ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9/26 IRON MAIDEN / THE FUTURE PAST WORLD TOUR 2024 at 東京ガーデンシアター

4年越し、ついにこの日がきました。

 

思えば2019年、翌年のIRON MAIDENのLEAGACY OF THE BEAST TOUR来日公演のチケットを獲得して、とうとうヘヴィメタル界の重鎮のライヴが観られると、期待に胸を膨らませていたものです。

 

メタルのライヴは結構な数に行くことができた僕ですが、IRON MAIDENはこれが初だったんですよ。数々の名曲をとうとう生で聴くことができると思っていたのです。

 

しかし、皆さんご存知の通り、2020年は忌まわしきパンデミックの影響により、洋楽アーティストの来日は軒並み中止。次に観られるのはいつになることやら...非常に残念に思ったものでした。

 

あれから4年ですよ。初の生メイデンの日がやってきたんです。東京公演はド平日のため、有給を取ってフル充電で出動。大学時代に原宿で買ったメイデンTシャツと共に、有明へと降り立ちました。

 

開演まで多少時間の余裕があったので、会場となる東京ガーデンシアターが併設されている、有明ガーデンをプラプラして時間を潰す。すでにメタルヘッズと思しき人たちがいたるところにいて、店員さん達は「普段全然見ない客層だけど、何モンだこいつら...?」と思ってたかもね(笑)

 

しかも店内BGMがJudas Priestの『Invincible Shield』でしたからね。明らかに今日の客層を狙ったもので、普段は絶対流れていないんだろうな。

 

開演時間が近くなってから会場へと移動。予想はしてましたが、40〜50代と思しきオジサンオバサンが大半で、平均年齢は非常に高そう。中には完全におばあちゃんと言える見た目の人もいて、すでに30歳を迎えた僕ですら最若手くらいなのではと思うほど。たま〜〜にチラホラ僕より下かな...?と思うような見た目の人もいましたけど。

 

こういうトラディショナルメタルのファン層は、どんどん高齢化の一途を辿るんだろうな...。メタルコア系のライヴはまだまだ血気盛んな若い世代がたくさんいるけどな...と思いつつ、自分の席となる4階バルコニーへ。

 

う〜〜〜ん視界はイマイチかな...

 

上の階の床が頭上にある関係で、視界上部がかなり遮られている。まあ一応ステージ全景が見えるようにはなっているけど。

 

早い段階でチケット先行当てたはずなんだけど、やっぱり良い席はクリエイティブマン会員の先行とか、関係者からのコネでもらったチケットとかで埋まっちゃって、僕のような一般客はこういう最後方席しか残っていないのか...とちょっと微妙な気分に。

 

まあ腐っててもしかたないし、良い音響の会場で観られるだけありがたいと思い直し(以前Limp Bizkitのライヴで来た時、かなりの音響の良さで驚きました)、開演までのんびりと待つことに。

 

そして開演前のBGMがUFOの「Doctor Doctor」になると、いよいよライヴの幕開けが近いと確信が生まれ、自然と手拍子が湧き上がる。

 

その後完全に会場が暗転。ステージセットにかかっていた黒い幕が剥がされていき(スタッフが人力で剥がしてた)ドラムセットが顕になってから、非常に聴き覚えのあるメロディーが流れると、大きな歓声が起こりました。これは「Caught Somewhere In Time」だ。

 

ツアータイトルが未来と過去という関係か、近未来的なイメージを押し出した『Somewhere In Time』からの選曲が多いのかなと思いつつ、当然名盤のオープニングチューンなので、グッと意識がステージに引き込まれる。

 

他のメンバーから少し遅れて飛び出してきたブルース・ディッキンソンは、白い長髪をなびかせ、マイクスタンドを回しながらステージ中央を動き回る。あんまりこの人に長髪のイメージなかったので、最初に姿を見た時は「え?あれがブルース?」と意外に思いました。

 

そして圧巻だったのがそのヴォーカルで、CD音源そのままはさすがに言い過ぎかもしれませんが、まったく音源のイメージを損ねない伸びやかな歌声を披露している。歌だけでなく、ステージを端から端まで移動し(バタバタと走る様は、失礼ながら「猿っぽい」と思ってしまった)、両手を広げてオーディエンスを煽っていく姿は、とても66歳のそれとは思えない。どんだけ元気あるんだ。

 

他メンバーも、ブルースほどではないにしろ、意外なほどにパフォーマンスがエネルギッシュなのに驚かされましたね。ただ演奏に徹するだけではなく、メンバーみんな結構動くんですよ。ドラムのニコ・マクブレインはさすがに70歳越え(!)のためか、ある程度落ち着いたプレイでしたけど。

 

ガニ股でベースのヘッドを銃のように構えるスティーヴ・ハリス、頭上にギターを掲げながら弾くヤニック・ガーズ、二人並び立って速弾きのソロを披露するエイドリアン・スミスとデイヴ・マーレイと、今まで写真でしか見たことがなかった光景を、実際に目の当たりにできた感動が押し寄せる。

 

この時すでに、バンドのライヴを観ているというよりは、テレビや雑誌でしか見たことない大物芸能人を生で見たときのような「すごい...実在するんだ!」という感覚でした。ワーッ!ワーッ!本物だーっ!とミーハー心全開だったよ。

 

あと実際のライヴを観て思ったのは、スティーヴのベースが思ったより普通というか、ちゃんとベースらしいベースラインを刻んでるんだなと。やたらアタック音が目立つ個性を知っているだけに、ライヴでもパッキパキのエグいプレイをするのかと思ってたので、以外とフツーだなって。

 

それはステージセットについてもそうで、彼らのライヴって、かなり大掛かりな仕掛けを施したステージが見どころ、みたいなイメージでしたが、そこまで豪華というほどではなかった。会場規模だったり、日本の消防法だったり、いろんな関係があるのかも。

 

とはいえ、やはりただ大型のバックドロップとスクリーンだけで終わるはずはなく、2曲目の「Stranger In A Strange Land」にて、身長3mはあろうかというエディが登場。テンガロンハットに銃を持った状態で出てきましたが、その時はちょっとステージセットによっかかってゆっくりしただけで、そそくさと退場し「何しに来たのアイツ?」みたいな雰囲気になっちゃってた。

 

セットリストについては、前述した『Somewhere In Time』と最新作『Senjutsu』をメインとし、ちょいちょい過去曲を交えてくる感じ。告白すると『Senjutsu』に関してはあんまり聴き返しておらず、今になって印象に残っている曲とかもあんまりないんですが、大会場のライヴで聴いてみるとなかなかカッコいいHR/HMとして聴けるな。これがライヴマジックというヤツですかな。

 

ただ、やっぱり「Death Of The Celts」はちょっと長すぎて、似たようなフレーズが続く間奏パートは少々退屈だったような...。僕の二つ隣の屈強な外国人客も、この曲の時には椅子の背もたれにもたれかかって聴いてたし(僕も同じような体勢でした)

 

しかし、そんな微妙な心境を吹っ飛ばすかのようにエンジンがかかったのは、「Can I Play With Madness」。やはり黄金期の彼らの楽曲って、非常にキャッチーで耳を引くんですよね。

 

僕の隣のおっさんも、まるでオモチャを与えられた子供のように拳を振り上げてシンガロングをしていました。はしゃぐのはいいけど、カバンはおろしてくれ。右手にガシガシ当たっているぞ。

 

前半ちょろっと出てきただけのエディも、ここにきて再登場。今度は何もせず退却なんでことはせず、ステージ右端にセットされた銃火器を操作するブルースと、銃撃戦をする一幕もありました。ただ両者の距離が若干遠く、ビミョ〜〜にお互いの銃弾(火花がビュッと出てくるような感じ)は命中していなかったけどね。屋内の会場だけに派手な爆発とかはできませんが、見せ物としては面白い。

 

この名曲連打の中で、僕が一番感極まってしまったのは、「Alexander The Great」が終了した後。背後の大きなバックドロップが、生い茂る木々を描いたものに変わった瞬間、「もしかして...!」と期待感が膨らみましたが、その期待に完璧に応えるかのようなイントロが鳴り響く。

 

そう、かつてのIRON MAIDENが得意としていた大作の中でも、屈指のドラマチックさとスケール感を誇る超名曲「Fear Of The Dark」。この曲を聴きたいがためにここへ来たといっても過言ではない僕、全神経を集中してステージ上の景色を目に収めることに。

 

最初のクリーントーンのギターをオーディエンスが大合唱し、アップテンポで展開する中でブルースの堂々たる歌唱が映える。スケールで圧倒させるだけでなく、リズミカルな歌でライヴの盛り上がりも完備され、劇的なサビにて興奮は沸点へ!

いや〜〜〜〜〜カッコいい!!

 

この後アンコール前のラストである「Iron Maiden」が開始されたのですが、正直「Fear Of The Dark」で描かれた世界観が圧倒的に素晴らしく、「もうちょっとこの余韻に浸っていたいのに...」という気持ちが芽生えてしまった(もちろん「Iron Maiden」も良い曲なんですけどね)

 

その後のアンコールは、「Hell On Earth」という失礼ながら少々地味な曲で開始されるも、その後の「The Trooper」「Wasted Years」という流れはまさに鉄板。「The Trooper」のサビは、本日最大音量とも言えるシンガロングが、会場中に響き渡りました。もちろん僕もこの日一番の大声で共に叫びましたよ。

 

「Wasted Years」では、甲冑姿になったエディがステージど真ん中で刀を振り回し、同じくギターを刀のように見立てたヤニックと、一戦交えるかのように睨み合いをきかす。まあ戦うというよりかは、ヤニックがエディの股の間をすり抜けたりと、楽しそうに戯れているような感じだったけど。

 

ライヴのラストということで、メンバー各々がオーディエンスに対して最後のアピールをしているのですが、僕の視線はヤニックとエディのやりとりに目を奪われていて、最後の最後であまりステージ全体を観る余裕は生まれませんでした。ごめんよ他のみんな。

 

 

結構短い時間で終わってしまったな、という印象だったのですが、実際は2時間たっぷり演奏していたライヴ。冗長さを感じさせなかったのは、やはり楽曲の構成が優れているのと、何よりパフォーマンスが予想以上にアグレッシヴで、退屈さをさほど感じさせなかったのが大きいでしょうね。

 

本当にメンバーみんな還暦すぎなのかと思うほど、ロックバンドとしての躍動感に満ち溢れていたのが素晴らしかったですね。(比べるようで申し訳ないですが)Judas Priestロブ・ハルフォードとかは、だいぶヨロッと来ている印象があるのに、彼らはまだまだエナジー溢れる姿でした。特にブルースなんかあの歳であれだけ動けるなんて。

 

セットリスト的にはもう少し聴きたい曲があったものの、とにかく「Fear Of The Dark」の圧倒的感動で納得させられた感じです。

 

メンバーの年齢的に、あと何回来日公演ができるのかはわからないだけに、コロナ禍を経て、この日観ることができて良かったです。ヘヴィメタルファンとして、生ける伝説・重鎮の姿をこの目に焼き付けられました。

 

Judas Priest・IRON MAIDENときて、あとはMETALLICAのライヴが観られれば申し分ないのですが、彼らは果たして日本に来てくれるんですかね〜...。来年ツアーするらしいけど。