ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

AS I LAY DYING 『An Ocean Between Us』

  • クリーンヴォーカル、正統派メタルの要素を大幅増強
  • 狂乱の疾走感とメタルコアらしいアグレッションも完備
  • ヘヴィな中に光る悲哀の叙情性が魅力

 

もういっちょ00年代のメタルコアの名盤について書きます。今自分の中でプチメタルコアブームが来てるのですよ。

 

押しも押されもせぬメタルコアの帝王として君臨する、AS I LAY DYINGが2007年に発表したフルレンス。Billboard 200にて8位というスマッシュヒットを記録した名盤です。本作から長年ベースとクリーンヴォーカルを担当していたジョシュ・ギルバートが参加しています(大変残念ながら現在は脱退...)

 

プロデューサーにKILLSWITCH ENGAGEのアダム・デュトキエヴィッチ、サウンドのミックスにSlipknotやMACHINE HEADを担当するコリン・リチャードソンを起用したという本作、ヘヴィなメタルコアとしての方向性はそのままに、かなり普遍的なヘヴィメタルとしての魅力を備えているところがまず美点。

 

それを端的に伝えてくれる名曲が、イントロから続くM2「Nothing Left」。メタルコアとしての凶悪な咆哮こそあれど、ハードコアモッシュ誘発のリズム落ちパート以上に、正統派メタルとしてのリフワークが支配的なミドル曲です。この曲で幕を開けることで、メタルコアの"コア"よりも、"メタル"としてのカラーが強く表出しているように感じます。

 

さらにジョシュによるクリーンヴォーカルの割合がかなり大きいのも特徴ですね。明確にメロディックなサビを持つ楽曲が増えています。

 

クリーンを増やしたことにより、エクストリームメタルのファンからは不評を買いそうなものですが、クリーンによるメロディアスさも決してポップなものではありません。むしろメタルに必要なメランコリックな質感を強く湛えており、デスヴォイスのみでは表現できない悲哀の感情表現に成功しているように思います。

 

タイトルトラックのM3「An Ocean Between Us」やM5「Forsaken」、M9「The Sound Of Truth」なんかはその方向性をわかりやすく示している楽曲。メタルコアらしいヘヴィさとシャウトで狂乱しつつ、メタルらしいリフとメロディアスさにも酔いしれることができる。M9の極めて叙情的なギターがまた良いんだな...

 

しかし必ずしも全曲メロディー志向になったかと言われればそうではなく、M4「Within Destruction」や、M8「Bury Us All」といった楽曲は、「さあサークルピットを生み出せ!」と言わんばかりの激速デスラッシュナンバーでかなり熱い!タカが外れたように疾駆するザクザクのリフに、怒号のごときティム・ランペシスのヴォーカルは、聴き手のテンションを限界まで底上げしてくれる。

 

叩きつけるかのような破壊力を提供するドラムの連打に圧倒されるM6「Comfort Betrays」に、いきなり狂ったかのようなヴォーカルワークで畳み掛け、そのアグレッションが決して休まることのないM11「Wrath Upon Ourselves」の狂気度の高さは、どれだけメロディックになろうとも、メタルコアとしてヤワな存在にならない証明としてふさわしいです。

 

伝統的ヘヴィメタルとしての要素、メロウなクリーンヴォーカルを息づかせながら、メタルコアとしての凶暴性を決して落とさない、楽曲制作のバランス感覚にただただ驚かされるばかりの力作。

 

このバンドの「哀愁のセンスが光るメロディーを武器にしつつ、かつメタルコアらしいアグレッションを同居させる」というスタンスは、最新作にして最高傑作である『Shaped By Fire』でも踏襲されており、10年以上(途中活動休止してましたけど)その優れた作曲センスを保つこのバンドの実力はただごとではないなと。やはりシーンのトップになるべくしてなったんだな。

 

 

個人的に本作は

"正統的なメロディックメタル要素を増量し、メタルコアとしてのアグレッションも落とさず両立させた名盤。コアなサウンドの中に光る悲哀の感情表現が素晴らしい"

という感じです。

 


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ALL THAT REMAINS 『The Fall Of Ideals』

  • イ゙ィヤ゙ァァァァーーーーッ!!!
  • 歌唱力・表現力抜群のヴォーカルが引っ張る
  • ギター、ヴォーカル共に息づく強烈な哀愁が武器

 

先日のUNEARTHに続いて、もういっちょメロディックメタルコアというジャンルを代表する名盤を。

 

こちらもUNEARTH同様マサチューセッツ州出身のメタルコアバンド・ALL THAT REMAINSが2006年に発表した3rdフルアルバム。こういう優れた出来のアルバムが、集中してリリースされていたということで、いかに00年代中頃というのはメタルコアが盛り上がっていたのかが窺い知れますね。

 

内容としては、特に気を衒った要素が少ない、メロディックメタルコアの王道を行くもの。メタルコアというジャンルそのものに大きなインスピレーションを与えた、北欧のメロディックデスメタルの質感を持ったサウンドを踏襲し、そこへハードコア由来のリズム落ちモッシュパート、キレた勢いに満ちたアグレッションをガッツリ加えている。

 

ただリズム落ちによるハードコアモッシュを誘発するようなヘヴィパートもあることはありますが、音質自体はそこまでガッツリ重心を下げているわけではなく、下半身にズシンと響くような重低音は控えめ。どちらかというとメロウさ、切れ味の鋭さ、速いテンポによるアグレッション重視でしょう。

 

メロデス的ギターリフ・ソロによって、メロディックな側面を演出するのももちろんありますが、このアルバムはさらに歌メロの充実度が非常に高い!多くの曲にクリーンヴォイスの歌唱を取り入れていて、そのメロディーが変にポップになりすぎるようなことがなく、強烈な哀愁と美しさを携えたフレーズばかり。エクストリームなサウンドにクリーンはいらないと考えている人だって、このメロディーの豊かさを聴けば黙るはず。

 

そんな素晴らしいセンスが息づくメロディーを歌い上げる、フィリップ・ラボンテによるヴォーカル。これがまた恐ろしくレベルが高い。高音のヒステリックなシャウトから、低音部を効かせた破壊力あるグロウル、そしてサビにあたるクリーンヴォイスは単純に歌唱力そのものが優れているし、どんな歌声もハイクオリティー

 

シャウトは一級品でもクリーンがヘロヘロ...なんて残念なことには一切陥っていない。狂気の中に光刺すような美しいメロディーを、表現力たっぷりの見事なヴォーカルで、エモーショナルに歌い上げる様を存分に味わえます。M2「Not Alone」や、M5「Whispers (I Hear You)」は、このヴォーカルだからこそ、元から美しかったメロディーがより煌めく!

 

そうやってメロディー重視の姿勢を見せつつ、中にはM6「The Weak Willed」のような、下水道的低音グロウルに、デス/ブラックメタルに通じる高速リフとブラストビートを持つ曲、M8「Become The Catalyst」のような、より正統的なデスメタル要素を強めた(メタルコア的リズミカルなリフとクリーンヴォイスもちゃんとある)凶悪成分マシマシの曲も入れ込んでいて隙が無い。

 

超有名映画『SAW3』のテーマにもなった(『SAW』シリーズ、何年も前に1回だけ最初のやつを観たっきりだな...)、アルバムのオープニングを飾るM1「This Calling」は、そんな本作の強みがすべて活きた、看板となるキラーチューン。初っ端の"イ゙ィヤ゙ァァァァーーーーッ!!!"のシャウトは、ALL THAT REMAINSというバンドを(ヴォーカルのフィリップをと言うべきか)象徴する叫びですね。こんな声出してみてぇ。

 

さらにそんな名曲M1を超えんばかりの超名曲こそがM7「Six」です!ド頭で聴ける叙情性満載の高速リフとブラストの応酬、そこへ重なるブチギレヴォーカル、クリーンによるコーラスを効果的に入れつつ、中盤にはこれ以上ないほど美しいクリーンギターによる泣きの旋律が。狂乱から一瞬にして静けさへと至る、この静と動のコントラストが絶大なインパクトを放っています。

 

ほとんどの曲でクリーンを導入するという、エクストリームメタルとしてはともすれば軟弱に映りかねない方法論。それを叙情センスと歌唱力の高さで、完全に「アリ」にしてしまった強力作です。

 

しかし皆さんご存知の通り、本作で作曲にも携わっており、素晴らしいリードギタープレイを聴かせてくれる、オリジナルメンバーのオリー・ハーバートは、2018年に逝去しています。本作のギターワークを聴いて、かえすがえす残念なものだと思いますね...

 

 

個人的に本作は

"キレまくりのヴォーカルが扇動するアグレッション満載のメタルコアリードギターにも歌メロにも、哀愁叙情センスが遺憾無く発揮されている"

という感じです。

 


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UNEARTH 『The Oncoming Storm』

 

ここ最近自分の中でメタルコアが熱くなっています。いや、ずっと前から大好きな音楽なんですけどね。

 

その理由は明白で、つい先日代官山UNITで観たUNEARTHとSable Hillsのライヴ(Graupelは残念ながら観られず...)。どちらも血湧き肉躍る圧巻のメロディックメタルコアで、久しく経験していなかったライヴハウスらしい景色とも相まって、実に良い経験ができたものです。

 

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その感動を引きずって(正確に言えばライヴの前から予習として)彼らの楽曲や、彼らとスタイルの近いメタルコアを色々重点的に聴いていまして。

 

UNEARTHのアルバムで特にメロディックメタルコアとして質の高いものといえば、やっぱり00年代に出した2nd〜4thあたりのアルバムかな、と思っています。

 

ここで取り上げる本作は彼らの2ndフルアルバムで、2004年という、まさにメタルコアというジャンルがとりわけ高い熱量を帯びていた時代にリリースされたもの。

 

KILLSWITCH ENGAGESHADOWS FALLなどのアメリカのバンドたちが、北欧のメロディックデスメタルから強い影響を受けて、叙情的なリフワークやリードギターを取り入れつつ、アメリカのメタルらしいヘヴィでコアな要素も担保。メタルシーンにムーブメントを引き起こしていました。

 

そんな時期にリリースされたアルバムですから、もちろん王道を行くメロディックメタルコアど真ん中なサウンド。それも他のバンド達以上にメロデス的な叙情性が強く活きているのがポイント。

 

ツインギターである強みをフルに活かして、至る所にツインリードのハモリがブチ込まれており、さらにはメロデス直系のリフワークもガッツリと導入されている。ここがメロディックメタル好きの琴線にビシバシ触れてくるのです。

 

それでいてメタル"コア"としての、タフな音作りが蔑ろにされておらず、サウンド全体からたくましさと攻撃性が漲っているのも良い!歯切れの良いヘヴィリフによるブレイクダウン、メタルよりむしろハードコアテイストを漂わせるシャウトヴォーカルで、メタルコアの攻撃的な一面をしっかりと演出してくれます。

 

ロディックメタルコアは、サビになるとややポップ寄りのメロディーをクリーンヴォーカルがなぞる、という手法がよく使われる印象ですが、本作はクリーンの出現率が控えめで、あくまでメロディーの主軸はメロデス的なギターによるもの。僕は「サビでクリーン」なメタルも好きではありますが、ここまでタフな音作りで攻めてるのに、急にポップになっちゃうと興醒めしちゃうと思うので、この辺の匙加減も彼らは実に心得ていると言えましょう。

 

捨て曲はもちろん存在せず、全ての曲において強靭かつ叙情的リフの猛攻、破壊的ブレイクダウン、強烈な哀愁を漂わせる劇的リードギターが味わえる。M1「The Great Dividers」の突進力から早速容赦無しですし、M4「Black Hearts Now Reign」の疾走パートのリフなんかモロにメロディックデスメタル的で熱い!後半の小刻みなリフはヘドバンを誘発してくれます。

 

M5「Zombie Autopilot」は、彼らのメロウサイドの本質が剥き出しになったツインリードが炸裂。コアな音楽ファンのみならず、「あまりにヘヴィすぎるメタルはちょっとな...」という人ですら黙らせる叙情性に満ちた名曲です。本作でどれか1曲挙げるとしたらやっぱこれかな。

 

アルバム後半になっても勢いはとどまることを知らず、グッとリズムが落ちるヘヴィパートから、メロデスリフで爆走するM7「Lie To Purify」に、静かなインストを挟んでから、緊迫感あふれるヘヴィリフと咆哮で、とびきり重厚感ある出だしとなり(ハードコアモッシュが大量発生しそう)、そこからはお得意のツインリードも挿入、中盤から急にブレーキが壊れたかのように疾走もするM10「Predetermined Sky」など、高い殺傷能力を備えた楽曲ばかり。

 

メタルコアの王道を突っ走りつつ、何度も言うように他のメタルコアバンドと比べて圧倒的にメロデス由来のギターを増強させているのが最大の魅力。典型的ブレイクダウンももちろんありますが、それ以上に本作を特徴づけているのは紛れもなく「ギターの叙情性」に尽きます。

 

ポストハードコア的モダンさが強かったり、デスコアの領域に足を踏み入れていたり、電子音過多のエレクトロニコアのようなスタイルだったりと、一口にメタルコアと言っても色々ありますが、やはり僕の中でのメタルコアといえば、本作のような北欧メロデスの血流があるサウンドになっちゃいますね。

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィでタフなメタルコアの王道を貫く。大胆に導入された北欧メロデス直系のリードギターが最大の魅力"

という感じです。

 


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1/21 OAU / New Acoustic New Year at Billboard Live TOKYO

去年に引き続き、今年もOAUの新年1発目のライヴに行ってきました。人生3度目のビルボード

 

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先日行ってきたUNEARTHの熾烈極まるライヴから一転して、素敵な料理を嗜みながらのアコースティックサウンドに聴き浸る日。とはいえOAUのライヴを経験している人ならわかると思いますが、彼らのライヴは癒されるだけでなくて、心が弾むような高揚感も得られるんですけどね。

 

Billboard Live TOKYOのある六本木は東京ミッドタウンへ。相変わらずお高そうなお店ばかりが立ち並ぶ異空間で、僕のような人間がいたら異分子として妙な視線をもらわないか不安になってしまう。

 

まあ3回目となれば多少は慣れるというもの。そそくさと高級店の間をすり抜け、会場入り口へと直行。今日はステージほほぼ正面で一望できるカウンター席です。

 

こんなところにはなかなか来る機会がないから、なるべく普段食えそうにないものを頼もう!と意気込んではいたのですが、いざメニューを見てみたら4000円は普通にするメインディッシュのグレードにたじろぐ。

 

そうしているうちにオーダーを取りに来たスタッフの方が僕のすぐ後ろでスタンバッてきたので、「と、とりあえずなんか食いたいもん頼もう!」と、ジントニックとスパイシーチキン&フライドポテトという居酒屋で頼めそうなメニューに落ち着いてしまいました。いや、これらも1000円以上する立派なものなんですけどね。

 

ライヴが始まるまでは1時間弱もあるので、その間バスケットLIVEで千葉ジェッツの試合を確認したり、ステージの準備が進んでいく様子を上から見たりしつつ(こんな上品な空間なのに、スタッフの背中にGAUZEのマークが大きくプリントされていることに気づいて思わずニヤリ)やってきたジントニックとチキン、ポテトをこれまた居酒屋でパクつくかのようなペースでつまんでいました。やっぱお高いだけあってうめえや。

 

え?なんでこんな暗い写真なのかって?

ライトが故障してたからですよ

 

スタッフの人たちも「手元が見えづらくなってしまい申し訳ございません...」と、とっても恐縮しきっていました。

 

そうして食べ終わる前に開演時間となり、すぐ左隣の通路からメンバーがゾロゾロとステージへと登壇していく。

 

いつもの位置に6人が到着し、まず初めに演奏されたのが「Apple Pie Rag」。6人それぞれの演奏の妙が遺憾無く発揮されるインストで、RONZIさんとKAKUEIさんのリズムセッションが聴きどころ。

 

続く「Thank You」は、KOHKIさんのスライドギターによる、どこかハワイアンミュージック的なのどかな音色に癒される。チキンとポテトが思った以上にボリューミーだったので結構お腹が膨れており、ここでリラックスしていると眠くなってしまうかも...

 

しかしその後のテンポアップしたパートでしっかり覚醒。僕より前方のカウンター席に座っている人や、最前付近にいる人たちからはしきりに腕が上がっていて、会場の熱量(といってもレストランなのでライヴハウス的な熱狂ではなく、もっと優雅なものでしたが)が上がっていくのを感じました。

 

「やっぱりビルボードはいいですね。みんな普段はストロングとか飲んで節約しながら、1年に1度ここに来てくれるから」と客いじりをしつつ、「FOLLOW THE DREAM」でのツインギターの美麗なから絡み、「夢の跡」での幻想的な照明効果に、思わず息を飲み、拍手するのも忘れて見入っていました。この没入感はラウドな音には出せないもの。

 

飯はうめえわ、音は良いわ、曲は最高だわで、忙しい日常の疲れを忘れさせてくれるな〜...。席代の飯代で実は結構な出費がかさんでいるのですが、それすらどうでもよくなってくる。New Acoustic New Yearは願わくば年一の恒例行事になってほしい。

 

年一の恒例といえば、去年・一昨年と春に野音で行われたOAUの野外ライヴですが、今年は大阪のみの開催で、野音は無しとなっていました。MCによると「毎年やりたいと言ってた矢先に、今年は野音が獲れなかった」とのこと。

 

なんでも野音100周年記念事業なるものが動いているらしく、TOSHI-LOWさん曰く「今年は偉い人しか舞台に上がれないらしい」ですって。「それOAUじゃダメなん?」という疑問は、(ジョーダン交じりではあるが)MARTINさんが代弁してくれてました。春の陽気に包まれながらのOAUのライヴは最高なだけに、今年は実に残念ではありますが、ここは割り切って今の空間をしっかりと味わうことにしましょう。

 

ライヴが後半に差し掛かってくるときに、スタッフの一人がTOSHI-LOWさんに近づき、何やらゴソゴソと作業をしている。何かと思えば、どうやらライヴが始まった頃からイヤモニの機能が止まっていたらしく、ただ耳栓をしているだけの状態になっていたらしい。要は他メンバーの楽器の音色、コーラスなどをすべて耳栓をした上での生音でしか認識できない状態で歌っていたのです。

 

今日のライヴは終始普通に進行していて、特に歌や演奏に違和感などはなかっただけに、よく今までそんな状態で進められたな...と思いつつ、ようやく完全体となったOAUで演奏されるは「Again」。アップテンポで盛り上がりやすいサビのフレーズもある、ライヴでお決まりのナンバー。この曲は体を揺らさざるを得ないな。

 

もはやクライマックスとしておなじみとなった「Making Time」にて、バックのカーテンがゆっくりと開いて、眼下には賑わうスケートリンクが。まだ完全に暗くなっていない空模様に、明かりがつき始めた摩天楼を見ながらのひとときはビルボードならではです。

 

アンコール含めてあっという間に終わってしまいましたが、気がつくと1時間以上は経っていて、楽曲も10曲以上やってくれてたんですよね。心地よい時間は早く過ぎ去ってしまうのは人間の感覚における重篤なバグだ。ラストの「帰り道」を聴いている段階で、「まだ帰路にはつきたくねえよ...」寂しい気持ちでいっぱいでしたから。

 

先日のUNEARTHの来日では、いかにもライヴハウスらしい治安の悪さと爆音にまみれた痛快な一日でしたが、それと対極に位置する今回のライヴも素晴らしいものでした。またビルボードに来れるとしたら来年かな。

1/17 UNEARTH / JAPAN TOUR 2023 at 代官山UNIT

KU・SO・GA!!!!!!

 

Fuck!フザけんな!どれだけこの日を待ってたと思ってんじゃい!!クソ仕事が!!!

 

 

 

 

 

......すみません。少し落ち着きます。

 

マサチューセッツ州出身、メタルコアシーンの代表格の一つとして活躍する、UNEARTHの来日公演に行ってきました。途中から

 

というのもですね、本来であればこの日は有給を取ってたんですよ。UNEARTH8年ぶりの来日というだけで熱いのに、そこへジャパニーズメタルコア期待の星である、GraupelとSable Hillsが加わるという激アツメンツ。盆と正月に、さらにGWが来たかのようなもんですよ。

 

しかしですよ、直前になって職場の状況がなんたら、日程がどうたらお話があって、あろうことか有給が消滅。出社の必要が発生。この時点でもう開演の18:30には間に合わないことが決定。

 

さらにさらに、当日の仕事は作業量が多く(だからこそ出社の必要性が出た)、定時ダッシュするつもりだったのが、その予定すら大幅に狂い1時間ほどの残業も発生。Fuck!

 

なんでクソつまらん仕事なんかに時間を割かれて、人生の大きな楽しみであるライヴの時間が削減されなきゃならんのだ!ねえ、なんでお休み予定だった日に俺は時間外労働してるの?誰かおせーて。

 

しかしアレですね。間に合うか間に合わないかの瀬戸際な状況に追い込まれると、「ライヴ観たいよ〜〜〜〜!ひぃ〜〜〜〜〜〜〜ん(;ω;)」と言いたくなるものですが、絶対に間に合わないということがわかると、「もう急いでもしょうがないや」という精神状態になって、むしろ落ち着いて移動できますね。あれ、落ち着いてるはずなのになぜだか涙が止まらねえや。

 

スーツをサッと着替えて(そんなの着てメタルコアのライヴなんか観てられるか)、19:30ごろに代官山に到着。相変わらずメタルとは一切縁の無さそうなオシャレなお店が眩しいぜ。

 

フロアに入ると、日本のゲストアクト二組目であるSable Hillsがプレイ中。ワンドリンクのレッドブルを飲みながら後方で観ていました。

 

 

Sable Hills

どうやらまだ前半だったようで、結構長いことライヴを観ることができました。とはいえソールドしたUNITの後方なので、ステージ全域が見えることはありませんが。

 

CROSSFAITHのサポートギタリストながら、そのCROSSFAITHが突如活動休止をしたために、現在はSable Hillsのサポートを務めている元HER NAME IN BLOODのDAIKIさんの姿が見える。やっぱりこの人の毒気あるステージングはカッコいいです。

 

バンドの中心であるTakuyaさんとRictさん兄弟は、このUNEARTHというバンドからは相当に強い影響を受けているようで(音を聴けばそれも納得)、MCではしきりにUNEARTH愛を述べる。「UNEARTHは俺たちにとっちゃ、歴史の教科書に載っているような存在」「8年前の来日では、ファンとして普通にモッシュしてた」と彼らへの想いを言葉にしていました。

 

そんな憧れの存在であるバンドと、時を経て共演することができ、さらにライヴ後の打ち上げで酒を飲み交わすような間柄になれるとは、なかなかこれはバンドマンドリームな話ですよね。

 

しかし「俺たちは単に、UNEARTHの前座で終わる気はねえんだよ!」とアクセルを踏むと、彼らお得意のメロディックリードギターを武器とした、正統的メタルコアが次々炸裂。音響のバランスもいいし、ベーシストであるUedaさんのシャウトの迫力も充分。これでもうちょっとステージが見えればな〜。

 

中盤にて屈指のキラーチューンである「EMBERS」がプレイされる。この曲のサビにおけるクサメロリードフレーズの破壊力はやっぱり圧巻。この曲に並び立つほどのキメ曲を今後生み出してくれることに期待だな。

 

その後の「THE CHOSEN ONE」では、この曲をカバーした実績もあるGraupelのSotaさんがゲストヴォーカルとして参加。わずかな出演時間のみでしたが、彼の低音が非常によく効いたグロウルはさすがの一言で、高温シャウト主体のTakuyaさんとはまた異なる攻撃性を見事に表現していました。あの華奢な体のどこにあんなエナジーが蓄えられているのだ。

 

「さあこれが最後だぞ!ステージまで上がってこい!」と、ラストの「THE ETERNAL」の際にフロアへ呼びかけ、多数のクラウドサーファーを発生させるなどして、大いに会場の熱気を底上げしていました。本人の言う通り、単なる前座にはならない充実のアクトでしたね。

 

 

UNEARTH

Sable Hillsの熱量溢れるパフォーマンスにより、来る前までに溜まっていたフラストレーションが自分でも驚くほど発散されているのに気が付きながら、メインアクトであるUNEARTH待ち。会場BGMのHATEBREEDのリフが気持ちいい。

 

そしてしばらく待ったのち、特に登場SEもなくメンバーが登場。ドラムのマイク以外のメンバーはだいたいみんな同じ体型&髪型なので、パッと見ただけではなかなか違いが分かりにくいな。

 

メインアクトということもあってか、当然ながら熱量はさっそくSable Hillsのそれを上回らんとするほどで、さっそくフロア中央にはサークルピットが発生。

 

これこれ!これだよ!小さなライヴハウスで熱狂するキッズ(そこそこの年齢の人もいるでしょうが)が狂喜乱舞する。これこそライヴハウスのあるべき形ですよ!コロナ禍以降久しく見ていなかった光景に、なんだかうれしくなっちまうな。

 

さらにキラーチューン「My Will Be Done」が、2曲目から投下されると一気にヒートアップ。もちろん僕もこの曲は大好きなので、"My will be done!"のフレーズに合わせてメロイックサインを振り上げる。

 

Sable HillsのTakuyaさんも颯爽と登場し(Morbid Angelのタンク姿が素敵)、オーディエンスの上に乗り上げシンガロングを連発。初っ端からフルスロットルで飛ばしてます。

 

フロントマンのトレヴァーはしきりに「回レ!」と日本語で煽り立てて、どんどんサークルピットの発生を促していく。その迫力満載なデスヴォイスと、見る者を圧倒する出たちで危険なオーラをバチバチに放っていましたが、クラウドサーファーが前方まで来ると、サッと手を差し伸べようとするあたりに優しさを感じるな。

 

楽器陣もただ単に演奏に終始するのではなく、長髪を振り乱してアグレッシヴなヘドバンを決めまくる。時にはギター回し(狭いステージでちょっとヒヤッとする)、コアな音楽らしいシンガロングも披露。このテンションの高さがステージングの魅力だなと思わされますね。見ててこっちも頭振りたくなるもの。

 

音響は先ほどのSable Hillsに比べるとちょっと聴きにくい感じがあったものの、これは僕が前の方に行ったから爆音に感じただけで、全体的には悪くない印象。ヘヴィリフが主体ながらバキバキのベースもよく聴こえたし、バッキングのシャウトの迫力も十分。

 

セットリストは2nd『The Oncoming Storm』、3rd『Ⅲ: In The Eyes Of Fire』からの曲が中心で、最新作の曲はそれほど入っていませんでした。これは昔のメロデスにも通じる叙情性が活きた楽曲が人気が高いことを反映してのものなのでしょうか。

 

かなり早い段階で「This Glorious Nightmare」「Zombie Autopilot」というキラーチューン二連打をやってくれたのは熱かったですね〜。前者はsetlist.fmによると、去年からライヴでやる回数を増やしているっぽい。切れ味抜群のリフに疾走感の組み合わせ、と、ツーステやモッシュを誘発するかのようなリズムのコントラストがとっても気持ちいい。

 

そして後者の「Zombie Autopilot」はツインギターが大胆に絡み合う僕も好きな楽曲ですが、音響面の問題なのか僕の位置どりの問題なのか、イマイチメロディーを追うことができず。ギターのメロディーを聴きながら脳内で音源を再生するような楽しみ方をしてました。

 

MCでは「5月にニューアルバムを出す」と宣言しており、その中から新曲を1曲披露。1回しか聴いてないので、どのような曲かはっきり頭には残っていないのですが、このセットリストの中に入っていて、何ら違和感はないようなヘヴィかつ、メロディックリードギターが目立つナンバー。

 

ちょいちょいMCを挟みはしたものの、一貫してヘヴィネス重視のメタルコアを矢継ぎ早に披露するライヴで、ほぼほぼ休憩無しでサークルを作り続けた猛者たちはさすがの体力ですね...。僕も高校時代メロコアのライヴに足を運んでたときはあのくらい暴れる体力があったんだがな...と、思わず懐かしむ。モッシュ自体コロナの影響で全然できてませんからね。

 

ラストはかつてSable Hillsもライヴでカバーしたことがあるという「The Great Dividers」に、これまた2ndアルバムの代表的な楽曲である「Black Hearts Now Reign」でフィニッシュ。この2曲でラストスパートであることがわかっていたオーディエンスは、本日一番と言ってもいいほどの狂乱を生み出し、圧巻のラストを飾りました。

 

 

久々に治安の悪い、ライヴハウスらしい光景を目にすることができましたが、いや〜〜〜〜〜やっぱりイイね!これこれ、ライヴはこうでなやきゃ!

 

ここ最近は小さなライヴハウスに足を運べるようになったものの、どうしてもその場で体をクネクネ動かすようなノリしかできない環境でしたが、本日のこの狂乱!バンドと一緒になって、爆音と共に仲良く砕け散ろうとするこのぶつかりあい...これぞライヴ!

 

有給が潰れ、頭のGraupelを見逃すというクソファックな出来事に見舞われはしましたが、そんなモヤモヤを徹底的に粉砕するような、獰猛なヘヴィチューンの数々にもうどうでもよくなりましたね。Sable Hillsのライヴで頭を振ってる段階で、もう来る前のムカつきがほとんど消えていましたから。

 

なお、Graupelについては、今月中にもう一度観る機会を得られたので、そこで今日観られなかった無念を晴らそうかと思ってます。今のところその日は出勤予定無いし。

PassCode 『REVERBERATE ep.』

  • 従来から大きく変わらない安定のエレクトロ・ヘヴィサウンド
  • ストレートな歌ものとしての魅力がわかりやすい
  • 全4曲各種にうまく個性を散りばめている

 

昨年はじめには日本武道館公演を成功させた、スクリーモ/ポストハードコアダンスユニット・PassCodeの4曲入り最新EP。スクリーマーとして、元LADYBABYの有馬えみりさんが加入してから、音源としては2作目になります。

 

すべて新曲とはいえわずか4曲入りの音源なので、当初は買わずにアルバム待てばいいや、と思ってたのですが、リリース前に公開されたM2「SIREN」がかなり良かったのでチェックしてみた次第です。

 

収録された曲はすべてPassCodeらしさ溢れる、ダンスミュージック的なシンセに、ヘヴィ寄りのアグレッシヴなサウンド、ところどころ加工されたヴォーカルが織りなす、キャッチーなラウド路線。新境地みたいな印象はありませんが安定感は抜群。

 

ただ、個人的に嬉しかった点としては、以前のフルアルバム『STRIVE』では、忙しないテンポチェンジを主としたトリッキーな楽曲の印象が強かったのが、本作においてはストレートなラウドロック風味が強くなっているところ。インタビューとかでも「歌のイメージが強い楽曲になっている」と述べられていて、この方向性は僕好みな感じです。

 

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新加入の有馬さんが、以前のシングルではシャウトのみだったのが、今回はノーマルヴォイスによる歌唱パートが存在しているのも、そんな歌重視のスタイルのイメージを強めているところでしょうか。ライヴ中の勇しすぎるパフォーマンスから一転して、どこか素朴な印象もあるような声が良い感じです。

 

オープニングからトランス色濃いシンセが舞いまくる中、何気に主張の強いベースが傾れ込んでいくM1「Live your truth」は王道とも言える曲。サビはもう少しダイナミックに跳ねてほしい気がするも、PassCodeらしいキャッチーなセンスがよく出ています。

 

M3「NOTHING SEEKER」は、ヴォーカルとバンドサウンド双方において、チャラめなダンスミュージックの要素を強く押し出しつつ、後半から別の曲になったかのようにキャッチーなアップテンポナンバーへと姿を変える。本作で一番やりたいことを全部盛り込んでやった感がありますね。

 

M4「Clouds Across The Moon」はシンセが終始バリバリ活躍するも、歌の部分は本作でも特に哀愁寄りで、バキバキな印象は控えめ(それがいい)。途中のシャウトと絡んで疾走するリードギターソロが大きな聴きどころになっています。

 

特に気に入ったのが前述したリードトラックのM2で、バッキングのサウンドの派手さ以上に、歌メロの良さに比重が置かれた1曲。流麗なピアノと絡む歌の入りから、大きなスケールで展開されるサビが非常に魅力的。「Ray」とか「ONE STEP BEYOND」とか聴いた時も思ったけど、やっぱりこの手のタイプが一番好きだな。

 

どの曲も従来の作品で発表されてきた個性を踏襲しつつ、王道ラウド、メロディアスな歌もの、チャラいダンスミュージック、哀愁寄りのキャッチーな曲と、わずか4曲の中で上手い具合に個性を散らしているのがポイントですね。全部合わせても15分程度のボリュームなのもあり、サクッとBGM感覚で聴けるところも嬉しい。

 

前シングルの「Freely」「FLAVOR OF BLUE」の2曲も良かったので、とりあえず現在の布陣でも満足いく楽曲が聴けることは十分に証明できたと思います。次なるフルアルバムも期待できそう。

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィかつエレクトロな従来の王道スタイルをおいて貫きつつ、ストレートな歌の比重を高めてキャッチーも完備した"

という感じです。

 


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SUM 41 『Chuck』

  • SUM 41史上最もメタルな1枚
  • 戦火を目の当たりにした影響か、全編シリアスな空気感
  • おバカなポップパンク的楽曲は皆無

 

当ブログ、2016年4月1日にスタートして約6年9ヶ月、ついに「CD感想」カテゴリの記事500回目となります~~!!

(。・ω・ノノ゙パチパチ ドンドンパフパフ

 

400回目と似たようなこと書きますが、ブログを始めた当初は、まさかここまで続くとは思いませんでした。FC2ブログでスタートして、2020年からは現在のはてなブログへと移行して...長いようであっという間だったな。いや、やっぱり長かったかな。まあいいや。

 

Googleアナリティクスで確認できる範囲ですと、1日に100人以上のアクセスがあるのが当たり前くらいにはなっていて驚くばかり。そりゃ人気ブログに比べれば全然大したことない数字なんでしょうけどね。始めた当初は1日に5人来ればいい方だったわけで、それはここまで伸びるだなんてな〜〜。続けるもんだな〜〜〜。

 

リピーターやコメントをくれる方もいらっしゃって、これもまたありがたい限り。去年は更新ペースを落とさざるを得ませんでしたが、今年はどうなるかな...。まあいずれにせよ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします(90°礼)

 

さて、100回単位のCD感想記事においては、個人的に思い入れがあったり、普段聴いてるバンド群とは異色のアーティストだったりを取り上げています。今回もその流れに乗って、思い出深い作品の感想にしてみようかなと(さすがにそろそろネタがなくなってきたから、600回以降は普通にCD感想書くかも)

 

今回取り上げるのは、カナダのパンク・メタルバンドSUM 41が、2004年に発表した3rdフルアルバム。

 

このSUM 41というバンド、前にも書いたことがありますが、僕にとって「洋楽の入り口」になってくれたバンドなんですよ。僕の音楽人生のおいて、初めて自分の知見が海を超えた日。それが彼らを知った日でした。それまでも、母親がカーペンターズなどの洋楽をよく流していたものの、それらを自分で掘り下げて聴こうという気にはなっていなかったので。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

当時中高生くらいだった僕、日本のパンクバンドにどっぷりハマりつつあったので、暇があってはインターネットを通じて、バンドの音源を色々と聴きあさっていました。

 

今みたいにCDを買うお金もないし、そもそも自分専用のコンポなんて持ってなかったし、サブスクなんて便利なものもないし。満足に音楽を聴く手段はやはりインターネット頼り。ネットの発達によりCDがどんどん売れなくなってしまったものの、僕のような人間を音楽の沼へ落とし込む役割も確かに担っていたので、この辺の音楽業界への影響は功罪あるなあ。

 

そんな中見たのが、確かニコニコ動画にあった「洋楽パンクロックメドレー」的な動画だったと記憶してます。THE OFFSPRINGとか、SIMPLE PLANとか、BETTER LUCK NEXT TIMEとか、BLINK 182とか、その辺の音源をまとめて紹介してるようなやつ。その中に紛れていたのが、本作収録曲のM2「No Reason」でした。

 

オープニングから爆発力あるヴォーカルが飛び出し、淡々とシリアスに進むAメロから一気にキャッチーなサビへと展開するこの曲に、僕は初めて「海外の音楽ってカッケェーッ!」と衝撃を受けました。

 

僕と同じように「このバンドで洋楽を知った」「SUM 41は青春のバンドだった」という人、結構多いのではないでしょうか。

 

そんな彼らを代表するアルバムといえば、やはり2002年発表の2ndフル『Does This Look Infected?』なのでしょうが、今回は僕の洋楽入り口となってくれた前述の「No Reason」収録の本作について。

 

本作のリードトラックM3「We're All To Blame」は、ドキュメンタリー映画撮影のためにコンゴへ行った際に、メンバーが内戦に巻き込まれて、死と直面した体験を元にして制作されたとのこと。そんな制作方針がアルバム全体にも行き届いたのか、前2作と比べて、本作は非常にシリアスな方向性でまとまっています。

 

実際に戦争を目の当たりにする体験をして、反戦の志を持つパンクスとしては、あまりポップに弾けた楽曲を作る気にはならなかったのでしょうか。その時の心情を包み隠さず、音で表現するべきだと感じたのかもしれません。

 

これまであったバカっぽい能天気なポップパンク、ラップをも取り入れたノリノリな曲が一掃。全編通して重い空気感と、メタリックな音作りが大幅増量されており、メロコア・ポップパンクなんていう楽しげな響き持つ単語はそぐわないほど。

 

本作をリアルタイムで聴いたファンはどう反応したんでしょうね。僕のような後追いは「メタル要素の強いパンクバンド」という予備知識が十分にあったうえで聴いているので、特に違和感やらは無いわけですが、「Fatlip」「In Too Deep」あたりから聴いてきた人は「さすがにここまでメタルメタルされるとキツい」なんて思ってたりしたのかな。

 

生粋のメタルヘッズであるギタリストのデイヴ・バクジュのヘヴィリフが、どの曲においても炸裂していて、モッシュ以上にヘッドバンギングが似合うのではと思う瞬間もチラホラ。M6「The Bitter End」はMETALLICAにも通じる(実際にMETALLICAのオマージュでもあるらしい)メタリックなリフが刻まれるナンバーで、モロにメタルのレベルに到達している。M13「88」の中盤から後半にかけて刻まれる高速のヘヴィリフ、速弾きギターソロも完全にメタルのそれ。頭振りたくなりますわ。

 

そんなメタル成分マシマシの本作でも、パンキッシュな勢いが無くなったりはせず、M4「Angels With Dirty Faces」や、M10「Welcome To Hell」といった曲にはパンク・ハードコア的疾走感に浸ることができます。これほどメタルサウンドを強めても、(一部の曲を除いて)完全にメタルな領域にはいかないので、本分はあくまでパンクロック。

 

キラーチューンとそれほどでもない曲の差がやや大きかったり、パンクとメタルの融合具合や楽曲の完成度、印象に残るメロディーの有無などで考え、総合的に見たら『Does This Look Infected?』が一番の名作であるとは、メタルをガッツリ聴くようになった今の僕でも思います。

 

しかし、パンクとメタル、もともとは水と油のような関係性であった2ジャンルを、これほど濃い形で融合させ、日本においてもヒットさせた重要作であることは変わりありません。実際僕も「No Reason」から洋楽に入り、メタルへの興味も湧いてきたわけですし。

 

未だに本作を聴くと、家族共用のノートPCを開いて、動画サイトの洋楽パンクロックメドレーに聴き浸っていたあの頃を思い出します。今の中高生はTikTokでJ-POPのサビだけちょろっと聴くくらいのスタンスに落ち着いているみたいだけど、こういう洋楽の入り口となるバンドって現れたりするのかな。

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィメタル要素を大幅に増したパンクメタルの名盤。従来に比べシリアス過多だが、パンキッシュな疾走感も十分にある"

という感じです。

 


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過去の100回単位感想記事はこちら

100回

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

200回

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

300回

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

400回

show-hitorigoto.hatenablog.com