
三連休の初日に、とっても濃ゆ〜いライヴへと馳せ参じました。ド変態エクストリームメタルバンド・アイリフドーパが毎年開催しているライヴイベント「逆ドーパの日」。
アイリフドーパは何度かライヴを観たことがあるのですが、今回の対バン相手のKNOSISは初めて。さらに会場のVeats Shibuyaも未体験のハコだったので、連休を彩るイベントとしてはちょうど良いと思いました。
土曜日の渋谷ということで、当然ながら人混みがとんでもない。早い段階で渋谷駅と辿り着き、まずライヴ以外のお目当てだった、「THE FIRST SLAM DUNK "COURT"」へ。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』の復活上映を記念して、渋谷TSUTAYAの1階が桜木のブザービーターのボール軌道を再現したコートが作られたもので、学生時代ぶりにバスケのリングを近い位置で見られました。3ポイントの距離感が懐かしいな...

その後はタワーレコードやディスクユニオン、ニンテンドーストアにポケモンセンターと定番スポット(?)を巡って、開場時間にVeats Shibuyaへ。18時の開演時間ギリギリの入場となり、人がひしめくフロア後方で待機。やや縦長の形をしたフロアで、設備や内装は結構綺麗で良さげなハコでしたね。
KNOSIS

元CRYSTAL LAKEのRYOさんがやっているバンド、ということは知っていましたが、それ以外の知識はほぼ0の状態。サポートギターとしてCROSSFAITHのDaikiさんがライヴに出ることがあるらしいのですが、この日は3人のみでの体制。
まず、RYOさんがギターヴォーカルというのが新鮮でした。どうしてもCRYSTAL LAKEのイメージが強い人ですからね。ハンドマイクでヘッドバンギングしてジャンプして、オーディエンスを煽りまくって......というスタイルで見慣れてしまっているので。
しかし、ギターを弾きながらでも低音部の迫力がバッチリ感じ取れる、ディープなデスヴォイスをしっかりと出せているのが驚愕。決して腹に力が入るような体勢じゃないというのに、どうやってあんなバケモノみたいな咆哮が出せるんだ。
ただ、ずっとギターを弾いてるのではなく、ちょいちょいギターを下ろしてはCRYSTAL LAKE時代を彷彿とさせるような、アグレッション満載のヴォーカルパフォーマンスを見せてくれました。その間のギターは同期音源だったのか、裏で誰かが弾いているのかはわからない。
サウンドとしてはニューメタルコアと言えばいいのかな。ラップ、ヒップホップの要素を入れ込みつつ、モダンで重心の低い極圧なヘヴィサウンドで、フロアを縦に揺らしまくるような音。ベーシストがドレッドヘアに、ベースを高めに構えたスタイルというのが、よりニューメタルっぽさを感じさせてくれる。
日本語ラップが少々いなたく感じられたり、メロディーにキャッチーさが無い(バラードでさえも)ので、家でCDを聴くようなタイプのバンドではありませんが、ライヴハウスで聴く分には非常にヘドバンしやすくて良い。フロア中央では人混みで見にくかったものの、ハードコアモッシュが頻繁に発生していました。
最大のサプライズは、なんとヌンチャクの名曲「3コードで悪いか」のカバーをやったことですね。さすがに原曲で聴ける高音のブチギレシャウトの再現はしていないものの、攻撃的なデスヴォイスに激アツなシンガロングがたっぷりで、なんだかんだこの曲が一番興奮したな。
BURRN!!読者は近寄らないで頂戴ね ハッ!
アイリフドーパ
KNOSIS終わりでPA前あたりの位置へと移動。そこまで背が高い人がいないため、後ろの方ながら結構観やすい。
ド派手なルックスのメンバーが登場し、まず「DEUS EX MACHINA」からスタート。目まぐるしい展開を見せつけつつ、アイガーゴイルさんの高い歌唱力を活かした雄大なサビの聴きごたえが武器の曲で、さっそく出だしからエンジンがかかった感じです。
「借り暮Ra死のヘカトンケイル」では、"ちょっと良さげな" "マーガリン!"のシンガロングがバッチリ決まっており、オーディエンスの士気の高さ、フロアの熱量の高さが手に取るようにわかりましたね。マーガリンのシンガロングって何?
バンドの演奏は相変わらずハイテンションで、手数と足数が非常に多く、詰まったように高速で打ち付けられるドラムの気持ちよさを筆頭に、ヘヴィなサウンドをバッチリと再現するギターとベース、変幻自在に姿を変えるヴォーカルと、アイリフドーパ流の変態ヘヴィロックサウンドを味わうのになんの不足もありません。
そしてセットリストが非常にサービス精神旺盛であり、ライヴ前半のうちからなんと、屈指の変態性を誇る「Clean Gas」「The Record Of Johnny」を二連続でやったのがまず驚き。こんなん頭おかしくなるだろ。こんなイカれきった楽曲を、非常にタイトに連発できるとは、このバンドの演奏クオリティーの高さが改めて浮き彫りになりました。
さらに布袋さんの「RUSSIAN ROULETTE」のカバーと、なかなか普段のライヴで聴けそうにない楽曲が前半のうちから目白押し。こりゃあ美味しいライヴになりましたわ。
「逆ドーパの日は夏のラウド祭りとして定着させようと思ってます!」と、今後の継続を宣言すると同時に、「お祭りなんだからもっと汗をかこう!どうせ暑くて何もしなくても汗かくんだから!」と、さらにオーディエンスへの熱狂的ノリを求め、それに全員が呼応していく。
新曲「DEATH BABOON」ではMVの通り、曲中盤でウォールオブデスが発生し、さらにフロア中央のグチャグチャなカオスっぷりに拍車がかかる。ライヴパフォーマンスのエンタメ性も合わせて、こりゃ後ろの方で観てるだけで相当楽しいな。
先ほどの「Clean Gas」「The Record Of Johnny」に負けず劣らずの、奇妙奇天烈ド変態な「Lemon」に(この3曲を1日で聴くって、完全にキャパシティ超えてるがな)、彼らのレパートリーの中では比較的ノーマルなヘヴィロックである「Cocoon」と、個性豊かな楽曲の連発で熱狂は冷めやらぬまま、最後には「My right hand thumb is a Kraken」をノンストップで投下する。
哀愁美メロが効いたサビは興奮必至でありながら、さらにアイガーゴイルさんはエビ型のゴムボートを取り出し、オーディエンスの上をボートに乗りながら泳ぐように後ろの方まで来て(つまり僕からかなり近い位置まで)、一身に視線を浴びていく。PAの後ろの方には一段高くなって観やすいスペースがあるのですが、そこにいる人たちに対してにこやかに手を振っていました。
一通り本編は終了し、もうこの時点で凄まじい情報量の多さで満腹なのですが、さらにここからアンコールまで発生。KNOSISのメンバーを呼び込んで「こういうシャバいノリはさっさと終わらそう!」と急かすように写真撮影を済ませた後に、「夏といえば...昆虫の季節ですね」とニヤリと笑みを浮かべてからの、「Galactic Kamadouma」がスタート。
これまた変態的な展開が目白押しながら、結構ヘッドバンギングのパートとかはわかりやすく、かつサビのメロディーは非常にキャッチーなので、わけわからん変拍子まみれの曲に比べれば(笑)かなりノリやすい。フロアの反応もすこぶる良く、一斉に頭を振り乱す光景はいつ見てもすさまじいな!
ラストは当然バンドの代表曲である「Machu Picchu」。ここでまた先ほどのエビ型ゴムボートが出現して、アイガーゴイルさんがうつ伏せに乗り込んで、オーディエンスの頭上を泳ぐのですが、ここで「俺を回せ!」と指示が入る。
最後の"チュピチュピチュピチュ!"のパートではサークルピットが出現するのですが、今回はオーディエンスがゴムボートを担いだまま、グルッと大きな円を描くように動くという、普通のライヴではまず観られない光景が目の前に。
こんなのすぐバランス崩しちゃうんじゃ...?と思っていましたが、案外下にいる皆さんは足腰のパワーがあったらしく、結構しっかりとした円形運動ができてましたね。
さらにライヴ終わりには、ドラムのドナルディーケチャップさんがフロアダイブし、そのまま担がれるようにして、フロアの出入り口まで運ばれて消えていった(笑) あの後どうなったんでしょうね。
音も景色も、ド変態エンターテインメントの名にふさわしいライヴ、濃すぎる内容でしたが、しっかりと最後まで味わい尽くすことができました。
やっぱり彼らのライヴって、シリアス一辺倒のバンド(それはそれで良い)にはない、楽しさがあるんですよね。難しいこと考えずに、ただひたすらに体を揺らし、首を振り、腕を振り上げるだけでいい。
ここまでイカれたことをやりたい放題しておきながら、ちゃんとエンタメとして昇華することができる彼らのライヴ力、やっぱ凄いバンドですよ、ドーパって。連休初日に良いモン見せてもらいました。