ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

DIR EN GREY 『PHALARIS』

  • 深淵・特濃な音世界を描き出す
  • 概して難解、前作のわかりやすい突進力は控えめ
  • バンドの描く世界観に深く浸るように聴こう

 

V系という枠を超え日本が世界に誇る...なんて枕詞ももはや聞き飽きた感のある、国産ヘヴィロック/エクストリームメタルバンド・DIR EN GREYの、前作『The Insulated World』より4年ぶりとなる11thフルアルバム。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

ここ最近の彼らは、営業終了前の最後の新木場STUDIO COASTのアクトを飾り、全音源のストリーミング配信を解禁したり、今年結成25周年というメモリアルな年であるため、ファンたちにライヴで聴きたい曲を投票形式で募る「DIR EN GREY楽曲バトル!」という企画でTwitter上を賑わせたりと、海外でのライヴができない中でも印象的な活動を続けていました。

 

このDIR EN GREY楽曲バトル、ファンに下手に媚びずに孤高の存在感をアピールしてきた彼らにしては、「らしくない感」は感じてたものの、ちょいちょい自分の好きな曲に投票してました。やはりファン層はバンギャの人が多いからか、自分が好きなエクストリームな楽曲よりも、初期のヴィジュアル系色の濃い曲が選ばれやすかった感じでしたが。

 

songbattle2022.direngrey.co.jp

 

ちなみに意外なことに、この企画の最初の発案者は京さんなんだそうです。一番そういうのやらなそうな人だと思ってました。京さん曰く「ファンに対して『となりのトトロ』で男の子が傘を貸してくれたときみたいなヤツをやった」とのこと。トトロ、ちっちゃいときに見たことある気がするけど、お話の内容なんにも覚えてないな...

 

そんな企画を挟んで、満を持してリリースされた本作。タイトルのファラリスとは、古代ギリシャの拷問器具「ファラリスの雄牛」から来ており、ジャケットもそれそのもの。なんでも黄銅製で中が空洞の雄牛の像で、その中に人を閉じ込めて雄牛の腹下に火を焚き炙り殺す、というなかなかエゲつない代物らしい。中の人間の苦しみに満ちた声は、雄牛の口を通して周りの人間にしっかり聞こえるのだとか。悪趣味すぎ。

 

ちなみに僕がこのファラリスの雄牛という器具を初めて知ったのはアニマル連邦です(笑) 後日、本作のリリース情報が流れたとき「アニ連のやつじゃん!」と思ったものです。

 

 

まあアニ連どうこうは置いといて、本作の内容について。前作がハードコアパンク的な荒々しいアグレッションが目立っていたのに対し、本作はそこまで勢い重視ではない。ブラストビートが飛び出たり、DIR EN GREYらしいキレたヴォーカルパフォーマンスで疾走する曲もありますが、全体通して暗く、重く、深淵な世界観を広げていくかのよう。

 

レコーディングのエンジニアは、BULLET FOR MY VALENTINEやSTONE SOURなどの名バンドたちを手がけた人物らしく、彼らの音楽性の要でもあるヘヴィさはしっかりとキープ。ヘヴィロックとしてのサウンドのパワーは担保されているので、そこまで落ち着いた印象もありません。

 

先行シングルとなったM6「落ちた事のある空」が、癖の強いプログレッシヴな楽曲ということもあってか、概して難解で掴み所のない(というか見つけるのが難しい)アルバム。前作、前々作に比べて初聴でグッと魅力が掴める瞬間は少なめですね。エクストリームで勢いある楽曲が少ないのもその印象を強めています。

 

彼らならではのドロドロとした暗さ、陰鬱なまでの世界観は特濃。全11曲と数字だけ見ればコンパクトながら、一切軽さを感じさせない楽曲作りはさすがの一言で、この世界観に魅せられた人ならずっとずっと聴き浸っていられそうな深さがある。

 

何せアルバムのスタートを飾る楽曲M1「Schadenfreude」は、美しいアコギで始まったかと思えば、京さんならではのグロウル、金切りシャウトを交錯させた狂気的ヴォーカル、疾走パートも静寂パートも織り交ぜて、10分近くに渡ってDIR EN GREYの世界が繰り広げられるのです。最初から要素全部盛りって塩梅で、とにかく濃い。"行けども地獄か"のシンガロングがインパクト絶大。

 

他にもブラストビートとシンフォニックサウンドの融合により、ブラックメタルじみた美醜の世界を描くM3「The Perfume of Sin」、変幻自在に表情を変え、人を食ったような奇妙な歌い回しが全開になったM7「盲愛に処す」などで、さらにトリッキーな印象へ。

 

そんな中、本作中際立ってとっつきやすいキャッチーさを描き出すM2「」に、ずっしりとしたヘヴィなサウンドは健在ながら、どこか「美しい」という形容が似合うメロディーを劇的に歌うM4「13」あたりはかなり聴きやすく、こういった即効性のある(あくまで比較的に)曲が挟まるおかげでメリハリもついている。

 

ラストを飾るM11「カムイ」は、これまた9分以上ある大作ですが、M1のようにありとあらゆる展開で翻弄するようなことはせず、アコギを効果的に用いて裏寂しく淡々とした音を展開。終始落ち着いていて、ある種バラードと呼べる曲だとは思うのですが、温かみのある叙情性は皆無で、概して冷たく、そして不気味。

 

僕は基本的にはわかりやすくキャッチーな楽曲が好きなタイプのため、本作はやや敷居が高いのですが、リスナー側に媚びず、ここまで徹底して自身の世界を表現する彼らのスタンスはやはり素晴らしいものだなと。とにかく暗く、そして濃い作風なので、しっかり腰を据えて聴きたくなる一枚です。

 

まあ、本音を言えばもう少しわかりやすいと嬉しいし、美しさと暴虐性を併せ持ったキラーチューンがあるとなお良かったんですけどね。

 

ちなみに自分が買ったのは2枚組の初回盤で、「mazohyst of decadence」「ain't afraid to die」のリレコーディングが収録されたボーナスディスク付き。ヴォーカルのV系らしい癖が和らいでいて、僕としてはだいぶ聴きやすくなりました。

 

 

個人的に本作は

"わかりやすいアグレッション以上に、暗く難解な印象を与える一枚。バンドの世界観がより濃く、より深く表現されている"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

Suspended 4th 『Travel The Galaxy』

  • 路上ライヴの雄による待望の1stアルバム
  • 技巧と勢いを兼ね備えた演奏力が最大の武器
  • ライト層に聴きやすいキャッチーな歌も完備

 

名古屋の路上ライヴから実力を磨き、武者修行と称したロサンゼルスでのライヴも経験した実力派ロックバンド・Suspended 4thの記念すべき1stフルアルバム。

 

まだ全国流通盤すら出していない段階で、YouTubeにアップしたMVが話題を呼ぶなど、早くから注目されていたようですが、2019年になってPIZZA OF DEATH RECORDSからミニアルバムをリリース。そこから3年の時を経てようやくフルアルバムが完成しました。

 

正直このバンドがPIZZA OF DEATHからデビューするということを知ったときは、バンドとレーベルのイメージにだいぶ差があり、うまくバンドのカラーが伝わるのかな?なんて思ってましたが、まあちゃんとした音源がしっかりリリースされさえすれば、レーベルがどこなのかは(いちリスナー視点では)特に重要な点ではない。

 

さて、そんな1stアルバムとなった本作ですが、ただ一言「カッコいいロック・アルバムだ!」とだけ言っておきます。

 

現在の日本の音楽シーン(個別のジャンルごとのシーンではなく、ライト層まで含んだ全メジャーシーン全体)は、TikTokなどのSNSでバズった音楽がヒットソングとなり、必然的にSNS映えする音楽が流行しやすい傾向にあるかとは思うのです。なんでもZ世代と言われてる若い人たちは、サビにいたるまでが長かったりするAメロ、Bメロ、インストパートを飛ばして聴くことが多いのだとか。まあ、この手の話はニュースサイトがアクセス数を伸ばすために、大げさに切り取ってる可能性が高く、ホントにみんながみんなそうなのかは眉唾物だけど。

 

しかし本作に込められた音は、そんなトレンドには意に介さず、演奏家としてのエゴを炸裂させた技巧がバチバチに飛びかかってくる。スラップを交えたベースラインは蛇行するように捻じれまわり、ノイジーな歪みをかけたギターは硬質な刻みと共にソロを弾き倒す。ドラムはそんな暴れまわる演奏を的確に支えつつ、時には自身も怒涛の打音数をブチまける。

 

そのサウンドに乗っかるヴォーカルは、ドスが効き、やさぐれた雰囲気をまといながらワイルドに歌われる。この声がまた、変にお行儀の良さを感じさせなくて、ロックバンド然としたカッコよさを演出してくれるのです。

 

デビュー作となったミニアルバム『GIANTSTAMP』と比べて、本作は全体的に歌メロのキャッチーさが増していて、歌モノのロックとしてよりストレートな印象に仕上がりました。テンポも全体通して速めですね。

 

やや玄人好みのサウンドから離れた感じで、このことを残念に思う人ももしかしたらいるのかもしれませんが、僕としては高いミュージシャンシップに裏付けられた演奏の圧をまったくレベルダウンさせないまま、聴きやすい方に進化してくれていて好印象。あまり演奏に重きを置かないライト層にも魅力が伝わるはず。

 

バンドの強みを損なわないまま聴きやすさを増した、その最たる例がM4「Shaky」。非常にキャッチーでクールなサビを持ち、疾走感も抜群ながら、バックで流れてる演奏は超テクニカルでバッキバキ。ベースどうなってんだこれ。彼らの超強力な演奏を楽しみたいリスナーも、シンプルな突進力で暴れたいキッズも、両方の欲求を満たすことができるハイブリッドなキラーチューン。

 

M1「トラベル・ザ・ギャラクシー」や、M8「HEY DUDE」、M10「ANYONE」のようにキャッチーな側面を押し出しつつ、勢いに満ちたロックでテンションを上げ、中盤にあるM5「Venetzia」〜M6「Berry」の流れは、ジャジーなムードやアダルトテイストを盛り込み、勢いがあるだけのバンドではないことを見せつける。

 

M13「Tell Them」は、ドラムのデニスさんがヴォーカルをとって、ソウルの要素にゴスペル的なバッキングも取り入れた、あまりにも異色な楽曲。他とはカラーが違いすぎるので、ややボートラ的な側面があるのは否めませんが(本人たちにもそういう意図があるかは不明)、彼らの音楽的レンジの広さをアピールするのに十分なナンバー。

 

M8「BURN」は、なんとDEEP PURPLEの同名曲のインストカバー(今の時代、パープルをカバーする若手バンドが他にいるだろうか)。ハードロックも通ってきたというメンバーの遍歴を示すと同時に、彼らのダイナミックな演奏力が全開になっており、単純にカッコいい。サビにあたるギターはもう少し迫力があっても良かったけど。

 

2022年現在、ここまでロックバンドしてる音源が果たしてどれだけ受け入れられるのかはわかりませんが(少なくともティーンには絶対ウケないでしょう笑)、「最近は日本から良いバンドが出てこないみたい」なことを言いたがる人にまず聴かせたいアルバムですねこれは。

 

PIZZA OF DEATH所属のバンドとしては間違いなくトップレベルであろう技巧、変に日和らないワイルドなヴォーカル、ロックとしてのカッコよさをバッチリ描き出す楽曲。現代のジャパニーズロックを聴く上で、彼らを無視することはもうできないのでは。

 

 

個人的に本作は

"超絶技巧のアンサンブル、よりキャッチーな色を増した歌による、ロックバンド然とした音楽表現"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

THE HALO EFFECT 『Days Of The Lost』

  • 初期〜中期IN FLAMESサウンドを継承
  • ミドル〜アップテンポ中心でやや無難な出来か
  • エスパーのリード炸裂のキラーチューンあり

 

その存在が発表されるやいなや、メロデスファンを中心に、メタルシーンを沸かせに沸かせたスーパーグループの1stフルアルバム。本作と同日にARCH ENEMYの新作も発売されるというのですから、メロデスファンにとっては快哉を叫びたくなること請け合いだったでしょう。

 

慟哭ギターの元祖的人物、イエスパー・ストロムブラードをはじめ、IN FLAMESに関わった人物たちで構成された、メロディックデスメタルバンド。先日のDownload Japanでのライヴも記憶に新しいですね。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

個人的には今のIN FLAMESも好きなのでそうは思わないのですが、大方のメロデスファンとしては、「これこそが真のIN FLAMESだ!」ってくらいの熱量で迎えており、いかに慟哭メロデスとしてのIN FLAMESが日本で支持されているのかがわかります。

 

そんな本作の出来ですが、『Whoracle』〜『Clayman』あたりの、メタルとしての整合感を増して、かつ叙情的なリードギターが支配的だった頃のサウンドを彷彿とさせるもの。『Lunar Strain』で歌っていたミカエル・スタンネがヴォーカルとはいえ、1stの頃のようなアンダーグラウンド臭プンプンのデスメタルにはなっていません。

 

「Embody The Invisible」のようなわかりやすく抜きん出たキラーチューンこそありませんが(しいて言えばM8「Feel What I Believe」かな)、ミドル〜アップテンポナンバーを中心に、適度にアグレッシヴ、ヘヴィな叙情リフで押し進み、ここぞというところでイエスパーの真骨頂たるリードギターが鳴り響く。これぞイエテボリサウンドの真髄よ!

 

そんなサウンドに絡むミカエルのヴォーカルは、さすが「世界一美しいデスヴォイス」なんて称されていただけに、しわがれたような独自の味を誇り、耳への馴染みが気持ちいいですね。哀愁叙情デスメタルによくマッチした歌声。

 

ただ、出だしからハッとさせられるようなインパクトの強い楽曲は、前述のM8など一部のみであり、全体的にはやや地味め。デスメタルとしては少々落ち着いた無難な印象が強いのも確か。一番のキモはメロディックなギターなので、そこがしっかりしてればさほど気にはなりませんが、もう少しエクストリームな勢いがあったほうがハマったかな。

 

M1「Shadowminds」こそ、オープニングトラックとしては地味な楽曲ながら、ピックスクラッチからの必殺リードギター、メロディックな旋律を損なわないリフが堪能できるM2「Days Of The Lost」、より哀しみを湛えたエモーショナルなイントロに、疾走感ある出だしで勢いを見せるM3「The Needless End」、低音部をバキバキに這うベース、叩きつけるドラムに合わせてザクザク進み行くリフが実にメロデス的旨味を放つM4「Conditional」という、前半の流れは非常に聴いてて気持ちいい。

 

前半の流れが良いだけに、中盤ちょっとインパクトが弱く感じられる瞬間もありますが、どの曲にも湿った哀愁は常に保持していてじっくり染み渡るように聴き通せる。M6「Gateways」のギターソロなんて、哀愁リードの見本みたいな出来です。

 

そんな中で、不意に本作随一のキラーであるM8が来て、後半にかけてグッと緊張感が増す構成も嬉しい。その後の激情リフに次ぐ激情リフの連打がたまらんM9「Last Of Our Kind」もイイ。

 

僕個人の好みからすると、ヘヴィメタルとしてのダイナミズムと攻撃性を強調しているARCH ENEMYの新作の方がツボにはハマりましたが、このメロデスでしかなし得ない哀感を求めているリスナーは、やはりこのサウンドこそが求めているものでしょう。由緒正しきメロディックデスがここにある。

 

全体通してちょっと無難になりすぎな感はあるので、次作があるのだとすればもう少しエクストリームメタルとしての疾走感やアグレッションを出してくれると嬉しいかな。

 

 

個人的に本作は

"かつてのIN FLAMESが描いた、イエテボリスタイルのメロデスを現代に伝えるサウンド。少々地味ながらもイエスパーらしい叙情ギターはたっぷり"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

ARCH ENEMY 『Deceivers』

 

前作『Will To Power』から5年ぶり、割とコンスタントにアルバムを作る彼らにしては長めのインターバルを経て発表された、ARCH ENEMYの11thフルアルバム。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

リリースサイクルが遅れたのはやはりコロナの影響が大きかったようで、各人が対面しての制作にこだわっているという彼らのレコーディングは、なかなか難航したそう(ジェフ・ルーミスのギターのみリモートらしい)

 

まあ、年齢を重ねるごとにどんどん時間の流れが加速してきている僕としては、むしろ「えっ、もう前作から5年も経ってんの?」って感じているのが恐ろしいところなのですが...(笑)

 

さて、ヴォーカリストにアリッサ・ホワイト・グルーズが加入しての3作目。基本的には近年のARCH ENEMYらしい、ギター中心のエクストリームメタル。これまで名作をたくさん出してきた彼らのこと、本作のクオリティーには何の心配もしてませんでしたが、期待通りの強力な楽曲が並びます。

 

ただ本作においては、ここ近作から感じられていたメロディックデスメタルらしさの希薄化がまた一歩進んだように感じられる。オープニングトラックであるM1「Handshake With Hell」がその最たる例ですね。

 

メロデス的な慟哭リフや泣きのギターを抑え(サビ裏ではガンガンリード鳴らしてますが)、ヘヴィでアグレッシヴな色を濃くした演奏を主軸とし、メロディー面はアリッサのクリーンヴォーカルにて表現。誤解を恐れずに言えば、メタルコア的と言っても差し支えない曲調であり、正直最初聴いた時は「ARCH ENEMYらしくないな」と思いました。

 

しかし怒涛の如く畳み掛けるリフの嵐に、ダイナミック&メロディックなサビ、キモであるアリッサの見事なヴォーカルワークが合わさり、ドラマチックな展開を見せる楽曲は、らしい・らしくないなんてことがどうでもよくなるほど魅力的。サビ終わりの"A lobotomy!"のフレーズの気持ちよさにすっかりヤられてしまうことに。

 

この曲以外においても、いわゆる北欧メロディックデスメタルと呼ばれるような寒々しい叙情リフは無く、かつての『Rise Of The Tyrant』『War Eternal』のようなアルバムほど、際立ってリードギター大盤振る舞いという出来でもない。

 

ヘヴィに叩きつけられるリフと高速ソロ、そのギターをガッチリと支えるリズム隊、獰猛なヴォーカルの畳み掛けは、もうメロデスというよりも、CDの帯にある通り「アグレッシヴ・ヘヴィ・メタル」という形容が方がふさわしいとすら言えるかも。

 

これまでCDに収録されていたボートラのカバー曲は、ある程度ARCH ENEMYらしいエクストリームメタルの体を保っていたものの、本作収録のPICTUREのカバーM12「Diamond Dreamer」は、全編クリーンヴォーカルにて歌い上げられ、完全に正統派メタルとなっている点からも、"脱メロデス"の印象が強くなってます。

 

この点をして、純粋なメロデスリスナーとしては面白くないと感じるかもしれず、同日発売のTHE HALO EFFECTのアルバムに興味を持っていかれるかもしれないですね。しかし、僕としては正統的&攻撃的なヘヴィメタルとしての魅力をきちんと提示してくれている本作は、十分以上に評価に値するもの。

 

先行公開されたMVでグッと新作への期待を高めてくれた疾風怒濤のM2「Deceiver, Deceiver」、それにも負けないほどの疾走感(中盤のスローダウンはちょっといただけないが)と、アグレッション満載のリフに圧倒されるM4「The Watcher」、特にメロディーにメランコリックな叙情性が強くブレンドされたM5「Poisoned Arrow」など、楽曲のクオリティーの高さは折り紙付き。

 

確かに個人的にも、このバンドについてはもっとメロデスメロデスしてほしいとは思うし、マイケル・アモット特有の強烈な泣きのギターをもっと導入して悶絶させてほしいという気持ちはあります。本作においては力で押すリフの魅力は強いですが、リードギターについてはやや足りない印象があるので。

 

しかし、それでも僕としては、本作もまた良作であることは認めざるを得ないな!ジャンルの枠を超えて描き出される、アグレッシヴなヘヴィメタルのカッコよさが詰まった一作です。

 

 

個人的に本作は

"メロデス的な泣きはやや薄まり、「アグレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンド」の呼び名により近づいた獰猛な一作"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

9/9 BAND OF FOUR -四節棍- at ぴあアリーナMM

ド平日にも関わらず、大きな規模の4マンライヴへと足を運んできました。10-FEETBRAHMANマキシマム ザ ホルモンELLEGARDENという4バンドの共演です。

 

昨年末にこのメンツからBRAHMANを除く3バンドで、Reunion TOURを実施したのは記憶に新しいところ。もちろん僕もそのライヴ自体に興味はありましたが、激化必死のチケット争奪戦に参加するほどのモチベーションまでは沸かず、ひととおりスルーしてしまっていました。

 

しかしここにBRAHMANが加わってくるとなると、だいぶ話は違ってくる。

 

このブログでは過去に何度もBRAHMANへの偏愛は語ってきたつもりですし、彼らのライヴは何度観ても素晴らしいもの。このライヴが発表された段階で要注目だな、と目をつけていたのです。

 

そして運の良いことに、最初のチケット選考の段階でアリーナ席のチケット確保に成功。かなりの倍率の高さが予想されるだけに、8月のROCK IN JAPANと合わせて、今年のチケ運はほぼほぼ使い果たしてしまったかな〜。

 

仕事が立て込んでいる時期ながら、この日のために早い段階で有給は取っており、当日の定例会議や昨日からの残作業諸々を先輩社員にまかせ(こういうときに融通が効くように普段ちゃんと仕事をしてるのだ)、1日中フリーな状況を作り出してから、余裕を持って会場となるみなとみらいへGo。

 

会場はぴあアリーナMM。2年前に開業したばかりの新しい会場。本来であればその年の5月に行われるIRON MAIDENの「LEGACY OF THE BEAST TOUR」で始めて足を踏み入れるはずだったのだがねぇ...(泣)

 

入場時間は16時過ぎなのですが、それよりも1時間以上前に会場に到着。ここまで早く会場入りしたのは、物販にも足を運びたかったのはもちろん、ライヴ前に飯を食いたかったからに他ならない。

 

今回は会場にキッチンカーが用意されており、「マツコの知らない世界」に朝ラーメン特集でゲスト出演し、ラーメン大好きアイドルとしてもデビューした、BRAHMANのドラマーRONZIさんが制作に携わったらしいラーメンが食えるとのこと。これはチェックしないわけにはいきません。

 

 

文字面的にはピリ辛ガーリックバターバクダン味噌ラーメンの誘惑がエグかったですが(ガーリックバターって言葉の響き、最高に美味そうじゃない?)、バンド名を冠した「スタミナブラフメン」をチョイス。醤油ベースのスープと野菜のパンチが効いてて美味い!900円にしちゃボリューム不足でしたが、まあこれはこの手の飯の宿命のため仕方があるまい。

 

物販に行ってBRAHMANのTシャツ1枚を受け取り、みなとみらいをプラプラしながら時間を潰して入場。ズラズラと並ぶ列に紛れて入場し、さっそくアリーナへと入る。比較的新しい会場だけあり、非常に綺麗で良い設備だと感じました。

 

今回のアリーナブロックは、ステージから近い順にA〜Dまで別れていて、最速でチケットゲットに成功した僕はAブロック。この手の大規模会場のライヴで、ここまで席に恵まれたるのはなかなか稀有なこと。

 

せっかく前の方に行けるのだからと、Aブロックの真ん中あたりに入ろうかと思ったのですが、僕が入ろうとしたその時、スタッフが「ハイ、この時点でこのブロックの入場はここまでとさせていただきまーす!」と、真ん中のブロックの入場規制をかけるという非情な行いに手を染めやがりました。ファックである。

 

内心「詰めりゃもっと入るだろ...」とブツブツ文句を垂れながら、ステージ上手側のブロックの方へ入る。しかしこの選択が良い効果を生むことになりました。

 

上手側ブロックはまだまだ人が少なかったこともあり、左端の方まで移動することが可能。そしてブロック間は、スタッフやカメラマンが通れるようにスペースが作られているため、目の前に視界を遮る人がいないという状態に。

 

これにより、人混みによりステージが見にくくなるということとは無縁の、超良好な視界を手に入れることに成功。肉眼でバンド全体の姿をバッチリ視認できる位置取りができたのです。もしすでに人がいっぱいの真ん中のブロックに入っていたら、ここまでクリアな視界にはならなかったことは想像に難くない。先程入場規制をしたスタッフに、心の中で謝ったものです。

 

 

10-FEET

最初に登場するのは、今年結成25周年を迎える10-FEET。今回のメンツ唯一の3ピースバンドです。

 

ステージ上でMCを担当するラジオDJ大抜卓人さんの紹介から暗転し、ドラクエのSEとともにメンバーが登場。ライヴでもおなじみとなっている「goes on」「RIVER」という流れでスタート。ド頭から鉄板の楽曲の続け様に投下する開幕で、早速大きな盛り上がりを生む。

 

「なんや今日のメンツ!同窓会か!仲良いヤツしかおらん!」とTAKUMAさんは叫んでいましたが、楽屋での楽しい雰囲気をステージ上でも引きずっているのか、程よく肩の力が抜けているのが、観た感じからも伝わる。

 

「RIVER」のラスサビ前にはスマホのライトをつけさせウェーブを作らせたあと、ドラムのKOUICHIさんを巻き込んでちょっとした寸劇したり、「全員座れ!」と叫んでオーディエンスを座らせた後、ジャンプさせずに「立って」とだけ指示出ししたり、彼らのコミカルな部分が強調されていました。楽屋での同窓会テンションがそうさせているのか。

 

とはいえライヴに緊張感が無いかといえばそうでもなく、ヘヴィなミクスチャーナンバーでは堂に入ったデスヴォイスで押し切り、「その向こうへ」では、お決まりのNAOKIさんの空中キック(?)も飛び出し、会場のうねりと熱量を底上げ。

 

中学3年の頃に聴きまくってた『Life is sweet』からの「」は、当時の感覚を思い出して、ちょっとセンチな気持ちになったし、「CHERRY BLOSSOM」では、恒例のタオル投げにも参加できました。昔のBRAHMANのツアータオルなので、失くさないように軽〜く飛ばすのみでしたが。


TAKUMAさんのヴォーカルは全体通してだいぶ荒れ気味で、ちょっと喉が心配になりましたが、まあダミ声が彼のトレードマークですし、このバンドはガムシャラな雰囲気が魅力に繋がるタイプだから、これくらいのヴォーカルでちょうどいいのかも。

 

 

BRAHMAN

2番手は個人的お目当てのBRAHMAN。登場SE「お母さん、お願い」が流れると、先ほどの10-FEETではバンドロゴが映されるのみだったバックスクリーンに、イメージ映像が流れる。

 

一発目は静かな出だしからドラマチックに盛り上がる名曲「A WHITE DEEP MORNING」。バックの映像は以前の「Tour -slow DANCE HALL-」時のものでしたが、さすがに垂れ幕やスモークの演出はなかった。しかしそれでもこの曲のラスサビにおける激情に何ら陰りはない。

 

こちらとしてはもちろんモッシュ・ダイブはできないわけですが、バンド側のパフォーマンスはかつてのものと変わらない。「賽の河原」ではおどろおどろしい映像がスクリーンに映され、フロント3人が四肢をフルで躍動させる。MAKOTOさんがベース弾きながらジャンプした瞬間、着地してしゃがんだあとしばらくそのままの姿勢だったので「足怪我したりしてない?」とちょっと心配してしまった(笑)

 

スロー曲主体のライヴでは聴けなかった「SEE OFF」「BEYOND THE MOUNTAIN」という鉄板の並びを久々に堪能でき(自分がいる上手側までTOSHI-LOWさんが来てくれて興奮)BRAHMANお得意のノンストップ疾走曲連打が展開される。

 

今回は昔なじみのバンドたちの共演ということもあるのか、中盤は初期曲が固まっているセットリストとなっており、「CHERRIES WERE MADE FOR EATING」「THERE'S NO SHORTER WAY IN THIS LIFE」の二連打が熱かった!特に「THERE'S〜」はライヴDVDでしか観たことなかったので、ここで聴けたのは嬉しいところ。

 

ELLEGARDENとの共演ということで、絶対にやるであろうと思っていた「今夜」では、"次はもっとそばにおいで"というフレーズに合わせるように、細美さんが登場。歌い上げた後にTOSHI-LOWさんと熱い抱擁を交わして、盟友っぷりを見せつける。細美さんファンの女の子嫉妬してない?

 

ラストは「Slow Dance」からの「真善美」。BRAHMANならではの民族音楽+ハードコアの激情、およびオーディエンスに訴えかけるラストはあまりに劇的で、落ちたマイクの衝撃音がしばらく響き渡る会場の中、しばし余韻に浸っていました。この圧巻の幕切れこそがBRAHMANの真骨頂。

 

 

マキシマム ザ ホルモン

MCの大抜さんによる、「海外のツアーに行った際、リハで使ったスタジオの隣にマリリン・マンソンがいて、クルーに「隣のヤツら音がデカい」と言われた」「KNOT FESTに出演した際、舞台袖でSlipknotのメンバーが「Crazy man!」と呟いていた」という、なかなかイカしたエピソードを伝えたあと、お馴染みのSEに乗って登場。先日のROCK IN JAPANと同様に、亮君はちん毛を抜いて息を吹きかけて飛ばすジェスチャーをしてる。

 

本日最もヘヴィな音を鳴らすバンドだけに、出音の迫力は随一。最初の「maximum the hormone」の段階から、オーディエンスをヘッドバンギングの渦に巻き込む。

 

演奏面、およびヴォーカル面でも非常に安定感がありましたが、ダイスケはんのデスヴォイスは大半が高音主体のシャウトになっており、若干耳が痛くなりそうだった。まあ彼は「キャーキャーうるさい方」なのでこれが正しい姿ですね。

 

今回セットリストがかなり嬉しいことになっており、何気にライヴでは初めて聴けた「ハングリー・プライド」も良かったのですが、なんと言っても中盤の「恋のスウィート糞メリケン」「ROLLING1000tOON」「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ」というかつての名曲三連打が超強烈。声が出せる状況だったなら糞メリケンでナヲさんパートを合唱したかった。

 

そして何よりのポイントは後半。普段ライヴのMCをしない亮君が「シャべレルヨウニナッタヨー!」とアピールしてMCに参加した点。ライヴDVDで見た姿を含め、彼らステージ上である程度の尺を話しているのは初めて観ました(上ちゃんは恋のメガラバツアーファイナルでしゃべっているのをDVDで見た)

 

内容としては「細美君って見た目はカッコいいし、あの才能があって、それでいてもしチンチンが可愛らしかったら、それはそれで好感度上がるでしょ?だから、仲良くなった時にチンチンの見せ合いをしたら、ボロンッ!て勢いよくサラマンダーが出てきて、そのまま地面を突き破って、アラレちゃんみたいに地球がパカっと割れた」というどうしようもないやつでした(笑)

 

普段は狂気の表情を浮かべながらライヴをしてることが多い彼ですが、この日は珍しいくらいに笑顔を浮かべていた印象だったので、彼もまた楽屋の同窓会的な楽しさに感化されたのかもしれないですね。

 

 

ELLEGARDEN

実は初めましてなのがこのバンド。彼らが活動休止した時期と、僕がバンド音楽にのめり込んでいった時期がほぼ重なっているため、彼らの活動をリアルタイムで追っていたことはないんですよね。

 

その後の高校生の頃は、クラスにELLEGARDEN好きの人がいたこともあり、ベスト盤を買って代表曲は一通り聴いてきました。そんなわけで本日披露された楽曲は、ラストにやった16年ぶりの新曲以外は全て知っている曲。

 

正直にいうと、ストレートなメロコアではなく、パワーポップやエモ、オルタナの要素も多分に含まれている彼らの音は、好みドンズバではありませんでしたが、キャッチーな疾走曲は気に入って、ちょこちょこ聴いていたのを思い出します。

 

そんな思い入れがあるんだかないんだか...な状態だったので、周りの人たちほどの熱量はなかった(来場者の多くがELLEGARDENのTシャツを着てた)のですが、こういった機会でもないと彼らのライヴは観られないし、何よりめっちゃ観やすいので、貴重な体験になるだろうと、何気にちょっと楽しみでした。

 

ホルモンのMCで「9月9日は、ホルモンとエルレ千葉LOOKで対バンして、お客さんが10人もいなかった」と話し、大抜さんのMCにおいても「9月9日、晴れて良かったね」と言っていたので、まず間違いなく「No.13」はやるだろうと踏んでましたが、最初の楽曲は「Supernova」。

 

ここまでフリが効いてたんだから、オープニングから「No.13」で良かったんじゃないの?という気持ちもありつつ(「No.13」は2曲目でした)、学生時代何度も聴いてた曲を初めて生で聴ける機会。じっくり網膜に焼き付けるようにステージを観る。

 

ステージ上で寸劇めいたことをやって笑いをとった10-FEET、縦横無尽にステージ上を暴れ回るBRAHMAN、上半身をフルに使ったヘドバンで魅せるホルモンと続いてきた中で、彼らのライヴは一番シンプル。4ピースロックバンドのスタンダードとも言えるステージングで、ともすればやや地味に感じられなくもない(先ほどまでホルモンが派手に動いていただけに余計に)

 

とはいえ、それは決して盛り上がりに欠けるものではなく、多くの人がこのバンドの登場を心待ちにしていた空気感もあってか、1曲進むごとにオーディエンスの熱気も高まっていることが感じられました。

 

やはり一番に目を引くのが絶対的フロントマンの細美さん。今回出たメンバーの中で最年長であるはずですが、ステージ上での振る舞いは完全にバンドキッズのそれ。ホントにあの人49歳なの?彼より10歳以上若い人でも、あんなに楽しげに弾けたパフォーマンスしてないと思うんだけど。

 

Reunion Tourからまだ8ヶ月しか経ってないはずなのに、みんな老けこみがすげえんだよね。特にナヲとか凄くて」と、フレンドリーなMCで笑いをとりつつ、ライヴ定番と思われる楽曲次々投下。ハードなリフとキャッチーな歌メロ、うねるベースが交錯する「Fire Cracker」や、憂いを帯びたメロディーが駆け抜ける様が気持ちいい「The Autumn Song」、切ない出だしから一気に爆発する「Make A Wish」などは好きな曲なので楽しめました。こういったエモ的な哀愁を持ったメロディーは良いですね。

 

ここでド直球哀愁メロコアである「BBQ Riot Song」とか「Marie」あたりをやってくれればもっと嬉しかったんですが、まあそれは欲張りすぎか。彼らのレパートリーの中で「Marie」ってかなり良い曲だと思うんですけど、僕だけ?

 

「Salamander」で全ての曲を終えた後、さほど時間も経たずにアンコールへ。開口一番、細身さんからの「新曲聴く?」の一言に歓声(どよめきというべきか)が上がる。

 

「今まで過去の楽曲をライヴでやって、昔聴いてたやつも良いって思ってもらうようなあこぎな商売してたけど、今から"過去のバンド"から"現役"のバンドになります」と宣言して、新曲となる「Mountain Top」をプレイ。

 

切々とした歌い出しから始まるミドルテンポのオルタナティヴロックで、歌メロ自体はなかなか憂いを帯びている感じですが、そこまでキャッチーさが強いとは言い難く、「ついに16年ぶりの新曲披露!」と銘打つには、やや地味めな印象が強かったかもしれない。

 

アンコールはその1曲のみであり、ここで全アクト終了。疾走曲でバーンと終わらせて欲しかった気がするも、良い塩梅で余韻を残したままの幕切れとなりました。

 

1バンドあたり40分ほどというライヴでしたが、蓋を開けてみれば18時から22時ごろまでガッツリ4バンド観るという濃密な日でしたね。立ちっぱなしのため足の疲労感がエグかったです。ライヴ中はアドレナリンが出てるから平気なんだけど、転換中は厳しかったな〜。

 

どのバンドも一定以上の人気を持つバンドで、今後満足にチケットが取れるかもわからないバンドもいる中、ここまでステージ上をしっかり見渡せる好位置で観るという経験はかなり希少だろうな〜と思いますね。また今後もこういったメンツによる企画ライヴとかも出てくるのだろうとは思うんですが、前方ブロックでここまで濃い形で観られるというのは今後あるかどうかわかりませんから。

 

これも何かの縁ということで、とりあえず16年ぶりとなるELLEGARDENの新作はチェックしてみようかな...と思っている今現在です。

9mm Parabellum Bullet 『TIGHTROPE』

  • 前作と楽曲の方向性は大体同じ
  • 全曲において徹底された歌メロの哀愁度が抜群
  • 疾走メタルからインストまでド派手な演奏の密度

 

国産ポストハードコア/オルタナティヴロックバンドの最新作。

 

バンド名に9を冠するバンドにおいて、記念すべき9thフルアルバムですからね。当然ながら(?)99日にアルバム感想を書かない訳にはいかないというもんです。

 

2017年に発表された傑作7thアルバム『BABEL』以降、作詞卓郎さん・作曲滝さんという布陣をキープしていましたが、本作もその流れに則って制作されています。

 

作曲面においては、滝さん以外にの人が担当することも多く、各人の個性が色々と見られた、やや実験作的なアルバムもあることはありましたが、それでも基本的にどの作品も良質なクオリティーを保ってきたバンド。故に本作においても心配は一切していませんでした。

 

10曲35分とかなりコンパクトにまとまった本作、作風の方向性としては前作『DEEP BLUE』とほぼ同じといっていい。聴けば一発で彼らのものだとわかる特徴的なギターが主軸となり、マイナー調の歌メロが支配的なポストハードコア。彼らの個性である歌謡曲の影響が色濃いダサさが全体的に控えめなのも前作との類似点です。

 

ただ、これまでやや明朗気味な楽曲(能天気な明るさは皆無ですが)もプレイしてきた彼らですが、本作に至ってはキモである「メロディーの哀愁」が、従来作以上に徹底されているように感じます。アッパーなロックチューンからバラードに至るまで、歌メロの哀しみが非常に強く表出しているのがポイント。

 

特にその印象を強くしているのがラストのM10「煙の街」。

 

9mmのアルバムラストの曲は、アルバムを代表する怒涛の疾走チューンであることが基本でした(4th『Movement』の「カモメ」は例外)

 

しかしこの曲はズッシリ、ズルズルと引きずるような退廃的暗さが全面に出たスロー曲。歌詞も歌メロも、中盤以降の焦燥感を醸し出すギターリフも、全てが暗く、重い。ここまでダークでド暗いナンバーでアルバムを締める点に、ジャンルやスタイルは全く異なれど「At The Gatesみたいだ...」と思ったくらいです(笑)

 

他にも"夏フェス讃歌"がテーマになっているという、リードトラックのM3「All We Need Is Summer Day」も、アップテンポで展開し、わかりやすいシンガロングパートが盛り込まれていながら、歌メロの質は完全に哀愁寄り。「邦ロック」なんて言葉でカテゴライズされるバンドが夏をテーマにした楽曲を作ろうものなら、大体こういうのとかこういうのとかになっちゃいそうなものですが(偏見)、ここまで哀メロに特化してくれるとは、やはりこのバンドは信頼できるな。

 

その他にも、スラッシュメタル的疾走感と激烈リフに、この上なく哀しいメロディーが乗るM1「Hourglass」に、本作中数少ないダサさが強烈に匂い立つナンバーM2「One More Time」、しっとりとした泣きの哀愁バリバリなバラードM5「淡雪」、歌謡曲からの影響を受けた特有のメロディーセンスが強いM7「タイトロープ」と、9mmらしさとクオリティーをしっかりと保った楽曲が立て続く。

 

また、M8「Sprit Explosion」は、彼らがたまにやるインスト曲。アルバムのインストは西部劇風だったりテケテケだったりと、やや風変わりな楽曲に仕上げていた過去作とはやや異なり、この曲はかなりストレートでメタリック、かつキャッチーなロックチューンにしてきていて、これがまた滅法カッコいい。縦横無尽にメロディアスな旋律を連発するギター、アグレッシヴでテクニカルに疾走する演奏の魅力がこれでもかと押し出され、アルバム後半の山場としてしっかり機能してます。

 

全体通して、前作と同様にダサさが控えめであることに対した寂しさはありますが、それを補ってあまりある、質の高い楽曲を取り揃えた1枚。「さすが9mm、今回も良作!」と言いたくなる出来栄えです。

 

ここまでメタリックな楽曲で攻めまくり、アルバムのラストを陰鬱な程の哀しさを発散するスロー曲で締めるというアルバムを出す彼ら。正直この音楽性がイマドキの価値観のリスナーにウケるのか不安になるんですが(笑)、彼らにはこれからも、哀愁歌謡オルタナティヴメタル路線を突き進んでほしいですね。2022年の日本のメジャーシーンにおいてはマジで希少な存在なので。

 

 

個人的に本作は

"アグレッシヴなメタルから泣きのバラードまで、全10曲の短い中にメロディーの哀愁を徹底的に濃縮。歌謡的なダサさは前作と同様控えめ"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com

locofrank 『READY?』

  • ドラマー変更後の新体制一発目
  • 15分のランニングタイムにバンドらしさが凝縮
  • locofrankの王道チューンが揃った名刺

 

仕事の忙しさに体力を奪われ、ブログ更新のペースも新譜を聴くペースもすっかり遅くなってしまった現在。もう9月じゃん。買ったはいいものの積んだままになっているCDがわんさかある。あ〜怖怖。

 

ここからまたスローペースでもいいから、またCD感想しっかり書いていきたいな〜とは思っています。思っているだけで進まないかもしれないけど。

 

さて、今回取り上げるのは、日本のメロディックハードコアバンド・locofrankの最新ミニアルバム。長年にわたってドラムを担っていたTatsuyaさんが脱退して、サポートドラムであった横川慎太郎さんが加入してから初の音源。

 

横川さんはPANで活動していて、locofrankのようなメロコアサウンドにはさほど馴染みがなかったようですが、本作を聴く限り、特にドラムプレイに違和感があるようなことはない。

 

しかし僕はメンバーチェンジについてはあまり心配はしておらず(超パワフルなドラムを魅せたTatsuyaさんが抜けた穴はもちろん大きいとは思いますが)、それよりはむしろ、楽曲面の充実度にちょっと懸念がありました。

 

というのも、以前このブログで取り上げたアルバム『Stories』が、これまでの彼らの作品としてはだいぶメロディーのキャッチーさが控えられていたこと。フルアルバムにおいては、良作を出して当たり前だった彼らにしては、ややインパクトの弱い作品だったと言わざるを得ません。そのままの作風を引き継がれていったら、ちょっと物足りないかもな...などと聴く前には思っていました。

 

MVが先行で公開されたM4「NOT DEAD」が、ハードコア的な勢い重視の曲、といえば聞こえはいいですが、彼らに期待されるメロディーのフックが無い楽曲だったのも、その心配に拍車をかけていましたね。

 

しかし、聴き終えてみてそんな心配はご無用であったことに気付かされます。彼ららしいメロディーのキャッチーさを含み、パワフルに疾走するlocofrankメロコアがそこにある。

 

新体制のお披露目となるM1「Motion」は早速ドラムのイントロから始まり、穏やかさを保ったヴォーカルと疾走ビートが織りなす、シンプルながら骨太なメロコア。Bメロのリズミカルなパートなど含め、実に潔くlocofrankの王道をいく疾走チューンです。

 

M2「See You」は彼らお得意のポップさすら感じさせる歌メロが、絶妙に癖になるフックに富んだ一曲。一瞬ブラストじみた勢いを出すドラムのリズムも凝っていて、この2曲の並びで、本作の出来が間違いないことを確信させてくれました。

 

この歌メロの充実は最初から最後まで徹底されており、唯一の例外である前述のハードコアナンバーM4は、MVが作られた割には本作の中では一番面白くない曲なんじゃ...なんてちょっと思ってしまったな。いや、もちろんカッコいい曲であることは確かなんですよ?

 

特に気に入ったのは前述のM2に、特にメロディーの哀愁が強く出て、バッキングのアコギもまた従来のlocofrankらしさを醸し出すM5「BRAND NEW WORLD」の2曲。アグレッションはやや薄めですが、曲の良さはそれを補ってあまりある。

 

メンバーチェンジを経ても、何も変わらぬlocofrankらしさというものを、手堅くしっかりと提示してくれた、充実作ですね。総収録時間は15分超という短いものですが、その中で名刺がわりになる楽曲をちゃんと取り揃えている感じです。

 

ただ、やっぱり『Stories』を聴いた時も思いましたが、やはり20年以上のキャリアを誇るだけあって、年齢を重ねた分、有無を言わせぬまま琴線をグッと掴んでくるようなかつてのパワーは減退しているのは事実。これは中堅バンドとして避けられないことなんだろうな。

 

 

個人的に本作は

"従来のバンドらしさが短く収まり、キャッチーな歌メロの魅力も活きた楽曲揃い"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com