ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Parkway Drive 『Darker Still』

  • 一点の曇りもない硬派一徹グルーヴメタル
  • 重心の低いベースと、時折メロウに泣くギター
  • 劇的なハイライトとなるタイトルトラック

 

覇鬼に吸収された美奈子先生?

 

違いました。オーストラリア出身のグルーヴメタルバンド・Parkway Driveの最新作のジャケットです。

 

このParkway Drive、海外のメタルフェスではヘッドライナー級の扱いを受ける人気バンドでありながら、日本における注目度はお世辞にも高いとは言い難い。前作『Reverence』以来4年ぶりとなる本作がリリースされても、国内のメタルシーンが盛り上がってる印象は全然ないしね...。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

内容としては前作と大きくは変わらず、往年のメタルコアとはやや趣を異にする、FIVE FINGER DEATH PUNCHあたりに通じるグルーヴィなメタル。ヘヴィミュージック愛好家には、文句なしに気に入られるサウンドでしょう。

 

なかなか存在感ある太いベースラインがタフな印象を強め(ズンズン響くような迫力はこのベースの力によるところが大きい)、ところどころにメロディックな旋律を描くリードギターを絡ませる。キャッチーなシンガロングやリズミカルなサビを取り入れ、ミドル〜アップテンポを中心に進み行く。硬派でストロングなモダンメタルサウンド

 

重心の低いヘヴィサウンドに、安くならない範囲でメロウなクリーンを入れるスタイルは、チャラっぽくならない中でも非常に聴きやすく、かつ無骨さも醸し出している。個人的にはもう少しオーソドックスなメロディックメタルコアの方が好みではありますが、充分にカッコいいと感じられる音ですね。

 

切ないヴォーカルの出だしから、一気にヴォーカルメロディーをなぞるリードギターが飛び出すM1「Ground Zero」。ノリの良いリズムにハマるシンガロングを用いて、ヘヴィ&キャッチーなモダンメタルを展開し、後続の楽曲もそこから大きく型を変えずに立て続く。

 

ただまあ、どの曲もカッコよくはあるのですが、やや似通ったタイプの楽曲が多いので、少々アルバムとしての起伏にかけるきらいはあるかも。もちろんどの曲もよく練られていて退屈さは感じませんけど。前作にもあった神聖なムードを、コーラスとオルガン風の音色で味付けしたM4「The Greatest Fear」なんかは特に良い。

 

そして本作のキーとなるのが、タイトルトラックであるM5「Darker Still」。

 

退廃的で胸に染み入る哀愁をアコギと口笛で表現し、そのまま淡々と歌い出すヴォーカル。ゆっくりと男の悲哀に満ちたメロディーを歌い上げていくかと思ったら、後半にかけて力強いドラムと共にメロウなギターが泣きながら顔を出す。壮大なオーケストレーションも味方につけ、クライマックスに向かい非常にエモーショナルなギターソロを投下。そのまま大仰なコーラスにてサビが歌われる様は実に感動的!

 

ノーマルなモダンメタルとは一線を画すドラマチックな名曲で、この曲がアルバム中盤にあることで、似た曲が続きやや集中力が途切れるという事態に陥らないようにしているのも嬉しいですね。明らかにこの曲起点でアルバムの雰囲気というか、これまで漂ってた空気感が変わりますからね。

 

後半も勢いは落ちず、ややメロディックに重きを置いた曲から、アグレッシヴな面にフォーカスした曲、繋ぎとなる短めの曲と、多少幅を利かせつつも、一本芯の通ったモダンヘヴィ、グルーヴィなメタルを貫き通す。出だしの"ポイズゥゥゥン!!"のシャウトがアツすぎるM8「Soul Bleach」が特に好き。

 

M11「From The Heart Of The Darkness」が、アルバムのラストを締めくくるにしては、ちょっとメロディーの哀愁が足りず(オーケストレーションやギターソロは出てくるが)、どちらかというと強靭なリズム重視の曲なのは、ドラマ性を描く上ではちょっとマイナスかもしれないか...?

 

前作に続き、軸のブレない硬質、かつ硬派なグルーヴメタル/オルタナティヴメタルがたっぷり詰め込まれており、5FDPなどに通じるヘヴィさやキャッチーさを好む人なら、本作も充分に楽しむことができるでしょう。ヤワな要素は微塵も感じさせず、それでいて大型フェスのヘッドライナーになるのも納得のスケールを持ち合わせた、堂々たる完成度です。

 

なお前述した通り、タイトルトラックのM5は他の楽曲とは次元を異にする、劇的な名曲なので、モダン化されたメタルに食指が動かん人も、この曲だけでも聴いてほしいなあ。

 

 

個人的に本作は

"前作の方向性を踏襲し、モダンなヘヴィさとキャッチーさを内包した、強靭・硬派なグルーヴメタル。タイトルトラックは抜きん出た劇的名曲"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com