ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

11/23 lynch. / THE FATAL HOUR HAS COME at 日本武道館

まずひとつ言わせてほしいのが、サボりたくてサボっていた訳ではない

 

3週間もブログの更新をほっぽり出してしまっていましたが、以前までのブログにも書いたように、ここ最近は仕事が立て込みまくっていましてですね。こないだの土曜日だって、朝9時から夜8時までずっとオフィスにいたし。

 

このライヴ感想だって本当はもっと早くに書き上げるはずだったんですよ。ただ、仕事でさんざんPCの前に座ってメンドクセーメールのやりとりをしてるのに、家帰ってから夜遅くにまたノートPCを開いて文字をカタカタ...というモチベーションがなかなか沸かず。睡眠時間をそこで削るわけにもいかず、結局ダラダラ時間だけが過ぎていって、いつのまにかこんな長い間ブログを放置してしまいました。

 

やはり往々にして、締切のない活動というのはダラけがちになってしまうのだなあ。

 

さて、気を取り直して...

1年のうちに2回も武道館に足を運ぶことになるとは。

 

しかもガンズの来日公演にも行ってるから、万単位のオーディエンスが入る大規模会場でのライヴを月に2回も経験することになる。

 

BRAHMAN中野サンプラザに、ぴあアリーナMMのBAND OF FOUR、Download JapanにROCK IN JAPANと、コロナ禍以降において今年は大会場ライヴラッシュの年になりましたね。ライヴが充実するのは良きことです。

 

今回参加したのは、名古屋発のエクストリーム・ヘヴィロックバンドlynch.

バンドにとっても、ファンにとっても一際思い入れの強い、特別なライヴであることは間違いありません。

 

というのも、本来であれば昨年2月に実施予定だったんですよね、lynch.日本武道館ライヴ。それがコロナの影響で直前で延期せざるを得なくなり、さらに年末にはバンドの活動を休止するという事態に。昨年、ファンがどれだけ落胆させられたのかは想像に難くありません(いや、僕も彼らのファンではありますが、毎日熱心に情報を追うほどの熱量ではなかったので)

 

今年の前半はメンバーが各々ソロ活動やら、別バンドやらに専念し、バンドとしての動きは見せなくなりました.....のですが、割と早い段階で活動再開のニュースが流れ、その記念すべき初ライヴが、今日この日、日本武道館公演ということに。

 

週半ばの祝日、明日からまた普通に仕事(しかも土曜も出勤予定)という現実から目を逸らし、雨の降りしきる中直行。九段下駅の階段を上がった直後に、持っていたトートバックの持ち手が一つブッ壊れるという災難に見舞われながら、2月のPassCode以来の武道館へ。

 

僕の場所は二階席の南ブロック、かなり後になってからチケットを買ったのでほぼ最後方。ステージとの距離は遠いものの、ほぼ正面で視界を遮るものもなく、かなり観やすい位置。

 

ザッと見た感じ客層としてはやはり女性客が多い感じでしたが、二階席の方になると結構男性ファンも見かける。僕は全くもってギャ男って感じの見た目ではない人間のため、悪目立ちしないように、一応全身真っ黒コーデにブーツ、マスクも黒という出立ちにしてました。が、普通の男性ファンも多くいたのだから、そこまで意識する必要はなかったかも。

 

開演時間を10分ほど過ぎた後にフっと暗転。過去の楽曲のMVやアー写を交えた映像が、ステージバックのスクリーンに映され、入場SEが流れて黒一色の衣装に身を包んだメンバーが登場。ギタリストの悠介さんが深々とオーディエンスに礼をし、葉月さんが手を上げて反応に応える。

 

白い照明に照らされながら、「LAST NITE」のイントロのピアノフレーズが流れ出す。オープニングとしては落ち着いた楽曲なので、個人的にはもっと勢いのある疾走曲で幕開けをしてほしい気も。あと照明がチカチカして目に優しくない。

 

そんな僕の気持ちを汲んでか、「ようこそ、処刑台へ!」の煽りとともに、名曲「GALLOWS」がスタート。葉月さんの低音グロウルはかなり好調のようで、Aメロの出だしから超強力。処刑台に響くにふさわしい凶悪なパフォーマンスで、それに合わせるように、バンギャらしいヘドバンの嵐がそこかしこで巻き上がる。

 

特に最前真ん中付近の人なんかは、遠目から見ても腰の入った実に気合の入ったヘドバンをしてる。一度逃した武道館という舞台ですからね。アリーナが濁流のように荒れ狂う様は圧巻でした。

 

その後はアグレッシヴなライヴの定番曲を中心とした流れで、名曲連打の超強烈な時間帯が続く。「EVOKE」に「CREATURE」、「XERO」とキメとなる曲が連続していて、前半からこんだけ飛ばして大丈夫か?と余計な心配をしてしまいたくなる。

 

そんな中、今回のライヴのタイトルとなる「THE FATAL HOUR HAS COME」が投下される。ライヴタイトルトラックながら、特にこれといった演出とかはなく、割とフツーなタイミングで出てきたな。

 

特に嬉しい選曲だったのが「JUDGEMENT」。怪しくキャッチーなメロディーの、狂気的アグレッションが同居した名曲で、ヒリヒリするような危険な緊張感がたまらない。

 

途中のギターソロでは、葉月さんが「悠介!」「玲央!」と呼びかけてメンバーへ注目させ、ベースソロの際には「明徳と俺!」と、ベースのネックを掴みながらステージ中央でアピール。ドラムの晁直さんのみ紹介がなかったのは、「MIRRORS」のイントロでできるからですかね。

 

流石に名曲連発でブーストが効きすぎたのか、その後は少しミドル曲が並んで、熱気をクールダウンさせる時間帯に突入。インディーズ期に制作した「melt」から始まるパートで、しばし聴き入る。

 

僕としてはlynch.は、アグレッシヴなキラーチューンと、そうでない曲の気に入り度に開きがあるバンドで、この時間帯はややダレを覚えなくもない。徹頭徹尾疾走じゃ起伏が生まれないとはいえ。

 

しばらくそんな時間が流れた後、MCにて「みなさんlynch.のライヴを観てどうなりたいんですか?うっとりしに来たんですか?それもまあ良いでしょう。でも、やっぱり暴れに来たんですよね!?」と声をかけてからの「I’m sick. b’cuz luv u.」の爆発力はすごかった!サビ終わりの低音グロウルの迫力がここまできても衰えない。

 

そして間髪入れずに晁直さんの疾走ドラムソロが始まる。この入り方はlynch.を代表するキラーチューン、「MIRRORS」の登場。

 

もちろん僕もこの曲は大好きなので、当然ながらここ一番のヘドバンで応える。ただ、葉月さんは一番盛り上がるサビの部分をオーディエンスに歌わせる主義のようで、せっかくの大サビもカラオケ状態になってしまうのが残念。こっちは声出しできないんだから、あなたの声をもっと聴かせてほしいのですが。

 

その後、ある意味本日一番のハイライトとも呼べる瞬間が来る。「みなさんlynch.のこと好きなんですよね?こんなにたくさん好きな人がいるなら...セックスするしかないじゃん!」と、武道館という神聖な場での爆弾発言から「pulse_」が登場。曲中に葉月さんがドラムの後ろに立ち、「どうですか晁直さん?武道館のセックスは!?」と晁直さんにマイクを突き立てると、

 

「気持ちいいぃぃぃ〜〜〜......」という、蚊の鳴くような声を発する。

 

どうやらリハなどでそんなやりとりは一切やっていない、ぶっつけ本番だったそうで、それに動揺してしまったのか、ドラムの打音が完全にストップしてしまう事態に。

 

玲央さんのギターが情けな〜く響き、呆れ返ったように笑った葉月さんが、ステージ上に大の字になって倒れる。「晁直さん、これWOWOWで放送されます!」「なんで武道館でぶっつけ本番でするのよ〜...」というやりとりを経て、「pulse_」の中折れ二回戦が開幕。完全なるミスなのですが、これが功を奏して、一回目よりも更なる盛り上がりを生んでいたように思います。

 

アンコール前のラストは「CULTIC MY EXECUTION」という、かなりダークでドロッとした楽曲で締める。せっかく武道館ライヴのために書き下ろされた「ALLIVE」という名曲があるのだから、それをラストに持ってった方が良かったような(演出的にもいかにもクライマックスでしたし)

 

アンコールでは、メンバー各人が一人ずつオーディエンスに向かって言葉をかける。特に印象強かったのはリーダーの玲央さんと、ベースの明徳さん。

 

「僕らがみんなをここへ連れて行こうと思っていたけど、みんなが僕らをここに連れてきてくれたんですね」と、涙ぐみながら玲央さんが語ると、僕の周りにも目頭を押さえる人が出てくる。

 

そして明徳さんは、かつて一度日本武道館ライヴが決まりそうになった中で、自分の不祥事によりライヴ予定が白紙になってしまったことに触れ、「武道館ライヴは実施する前に厳しい審査とかがあるから、自分がバンドに戻ればもう武道館でライヴをすることはできなくなるかもしれない。それがわかっていても、自分を戻すという判断をしてくれた」と、こちらも若干の涙声になりながら訴える姿が非常に印象的。

 

僕がlynch.を聴きだしたのは、彼が大麻騒動でバンドを抜ける少し前。つまりバンドの活動休止と、4人体制になってからのリスタートはリアルタイムで、バンドの動きを見ることができていただけに、このMCにはなかなかグッとくるものがありました。

 

各々の思いがこもったMCを機に、「THIRTEEN」からリスタート。アンコールにて特に演出面で際立っていたのが「EUREKA」で、星空を思い起こさせるような美麗なメロディーに同調するかのように、ミラーボールから反射した光が、武道館全域を煌めかせる。本当だったらこの瞬間にオーディエンス全員でコーラスができたはずなのですが、これはまあ仕方がない。

 

そしてダブルアンコールにおいて、lynch.というバンドを象徴する名曲「ADORE(この曲でダーイヴ!ダーイヴ!ダーイヴ!がしたかった!!)、艶やかな歌メロを聴かせる「A GLEAM IN EYE」でフィニッシュ。照明がバッと明るくなった状態での、初期の彼らの王道を行く楽曲による圧巻のラストスパートでした。

 

ライヴ開始前は「17時開演ってことは、1時間半〜2時間くらいで結構早く帰れそうだな〜」なんて思ってたのですが、何の何の、先日のGUNS N' ROSESのライヴをさらに超える、3時間半という特大ボリュームの濃密ライヴ。それでいて、途中クールダウンする場面もあったとはいえ、新旧彩る名曲がバンバン聴ける非常に充実したパフォーマンスだったと思います。まだまだ聴きたい曲はあるとはいえ、望みうる限りではほぼ完璧な選曲だったと言っていい。

 

なお、MCでもちょろっと触れていましたが、この日が活動休止後初のライヴだったんですよね。記念すべき武道館ライヴと、一旦足を止めた後の最初の第一歩となるライヴがいっぺんに味わえただけに、ファンの感慨はさぞ深いものだったでしょうね。

 

終演後すぐに、ZEPP会場を中心に回る全国ツアーに、来春ニューアルバムをリリースするという報せが流れ、活動再開と同時に早速勢力的な動きを見せてくれるのも実に頼もしい限りでした。

 

明徳さん離脱時もそうだったけど、一度バンドの歩みを止めざるを得ない状態になっても、さほどファンを待たせることなく動きだし、さらに音源のリリースやライヴ活動も活発に行うこのバンドの姿勢は、聴き手としては本当に嬉しいですよ。最近別プロジェクトを始めた、どこぞの大物バンドの中心人物も少しは見習ってもいいのよ(笑)