始め、その強靭な体幹を遺憾無く発揮し「やっぱプロはすげえんだな」という気にさせてくれるのだからすごい。

 

途中にはキーボードを配したバラードをプレイしたり、オジー・オズボーンのモノマネ(結構似ている上にコウモリのぬいぐるみを咥えてた)をしながら「Crazy Train」をカバーしたりと、ストイックに自分達のスタイルを貫く他のバンドには見られない瞬間が多く、フェスの中盤としていいスパイスになっていました。

 

 

BULLET FOR MY VALENTINE

以前サマソニで前方付近で観たMASTODONは少し休憩がてら観るようにし(あの時と同じようなサイケな映像が流れてた)BULLET FOR MY VALENTINEに備えて、フロアの真ん中、VIPではない一般のチケットとしてはかなり前方付近へ。真後ろがPA卓になっているので、幕張としては良い音が期待できそう。

 

このバンドを観たい層は結構多かったようで(着ているTシャツの率も多かった)、開演直前になるとかなりの人口密度。自分の前に背の高い人がいるので、少しステージは観づらくなってしまったな。

 

そして暗転されてからの、叩きつけるようなドラムとリフ。「Your Betrayal」からのスタート。名盤の1曲目から始まるということで、僕以外のオーディエンスも皆が一様に士気が上がる。

 

そして2曲目に「Waking The Demon」。この名曲2連打で、もうこっちはできあがっちゃいましたね。僕のすぐ左隣で巨大なサークルピット(+セキュリティのお兄さん)が発生し、一気にフロアの熱量が増加。

 

個人的に「よくぞこの曲をやってくれた!」は「The Last Fight」で、豊かな歌メロと熱過ぎるシンガロングが交錯する名曲。まあ実際声は出しちゃダメなので、手を振り上げるくらいのことしかできないのですが。

 

頻繁にドラムセットの後ろに設置されたマイクスタンドに構えるヴォーカルのマット。インスタの写真とかライヴ映像でなんとなく知ってましたが、やはりかつての爽やかイケメン感から、だいぶムサい男臭さを漂わせている。歌は以前観てきたのと比べると割と安定していたような。

 

新作からの「Knives」「Shatter」のようなアグレッション重視の楽曲はもちろんですが、「Piece Of Me」「Over It」といった、アルバムで聴いたらさほど勢いのないと思っていた楽曲でも、ライヴでのリフの音圧だと迫力増で聴こえる。これは前回サマソニで観た時と同じですね。

 

とはいえやはり盛り上がるのは「Tears Don't Fall」、そしてラストナンバーとなった「Scream Aim Fire」という鉄板の楽曲。意外性はありませんが、やはり名曲は強い!

 

...なんですが、「Tears Don't Fall」は、なぜか曲中のバックスクリーンに、STEEL PANTHERのロゴがチラついているのと、「Scream Aim Fire」は歌もギターも思いっきり音が下がっているのが気になってしょうがない。マットのヴォーカルはまだ仕方ないとしても、ギターソロまでガッツリ下がってしまっているから、音源の高揚感が半減してしまっているのが実にもったいなかった...

 

 

そんなこんなで楽しい時間も終了。トリはDREAM THEATERですが、プログレメタルにはさほど惹かれないのと、明日は普通に仕事があることもあって、とりあえず最初の1曲だけ観て会場を後にしました。スクリーンに映った映像のクオリティーが、2022年にしてはだいぶチープだったのが気になったな...(あの展望台にある双眼鏡みたいなの何?)

 

規模も縮小され、メンツも豪華というほどではなく、さらにコロナの感染者が増えているという実情もあってか、フェスとしてはやや寂しい客入りだったことは否めませんが、それでもまたこういった海外メタルフェスが帰ってきた実感を味わえたのは、貴重な体験でしたね。

 

次のDownload Japanは早速来年の春に予定されているということなので、これからまた少しずつ以前の海外アーティストのライヴが観られる形になっていくといいですね。さらに言うなら好きなバンドの時だけでもモッシュピットの中に混ざれるようになりたいもんです。モッシュの感覚、もうだいぶ忘れてるもんな...