ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

METALLICA 『Metallica』

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  • 90年代を代表するメタルアルバム
  • スピードを抑えヘヴィなダイナミックさを強調
  • リフというリフの応酬にヤラれる快感を味わおう

 

つい先日、新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を終えました。よく言われているように2回目の方が副作用が強く、1回目接種後の体温は37.5度前後をキープしていたのですが、今回はヒドいもんでしたよ。

 

なにせ接種当日の夜10時ごろになると39度台にまで体温が上昇(最高で39.7度)、それが一晩中続き、次の日になってもほぼ一日中38度台から下がることがなかったんですから。咳や鼻水、鼻詰まりが誘発されないことは救いでしたが、頭痛はヒドいわ、左腕は痛いわ、体の節々(特に腰)は痛いわ、倦怠感でフラフラだわで、ここ数年で一番キツい思いを味わったかもしれません。「普通にコロナにかかって、免疫作った方が楽なんじゃねえの?」なんて不謹慎な考えが頭をよぎるほどに。

 

当然仕事を休んで寝っ転がってるだけで一日を消費するだけでしたが、そんな時にでもできるのが音楽を聴くこと。こういう弱った時には、パワーあふれるサウンドに身を浸した方がいいなと。

 

ただ今回は容体が容体なだけに、あまりテンションを上げすぎるような楽曲は却ってうっとおしく聴こえてしまいそうだったので、あまりにエクストリームなアルバムは流さず(SLAYERやANAAL NATHRAKHを流したものの、すぐに止めてしまった)、ちょうどいい塩梅の作品として、METALLICAのブラックアルバムを一番よく聴いてたんです。

 

熾烈になりすぎず、かつ適度な攻撃性も秘めているサウンドとして、本作が一番ハマるんじゃないかなと思ったんですね。寝っ転がりながら何度も周回でリピートしながら聴いてました。

 

世界一有名なヘヴィメタルバンドの一番売れたアルバムということで、未だにシーンに燦然と輝く大名盤扱いをされている一枚。今こんなブログで何を書きゃいーのよ、という感じすらありますが、まあせっかく聴き込んだんですからね。なんか形に残そうかと。つい先日リマスターが出たばかりなので、タイミング的にもちょうどいいでしょう。

 

1991年という、セックス・ドラッグ・ロックンロールの考え方が完全に過去の遺物となり、ヘヴィメタルというジャンルが壊滅状態になる寸前の時代、当時勃興しだしたグランジサウンドに影響を受けたMETALLICAが、従来のリフ重視のメタルスタイルからスピードをほぼ捨て去り、グルーヴィなヘヴィさを導入することで時流にピタッとハマることに成功。結果的に世界で3000万枚も売り上げたという、90年代メタル最大のメガヒット作。

 

ヘヴィメタルのアルバムを聴き出し始めた僕は、当然ながら超有名な本作も早い段階で手を出していましたが(いつ買ったかは忘れた)METALLICAには「Battery」「Fight Fire With Fire」「Motorbreath」などの激烈スラッシュチューンにこそ魅力を感じていた僕、やはり遅いMETALLICAというのは、初聴きの段階だとどうしても地味に聴こえてしまい、さしてリピートするに至らなかったというのが当初。

 

ただ改めて本作を聴いてみると、疾走だけではない魅力というのが見えてくる(聴こえてくる)というものですね。ジワジワと、かつ確実に中毒状態にさせてくるようなアルバムと言えるかも。

 

彼らの魅力の一つであった研ぎ澄まされた刃の如きリフが一層鋭さを増し、それでいてどこか口ずさめるようなキャッチーさをも内包。そんな病みつきリフが楽曲の至るところでズンズンザクザクと刻まれる。オープニングのM1「Enter Sandman」はそんな本作の特質をわかりやすく表した名曲です。

 

またグランジに影響されたといっても、そこまでドヨ〜ンと陰鬱な音像には陥っていないところもポイントですね。確かにダークで不気味なムードが支配的ですが、そんな中にもしっかりとメタルらしい溌剌としたエネルギーが溢れていて(これもやはり切れ味あるリフによる影響が大きいと思う)、特にテンポを上げて攻撃的なリフと小気味良いジェームズのヴォーカルが弾むM3「Holier Than Thou」、M7「Through The Never」は文句なしに"カッコいいヘヴィメタル"ですよ。

 

そしてバラード2曲の出来も良い。切ないアコギのイントロが渋さを演出し、高音気味のサビのヴォーカル、泣きすら帯びたカークのリードギターがまた良い味を出したM4「The Unforgiven」に、さらにそれ以上というくらい儚さを極めたアコギが美しく、狂おしいほど激情を演出するM8「Nothing Eles Matters」。これはかつての吐き捨て歌唱オンリーだったジェイムズではなし得なかった完成度ですね。

 

惜しむらくは、そのM8が終わってからの流れは、名曲・名リフがどんど押し寄せる前半ほどのインパクトは感じられなくなってしまい、後半やや地味というか印象に残りにくく感じてしまうところでしょうか。とはいっても、もちろんそれは相対的なもので、充分に完成度の高い曲たちであるし、ラストのM12「The Struggle Within」は緊張感あるイントロからヘヴィリフで押し進む刺々しい曲で、有終の美を飾ってくれます。ワウと速弾き炸裂のギターソロも見事!

 

基本的に速くてメロディアスなヘヴィメタルが好きな僕にとって、本作は手放しで「大名盤!オススメ!」というのはちょっと気が引けるのですが、そんな僕ですら得体のしれないパワーで意識を取り込まれてしまう。そんな魔力が渦巻く力作であり、その魔力に当時のメタルヘッズ、刺激を求める若い人たちはヤラれてしまったんでしょうなあ。

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィでダークな時流に乗りつつ、キャッチーに響く極上のリフで圧倒する、不思議な魅力に陶酔できる作品"

という感じです。

 


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9/20 NOCTURNAL BLOODLUST presents "6DAYS OF CHAOS" at 渋谷CYCLONE

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9月の間、毎週末渋谷CYCLONEにて行われる、NOCTURNAL BLOODLUSTの対バンイベント・6DAYS OF CHAOSに行ってきました。僕が参加したのは4日目となり、対バンはHOTVOXとSerenity In Murderの日。

 

今年また力作を発表してくれたSerenity In Murderですが、新ヴォーカルを加えてからはまだこの日までライヴをやっていなかったらしく、バンドの好みという意味でも、新体制のお披露目に立ち会うという意味でも、6日間のうちこの日がベストだなと。

 

当日は早めに渋谷に着き、改装のため売り場面積が半分になり人も少なく、すっかり寂しくなってしまっているタワーレコードの洋楽フロア、ディスクユニオンを物色したあと、よくわからん萌えキャラとコラボして居心地が悪くなった(笑)ウェンディーズでバーガーセットを食し、頃合いを見計らって会場へ。

 

程近いGARRETではTHOUSAND EYESのライヴが行われていたようで、そちらにも興味は惹かれましたが、まあ彼らのライヴはまた観られる機会があるので、今回はノクブラに注力!

 

普段は通路が狭く、フロアに人がたくさんいるとステージを正面から観ることも難しいサイクロンですが、今回は人数制限のため余裕があり、特に観るのに支障はきたしませんでした。足元に番号が貼っており整理番号順に並んで観る形式で、自分はフロア中央より少し前くらいだったかな。

 

 

HOTVOX

本日唯一、一切の予備知識がなかったバンドです。

 

音楽性としてはラップコア、ヘヴィミクスチャーと呼べるもので、モダンなヘヴィリフとバキバキのベースで主導し、ヴォーカルがラップを繰り出しながら、フロアを縦ノリで揺らす。

 

メンバーの出立ちもガチガチに衣装を決め込むようなものではなく、ストリート系のラフな感じで、山嵐とかBACK DROP BOMBとか、ミクスチャー系のバンドが人気を博していた頃はこういうバンドがたくさんいたのかな〜などと想像しながら観ていました。世に出るのがあと20年くらい早かったらもっとシーンで活躍できていたかもしれない。

 

当然メロディアスさだったりキャッチーさだったりとは無縁で、家でCD聴くタイプのバンドではないんですが、ライヴで観る分にはかなりテンションが上がる。ドラムのリズムがタイトで(最後の方で若干トラブってましたが)疾走パートからズンズンとしたリズム落ちパートまで、非常に心地よく、かつ攻撃的に展開されるのがライヴ映えポイント。

 

個人的には予想以上に楽しめましたけど、会場のメインの客層であるV系好きの女性陣には絶対ウケなさそうなバンドだと思うんですが(笑)、実際どう映ったんでしょうかね。結構手が上がっていたので悪い印象はなかったと思いますけど。

 

 

Serenity In Muder

本日のお目当てであるシンフォニックメロデスバンド。以前ライヴを観た時は、Within The RuinsとERRAの日本ツアーで観た時のはずなのでもう6年前か。あの日が初サイクロンだった気がする。

 

新作の流れ通り「Anthem」からのスタート。音響はあまり良いとは言えず、僕が上手側に寄っていたために、Ryujiさんのギターがなかなか聴こえづらい。さらに言うと全体的に音がゴチャつき気味で、同期音源であるシンフォニックサウンドが埋もれてしまっているために、曲の判別がつきにくい...

 

どの楽曲も抜群にメロディアスなんですが、この音響ではその良さが完璧に伝わるものではなかったのが惜しいところでしたね。

 

それでもやはり時折切り込むメロディアスなリードギターは素晴らしいものがあり、「A Torch Of Avengers」「The Titans」の狂おしく悲しい美旋律には惚れ惚れしますね。特に前者のギターソロは大好きなので感動モノ。

 

そして本日が初ライヴとなったAyumuさんですが、パフォーマンスは凶悪なデスメタルらしさを発揮するもので(テンプレとも言えるが)、歌のクオリティー自体も楽曲の完成度を壊さないものをきっちり提示できていたと思います。これまた音のバランスのせいか、やや聴こえにくい瞬間が多かったのはありますが。

 

ただMCの煽りになると一転して女性らしさ全開の可愛らしい声になるのは「ギャップがあって良い」と捉えるか、「デスメタルらしい緊張感が削がれる」と捉えるかは微妙なところかもしれませんね...。親しみやすさがあって悪かないとは思いますが。

 

あとベースのYu-riさんのルックスが、ノクブラを差し置いて本日一番ヴィジュアル系していました(笑) カッコいいっちゃカッコいいけど、やっぱちょっと浮くな...

 

 

NOCTURNAL BLOODLUST

ラストは本日のメインとなるノクブラ。幕が上がると後光に照らされたメンバーが現れ、お立ち台にたったヴォーカルの尋さんが、シンフォニックなSEに合わせ指揮者のような振りで登場。

 

最初は現メンバーの楽曲ではなく、過去作からの「Malice Against」でスタート。ゴテゴテのヴィジュアル系ルックスだった楽曲を、今のカジュアルな彼らがやるのは何となく面白い違和感がある。

 

本日の3アクトの中では、明らかにサウンドのヘヴィさ、タイトさ、安定感はトップクラスで、今月毎週のようにライヴをやり続けてきた経験が活きているのかもしれない。ヴォーカルの狂気的な高音シャウトは、マジで耳がキンキンして痛くなりかけるレベル。

 

リスタート後の新曲で一番好きな「Life is Once」が聴けなかったものの、ストレートな疾走チューン「PROPAGANDA」、跳ねるリズムにややチャラ目な要素をドッキングした「REM」でフロアを狂騒の渦に巻き込む。バンギャの人たちは皆ここで頭振らなきゃいつ振るんだと言わんばかりに、長い髪をバッサバサ乱す。幸いお客さんどうしの間隔を開けているので、僕の顔面にバシバシ当たるということはありませんでした(笑)

 

ただメンバーのルックス、特に新加入のギタリストのYu-taroさんとValtzさんにはヴィジュアル系の要素はカケラも無く、パフォーマンスもノーマルなヘヴィ系バンド、ラストに演奏された最新作の「THE ONE」は完全なメタルコアで、毒々しいデスコアの要素は皆無のため、今のノクブラを果たしてバンギャの人たちは心底気に入っているのかはちょっと疑問。

 

僕としては変に型にハマることなく、フラットに音楽ができるようになると思うので、今のノクブラを肯定していきたいのですが(デスコアよりメタルコアの方が好きだし)、やはり真っ白な衣装でド派手に動くCazuquiさんがいなくなった影響で、良くも悪くも見栄えは普通になったしなぁ。 バンギャの人にとっては「もっと舞ってちょうだい!」という欲求があるかもしれません(?)

 

 

3組合わせて2時間半弱という短い演奏時間だったので(トリのアンコールもなし)、各バンドのライヴを堪能するという意味では、ボリューム的には若干物足りなかったかなあと。まあそのおかげで身体的な疲れはさほどでもありませんでしたが。

 

ただどのバンドもタイプが違うサウンドながら、ライヴで魅せることのできるパフォーマンス、楽曲の良さは十分に示しており、充実の3マンだったのではないかと思います。声は出せずともエクストリームな音を狭小なライヴハウスで聴けて満足です!

SHOW-YA 『Outerlimits』

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  • パワフルな歌謡メタル路線全開!
  • アグレッシヴ&キャッチーな楽曲が超強力
  • ヒットシングルの名曲度は圧倒的

 

前回の記事で最新作『Showdown』についての感想を書いたので、その流れで本作についても書いてみます。

 

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1989年に発表された、元祖ガールズメタルバンド・SHOW-YAの7thフルアルバム。

 

本作がSHOW-YAのアルバムとしては最も売れて、シングルヒットも飛ばしたというお話ですが、それがここまでHR/HMしているサウンドというのがすごいですね。このアルバムが発表された時は生まれてもいなかった年代の人間からすると、このサウンド、それもガールズバンドの音楽がメインストリームで売れるなんてにわかには信じがたい...

 

本作以前はなかなかヒットに恵まれなかった時期もあったそうですが、その状況を打破すべく気合が入ったのか、全体的にアグレッシヴな楽曲が多く、それでいて歌謡的メロディーセンスも冴え渡り実に強力。

 

まずオープニングを飾るM1「OUT OF LIMITSからして、メタリックなギターリフが荒ぶり、クリアなキーボードがアクセントを加えて、ワイルドなヴォーカルがキャッチーなメロディーを紡ぎあげるキラーチューン。ギターソロ後に静まりかえってから、ラスサビで爆発する様がメチャクチャカッコいいな!

 

ポップでアメリカンなムードを醸し出すハードロックチューンM2「LOOK AT ME!」に、一段と攻撃的なリフが主体的で、無音のブレイクから突如切り込むギターソロがかっこいいM4「TROUBLE」、これまたリフのノリの良さに体をゆらされるハードナンバーM8「BAD BOYS」、ラストを力強く締める疾走メタルM11「BATTLE EXPRESS」など、攻撃的な楽曲の魅力はかなりのものがありますね。

 

中にはテンポが落ち、相対的にメロディーのフックも弱くなる瞬間もなくは無いのですが、それでもハードな歪みを活かしたギターが活躍し続け、捨て曲は無し。唯一のバラードであるM6「祈り」も、儚く綺麗な歌メロで魅了するドラマチックな1曲。

 

そして何と言っても本作といえば、シングルとなったM3「限界LOVERS」、M9「私は嵐」の2曲!メチャクチャにキャッチーな歌メロを持ちながらメタリックなギターがゴリゴリに目立ち、"限界まで!限界まで!諦めない!"のシャウトが鳥肌モノのカッコ良さを誇るM3に、LOUDNESSを思わせるような正統派メタルリフで主導し、シンガロング必至なサビがアツすぎるM9、こんな曲がメジャーシーンでシングルとしてヒットしたとはすごい時代ですなぁ。

 

メタルバンドとしてのSHOW-YAの最高傑作として名高いのも納得の、歌謡メタルの名盤と言える一枚。ヘヴィメタルとしての本格感は最新作の方が高いと思いますが、メロディーの豊かさ、とっつきやすさ、わかりやすいキラーチューンの存在という点で、やはりSHOW-YAは本作が一番かな......と言ってもその他のアルバム聴いてないんですが(笑)

 

あと『ヘドバン Vol.18』のクサメタル特集で、記事を執筆した教頭先生が"「限界LOVERS」辺りは立派なクサメタルといえますね"と述べているのですが、僕はあまりこの曲をクサいって思ったことは無いかなぁ。

 

 

個人的に本作は

"ハード&ヘヴィ、アグレッシヴで歌謡的キャッチーさを存分に飲み込んだ、ガールズメタルシーンの色褪せぬ名盤"

という感じです。

 

 

SHOW-YA 『Showdown』

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  • 全編英語詞、世界に打って出る一作
  • 謡曲っぽさ、ジャパメタらしさは希薄
  • ダイナミックなヴォーカルと全編を覆うキーボード

 

今でこそガールズメタルバンドというのは多く存在しますが、そんな時代が来るはるか昔、80年代の時点でメンバー全員女性のHR/HMバンドとして活動していた(アルバムによってはHR/HMとは言い切れないものもあるようですが)、元祖ガールズメタルバンド・SHOW-YAの、結成35周年を迎えた中で放つ12thフルアルバム。

 

本作は"全編英詞によるSHOW-YA史上最もハードなヘヴィメタル・アルバム"と宣伝され、プロデューサーにはDESTINIAで活動するギタリスト・若井望さんを起用。世界へと打って出るため全英語詞にするなど、これまで以上にヘヴィメタルとして本格派のアルバムにしようという気概が見えていました。

 

僕はSHOW-YAのアルバムは7th『Outerlimits』しか聴いてないので偉そうなことは言えないのですが、確かにそんな宣伝通り、本作はいわゆる歌謡メタルとは一線を画する仕上がりになっています。

 

もちろん歌メロはキャッチーに仕上がっているんですが、あからさまな歌謡曲っぽさはほとんど無い。この辺は日本のメタルアーティストでありながら、自分のプロジェクトにおいてほとんどジャパメタ臭を感じさせない若井さんの手腕によるところが大きいんだと思います(作曲は全曲やってる訳ではないのですが)

 

演奏はメロディックメタルとしてのハードさは担保しつつ、そこまでガンガン激しく主張はしてこない感じですが、バッキングで刻まれるギターリフは適度にゴリッとしたパワーがあって十二分にメタリック。J-POPのフィールドにいるバンドとして、ここまでメタルな音を出すバンドは他になかなかいないでしょう。時折飛び出す速弾きソロも熱い。

 

そして楽曲の良いスパイスとなっているのが中村"captain"美紀さんのキーボードですね。サウンド全体をブワッと覆い尽くすような透明感あるキーボードの音色が支配的で、大きな特徴であると同時に聴きどころになっています。

 

バンドの顔である寺田恵子さんのヴォーカルは、還暦間近の58歳という年齢でありながら、ハスキーでロックのダイナミズムあふれる歌唱を披露し、バラードでの穏やかな歌い方も様になる。ヴォーカル面での不満はほぼ皆無と言っていい。

 

ただ全編英語詞はあんまりこの人の歌には合わないのかな〜...とはちょっと思ってしまいました。聴いていくうちに慣れましたが、最初はちょっと違和感が強かったです。かつての代表曲「私は嵐」の英語バージョンであるM12「I am the storm / WATASHI WA ARASHI」があるのもその感覚に拍車をかけました(もちろん元が名曲なので楽しめるけど)

 

楽曲はどれも粒揃い。アルバムを代表するキラーチューンと呼べるほどの曲は無いものの、メロディアスさに振り切ったギターソロが最高にカッコいいM4「TOKYO, I Scream」、キーボードとギターのユニゾンによる展開とシンガロングが気持ちいいM5「KISS in the Riot」、本作中最も体感速度の速いアグレッシヴなナンバーM7「Thunder」、非常にフックに飛んだキャッチーなサビで魅せるハードポップチューンM10「ROCKS」など、アップテンポで駆ける楽曲はかなり魅力的。

 

ちょっとバラードが多い感があり、せっかく「SHOW-YA史上最もハードなヘヴィメタルアルバム」を謳うなら、もう少し疾走感多めで良かった気もしますが、豊かなメロディーに彩られた優れた楽曲の連続で、かつジャパメタ特有の野暮ったさ(嫌いでは無いけど)も無い、ガールズバンド云々関係無しに非常に質の高いHR/HMアルバムです。

 

 

個人的に本作は

"日本人らしさを軽減させた、海外志向の強い本格派・王道をいくメロディックメタル。ハードさ重視の楽曲の魅力が強い!"

という感じです。

 


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Last Alliance 『Me and Your Borderline』

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  • 哀愁、ここに極まれり
  • 疾走曲もポップスもバラードも粒揃い
  • メロディーの良さを知りたいなら必聴

 

本作を彼らの最高傑作に挙げる人も多いと思います。4人組エモコアバンド・Last Allianceの2006年リリースの3rdフルアルバム。

 

何を以って本作を最高傑作とするのか、それは「メロディーの良さ」。この一点に尽きます。

 

前作、前々作とお得意の青く煌めく哀愁メロディーを振り撒き、叙情派エモの名作を作ってきた彼らですが、ここにきてそのメロディーセンスが完全に解き放たれたかのように全力全開。全ての曲において極上の美しさと胸焦がす哀愁が詰まりに詰まった、渾身の一作となっています。

 

前作でほぼほぼ消失していたパンク的疾走感も復活しており、M1「Break a mirror」から歯切れの良いカッティングギターで緊迫感を煽り、溜めに溜めた状態から一気に爆走!そんな中にもサビ前のBメロのツインヴォーカルの掛け合い、どこか悲痛さすら感じさせる哀しみを滲ませたサビが熱くカッコいいんだな。

 

まさに曲タイトル通り疾走し、裏声ヴォーカルが綺麗に染み渡るM3「疾走」、ハードな歪みのギターでアップテンポに駆け抜け、どこか渋みあるアダルティなメロがクールなM7「SPIRAL WORLD」、メロディアスながら勢いもある、歌メロ重視のロックチューンの理想とも言えるM8「ゼンマイ」、メロコアらしい軽快な疾走を見せつつも、歌詞テーマと合わせてシリアスで重厚なムードを漂わせるM12「プロメテウス」と、勢いのある楽曲の完成度の高さに息を呑みます。

 

さらに前作で強調されていたポップなメロディーセンスも相変わらずで、明るさの中に絶妙に郷愁や裏寂しさをミックスさせた美しきM2「KONOYUBITOMARE」、タイトル通りどこまでも澄み渡るスケールの大きさを醸し出すM13「シェアリングスカイ」という、ポップナンバーもバッチリ。

 

さらにさらにバラードの出来まで隙なし。この上なく儚く綺麗なピアノの音色を武器に、哀愁ダダ漏れのヴォーカルメロディーで胸の奥を鷲掴みにするM10「FANTASIA」なんかは、本作最高峰の美しさを誇る楽曲。

 

そんな粒の揃いすぎな名曲の乱打を経て、堂々のラストを飾るM14「浄化」。J-PUNKにカテゴライズされるバンドが描けるドラマチックさの限界点と思える、劇的極まるミドルチューンで圧巻のクライマックスを演出する。シンガロングパートからなだれ込むラスサビなんか、いつ聴いても身悶えしてしまいたくなるほど素晴らしい。

 

ギターの歪みがややノイジー気味で粗いとか、ドラムをはじめ全体的に音が軽いなど、これまでの作品から受け継がれてきてるマイナス点もあるにはあります。演奏もそこまで目立った技巧を発揮してくれる訳でもないです。

 

しかし、そういった要素を「哀愁のメロディー」というほぼ一点だけで(実際にはそれを活かす声質のヴォーカルやバッキングのアレンジとかありますけど)カバーしきり、ついにはジャパニーズ・エモコアの傑作と呼ぶにふさわしい作品に仕上げてしまった、ある種ストロングスタイルな作品。

 

エモコアという音楽において、メロディーがどれだけ重要な要素であるのか、改めてわかるアルバムと言えます。

 

 

個人的に本作は

"「哀愁のラスアラ」の決定盤。叙情美メロを愛するなら心して聴け!"

という感じです。

Last Alliance 『UNDERGROUND BLUE』

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  • 疾走感減退、ポップさ増強
  • 明るさの中に滲む切ない哀愁が気持ちいい
  • アルバムを代表するキラーチューンが強い

 

1st『TEARS LIBRARY』にて、早速ジャパニーズ・エモコアの名盤を生み出せることを証明したLast Allianceの、そこから1年半ぶりとなる2ndフルアルバム。

 

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本作においてもまた、彼らの大きな武器である叙情性あふれるメロディーを主軸とし、良質な楽曲を多く収録している力作になっていますが、前作とはやや趣が異なる。

 

前作は1〜2分程度で終わるショートチューンも目立つ、エモと同時にパンキッシュな印象も強い作風でしたが、本作はそんな勢いをだいぶ削ぎ落とし、歌を聴かせる叙情日本語エモ路線をかなり強化しています。

 

何しろ収録された14曲中、メロコア的爆走を見せる楽曲はM12「TRUTH IN MY ARMS」のみ。残りは多少テンションの振れ幅はあれど、ミドルテンポの曲が大多数を占めるアルバムになっているのです。

 

Last Allianceといえば哀愁度抜群のメロディーと、スピーディーな楽曲の高揚感の折衷具合が魅力のバンド。その魅力のうちの一つである疾走感がほぼほぼ失われてしまった本作は、彼らのアルバム群の中で見るとやや地味な位置にあると言えるかもしれません。14曲60分という収録時間の長さも相まって、少しダレを覚えてしまうのも確か。

 

しかしそうは言っても、そこはさすがにLast Alliance。やはりそのメロディーの良さには非凡なものがあり、スピード面の起伏が小さくても、しっかりと聴かせ通せる良質なメロディーが溢れています。聴いていて気持ちが晴れ渡るような、ポップな楽曲の応酬がとっても心地よく響きます。

 

全体的に明るさ重視と思われる本作のメロディーの質ですが、前身バンドのS☆CREATERSとBERMUDAの時点で、『哀愁メロコア』というド直球なタイトルのスプリットを出していただけに(笑)、メロディーの哀愁という要素には一際のこだわりがあるのでしょう。決してただ能天気に明るいだけでない、湿った叙情性を常に湛えている。

 

M1「South Wind Knows」は本作のポップで切なく爽やか、という本作の方向性をまさに象徴しているし、M3「ソリチュード」やM9「GREENS SUNLIGHT」のサビなどは、これぞポップなラスアラの真骨頂と言いたくなる珠玉のメロディー、Aメロの時点から非常にキャッチーな歌で展開するM5「One Hot Second」、アコギの美しい調べと強烈に泣いた歌メロの相乗効果で哀愁バリバリのM10「置き去りエース」など、メロディー方面に妥協は一切なし。

 

そして本作を代表するキラーチューンが、アップテンポでハード寄りのロックチューンでありながら、マイナーキーのキャッチーさが実に強烈なM11「ラッキー・ルチアーノに射たれる前に」、前述の唯一の疾走曲であり、シンガロングとサビの熱く切ないメロがカッコいいM12、そしてラストを締め括るにふさわしい劇的なメロで彩るM14「Letter」ですね。特にM14は彼らのアップテンポなエモコアチューンの中でもトップクラスの出来だと思うのです。美しく悲しいサビの入りは鳥肌モノですよ。

 

1stに比べると疾走感と悲哀さが薄れ、明るめのミドルテンポエモが大半を占める作風となり、バンドサウンドの勢いや泣きに泣いた激情を求めると、若干肩透かしを喰らうかもしれないアルバム。しかし前述したようにメロディーの質自体は変わらず高く、目立ったキラーチューンも内包しているため、アルバムの完成度はやはり並じゃない。

 

パンク的な派手さは無くとも、バンドの強みをしっかりと発揮できる味わい深いアルバムと言えるかも。ポップで美しいメロが聴きたいならばぜひ。

 

何故かは分かりませんが本作はサブスク配信されてないっぽいので(少なくともSpotifyにはなかった)、聴きたかったらみんなCD買おうね(笑)

 

 

個人的に本作は

"疾走感はほぼ消失するも叙情性抜群のメロディーで聴きごたえを生み出す、歌メロ重視のポップエモコア"

という感じです。

Last Alliance 『TEARS LIBRARY』

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  • 1stの段階でバンドらしさは完成形に
  • 全アルバム中特に強いメロコア要素
  • ポップと哀愁の理想的バランス

 

2013年より一切新作を発表せず、年に数本のライヴを行うのみという開店休業状態に陥ってしまっている、日本の4人組エモコアバンドの1stフルアルバム。

 

なぜ活動を再開させたニュースがあるわけでもないこのタイミングで、2003年のアルバムについて取り上げたかというと、単にこのブログの自己紹介記事にて「好きなバンド・アーティスト」に名前を挙げたにもかかわらず、現在までにCD感想をミニアルバム1枚分しか書いていないことに気づいたからです。なんか書かねえと。

 

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もともと別バンドでキャリアを積んでいたメンバーが集ったため、結成して1年ほどしか経っていない状態での初のアルバムでありながら、この時点で音楽性も確立しており、楽曲のクオリティーも非常に高い。タイプの違うツインヴォーカルが立ち代わり、青く煌めく強烈な哀愁をアップテンポで歌い上げ、駆け抜ける。

 

叙情性抜群のエモを基調としつつ、メロコアらしいハードさを併せ持ったサウンドの快感は凄まじく、どの曲にもフックあるメロディーがあり、それでいて必要以上におとなしくなることなくパンク的疾走をも武器にしてしまっている。興奮しながら泣ける、そんな音楽性です。

 

M1「Boys Don't Cry」から、早速かなりポップなフックを持ったサビ、透明感あるリードギターの響きが聴ける良質エモ。淡々としたAメロの出だしから盛り上がりを見せ、大きくスケールアップを図るサビの開放感が最高!

 

そこからより焦燥感、哀愁度を増した歌メロに酔いしれることができるM2「Run Into The Freedom」、イントロのアコギの旋律からすでに切なさMAXのM3「偽りのオレンジ」、そしてバンド名をタイトルに冠した、強烈な泣きを帯びた極上の哀愁メロを纏って突進する超キラーチューンM4「Last Alliance」という容赦なき流れで絶頂を迎えます。

 

この後M5「Rebel Fire」、M6「Beautiful」という彼らとしては普通のメロコア色濃い楽曲で、哀愁よりも疾走感に重きを置いた時間を作る。特にM6はHawaiian6の明るい曲みたいな雰囲気を持ったナンバーで、後期の彼らではなかなかやりそうにない曲調なだけに、今となっては逆に新鮮かも。

 

そこからポップサイドを強調した(もちろんカラッとした雰囲気ではなく、彼ららしい叙情美を活かしたもの)爽やかエモのM7「プラネタリウム」で、再びラスアラ流哀愁サウンドへ。本作中特に泣いた激情疾走ナンバーM9「Sky Is Crying」を筆頭に、どの曲も押し並べてメロディーの質が高く、改めて彼らのメロディーメーカーとしての才能に圧倒されるな...

 

1stの時点で普通のポップロックメロコアとは明らかに一線を画する極上美メロを聴かせることに成功している傑作。以降のアルバムと比べるとメロコア要素が強いのも、1stアルバムらしい衝動の強さをプラスしていていい感じです。

 

バンドサウンドはハードであるものの、やや隙間が多いというか、軽めに感じられてしまうので(これは基本的に本作だけでなく彼らのアルバムの多くに当てはまる)、ずっしりとしたラウドミュージック好きには受けないかもですが、哀愁に満ちた美メロを求める層には、きっと何か引っ掛かるものがあるはず。

 

 

個人的に本作は

"ポップ&哀愁満載美メロに、メロコアらしいストレートな疾走感を掛け合わせた、ハイクオリティーエモ"

という感じです。