- よりヘヴィさを突き詰めた楽曲スタイルで統一
- 曲によってはもはやメタルコアの領域へ
- 歌のキャッチーさはそこまで強くはない
前回ワンマンライヴの感想を書いたので、その流れに沿って最新作の感想文も書こうと思います。
前作『ANTI』より5年ぶりとなるアルバム。まあ僕は今年のフェスきっかけで聴き出したので、久々感はまったくありませんが。
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リリースが5年も開いてしまったのは、やはりコロナ禍の影響により音源を発表するモチベーションが下がってしまったことが原因のようでした。それ以外にもTHE LAST ROCKSTARSの活動とかもありましたしね。
そんな本作、これまで配信リリースとして小出しにしていたシングルの多くが入っているのと、リリースはしていなくともライヴですでに披露済みの曲もある内容となっていて、熱心に追いかけているファンは新鮮味があまり無いかもしれない。僕はシングルリリースのうちは、そこまでガッツリ聴き込んではいなかったので、普通に新作として聴けましたが。
前作と同様、本作も外部ソングライターを多く招いて作られていて、SiMやMY FIRST STORY、さらにはガチのメタルコアバンドであるCRYSTAL LAKEのYDさんまで参加しています。すでに大物という存在になっている人が、ここまで下世代のミュージシャンと共作するってなかなか珍しいのではないでしょうか。
そんな意欲的姿勢はサウンドにも明確に表れていて、全体通してヘヴィな攻撃性がかなり強調されている。前作も充分にJ-PUNK/LOUDのアルバムとして扱えるだけの攻撃性がありましたが、さらにふっきれたかのようにヘヴィ&ラウドな曲に傾倒しています。
まあヘヴィとは言っても、音質はガチのメタルコアほどシャープに研ぎ澄まされているわけではなく、少々マイルドになってはいますけどね。メタリックなサウンドに慣れてないリスナーも多いので、あえてバンドサウンドをガッツリ前に出さないようなミックスにしてるのかもしれません。
そんな音質面での物足りなさは感じつつも、楽曲の作りは明らかにヘヴィ志向。フェスで観た時からラウドロックスタイルで勝負してることはわかってましたけど、まさかここまで徹底したヘヴィ路線に進むとは驚きです。
それが顕著に表れているのがM10「BLEEDING」〜M11「I GOT 666」〜M12「SOCIAL VIRUS」という流れ。どの曲もシンガロングパートあり、歪ませたシャウトヴォーカルありで、さらにはニューメタル/モダンメタルコアの領域にまで突っ込んだようなヘヴィリフが刻まれる。とてもJ-POPのフィールドで大成功を収めた大御所アーティストのソロアルバムとは思えん。
YDさんが作曲に携わったM12「SOCIAL VIRUS」は、出だしの呪詛的ムードに、詰まったようなバスドラ連打、ヘヴィな攻撃性がありながらもどこか浮遊感を漂わせるバッキングのサウンド、トドメと言わんばかりのヘヴィなリズム落ちと、いかにもCRYSTAL LAKEがやりそうな空気感がプンプンのキラーチューン。こんな曲をMV付きのリーダートラックにして、Mステで披露するなんて最高に痛快だぜ。
ただ、全体的に歌メロがそこまでキャッチーさ満載という訳ではないので、ヘヴィさを抑え気味にした曲が、少々インパクトに欠けてしまうきらいはあるかも。そのせいで中盤のテンションが少し下がってしまう印象を受けました。前作の「MAD QUALIA」のような、キャッチー路線のキラーチューンがあると嬉しかったかな。
まあM4「TAKING THEM DOWN」やM5「DEFEAT」のような、充分メロディアスなサビを聴かせてくれる楽曲もあるにはありますけどね。
いやしかし、何度も述べた通り、J-POPシーンで大成功したベテランアーティストでありながら、ブレイク直後のバンド並みにフェスに出まくり、さらにここまでヘヴィに吹っ切れた内容のアルバムを出すとは凄まじいですわ。まだまだ音楽的な野心と挑戦は止まらないということか。
個人的に本作は
"過去作からさらに開き直ったかのようにラウドなサウンドで勝負をかける意欲作。音質自体はマイルドながら、サウンドはメタルコアばりのヘヴィ路線"
という感じです。
