- 20th XaMetal Since 2004
- 疾走・速弾き・ハイトーン・ドラマチックなクサメタルの王道
- 冒頭の疾走曲連打で印象を決定づける
前回GALNERYUSのデビュー20周年を記念するツアーのライヴ感想を書きましたが、今回もまた20周年を迎えた日本のメロスピバンドについてです。こちらはデビューではなく結成20周年ですが。
今では死語に近いかもしれませんが、日本における「クサメタル」というスタイルの代表格と言えるMinstreliXの6thフルアルバム。ジャケットには"20th XaMetal Since 2004"と記載されているし、ルビコンミュージックの帯のジャンル名にも燦然と輝く"XA METAL"の文字が。
いかに時代が移り変わろうとも、このバンドはクサメタルという軸から一切ブレることがないようですね。頼もしいぜ。
中身も当然ながらクサクサのメロスピを潔く貫くもの。キラキラのキーボードとシンフォアレンジ、細かなリフを中心に疾走しつつ、ここぞというところで速弾きソロをブチ込み、ハイトーンヴォーカルを惜しげもなく披露する。クサメロスピの王道をひたすら真っすぐ突き進む姿がここにあります。
このバンドの最大の武器である、クラシカルな素養と、J-POPとしての土壌がしっかりと活きたメロディーは、ヴォーカル・ギター共に充分以上に満ち満ちている。メロディー面において不足を感じることはないでしょう。
なにせフォーク/ヴァイキングメタルを意識したM6「Sake Banquet」のような曲でさえ、ギターソロやサビは完全に疾走クサメロスピになってますからね。どうあがいてもこういうスタイルになってしまうんだろうなこのバンドは。
なお、前作で気になっていたLeo Figaroさんのヴォーカル面についても、特に印象は変わらず。どこかのっぺりと、平らな印象を抱かせる唱法が独特で、カタカナ英語っぽさも相まってどうしても耳についてしまうな…。ハイトーンの冴えは相変わらずすごいのですが。
曲の完成度はいずれも高く安定していて、まず冒頭の4曲の疾走クサメタルナンバー連投が強いです。M1「Destiny 〜The Goddess Pt.3〜」は、煌めくクサメロスピとはどういうものかを端的に示した楽曲だし、その次のオーケストレーションが実にクサく際立つM2「Silhouette Of Time」は、7分以上のボリュームも含めてクサメタルマナーに則っている。
日本語を詰め込んだ歌メロとバッキングのアレンジがこれまた異臭を放ちまくるM3「時の狭間に詰めたこのままでは逃げる場所などどこにも無い」でも勢いは止まらず、一発で覚えられそうなサビが極めてキャッチーなM4「Sing Our Song」と、この出だしの突っ走りっぷりでアルバムの印象が完全に決まった感じ。
個人的にはこの4曲と、フルートやヴァイオリンの音色を効果的に使用し、雄大かつクサいメロディーを作り出したM7「Voices & Words 〜The Minstrel Pt.2〜」が好き。なんだかんだ、こういうドラマチックで美しいメロディーが疾走してりゃ、やっぱり気持ちいいんだよな。
ボートラを除くラストを飾るM10「Gathering Under The Same Sky 〜大空の下に集いし者たち〜」は10分を超える大作。イントロの非常にドラマチックな旋律と、それに続くXからの影響がデカそうなリフの疾走パートで、「おお!こりゃ名曲では!?」と期待しましたが、欲を言えば歌メロ(特にサビ)をもう少し大仰にキャッチーにしてほしかったな。
曲によってフォーキッシュだったり、デジタルサウンドの味付けがあったりと、多少アレンジの幅は設けつつも、やってることは一貫してクラシカルさとJ-POP的キャッチーさを融合させた、安定のクサメタル路線。2024年にもなってこのスタイルを一切変えないあたり、彼らはクサメタルと共に心中する覚悟があるのでしょうきっと。
個人的に本作は
"過去作から変わらず、クサメタルの美学を貫く。過剰にドラマチックなアレンジと疾走感を武器に、異臭を振りまくメロスピ"
という感じです。