ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Northern19 『EMOTIONS』 (2012)

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  • 喜怒哀楽をフルに表現した色味豊かなアルバム
  • 幅広くなった分疾走感と叙情性は従来より控えめに
  • 音質についてはちょいとひっかかる......

 

日本の3ピースメロディックハードコアバンド・Northern19が2012年に発表した4枚目のフルアルバム。何故このタイミングで本作の感想を書くかというと、前回上げた養老渓谷ハイキング旅において、行きの電車の中で久しぶりにアルバム通して聴いてたからです。

 

本作はBBQ CHIKENSやFUCK YOU HEROESのドラマーであり、インディーズパンクレーベル・TIGHT RECORDの社長でもあるアンドリューさんをサウンドエンジニアとして迎えて制作されました。

 

1stアルバム『EVERLASTING』は哀愁の爆走叙情メロコア一本で統一されていたわけですが、2nd, 3rdとアルバムを重ねるごとに、爆走しまくるメロコアの本分は忘れない範囲で楽曲のカラーを増やしてきた彼ら。本作はそれに輪をかけて横軸を広げた印象を受けます。

 

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

"EMOTIONS"というタイトルが示すように、喜怒哀楽様々な感情を音で表現しようと取り組んだらしく、彼ららしい哀愁疾走メロコアはもちろん、ハードコア由来のアグレッションに重きを置いた曲や、限りなくポップスに近い温かな楽曲、叙情性を強めたエモコアなど、これまでの作品の中で最も曲調に幅がある。

 

その結果、僕が彼らのアルバムに望んでいる爆走っぷり、ポップな中に秘めた切なさ満載の哀愁が全体的に減退していて、そのことに関しては少なからず不満のある作品と言えるかも。Northern19らしい必殺のメロディックナンバーはM3「LOST & FOUND」とM4「WISH」、M6「FOR ALL THE MINORS」くらいのもので、この三曲は本作を代表するキラーチューンです。

 

ただその他の曲が面白くないかと言うと必ずしもそうではない。ハードコアからの影響がモロに出たM8「MADNESS BLEEDING MADNESS」、M10「HATE YOU」の二曲はツインヴォーカルによるシャウトの交錯で荒々しく爆走しつつ、一気にメロディックになるサビで引き込まれる(M10をCARCH ALL RECORDSのコンピレーションで視聴したときは、そのカッコよさに痺れたもんです)

 

M7「RELIC」は「ノーザンはバラードのクオリティーはさほどでもない」という僕の考えをしっかりと覆してくれた、染み入る叙情性が心地よいミディアムバラードだし(後半はやや冗長だが)、M9「BLUE SKIES, BROKEN BIKE...SAME FAVORITE SONGS」は思わずシンガロングしたくなるポップで温かいムードに包まれたミドル曲。スピードを抑えた曲にもしっかり聴きどころとなるメロを入れ込んでいるのが良い。

 

ロディックハードコアとしての純粋な完成度、快感指数の高さは前三作に劣るのは否めず、このスタイルがかつてよりも魅力的かと言われると厳しいんですが、メロディックでスピーディーという彼らの美点の基幹となる部分はしっかりと残されている。メロディアスなロックアルバムの良作と言えるでしょう。

 

ただ一つ気になるのは音質。前述の通り本作はアンドリューさんを迎えてレコーディングされており、インタビューではメンバーみんな口を揃えて、彼のサウンドエンジニアとしての力量、作り出す音のクオリティーを絶賛してるのですが…...正直、ちょっと音汚くなってない?

 

本作の音は「ハードコアパンク直系の生々しさがあり、ドラムの音がより目立つように録られている」と言えば聞こえが良いのですが、なんかギターの音圧が軽く感じ、歪み方もゴツゴツとして隙間があるような荒いものでシャープさに欠ける。

 

前作『SMILE』が最高の音だったかと言われればそうではないものの(スネアが目立ってない)、ちゃんと整合感と迫力の両立はできていたように思います。

 

この辺は好みの問題なので一概に悪いことだとは言えないのですが、あんまり良いサウンドではないな...というのが本音だったりします。

 

 

個人的に本作は

"純然たる哀愁疾走メロコアから若干離れたものの、バラードからハードコアまで武器であるメロディーセンスは十分に活きた快作"

という感じです。

 


Northern19「WISH」

 


Northern19「BLUE SKIES, BROKEN BIKE...SAME FAVORITE SONGS」

粟又の滝でネイチャーポイントを回復してきた話

突然ですが下記のインスタの投稿を見てください

 

 

 HER NAME IN BLOODのギタリストのTJさんが、千葉の山奥にある養老渓谷の粟又の滝からネイチャーポイントを回復している様子。

 

普段住宅街と会社を行き来するしか能がない社会人にとって不足しがちなネイチャーポイント。僕もこの頃自然に触れる機会なんかめっぽう無いんですよね。そこで僕はこう思いました.........

 

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俺もネイチャーポイントを満タンにして心身ともにリフレッシュしたい!!!

 

TJさんと同様に僕も養老渓谷へ足を運び、ネイチャーポイントを摂取して、疲れた心と身体を癒してみようではありませんか!

 

......ということで、お休みの日を利用して一人旅。養老渓谷へ行き、粟又の滝を見てネイチャーポイントを回復しようと思います。

 

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 そうと決まれば、早速行動あるのみ。養老渓谷へ行くにはJRで五井まで行った後、小湊鉄道なる電車で一時間ほど揺られる必要があるらしい。五井ですら遠いのにそこからさらにかかるのか。まあ旅なんでそのくらい遠い方が良い。

 

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 五井駅まで行った後、小湊鉄道のホームへと移動。ICカードが使えないというあたり、田舎の鉄道らしさまんまんでイイですね。移動にお金がかかりそうだと思ってSuicaに3000円チャージしてきた意味がなくなりました。

 

駅員さんに養老渓谷までの往復分の切符が欲しいと伝えたところ、乗り降り自由の一日乗車券にしてもらいました。札幌に住んでた頃のドニチカキップを思い出す。

 

他にお客さんが何人かいたので写真は撮っていないのですが、田んぼが一面に広がり瓦屋根の家がポツポツとある車窓からの風景、地元に根差した観光案内やらイラストやらの車内広告は落ち着きますね。「人生変わりました!」的な怪しいレビュー文ばかりの自己啓発本の広告にまみれた電車に乗りながら、異様に家と家の間隔が狭い東京を駆け抜けている日々とはエライ違いだ。

 

飯給駅に差し掛かった段階で子供たちが乗っているトロッコとすれ違い、周辺の草木の背が伸びてきた。さっきまで田んぼばっかりの平坦な地形だったのですが、一気に山奥感が増してきたような気がします。

 

そうして約一時間の電車の旅が終了、養老渓谷駅に到着しました。

 

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 予想はしていたけれどかなりの田舎ですね...。近くに個人経営と思しき商店が1, 2軒ほどあるのみで、あとは畑や山間が広がる。民家はチラホラある程度。とりあえずさっさと目的地である粟又の滝を目指して移動を開始。さて、どっちに進めばよいものか...?

 

事前に道筋やらどのくらい時間がかかるかなどろくすっぽ調べてもいないため(ちゃんと調べろよ)、とりあえず標識のそれっぽい名前に導かれるようにして歩みを進める。全身に吹きかけたサラテクトのせいで、黒のトップスがホコリで汚れたみたいになってしまったがドンマイです。虫を寄せ付けないための犠牲です。

 

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立ち入り禁止の看板と頼りない紐のみで作られた線路のバリケード。これぞ田舎のなせる技か。小さい子供ならすぐに入り込むぞ。

 

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 おお~~...。雄大な自然に早速唸らされるぞ。もうこの時点でネイチャーポイントがどんどん供給されているような気がする。

 

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 ここで川を超える橋に到達。この時点で先ほどまで電車でも一緒にいたカップルや家族連れの姿が消えうせ、周囲の人の気配がまるでなくなっており、神隠しにあったのではないかと不安になりますが無視して先に進みます。

 

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あっ橋だ!

真っ赤な橋を発見。渡ってみたい気はしたものの、まずは目的地である粟又の滝へと急がねば。時間に余裕があったら帰る前に見ていこう。

 

大きな観光案内の看板とにらめっこし、とりあえず目当ての粟又の滝へは今進んでいる道を真っ直ぐ行けばいいことがわかる。看板で見た感じだとそんなに離れているイメージがわかなかったので、数十分歩けば着くだろうと高を括る。

 

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しかし歩いてるだけでどんどん汗が吹き出る蒸し暑さに、坂が頻繁に出てくる山道はなかなか厳しい...。もうこの時点で養老渓谷駅を出発してから1時間近く経っており、肉体的にも精神的にも辛さが滲んできた。粟又の滝まであとどのくらい歩くんだろ...?

 

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よよよよよよ4.3km!!!!????

まだそんなに歩くの!?嘘でしょ!?駅出てそんなに遠くまで行かないと思ってたのに!!!

 

この時点で時刻は13時を回っている。午前中に電車待ちの時間にカフェでアイスコーヒーとパウンドケーキしか摂取してない身としては、かなり厳しいコンディションだ。近くにあったそば屋は混雑してて時間がかかりそうだし。とりあえずレストランが併設されてるらしい観光案内センターまで頑張って歩こう...。

 

蒸し暑い気候の中ひたすら歩いているせいで、せっかくのBRAHMANTシャツも半分以上の面積が汗ジミに。このままじゃ粟又の滝に辿り着く前にパワーが底をついてしまう…。今まで自然の音に耳を傾けながら歩いてきましたが、ここで音楽の力を借りよう…。パワーを補給するにはこれだ!

 

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パワーだ!ヤツを倒せるパワーだ!パワーをくれえええ!!!

(燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦より)

 

のどかで緑豊かな町を歩くBGMがマッチョなメタルコアというのはすさまじいミスマッチですが、このアルバムを聴いてパワーを補給しなきゃ人間として動力源が切れて僕は死にます。

 

HER NAME IN BLOODの力を借りてなんとか気持ちで盛り返した僕。すると目の前にこんな看板が!

 

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よ、ようやく観光センターに着いた。とりあえずここで休憩して、飯を食って体力回復だ!いや〜〜〜ようやく一息つける。

 

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やってねえよ。

オイオイオイオイ!!マジか!!!???今日土曜日だよ!!??観光の狙い目の日で休んでどうするのさ!!?それともとっくの昔に廃業してたのか!!!???

 

ここ以外に付近に飯休憩できそうな場所はない。それどころかコンビニさえまともに存在しない。う〜〜〜む、しょうがない。ここまで来たら休憩無しで粟又の滝までいってやるよ!バスケで走り込みしてきた俺の体力をナメるなよ!!(部活やってたの8年位前だけど)

 

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なお歩いているときに4回くらい↑の看板を見かけたのですが、閉店30分前の段階で5km以上距離があったのでここで飯休憩するのは諦めました。

 

木々が生い茂る空間と滝からのマイナスイオンでネイチャーポイントを回復する旅だったはずなのに、いつのまにか過酷なハイキングによってヒューマンポイントがゴリゴリ削られている旅になっているのが気にかかりますが、ここまで来たら後には引けないのでひたすら歩いていきます。

 

そして養老渓谷を発ってからおよそ3時間、ついに粟又の滝へと到着!!

 

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着いた~~~~~!!!

 

冷たい水に囲まれているからか、先ほどまでの不快な暑さがウソのように爽やかに。おお...これが自然の恵み、滝の力か...。

 

TJさんが座っていたのはあの岩だな、と目を付けて、より近い位置で滝が見えるように移動する。コケの生えた濡れた岩はすさまじく滑りやすくなっており、転ばないように足元に神経を集中させるのが大変です。

 

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一人で滝音と眼前に広がる景色に身を浸す。周りは子供たちがキャッキャと騒ぎながら水遊びに興じたり、カップルが二人並んで癒されたりしており、一人でネイチャーポイントを供給しに来た僕は少数派だったようです(あたりめーだ)

 

まあそんな僕よりもさらにレアだと思われる、こんな環境下においてスパゲッティナポリタンを食すオバサマがいたんですけどね。

 

しかし不思議なもので、いざ目的地に着いたときって先ほどまでの疲れを忘れられるものなんですね。もう歩きたくね~~とか思っていたのがウソのように体が軽い。もしかしてこれも滝の力?

 

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気合いを入れてBRAHMANのブーツを履いてきた足。ネイチャーポイントによってだいぶ力が復活したようです。この調子で遊歩道の方も歩いてみます。

 

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細長い遊歩道をゆっくりと歩く。右手に見えるせせらぎに心まで洗われます。途中見かけた積まれている石は、自然現象でこんな風になるわけないので、誰かがあそこまで行ってわざわざ積んだんでしょう。こういうのを見るのも一興。

 

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左手にまた滝を発見。粟又の滝に比べればだいぶ小規模ですが、その分近づいてマイナスイオンを吸収。ネイチャーポイントがさらに溜まってきたぞ。いかに今まで自分が自然に触れずに過ごしてきたのかを痛感する。

 

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足元は滝から流れ落ちた水がたくさん流れていましたが、水をはじくBRAHMANブーツがあれば平気なんですね。さすが!......と思っていたら......あっ!!

 

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ああ~~~!ココに水が入っちゃったよ~~!!調子こいて深いとこに足突っ込んだから、染みるところに水入っちゃったよもぉ~~~~!!

 

そんなこんなで川のせせらぎに包まれながらのウォーキングもそろそろ終了の時間。16:02に粟又の滝→養老渓谷駅の最終バスがやってくるので、その時間までには帰らなきゃ。さすがにもう一度来た道を歩くという選択肢は僕にはありません。このバスを逃すと、そこら辺の旅館に空き部屋があるかアタックするか、大枚はたいてタクシー呼ぶかしか手立てがなくなります。最近PS4を買ったのでデカい出費は避けたいのです。

 

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なお粟又の滝からバス停までの間にやたら急角度の階段と坂道が待ち構えており、最後にトドメと言わんばかりにヒューマンポイントを持っていかれたことを報告しておきます。

 

当初の想定と大きく外れたハイキングに心が折れかけるも、こうしてネイチャーポイント獲得の目的を達成した僕。帰りの時刻表もチェック済みのため、少し手前でバスを降り、道中に神社でお参りするなどして時間を調整してから養老渓谷駅に到着しました.......が。

 

電車が来ない。

おかしいな。17:21に五井行きの電車が来るはずなのですが。女性の駅員さんに窓越しでその点を確認してみると......

 

「ああ、すいません。今減便していまして、次に来るのが19:11なんですよ。」

 

 

 

 

 

........................

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後時間は、行きの時に見かけた真っ赤な橋を渡って神社に赴いたり、別の遊歩道を少しだけ歩いてみたりして時間を潰しました。

 

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いや...まあ綺麗だったんですけどね...。

ネイチャーポイントの供給がヒューマンポイントの消費に追い付いていない気がしましたが、気が付いてないフリをしました。

 

みんな!田舎の電車に乗るときは時刻表はちゃんと確認した方がいいぜマジで!

 

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粟又の滝までの道のり自体はそこまで驚くほどではないのですが、それでもこの日の合計移動距離はスマートフォン曰く21.3km。よく頑張った俺の足!!

 

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そしてとうとう帰りの電車がやってくる...。薄暗くなった小さな駅に、古臭い車体の人気のない電車が来るのは、非常に風情が合って素敵...。

 

日帰りの養老渓谷の旅、ふたを開ければほぼハイキングになってしまいましたが、まあ自粛生活で怠けた体に渇を入れる意味でも、コンクリートジャングルに疲れ切った心を癒す意味でも、貴重な体験になったのではないでしょうか。実際滝を目の前にしたときの清々しさは素晴らしいの一言でしたよ。

 

ただやっぱりこういった旅には事前の計画は不可欠ですね。今回はただ単に「養老渓谷ってとこにこんな滝があるんだ!行ってみよっ!」ってなノリで事前準備は虫よけスプレーのみという体たらくでしたから、今後は目的地への移動やら時間やら電車の到着時刻やらを念入りに調べたうえで出かけるようにします。まあ行き当たりばったりの旅もそれはそれで楽しいんですけどね。

 

ちなみにひそかに楽しみにしていた帰りの電車からの夜の景色は、明かりの極端に少ない田舎のためほぼ真っ暗闇であり、景色もへったくれもない状態だったのを付記しておきます。

Hawaiian6 『SOULS』 (2002)

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ここ最近メロスピクサメタル系の音源感想が続いたので、今回は同じクサ系統音楽でも異ジャンルであるパンクについて。

 

出している音そのものは典型的なパンク・メロコアながら、そのメロディーにおいてクサメタラーからの支持を得ることに成功したHawaiian6。何年も前にどっかのクサメタルバンド(たぶんMinstrelixだったと思う)のホームページで、メンバーの一人がフェイバリットアーティストに彼らの名前を挙げていたのを見た記憶があります。

 

そんな彼らがインディーズパンクレーベルの名門であるPIZZA OF DEATHに所属して初めてリリースされた1stフルアルバム。

 

タイトさとは無縁な勢い重視の疾走感、技巧的なことはほぼしないかなりラフな演奏、ヴォーカルのあまりにもグッチャグチャな英語の発音など、音自体は典型的な昔のパンクそのもの。この時点で整合性を求めるリスナーの耳にはだいぶしんどいと思われます。

 

しかし彼らは十把一絡げなHi-STANDARDフォロワーとは訳が違う。昭和歌謡にも通じる激泣きの哀愁をメロディーに盛り込んでおり、クサメタルならぬクサパンク・クサメロコアの様相を呈しています。メロスピのような欧州メタルのクサさではなく、日本的な歌謡メロで統一されているのは国民性故か。

 

M1「LIGHT AND SHADOW」は激泣き哀愁ドラマチックパンクの幕開けを飾るに相応しい名曲で、そのインパクト抜群のイントロのギターフレーズ、TORUさんによる絶唱コーラス、ラストの大サビの”new world!? new world!? new wo~~~rld!?"の畳みかけまで、強烈な哀愁にまみれたキラーチューンです。

 

M2「AN APPLE OF DISCHORD」はより繊細で儚げな悲しさを表現し、激しさだけではないことをアピール、M3「THE BLACK CROWS LULLABY」はさらに昭和歌謡の香り漂うサビがたまらん。日本のメロコアバンドは海外のバンドより哀愁よりのメロディーが多いイメージがあるのですが、その中でも彼らの紡ぐ旋律の切なさはやはり群を抜いている。

 

シャンソンの名曲「枯葉」をあろうことかメロコアカバーしたM10「AUTUMN LEAVES」なんてのもありますが、これも飛び道具になるようなことはなく、彼らのオリジナル曲だと言われても違和感がないほどにマッチしています。アイデンティティである哀愁と通じるものがあるのでしょう。個人的にはどうしても「先週上野へ」の空耳のイメージが強いのですが(笑)

 

ただ半数以上の曲でドラマチックな泣きが展開されるのですが、やや明るめの比較的シンプルなメロコアナンバーも多数あり、そういった楽曲のメロディーはあまり面白くないのがネックと言えば言えるかな...。後に出す名盤『BEGINNINGS』『BONDS』では明るい曲の中にも、どこか憂いを忍ばせた叙情性があるのですが、本作でそれを感じさせるのはM4「ETERNAL WISH, TWINKLE STAR」とM11「PROMISE」くらいかな。この辺はまだ一介のハイスタフォロワーだった残り香が強い感じ。

 

荒すぎる演奏とヴォーカルが聴ける哀愁メロディー派の人は是非とも耳を傾けるべきサウンドメロコアを「知能指数低めの明るいポップパンク」としか認識していない人こそ聴くべきかも?新たな発見に繋がる可能性ありますよ。

 

 

個人的に本作は

"超荒い勢い任せなサウンドに超悲しい哀愁歌謡メロを混ぜ、泣きの国産メロコアに先達をつけた歴史的作品"

という感じです。

 


Hawaiian6-AN APPLE OF DISCHORD(OFFICIAL VIDEO)

 


HAWAIIAN6 / Light And Shadow (BONDS FINAL)

Children Of Bodom 『Something Wild』 (1998)

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  • メロデスに革命を起こした記念作
  • 1stにしてネオクラシカル要素は最高峰
  • 音作りやヴォーカルの面ではまだ未熟な面が見られる

 

STRATOVARIUSSONATA ARCTICAフィンランド勢が続き、今回もまたフィンランド出身のバンドのアルバムを。

 

昨年メンバー間の関係性にヒビが入り、長きに渡って活動してきたメンバーが脱退、事実上の解散を余儀なくされてしまったChildren Of Bodom。そんな彼らが1998年(本国リリースは1997年)、彗星のごとく現れ、エクストリームメタル界に革命を起こした1stアルバム。

 

彼らが出てくる前のメロディックデスメタルといえば、IN FLAMESに代表されるような、泣きに泣いたリードギターがメロディーを主導していくスタイルが主だったようですが、彼らはそれとは一線を画するスタイルを1stにて提示。

 

ネオクラシカルな様式美のエッセンスを隠そうともしないキーボードが全面に押し出され、ギターと共にド派手に舞う。オーケストラルヒットがバンバン飛び出し、単にメロディアスという域を超越した演奏が展開される。

 

僕は世代的に完全に後追いで聴いたのですが、当時リアルタイムで本作に触れた人は、従来のメロディックデスメタルとは似ても似つかぬサウンドにさぞかし衝撃を受けたんじゃないでしょうか。後にNORTHERやKalmah、DESTROY DESTROY DESTROYに初期BLOOD STAIN CHILDなど、数々のフォロワーを生んだスタイルを彼らは最初のアルバム一枚にて打ち立ててしまったのです(日本ではこのチルボド風メタルを「キラデス」と称しているようですが、「クサメタル」と違ってあまり普及している感じではなさそう)

 

後のアルバムに比べるとまだ楽曲のクオリティーはB級っぽさがある感じで、世紀の名盤『Hate Crew Deathroll』で聴けるようなメジャー感は無い。アレキシ・ライホデスヴォイスがかなり弱めな喚き立てるタイプなのもあり、良くも悪くもアンダーグラウンド臭が色濃いです。

 

しかしヤンネ・ウィルマンによるクッサクサなキラキラキーボードが舞い踊り、超絶テクのギターソロとバトルを繰り広げる様は壮絶で、B級色を補って余りある。M5「Lake Bodom」、M6「The Nail」は本作の路線を象徴するネオクラシカルメロディックデスメタルの名曲。様式美の香り満載のフレーズをギターがこれでもかと弾き倒し、そこに絡み合うようにキーボードが煌めく音色で美しくも不気味に装飾していく。

 

オープニングトラックのM1「Deadnight Warrior」は、オーケストラルヒットの迫力に、不気味さと美しさを兼ね備えたアレンジ、疾走パートのえげつないまでのカッコよさが詰まりに詰まったベストチューン。

 

曲のラストがやや唐突な感じで楽曲構成に未熟な部分があったり、音質も軽めだったりと、前述のB級っぽい部分も含めて完璧なアルバムとは言い難いのですが、ネオクラシカル要素は彼らのアルバムの中でも最高峰と言えるだけに、本作をベストに挙げるクサメタラーもいるかもしれません。

 

個人的にはメロディアスであればネオクラ要素にこだわっているわけではないので、演奏や楽曲の造りが底上げされた2nd〜5thの方が好きですが、全編に過剰なまでの派手なサウンドとクサさを入れ込んだ本作のインパクトは、他のアルバムにはないものだと思います。

 

 

個人的に本作は

"ダイナミックな演奏と様式美のクサさを強引に混ぜ込み、B級ながらも高次元のクサさを秘めたメロデス界の記念碑"

という感じです。

 


Children Of Bodom - Deadnight Warrior (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

ヤンネのファッションだけ激しく浮いてるのは何故なのだろう

SONATA ARCTICA 『Ecliptica』 (2000)

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  • 北欧メロスピの理想郷
  • 若さ青さに任せた疾走感と悲哀のメロディーの融合
  • メロスピというジャンルに求められる音はコレ

 

前回はSTRATOVARIUSの名盤について書いたので、彼らの後継者ともいえる存在であったSONATA ARCTICAについても触れなきゃ!と思った次第です。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

フィンランド出身のメロディックスピードメタルバンド(今は違うけど)SONATA ARCTICAの鮮烈なデビューアルバム。本作もまた、メロスピ名盤の話になれば必ず名前が挙がる作品。

 

ROYAL HUNTアンドレ・アンダーセンが「僕らとSTRATOVARIUSをミックスさせた音だ」と語った通り、彼らの作り出す音は基本線にSTRATOVARIUSがあって、そこに様式美臭漂うキーボードの装飾をまとわせたもの。とはいえSTRATOVARIUSにもイェンス・ヨハンソンによるキーボードの音があるわけですから、まあSTRAOVARIUSフォロワーと言い切ってしまって良いでしょう。

 

本作が日本のメロスパーに支持されたのは、何といっても哀愁激情のヴォーカルメロディーとガムシャラな疾走感。この二つがとにかく強烈。哀しみの叙情性が溢れんばかりに注入されたメロディーが、若さゆえの勢いあるサウンドに乗ってリスナーにダイレクトにぶつかってくるのです。

 

ヴォーカルはいっぱいいっぱいになりながらハイトーンを振り絞り、ギターとキーボードが速弾きでサウンドに勢いをつけ、ドラムはひたすら一直線に突っ走る。熟練の老舗バンドや、オッサンならではの渋みを武器にするバンドには恐らくマネできないであろう衝動がたっぷり。

 

ぶっちゃけ楽器陣は特に難しいことをやっている訳ではなく、何か耳を引くテクニカルなアレンジやらは無い。疾走曲かアップテンポかバラードか。サウンド自体は本当にシンプルなメロディックメタルのそれです。

 

小難しいことはせずに、哀愁の美メロと疾走感、このメロスピというジャンルに求められる二大要素のみを研ぎ澄まし、突き抜けた領域にまで持っていったことが、本作が名盤としての評価を不動なものにしたのでしょう。本作に収められた音は小細工が無く潔い。

 

先輩であるSTRATOVARIUSがバラエティ豊かな楽曲を豊富に取り揃え、プログレッシヴな雰囲気も持ち合わせているのに対し、本作の音はひたすら一直線にメロディックスピードメタルを貫いている。この愚直な勢いが尋常ならざるパワーと説得力をもたらしている感があります。

 

青く澄み渡る極上のメロディーがブッ放されるM1「Blank File」、透き通るキーボードが北欧の寒々しさを演出しつつ、ヴォーカルも哀愁まみれなM2「My Land」、キラキラしたシンセと小刻みなリフの爆走からインパクト絶大のM3「8th Commandment」と、オープニングからメロディーの怒涛の潮流は止まない。

 

疾走曲だけでなくM4「Replica」やM6「Fullmoon」のようなバラードやミドル曲においても、メロディーの充実度は衰えることがない。それどころか切ない美旋律はこういった曲にこそ発揮されていると言えるほど。ヴォーカルのフックが強烈なので、当然ながら「テンポを落とした曲は捨て曲」なんて事態にはなりえません。

 

ボートラを除いたラストのM10「Destruction Preventer」は7分以上の大作ですが、この曲のサビの疾走感こそ本作一なのではと思うほどで、退屈さを感じることはありません。ラストの超ハイトーン(ライヴじゃ絶対ムリだろ/笑)から解き放たれたかのように爆走するサビの高揚感はハンパじゃない!バックで流れる透明感バツグンのキーボードがまた、サウンドにマッチしてメチャクチャ綺麗なんですよ。

 

ロディアス&スピーディーという単純な造り。そんな「単純さの強さ」を見事に体現したメロスピ界屈指の超強烈盤。北欧メロスピを知りたけりゃまずはコレでしょう。

 

 

個人的に本作は

"哀愁叙情美旋律の爆走に特化した、シンプルながらもメロディックスピードメタルというスタイルの頂点に達した作品"

という感じです。

 


Blank File

 


Destruction Preventer

STRATOVARIUS 『Visions』 (1997)

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  • 澄んだメロディーとアレンジが疾駆するメロスピ代表盤
  • スピード一辺倒にならないバラエティの豊かさも美味しい
  • 楽曲の充実度の高さは界隈トップレベ

 

日本のメロディックメタル愛好家であればもはや語るまでもない存在であるSTRATOVARIUS。このブログでは今まで全然扱ってこなかったので、ここで代表作とされる本作の感想を書いてみます。

 

彼らの音楽性はHELLOWEENが生み出したメロディックスピードメタルという音楽形式に、北欧出身ならではの冷気が浮き彫りになったメロディー、様式美な香りのするキーボードとプログレッシヴな要素を塗したもの。あまりヘヴィな音には慣れていない人でも非常に聴きやすい、ヘヴィメタルバンドとしてはトップクラスに聴き手を選ばない音だと思います。

 

個人的に彼らのようなキラキラ北欧メロスピって、ギターリフの馬力がやや足りなく感じることもあり、必ずしも大好きな音というわけではなかったりします。

 

しかし美しいメロディーがまとまりのある演奏で疾走するパワーメタル、というスタイルは当然嫌いになれるはずもなく(笑)、過去作をちょいちょい聴いたりするんですが、やっぱりこのバンドにはジャンルの代表格として相応しいクオリティーがあると感じるんです。

 

初期はかなり野暮ったさ、ダサさがあったものの、本作にはそういった要素は皆無。完全にメロディックスピードメタルの代表格としてのオーラを身に着けたと言っていいでしょう。

 

数々のバンドで叩いてきたため渡り鳥と揶揄される(?)ドラマーのヨルグ・マイケル、ネオクラシカルキーボーディストのイェンス・ヨハンソンという、実力派のメンバーを入れたことも功を奏したのでしょうか。本作にはA級メロスピとしての風格があります。

 

実際僕が本作で一番耳を引かれるのがこの二人のプレイで、ネオクラシンセでバリバリ速弾きを披露するイェンスのプレイは壮絶の一語ですし、パワフルな疾走感に満ちたヨルグのドラムは、スパァーン!と抜けが良くも軽さを感じさせない理想的な音で迫りくる。

 

ティモ・コティペルトによる澄み渡るハイトーンヴォーカルも音によくマッチしていて、良く練られたメロディーがしっかりと染みます。高音域になると危なっかしいと言われがちらしく、実際僕もそう思わないではありませんが特にネックに感じることはないな。

 

印象的なキーボードのインストから青く冴えわたる疾走感を見せる哀愁スピードナンバーM1「Black Diamond」は"THE・STRATOVARIUS"な一曲。ホントはM2「The Kiss Of Judas」と曲順が逆らしいですが、この曲がオープニングであることは正解だと思う。

 

M5「Legions」のような疾走曲はもちろん、リズミカルなリフ重視のキャッチーな歌モノナンバーM8「Paradise」、儚く繊細な叙情性を完璧に表現したバラードM9「Coming Home」、10分を超える大作ながら、途中で飽きさせることのない構成の妙技が味わえるM10「Visions」など、バラエティを持たせつつ多くの楽曲に美しい旋律が活きています。

 

最も好きな楽曲はM3「Forever Free」で、前のめりな勢いに溢れるヨルグのドラムに引っ張られながら、攻撃的なリフとキャッチーなリードを弾き倒すギター、合唱必至のサビが炸裂するメロスピの王道名曲!

 

こういった充実の楽曲群を量産できていたティモ・トルキってやっぱりすごいクリエイターだったんだな...と思わずにはいられませんね。人間的にはかなりアレらしいですが(笑)全盛期の作曲能力は疑う余地のないもの。

 

何でも僕があまり好きではない某雑誌とレビュー文に関して色々と揉めた曰く付きのアルバムらしいですが、後から聴いた僕には一切関係なく、優れたメロディックメタルの宝庫と呼ぶべき作品で楽しめました。

 

 

個人的に本作は

"北欧情緒満載の優れたメロディーセンスと優れた演奏が融合した、メロディックメタルの金看板と言うべき名盤"

という感じです。

 

Dark Moor 『The Hall Of The Olden Dreams』 (2001)

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  • 全クサメタラーのマストアイテム
  • キラキラネオクラ様式美ド真ん中
  • 大仰なクサさだけなら全世界トップクラス

 

前回INSANIAというマニアしか見向きもされないようなクサメタルアルバムについて書いたので、それに続けとばかりに今回もクサメタルをば。

 

以前Derdianの感想でも書きましたが、僕はメロディーがキャッチーであれば、必ずしも音楽にクサさは求めていないリスナーです。日々クサい音を求めてCD屋さんを徘徊する重度のクサメタラーではありません(笑)

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

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とはいえ、とはいえです。「クサメタルは好きか嫌いか?」と聞かれれば、やっぱり「好き」と言わざるを得ないわけで(笑) 哀愁に満ちたダサさと紙一重(ダサさとイコールと言うべきか)の美旋律!日本人のメタルヘッズとしては有名所はチェックしないわけにはいきません。

 

今回のアルバムはそんなクサメタル界を代表する名盤。スペイン出身のシンフォニックメタルバンド・Dark Moorの、クサメタラーの間で伝説とされている2ndフルアルバム。クサメタルの話題になれば必ずと言っていいほど名前があがる、世界屈指の異臭を放つアルバムです。

 

Dark Moorは今でこそ脱ヘヴィメタルして、かなりソフトな路線に進んでしまったようですが(最近の音源聴いてないの)、この頃はまさに様式美メロスピ/シンフォニックメタルド真ん中と言うべき音。ネオクラシカルなギターワークにキラキラした様式美シンセを纏わせ、クサメロにまみれたヴォーカルとクワイアと共に突進する。

 

もうとにかくメロディーのすべてがクサい。クサすぎる。国産バンドのような歌謡的クサさ、ジャーマンメロスピ勢のポジティヴ飛翔系ではなく(それはそれで好き)、仄暗い荘厳なネオクラ様式美の旋律。これがシンフォアレンジをまぶしたメロスピサウンドで止まること無く溢れ続ける様は圧巻の一言。

 

イントロから続くM2「Somewhere In Dreams」はミドルテンポの曲で、この手のアルバムのトップバッターは疾走曲でくるのがお作法のはずですが、そんなことがどうでもよくなるほど歌メロに臭いが染み付いている。エリサ・C・マルティンの女性ながら勇壮な雰囲気を持ったヴォーカルが実に映える。決して上手いとは言えませんが、音楽のスタイルにはビシッとハマっている気がします。

 

そしてそのクサさにやられたリスナーをいきなり仕留めにかかるのがM3「Maid Of Orleans」!イントロの壮麗なシンフォサウンドによる極上のメロディーから素晴らしく、サビでそのメロをなぞりながら疾走するのだからたまらん!

 

キラキラシンセとピロピロギターで爆走するインストパートが恐ろしいほど緊迫感に満ちたM5「Silver Lake」もブッ飛んだキラーチューンですね。クワイアが上品に、かつ劇的に盛り上げるサビも文句無しだ!個人的にはM3と双璧をなすベストチューンです。

 

本作の中ではポジティヴ寄りな歌メロが目立つも、クワイアとシンフォニックなシンセにより神聖なるクサさはバッチリ担保された疾走曲M9「Quest For The Eternal Fame」、ネオクラシンセとオーケストラルヒットの絡みがインパクト抜群のM10「Hand In Hand」など、終盤にいたるまでマジでクサくない瞬間がないほどのクサメロの雨アラレ。ここまで徹底されてしまえばもう何も言えませんわい。

 

ただ全楽曲に特濃メロディーが詰め込まれているクドさがあり、さらに最後の最後で10分以上の大作がくる構成は、個人的にはやや濃厚すぎて聴き疲れてしまうかも。純然たるクサメタラーであれば「クサメロ大豊作だ!」と大喜びするかもしれませんが。

 

多くのクサメロ大好きメタラーがこのアルバムを聴いて、あまりの臭いに窒息死したという噂をネット上で目にしましたが、それも頷けるまさにクサメタル界の金字塔。優美でクラシカルなクサさを求める人は必ず通る門ですね。

 

 

個人的に本作は

"嗅覚を破壊せしめんとする異臭レベルを誇る、ネオクラシカル・様式美・シンフォニッククサメタルの決定盤"

という感じです。