ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BABYMETAL 『BABYMETAL』

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  • 結成から世界を沸かすまでの彼女たちの集大成
  • アイドル×メタルによる可能性と個性の宝庫
  • 国内メタルシーンの一大革命作

 

前回感想を書いたBRING ME THE HORIZONの『Post Human: Survival Horror』収録の「Kingslayer」で、BABYMETALがフィーチャリングアーティストとしてコラボしていました。

 

それについて書いた後「そういえばBABYMETALのオリジナルアルバムについては、最新作の3rdについてしか触れてないな」と思い出しまして、過去作をまた聴き返してみました。今は日本武道館公演を10日も行っている真っ最中で、話題に上がることも多いことですしね。

 

アイドルグループのさくら学院(今Wikipedia見てみたら、今年の8月31日に解散するんだとか)の派生ユニット「重音部」として始動し、アンダーグラウンドな存在だったのが、海外のメタルファンからMVが注目を浴び始め、飛ぶ鳥を落とす勢いで知名度を獲得。後はご存知の通り、世界で最も知られる日本のメタルアクトにまで上り詰めてしまったメタルダンスユニットの、2014年に発表された記念すべき1stアルバム。

 

僕がBABYMETALの存在を知ったのは、恐らく2012年ごろ。当時札幌の高校生だった僕は受験勉強をサボってタワーレコード札幌PIVOT店に頻繁に通っており、日本のバンドのアルバムを色々とあさっていました。もちろん経済的に余裕のない高校生の身なので、試聴だけして帰ってしまう日が大半でしたが。

 

そこでBABYMETALのシングル『ヘドバンギャー!!』を見つけ、「ハァ?アイドル×メタルだぁ!?フザけんなよ、アイドル風情がメタルだとか名乗りやがって!!」とやたら腹を立てた記憶があります。当時は「地上波の音楽番組に出てるJ‐POPやら、アイドルやら、ジャニーズやらはみんなクソだ!」と思っているダサいロック少年だったので(黒歴史)

 

今にして思えば、あのシングルを買っておけば今頃プレミアついてたのかな~...なんて考えてしまうのですが、まあそんなことはどうでもいいこと。しかしその頃からは、世界を巻き込むほどの現象になるとはこれっぽちも想像してなかったな。

 

それは置いといて、本作はそれまでシングルを小出しで発表し続けてきたBABYMETALの、待望のフルアルバム。既存曲が大半を占める内容のため(よってフルアルバムというよりは、これまでの活動を総括するベストアルバムのような感じ)、今までの作品にすべて付き合ってきた熱心なファンからはちょっと物足りない内容になっているのかも。

 

そして既存曲をほとんど聴いてこなかった僕のようなリスナーからしてみれば、世界的に見てもメタルをここまで個性的にアレンジする例は類を見ないだろうなと思わせるほどの、めくるめくベビメタワールドに浸食されてしまうアルバムになっています。

 

神バンドによる非常にヘヴィかつ濃密な音数で迫りくるエクストリームなメタルサウンドに、この時点ですでに凛とした力強さを秘めたSU-METALの歌声、アザトさ限界突破のYUIMETAL・MOAMETALによる掛け合い、時に小憎たらしいほどにキュンキュンのポップさが顔を出す歌詞とメロディーと、言葉では言い尽くせないほどの混沌とした、何でもありの世界観。改めて本作を聴くと、今のBABYMETALは良くも悪くもずいぶんマトモになったんだなぁ...と思わされます。

 

イントロ的な楽曲であるM1「BABYMETAL DEATH」から、可愛らしい自己紹介の声と、凶悪なまでの重音エクストリーム&超絶技巧のバンドサウンドが交錯する未知の曲で、そこから和楽器による音色と疾走感あるメタルサウンドでメロディアスに彩るM2「メギツネ」で一気にベビメタワールドへ突入。

 

AA=で活動する上田剛士さんの手によるインダストリアルメタルナンバーで、BABYMETALが海外のリスナーに注目されるキッカケにもなったM3「ギミチョコ!!」に、メチャクチャにあざといサビメロと、恐ろしい迫力のグロウルのコントラストがエグイM4「いいね!」、これまでややイロモノっぽい楽曲だったのが、急にシリアスなメロスピ(しかも普通にメロが良い)M5「紅月 -アカツキ-」が来る。

 

アイドル×メタルの本領が遺憾なく発揮されたメタルポップナンバーM6「ド・キ・ド・キ☆モーニング」が続いたと思えば、今度はYUIMETALとMOAMETALのあどけないコーラスと、Limp Bizkitばりのニューメタルリフが響くM7「おねだり大作戦」が飛び出すなど、とにかくメタルという音楽でできる面白いことをすべてやったろう!という気概が感じられる。

 

何でもありのごった煮感、やりたい放題しまくる混沌具合、M13「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のような決め手となるキラーチューンの存在が一つになった本作。世界的成功を収める直前の、勢いに乗り出した時点だからこそ生み出された革命作ですね。

 

単一の作品としての整合感・完成度としては、次作以降の『METAL RESISTANCE』『METAL GALAXY』の方が高いとは思いますが、やはりアイドル×メタルとしての個性と遊び心が頂点に達したのはこの時点であったことは間違いないでしょう。

 

 

個人的に本作は

"アイドル×メタルの面白さをとことん追求し、日本のメタルシーンに変革をもたらした作品"

という感じです。

 


BABYMETAL - メギツネ - MEGITSUNE (OFFICIAL)

 


BABYMETAL - イジメ、ダメ、ゼッタイ - Ijime,Dame,Zettai (OFFICIAL)

BRING ME THE HORIZON 『Post Human: Survival Horror』

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  • ヘヴィリフとシャウトが大幅増量
  • でもメタルらしさは依然として少なめ
  • モダンな歌ものロックとしての方向性をキープ

 

デスコアという限られた人間にしか聴かれないような音楽性からスタートし、アルバムを重ねるごとに大衆的な要素を増強。そして一昨年発表のフルアルバム『Amo』において、エクストリームな音像から完全に脱却、全米・全英チャートで1位を獲得し、グラミー賞にノミネートされるなど、すっかり現代のロックシーンのアイコンと呼べる存在になったBRING ME THE HORIZON。

 

配信という形で去年10月に、CD形態では今年になってようやくリリースされた本作は、全9曲入りのEP。なんでも『Post Human』というタイトルで4枚のEPをリリースするプロジェクトが始動しているんだとか(ヴォーカルのオリヴァーは「アルバムは制作するのにスゴくたくさんの時間を要するんだ。2年間も曲を作り続けるなんてことはもうやりたくないんだよ。ハード・ワークすぎるよ。太陽の光も見ないでうちにこもって毎日制作するなんて嫌だよ。」と思いっきりインタビューで嘆いてました/笑)

 

本作は多くのゲスト・ミュージシャンを迎えて制作されているのも大きな特徴で、日本のリスナーとしてはやはりBABYMETALの参加が一番の注目ポイントですね。2019年のBABYMETALのライヴにゲストアクトとして来日したり、対談形式のインタビューを受けるなど、以前から親交があったようです。BABYMETAL以外だと、恥ずかしながらEVANESCENCEエイミー・リーくらいしか知ってる人いなかった...

 

前述の通り、前作『Amo』では思いっきりヘヴィネスを後退させた作風で、メタル要素は微塵も残っていないロックアルバムに仕上がっていましたが(そういうバンドだと割り切ってしまえば、決して悪い作品ではないと思っています)、本作では怒りの感情をベースとした作品であるためか、ヘヴィで攻撃的なリフ、ヒステリックなシャウトというエクストリーム要素がかなり存在感を増しています。

 

まずオープニングであるM1「Dear Diary,」がシャウトでアグレッシヴに突き進む、ツービートの爆走チューンであることにまず驚き。初っ端からテンションを底上げしてくれる実に良い幕開けですが、メタルというよりかは、激情ハードコア系の音像なのでメタルヘッズに受けるかは微妙かも(まあ今更彼らにメタルであることを求めてる人なんかいないでしょうが)

 

楽曲全体で見れば、前作で提示したデジタルサウンドや、モダンでポップなヴォーカルワークを闇鍋的に混ぜ込んだ、独自路線のオルタナティヴロックが根底としてある感じ。『Amo』をより直情的で攻撃的なロックに磨き上げたような印象を受けます。

 

重心の低いヘヴィなパートでヘッドバンギングを誘発させ、緊迫感あるヴォーカルの掛け合い、シンガロング必至のサビで魅了するM4「Obey」、インダストリアルメタル的な質感を持ったバッキングのサウンドに、SU-METALによる日本語歌唱のインパクト、歌メロのキャッチーさが秀でたM6「Kingslayer」が個人的にお気に入り。

 

攻撃的なサウンドが目立つようになったとはいえ、決してデスコアやメタルコアが好きなリスナーが満足するような作風ではありませんが、モダンな歌もののロックと、シャウトによるアグレッシヴなパートの溶け合い振りはなかなか魅力的。収録時間の短さも相まって、スッキリ楽しめるEPになっていると思います。

 

 

個人的に本作は

"前作の闇鍋的モダンロックの方向はそのままに、ヘヴィロックとしての攻撃性をうまくブレンドしたバランスの良い作品"

という感じです。

 


Bring Me The Horizon - Dear Diary, (Lyric Video)

 


Bring Me The Horizon - Obey with YUNGBLUD (Official Video)

Serenity In Murder 『REBORN』

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  • ヴォーカル変更によりタイトル通り生まれ変わった
  • 映画音楽のように劇的で、哀しく、感動的な名演
  • エモーショナルさは世界トップレベル間違いなし!

 

女性ヴォーカルをフロントに擁する国産シンフォニックデスメタルバンドの最新作。前作『THE ECLIPSE』はドラマチックな泣きの連続で素晴らしい作品であったために、次作への期待も高まりに高まっていました。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

しかし、前作発表後の2018年、フロントマン(フロントウーマン?)であるEmiさんが脱退するという事件が勃発。そしてしばらくしたのち、レースクイーンでも活動しているというAyumuさんが電撃加入。前任のEmiさんには申し訳ない言い方ですが、ルックスはだいぶチャーミングになりましたね。

 

しかも地上波テレビ番組のマツコ会議にて発表されたんだとか。僕はそのオンエアは見ていないんですが、デスメタルバンドがテレビに出られるとは...

 

そんな大規模なメンバーチェンジを乗り越えて発表されたのが本作『REBORN』。曲のアイデア自体はだいぶ前から固まっていたそうですが、新型コロナ騒動やらヴォーカルの調整やらでリリースは遅れてしまったようです。そして充分以上待たされた甲斐のある、強力な作品に仕上がっているなと。

 

メンバー交代で注目されるヴォーカル面についてですが、Ayumuさんのヴォーカルは前任者と比べると女性らしさが色濃く、パワーはそれほどでもないかな。デスメタルらしいしわがれた感じのデスヴォイスは悪くないのですが、やはりEmiさんのヴォーカルが強力無比だったために、相対的に聴き劣りしてしまうのは否めません。

 

しかし、前作で一気に花開いた劇的な泣きのメロディーセンスはまったく変わらず、本作でも冴えわたる。シンフォニックサウンド、ピアノ、ツインギターによるリフとソロ、それらがリスナーの琴線にビシビシ触れてくる強力なメロディーを紡いでいく。前作はシンフォサウンドの妙に酔わされることが多かったですが、本作はよりツインギターのメロディーがレベルアップしているように感じました。

 

そしてデスメタルとしてのアグレッションも蔑ろにされず、ヘヴィなパートではしっかり鈍重なリフが自己主張。ブラストビートも効果的に使われ、パワフルな切れ味も突進力も衰え知らず。エクストリームさを失わない中に、最大限のメロディアスさを入れ込むセンスはさすがとしか言いようがありません。

 

壮麗なシンフォアレンジやコーラスなどを取り入れたり、暴虐なリフで疾走したり、かと思えば儚く美しいピアノがメインを張る静かなパートで叙情性を発散して、一瞬でハッとさせたり...。静と動を巧みに操り、映画音楽かのような壮大な世界観を見事に演出しています。デスメタルというある種キワモノめいた音楽でも、ここまで芸術的に磨き上げることができるんですね...

 

捨て曲皆無の凄まじい仕上がりですが、特にホラー映画のBGMような緊張感と、目の前がブワッと開けたかのような解放感を同居させたM4「The Titans」、オープニングからド迫力の突進で圧倒し、サビに当たるパートでメインメロディーを織りなすギターを大胆に導入、その哀しく美しい劇的極まりない旋律で意識を奪うM7「Leaves Burned To Ashes」、前作収録の名曲「Land Of The Rising Sun」を彷彿させるオリエンタルさを押し出しつつ、安易な二番煎じ感は全く感じさせない劇的さに胸を打たれるM10「The Glow Of Embers」あたりは、本当に感動的なまでの名フレーズのオンパレード。

 

ロディアスさや泣きメロを売りにしているバンドは邦洋問わずごまんといますが、これほどまでに感情的な熱さを演出できるバンドは、そうはいないんではないでしょうか。有無を言わさずリスナーを多情多感にさせる、これぞ真のエモ。

 

 

個人的に本作は

"胸の奥と涙腺を絞り切るドラマチックな泣きの宝庫。感情に強く訴えるエモーショナル・デスメタル"

という感じです。

 


Serenity In Murder - Plead For Your Life (Official Audio Stream)

 


Serenity In Murder - The Glow Of Embers (Official Audio Stream)

せっかくルックスの良い人が加入したんだから、演奏シーンを主軸にしたMVとか作れば良いのにな。

TEMPERANCE 『Viridian』

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  • 見事なフックを持ったメロディーが最大の魅力
  • 歌メロを彩るヴォーカルも輪をかけて強力
  • ヴォーカル面に比べバンドサウンドの主張は少し控えめ

 

AMARANTHEフォロワーといえるモダンなエレクトロ風味のサウンドを武器に、Evoken Fest2017で来日公演も行った、イタリア出身のモダンメロディックメタルバンド・TEMPERANCEが去年発表した5thフルアルバム。

 

Evoken Festでのライヴは僕も代官山UNITで観たのですが、当日は風邪で体調を崩しており、狭小なライヴハウスにすし詰め状態という劣悪な環境、しかも後ろの方で観ていたために、前の人の頭と頭の間からちょっとだけ女性ヴォーカルが確認できたというだけなので、どんな曲をどのくらいやったかとかは全く記憶にないです...

 

そんな体たらくだったので、このバンドが新作を出したことを知っても、FREEDOM CALLを観る前に早退した苦い記憶を呼び起こすだけなので、特にチェックしようという気が起こりませんでした。

 

そんな僕がなぜ一年経ってから本作を聴いたのかというと、リードトラックであるM4「My Demons Can’t Sleep」がメッチャクチャ良かったからです。男女混合による豊かなヴォーカルが繰り広げる、スケール大のダイナミックなサビメロは僕のハートをガッチリと掴みました。仕事終わりにダッシュタワーレコードに直行しましたとも。

 

そしてアルバム全体としても非常に優れた出来だなと。これは去年聴いてたら年間ベストにランクインさせても良かったのではと思うほどですね。

 

とにかく歌メロが良いのです。ときにヘヴィさを押し出したり、ときにエレクトロっぽいモダンなサウンドが顔を出したり、さらにはシンフォニックサウンドも使用したり、はてはバスドラ連打で疾走したりと、一本化されない程度のバラエティを持たせつつ、どの楽曲にも非常にキャッチーでフックのあるヴォーカルメロディーが際立つ。

 

そしてその歌を担当する男女ヴォーカルが実力派揃いなのも頼もしいですね。高音域で伸びやか、かつ力強く響き渡る女性ヴォーカルに、パワーよりも深みや味わい深さが目立つ男性ヴォーカル。良いヴォーカルが良いメロディーを歌う、それで悪い曲になるわけがない。

 

前述したキラーチューンM4はもちろんのこと、メロディアスなツインリード(どことなく往年のIN FLAMESっぽい?)で幕を開けるメロディックメタルチューンM2「I Am The Fire」、荘厳なサビのコーラスがインパクト大のM5「Viridian」、いきなりバスドラ連打で疾走し、これまた分厚いコーラスでゴージャスな雰囲気をプンプン漂わすM8「The Cult Of Mystery」、どこかフォークメタルにも通じるようなシンフォサウンドと、ドラマチックなサビの合唱で圧倒するM9「Nanook」など、どこを切っても素晴らしいメロディーの応酬。ここまで劇的な楽曲を生み出せるバンドだとは思ってもいませんでした。

 

歌メロが良いということは、ヴォーカル重視のバラードナンバーの出来も良いということ。特にM7「Scent Of Dye」の儚く美しいシンフォサウンドと、より深みをたたえた男性ヴォーカルが紡ぐサビの旋律は見事という他ありません。

 

不満点を挙げるとするなら、M1「Mission Impossible」がモダンなヘヴィリフを重視した曲で、中盤の流れを変える働きを持たせるのならまだしも、オープニングにするのはちょっとツカミとして弱いのではないかという点。

 

もう一つはヴォーカルに注目してしまうのも要因の一つですが、楽器陣の主張がそれほど強くないので、バンドサウンドがちょっと印象に残りづらい点でしょうか。ところどころメロディックなソロとかも弾いてくれますが、楽器もヴォーカルと対等に主張できるメタルというジャンルだけに、もう少し技術的なエゴを出しても良かったかな。とはいえあまりに主張しすぎて、せっかくのヴォーカルパートの存在感を削いでしまうより遥かにマシなのは言うまでもありません。

 

モダンメタルとしてできる色々なスタイルに手を出しサウンドの幅を広げつつ、メロディーの良さ、ドラマチックさという点で非常にクオリティー高くまとめ上げたアルバムと言えるでしょう。歌メロ重視のリスナーは必聴盤。

 

 

個人的に本作は

"サウンドのバラエティの豊かさに、キャッチーかつ劇的な歌メロ、実力派男女混声ヴォーカルを加えたモダンメロディックメタルの名作"

という感じです。

 


TEMPERANCE - Start Another Round (Official Video) | Napalm Records

 


TEMPERANCE - My Demons Can't Sleep (Official Video) | Napalm Records

名曲!去年聴いてたら年間ベストチューンに選んでいたはず。

W.E.T. 『Retransmission』

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  • 良質なメロハーのフォーマットは一切崩れない
  • ロックチューンからバラードまで一定の水準はクリア
  • もうちょっと北欧出身のエゴを出しくれても良かったよ...

 

WORK OF ART、ECLIPSE、TALISMANのメンバーが集って結成された、北欧メロディアスハードプロジェクトの、前作『Earthrage』から3年ぶりとなるニューアルバム。

 

前作は派手さこそないけれど、北欧出身である強みを活かした哀愁のメロディーがたっぷりつまった、良質なメロディアスハードのお手本とも言うべき作品でした。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

本作もまた前作の適度にハードさを持った演奏に、ジェフ・スコット・ソートの巧みなヴォーカルワークが冴えわたる、見事なハードロックをプレイ。音の路線自体は変わらず、そのこと自体は良いんですが、正直に言うと前作ほど満足度は高くなかったかも...というところでしょうか。

 

それは単純に、北欧由来の豊かなメロディーの哀愁がやや控えめに感じられるから。アメリカンロックのようにカラッとしているとまではもちろんいきませんが、どうも心に染み入るような叙情性がイマイチ。もうちょっと北欧情緒の憂いがあったと思うんだけどな~...

 

もちろんアッパーなハードロックチューンから、スローなヴォーカル主体のバラードまで、必要充分なメロディアスさは確保されているので、決して退屈さを感じる瞬間はありません。M3「The Call Of The Wild」や、M5「Beautiful Game」あたりは単純にカッコいいロック、そしてメロディーが良いと来てるし、M7「Coming Home」のサビの歌メロや、M8「What Are You Wating For」の切なく静かに響くバンドサウンドの妙はなかなか味わい深い。

 

ただ近代エクストリームメタルのような派手な演奏や、ヘヴィさやチョッパヤな曲展開などもない、良くも悪くも普通のハードロックの音作りを志向している分、メロディー以外の要素で期待できるものは限られてしまう。そのため肝心要のメロディーの平均点が下がってしまうと、どうしても物足りなさが生まれてしまうんですよね...。

 

ところどころで速弾きをアクセントとして取り込んでいるギタープレイはより印象強くなっており、そこはプラスになりますね。

 

そんな感じで「良いんだけどあと一歩...!」という感想を抱いてしまう本作ですが、M4「Got To Be About Love」は、極上にポップかつ哀愁まみれのサビに胸を貫かれるキラーチューンで素晴らしい出来!聴いた瞬間「これこれぇ~~~!!!(´∀`)」となってしまったわい。

 

 

個人的に本作は

"安心安定のメロディアスハードのお手本。哀愁の効いたメロディーの魅力はやや落ちたか...?"

という感じです。

 


W.E.T. - "Big Boys Don't Cry" - Official Music Video

 


W.E.T. - "Got To Be About Love" (Official Music Video)

ACCEPT 『Too Mean To Die』

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  • トリプルギターで生まれ変わった第一弾アルバム
  • 過去作から何ら変わらない正統派一直線
  • お得意のクラシックの引用がインパクトを放つ

 

2009年にかつてのバンドの看板であったウド・ダークシュナイダーを欠いた状態で再結成。新たなバンドの顔となったマーク・トーニロをヴォーカルに迎え、まさに第二の最盛期と呼ぶに相応しいしている、ドイツが誇る鋼鉄集団ACCEPT。

 

コロナによりCD発売が延期になるなどしたものの、無事に届けられた最新作。ACCEPTのオリジナルメンバーであり、結成時からずっとバンドの低音部を支えてきた、ベーシストのピーター・バルデスが脱退しており、後続としてCode of Perfection(全然知らなかったのですが、同じくドイツのメタルバンドだそう)マルティン・モイックがバンドに加入。

 

さらに新たなギタリストとして、フィリップ・ショウズ(エース・フレーリージーン・シモンズのライヴメンバーだったらしい)が加入し、トリプルギター編成として一新されました。

 

しかしいくらバンドメンバーが交代しようが増えようが、再結成以後、求道的なまでに正統派ヘヴィメタルの道を邁進し続けている彼らのこと。当然ながら音楽性が変化するなんてことがあろうはずがなく、安心安定の高クオリティー、男臭さ満載、混じり気のない純度100%のヘヴィメタルをプレイしていて、本当に頼もしい限りです。

 

M1「Zombie Apocalypse」から早速ACCEPTらしい硬質なギターリフに、マークのハイトーンシャウトが炸裂し、愚直に進みゆく力強いヘヴィメタルナンバー。

 

それに続くM2「Too Mean To Die」はアップテンポに駆け抜けるリフと唸る鋼鉄のリードギターがメチャクチャに気持ちよく、マークの振り絞るような絶唱といい、速弾きを交えたトリプルギターのソロの交錯といい、「カッコいい正統派ヘヴィメタル」のお手本のような楽曲。歌い出しが"I'm a heavy metal warrior"なのが熱すぎる!(笑) さすがだぜこのバンド。

 

LAメタルっぽい明るさを押し出したM3「Overnight Sensation」や、どっしりとしたベースが不穏な空気を生み出し、お得意の漢コーラスが主役を張るM5「The Undertaker」、男の渋みと哀愁を、ヴォーカルとバックのギターで見事に表現したM8「The Best Is Yet To Come」など、タイプの異なる曲も挟みつつ、基本線はリフに次ぐリフで攻め立てるアップテンポでキャッチーな正統派。一切のブレは無し。

 

中でも印象強い楽曲が中盤に鎮座するM7「Symphony Of Pain」。曲調自体はACCEPTらしさ抜群の正統派を貫いていますが、そこにかつての名曲「Metal Heart」のように、ベートーヴェンの「歓喜の歌」のメロディーをなぞるギターソロを大胆に挿入。否応なくリスナーの脳裏に突き刺さる、大きな聴きどころになっていますね。ちなみにアウトロのM11「Samson And Deliah」ではドヴォルザークの「新世界より」のメロディーをギターでなぞっています。

 

過去作にあった「Flash To Bang Time」や「Trail Of Tears」のような、破壊力抜群の疾走曲が無いのが少し残念ですが、ACCEPTという名前に期待される硬派一徹、男のヘヴィメタルを相変わらず踏襲しきった一枚。

 

数多のサブジャンルで溢れきった2021年においてもなお、「シーンのトレンドなんざガン無視だ!普通のヘヴィメタル一直線!」という感じですが、ACCEPTに普通のヘヴィメタル以外を望んでいる人なんていないはずなのでこれでOKでしょう。正統派メタル万歳。

 

 

個人的に本作は

"従来どおりのメタルヴォーカル&メタルギターで進みゆく男の正統派。Heavy Metal Warriorに迷いなし"

という感じです。

 


ACCEPT - Too Mean To Die (OFFICIAL LYRIC VIDEO)

 


ACCEPT - The Undertaker (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

BULLET FOR MY VALENTINE 『Venom』

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  • 前作からサウンドの攻撃力大幅アップ
  • メロディーの聴きごたえは初期に及ばず
  • 魅力ある楽曲とそうでない曲の二極化が激しめ

 

メタリックで攻撃的なサウンドに、エモ/スクリーモ直系のメロディアスな要素をブレンドし、新世代メタルの代表格としてのし上がったBULLET FOR MY VALENTINE。そんな彼らの、デビューアルバムから10年経った2015年に発表した5thフルアルバム。

 

前作『Temper Temper』は、まあ悪い内容という訳ではないものの、彼らのこれまでの作品からするとかなりパンチが弱く、だいぶ不評を買ったアルバムになりました。

 

しかし翻って本作はというと、前作で大きく削がれてしまった突進力、攻撃力を復活させていることが分かります。血の気の多いシャウトの量も多く、さながら1stアルバム『The Poison』を思わせる(アルバムタイトルの意味も近いし)棘のある音。

 

イントロのM1「V」から続くM2「No Way Out」は、のっけから絶叫と共に強靭なリフ、バスドラ連打がブチかまされる曲で、一気にリスナーの期待感を上げてくれます。前作とは気合いの入り方が違うぞと思わせてくれる、ナイスなオープニング。

 

そしてM3「Army Of Noise」はこれを待っていた!と言いたくなるほどの、強烈な破壊力を持った疾走キラーチューン!ザクザク刻まれるリフも、クールな歌メロもカッコよく、ツインギターソロは凄まじい勢い!

 

本作がリリースされた頃、僕はCDショップでアルバイトしており、ストアプレイでこの曲がかかった時は、後輩の小池君と共に「この曲メッチャ良いよね!」と言い合っていたのを思い出しますね(笑)

 

この他にも粗野なシャウトがバンバン飛び出し、これまた疾走するギターソロが大きな聴きどころになったM6「Broken」、小気味良く流れるリフとエモーショナルな歌の交錯が気持ちいいM9「Skin」、よりリフのキレが冴え渡り、軽快な疾走感とシンガロングで高揚させてくれるM11「Pariah」など、勢い付いた楽曲はどれもカッコいい仕上がりになっています。

 

こんな風に、前作から確実にメタルとしてのアグレッションは取り戻していて、その事は素直に「良くなった」と言える出来。ただ、必ずしも満足のいくアルバムになったのかというと、それもまたちょっと微妙ではあります。

 

というのも、メロディーのキャッチーさという点においては、まだまだ改善されたとは言い難いから。一聴してカッコいいと思えるほど良質なメロディーが潤沢にあった3rdに比べると、イマイチパッとしない歌メロも多い。

 

そのせいでテンポを落とした楽曲が聴きどころとして弱く、インパクト不足に繋がってしまっています。今までアルバムのタイトルトラックにハズレは無かったんですが、本作のM7「Venom」はだいぶ地味な展開に終始してしまっているのが厳しい。どこか神聖な雰囲気を醸し出すコーラスが特徴のM5「You Want A Battle? (Here's A War)」とかは結構いいセン行ってるんですけどね〜…。

 

メタルバンドとして相応しい音に回帰してくれたのはありがたいし、M3のような必殺のキラーチューンを収録しているのは褒められるべきですが、胸を張って「良作だ!」とは言えないのがもどかしいアルバムです。

 

しかし本作でメタルとしてのストレートなカッコよさを意識的に打ち出したために、その反動で次作があのようなヤワな作風になってしまったらしいので、そう考えるとなかなか罪深き作品ですねコレ(笑)

 

 

個人的に本作は

"メタルらしい殺傷能力を回帰させた納得のサウンド。しかしメロディーの充実度はもう一歩"

という感じです。

 


Bullet For My Valentine - Army of Noise (Live)

 


Bullet For My Valentine - Venom (Official Music Video)