
- 1年半のスパンでリリースされた現体制2作目フル
- 方向性は変わらずに、耽美さを突き詰めた疾走メタル
- 美しく光り輝くラスト3曲のキラーチューン
幾度かのメンバーチェンジを経た際も活動ペースを落とすことなく、精力的に楽曲のリリースを続ける、実力派ヴィジュアル系メタルバンド・摩天楼オペラによる最新作。
新ギタリストとして優介さんを迎えて制作した前作フル『真実を知っていく物語』から1年半ほどしか経っておらず、さらにこの間にミニアルバムとシングルの発表もあるという、ハイペースでの制作は相変わらず。
そしてこれだけバンバン新曲を発表していても、クオリティーが落ちないんですよね。『真実を知っていく物語』は、バンドの最高傑作だと確信できるほどの名盤に仕上がっていましたが、本作もその方向性を大きく崩すことのないまま、摩天楼オペラらしいヴィジュアルメタルを高い次元で貫いています。
透明感のあるキーボードと、メタリックな音色感が強まったギターを武器に、ダークで耽美な色気をたっぷりと効かせたメロディーを、苑さんが艶やかに歌い上げる。歌メロ重視かつ疾走感強めのメタル路線。
作曲者ごとにカラーは割と異なってて、苑さん作曲が特に摩天楼オペラらしいと感じ、優介さんはメタル色強め、彩雨さんと燿さんがヴィジュアル系ロックに近づいたような感じでしょうか。麗しきメロディックメタルとしての彼らが好きな僕は、やはり苑さんが作ったメタリックな疾走曲が好みですが、全体通してキャッチーさは充分にあって、つまらん捨て曲は無し。
序盤はかなり勢いが強く、手数足数のハンパない連打がドラマーである響さんの本領を発揮したM1「BLOOD」〜M2「DYSTOPIA」〜M3「Ruthless」という、爆速曲の3連発が大きなインパクトを放つ。出だしからフルスロットルで突っ切るという意志がビンビンに感じられます。
この出だしの疾走感をして、響さんは「冒頭のメタル3連発がドラマー的にブチ上がる」とのことで、もちろん僕も「最初から気合い入ってるなぁ!」と思ったのですが、個人的にこれ以上に強く打ちのめされたのは、むしろラスト3曲。
このクライマックスが非常に強力で、どの曲にもフックに満ちた美メロがたっぷりと施されているし、疾走感も文句なし。ダークな出だしと比べてこちらは光属性が強めで、この点も摩天楼オペラの美点が強く表出しているところだと思います。
タイトル通り冬を連想させる透明感、寒々しさ、煌めく美しさを見事に表現し、歌メロも美麗にまとまったM11「夜明けは雪と共に」に、ラストを締めくくるにふさわしい荘厳なキーボードの旋律が感動を呼ぶM13「六花」もすばらしいですが、一際感銘を受けたのがM12「漣のロンド」でした。
ポジティヴに光る歌メロがとにかく良い!摩天楼オペラは歌の比重が元来高いバンドでしたが、この曲が一番僕のツボに突き刺さりましたね。気品のある歌メロが3拍子で軽やかに舞い、華やかな疾走と共にサビへと至る様、これが非常に美しい。ラストのメロディーをなぞるかのようなリードギターソロも、ポップでありながらどこか切なく、聴後感を快いものにしてくれます。
制作期間が長かったとはとても思えないペースでリリースされた本作でしたが、いやはや、名盤だった前作にも決して聴き劣りすることのない、摩天楼オペラらしい美しいメタルの宝庫でした。本作もまた素晴らしい!
短い期間でこれだけ名曲・佳曲を連発できるとは、「摩天楼オペラは現在の編成が過去最高である」という僕の持論が、いよいよ証明されたのではないでしょうか。僕にとってのGALNERYUSに続く、ハズさない国産メタルバンドのポジションに彼らも到達してきてる感があります。
年の瀬に心が洗われるような、良いアルバムを届けてくれた彼らに感謝。冬をモチーフにした楽曲があるのもあって、今の時期に聴くとよりロマンチックで素敵ですよ。
個人的に本作は
"前作同様透明度の高いサウンドとメロディーを武器とし、疾走感と美しさを強めたヴィジュアルメタル。ラスト3曲の輝きがあまりにも綺麗"
という感じです。