ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ELLEGARDEN 『The End of Yesterday』

  • 16年ぶりに放つファン待望の新作
  • 疾走感、初聴時のインパクトはかなり薄め
  • 感情に寄り添い、じっくり染み渡る切なさが魅力

 

00年代の国内ロックシーンを牽引する存在であり、2018年に10年ぶりの電撃復活を遂げた、ELLEGARDENの6thフルアルバム。

 

本作は2006年に発表された5thフル『ELEVEN FIRE CRACKERS』より、なんと16年ぶりとなる新作。16年ですよ。当時生まれた赤ちゃんが、もう高校生になっているような期間。ファンの方にとっては、もう「待望」なんて言葉では片付かないでしょう。

 

僕としては、本格的に日本のロックバンドを聴き始めた時期と、彼らが活動休止をした時期がだいたい重なっているため、リアルタイムでは通っておらず、過去の音源を後追いで聴いてきています。

 

従来の彼らの音楽というのは一口にメロコア、ポップパンクと言い切れるようなものではなく、ソングライターの細美さんがweezerから影響を受けているのもあるのか、海外エモやパワーポップ的な要素もあります。

 

ストレートなメロコアを好んでいた僕としては、その点がやや中途半端な感じに映ってしまい、「好きな曲とそうでない曲の差が大きいバンド」という印象がついていました。好きは好きだけど、そこまで言うほどのファンではない、そんな温度感。

 

そんな僕でも、やはりレジェンド扱いされているようなバンドの音源をリアルタイムで購入できる、という事実にはどことなくワクワクさせられるものがあるのも事実。実際発売前は結構大きめの期待感を持っていました。

 

しかし、本作を一周聴いてみて、まず最初に思ったことは、「あれ?こんなもん...?」でした。正直なところ。

 

全体的にミドル〜アップテンポで展開される楽曲で占められており、スネア裏打ちの2ビートで疾走する曲は皆無。もともと疾走感を売りにしていたバンドではないとは思うんですが、それにしたって全体的に落ち着いている。パンク・メロコアに期待されるようなはっちゃけ感が無い。ちょっと地味な印象がついて回る作風だなと。

 

僕がELLEGARDENで好きな楽曲といえば、「モンスター」「Supernova」「Marie」「(Can't Remember) How We Used To Be」あたりの、アグレッションを活かしたサウンド。そうした溌剌としたエナジーが控えめな本作は、第一印象が良いとは言えない。「メンバーも歳を重ねて大人になったんだな〜」なんて思ってしまったり。

 

しかし聴いてくうちに、少しずつ各楽曲のメロディーが染みてくる。決して派手ではないけれど、やはり日本のバンドとしての叙情メロディーのセンスが息づいているのか、なんとも言えぬ哀愁が効いた歌メロが効いているのです。

 

ややシリアスさが強く海外ポップパンク的曲展開を見せるM2「Breathing」、ポップで青臭く、爽やかな中にホロリとするような叙情美メロが馴染んだM4「Strawberry Margarita」、軽やかなアップテンポのリズムに、本作でも1,2を争うほどキャッチーなサビメロを持ったM9「10am」など、パンク的攻撃性を控えめにしながらも、少しの哀愁と多幸感で包んでくれるような楽曲が揃っています。よく晴れた休日、本作を聴きながら外をあてもなく歩くと、かなり気持ち良くなれる気がする。

 

特にラストのM11「Goodbye Los Angeles」のメロディーは素晴らしいですね。郷愁を漂わせるような歌詞と合わせて、歪ませすぎないギターのポップなフレーズ、強烈に泣いてるわけではなく、じんわり染み渡らせるような切ない歌メロがバッチリとハマってます。これぞエモコアと言いたくなる。

 

過去の疾走曲のようなわかりやすいキラーチューンは不在で、その点を不満に感じなくはないのですが、こういう路線でもしっかり飽きずに聴かせてくれる手腕はさすが。何かが突出してるわけではないけど、全体通して手堅くしっかりまとまっている。

 

小さなライヴハウスでキッズたちを跳ね回らせるようなサウンドではなく、感情に寄り添い、日常生活と一体になってくれるサウンドトラック的な味わい深さが魅力のアルバムですね。

 

まあ上述した通りパンクらしい派手さも、キラーチューンも無いのは事実なので、バンド史上最高傑作かと言われれば「No」だとは思うんですけどね。個人的には楽しめる作品でした。

 

 

個人的に本作は

"パンク的な攻撃性、疾走感はほぼ無し。それに代わってエモコアらしい切ない叙情性が全編を覆う"

という感じです。

 


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