ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Northern19 『FIVE FLESH』

  • わずか11分ほどで駆け抜ける潔い仕上がり
  • 疾走感と構成の良さで気持ちよく聴き通せる
  • キャリアの長いベテランバンドとは思えぬフレッシュさ

 

配信限定シングルやライヴ会場限定ミニアルバムを小出しにしていたため、あんまり久しぶり感はないのですが、全国流通音源としては4年ぶりリリースとなる、Northern19の最新作。

 

一応EPというテイではありますが、収録された5曲すべて3分以上のものがなく、全曲合わせても11分ちょいというコンパクトさで、ボリュームだけならシングルCD扱いしてもおかしくない。真ん中にミディアムナンバーを入れ、それ以外は全部疾走曲で駆け抜けるという、とっっっても潔い内容に仕上がっています。

 

このバンドも何気に20年を超えるキャリアになっていますが、とてもそこまでキャリアを積んでいるバンドとは思えぬほど、まさにタイトル通りフレッシュな出来ばえ。ソングライターの笠原さんはインタビューにて"一周してまた1stアルバムができたみたい" "もうちょっとシンプルでストレートなメロディックパンクにしたい"と語っており、その狙いがそのまんま音に現れているなと。20代の若手メロコアバンドがこれと同じ音を作っても全然違和感ないと思う。

 

Northern19の王道である、ポップな中に絶妙な切なさと哀愁を効かせた爆走メロコアM1「NO GRAVITY」をブン投げて、本作の出来が間違いないものを確信させる。そのまま流れるようにシリアスさを強めたM2「FIND MY WAY」の疾走サビで沸点まで直行。冒頭の2曲を聴いた時点で、ノーザンらしさが満載なのが嬉しい。

 

NIRVANAの「Smells Like Teen Spirit」のフレーズをオマージュしたM3「DRAMATIC」で少し熱量を落とし、メロウな歌メロを聴かせるパートに移行するのも彼らのお家芸。敦賀さんヴォーカルのM4「WITH BROKEN HEART」でさらにもう一つアクセントを加え、ラストには"THE メロコア"なM5「EVERGREEN」でフレッシュに突っ切る。短さも相まって、非常に耳に馴染みやすい。

 

わずかなランニングタイムの中でも、Northern19の単一作品として成立した流れを作り、曲単位で取り出しても良曲揃い。フレッシュな躍動感と哀愁をブレンドした、痛快なメロコアをギュッと濃縮した作品でした。

 

 

個人的に本作は

"20年以上のキャリアがあるとは思えぬほど、タイトル通りのフレッシュな魅力が短い中に詰まった哀愁爆走ショートメロコア"

という感じです。

 

CRYSTAL LAKE 『THE WEIGHT OF SOUND』

  • メンバー、レーベルチェンジを経ての7年ぶり新作
  • 体制が変わっても不変の超強力極悪モダンサウンド
  • ほのかに個性を除かせながら一貫してヘヴィな楽曲群

 

もう日本と海外の音楽を比較すること自体あまり意味がないのかもしれませんが、「最も本場海外のバンド達に比肩する国内バンドは?」という問いの答えは、やはり彼らになるのではないでしょうか。

 

名門メタルレーベルであるセンチュリーメディアの契約を勝ち取ったメタルコアバンド・CRYSTAL LAKE。アメリカ人フロントマンであるJohnを迎え、さらに元HER NAME IN BLOODのTJさんがギタリストとして加入し、新体制になってから初のフルアルバムです。シングルやリレコーディングアルバムのリリースこそ挟んでますが、前作『HELIX』からはおよそ7年ぶりとなります。

 

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ヴォーカルはバンドの看板であるという考えからか、RYOさんが在籍していた時期のシングル曲は収録されず、全て新体制になってからの楽曲で構成されている、まさに新生(といっても現体制になってから結構経ってるけど)CRYSTAL LAKEの名刺となる1枚。

 

メンバーが大きく動いたとはいえ、バンドのブレインでありソングライターのYDさんは不動のため、曲のテイストがガラッと変更されることはありません。極太でブッ濃いヘヴィリフが鉄槌を下すかのごとく叩きつけられ、時に高速のビートで疾走、時には重心をガッツリ低くしたビートダウンで極悪モッシュ必至の音圧をかましてくる。容赦のないモダンメタルコアサウンド。

 

作詞担当が変わった影響なのか、以前までのSF的・神話的世界観が薄れて、より王道のメタルコアの色が強くなったような印象も受けましたが、まあそこまで様変わりしてるわけではないかな。

 

のっけからド級ヘヴィリフと咆哮でお迎えしてくれるM1「Everblack」が始まり、本作においても凄まじいエナジーが漲っているアルバムであることを確信させてくれ、その後もテイストの微妙な違いこそあれど、バカクソヘヴィなエクストリームメタルが目白押し。

 

モダンメタルコアの正しき姿を映し出すM2「BlüdGod」、M8「Dystopia」というシングル曲に加え、アメリカンメタルのバウンシーなノリを生み出すM4「King Down」、縦ノリ誘発のサビと硬質なリフによる疾走が気持ちいいM7「Crossing Nails」、これでトドメと言わんばかりの強烈ビートダウンが迫力満点のM10「Don't Breathe」など、曲ごとに少し個性をつけつつ、彼らお得意の攻撃性がいかんなく発揮されていて、ただただ圧倒されるばかりです。

 

僕のイチオシポイントはM5「The Undertow」とM6「The Weight Of Sound」というメロディックな側面が強く出た楽曲の2連発ですね。攻撃性はそのまま残し、メロウでキャッチーな部分が表出することで、リフの洪水に叩き潰されながら歌心(と言うにはイカつすぎるかもしれませんが笑)に酔いしれることができます。特にM6のクリーントーンが叙情的で素晴らしい!

 

メンバーが変わっても、レーベルが変わっても、CRYSTAL LAKEは変わっていませんでした。音の潮流のみでここまでのパワーを感じさせるメタルコア、世界を見渡してもなかなかいないのではないでしょうか。彼らこそメタルコア日本代表、さすがだぜ。

 

ちなみに、本作にはKILLSWITCH ENGAGEのジェシー・リーチをはじめとした、海外のメタルバンドのヴォーカルが多数ゲスト参加しているのですが、Johnのヴォーカルが非常に強力であるが故に相対的に存在感が希薄になってしまうので、錚々たるメンツの割にはありがたみは薄めになっているかも。強すぎるのも考えものだね(笑)

 

 

個人的に本作は

"極太ヘヴィリフ、強力ヴォーカルを武器とし、国内最高峰のパワーをいかんなく発揮したモダンメタルコア。容赦ない破壊的サウンドと、ほのかに滲む叙情性に狂わされる"

という感じです。

 


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2/21 Graupel / Comeback Show Day 1 at 渋谷CYCLONE

メロデス由来の哀愁・慟哭を武器とした叙情メタルコアをプレイするバンドとしては、国内最高峰の実力を持っていると確信しているGraupel。Sable HillsやEarthists.らと共に、現代のメタルシーンを代表する存在として活躍していました。

 

ただ、2年前にバンドは活動を休止。ヴォーカルのSotaさんはGREEN3YEDを新たに結成し、Yuuさんは海外への留学?か何で国外に出ていたらしい。その後のシーンではSable Hillsを中心に色々なバンドがライヴを盛り上げてくれましたが、やはり彼らに代わるほどの叙情メタルコアは(少なくとも僕の知る限りは)現れませんでした。

 

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そんなバンドがとうとう(といっても2年半くらいだけど)復活を遂げることとなりました。待ち侘びただけに、ニュースが流れた後速攻で復活ライヴのチケットを取得。その後すぐにソールドアウトしただけに、やっぱり渋谷CYCLONEではキャパが小さすぎたんじゃないかな。

 

前日に仕事でフザけた理由で長々残業をするハメになったので、当日起きたのは昼頃。体のコンディションはあまり良くないものの、家でしばしのんびりした後渋谷へと移動。時間がないのでタワーレコードにもディスクユニオンにもNERDS RECORD STOREにも行けないのは残念だが仕方ない。

 

開場直前になってポーチに入れていた耳栓が無いのに気づいて、急いで薬局へ寄ったりしてたものの、何とか開演時間には間に合いサイクロンへと突入。ソールドしているだけあって、狭いフロア内はかなりの人口密度でした。モッシュの波に飲まれないように(着替え持ってきてないし)PA卓の下スペースに陣取りました。

 

開演時間を少し過ぎたあたりで暗転し、ステージ前にスクリーンがせり上がってくると、オーディエンスからも歓声が上がって、いよいよGraupelの復活!

 

...のはずですが、しばらくまっても登場SEが鳴らずメンバーも出てこない。ちょいちょいヤジ(「柿本!はやく帰ってこいよ!」とか)が飛んだりしているものの、しばら〜く待っても何もおこらないまま、ゆっくりとステージ前のスクリーンが下ろされてしまいました。

 

どうやかかなり本格的な機材トラブルだったらしく、そのまま30分ほど経過してからようやく暗転。復活の出鼻をくじかれた形となってしまいましたが、ここからGraupelの新章が幕を開けることになります。

 

「本当に待たせたなお前ら!」とステージ上から呼びかけると、最初にプレイされたのは「Departure」。前回の活休前最後のライヴを締めた楽曲から始まるという、あの時現場にいた身からすればなかなかエモーショナル。

 

SotaさんとYuuさん以外のメンバーはギター・ベースは以前までとは別の人らしいのですが、メロデス直系の激情を生み出すギターの旋律、目の前のもの全てを薙ぎ倒さんとするエナジーは前までとかわらずそこにありました。

 

メロディアスな楽曲を武器にしているとはいえ、ビートダウンの破壊力は凄まじいものがあり、原曲以上にスピードをぐっと落とし、上半身をフルにつかってのヘッドバンギングを全員が行う様は、爆音のヘヴィサウンドと相まって迫力満点。2ビートの疾走に、ブラストビートまで織り交ぜた展開もお手のもので、フルブラストの疾走から急激に極悪ビートダウンへと移り変わるドラムの手腕が光っていました。

 

「完全に機材が壊れました。この2年よりあの20分の方が体感長かった!」とMCで語っており、復活ライヴのスタートにも関わらずトラブルが発生したことも何とかネタにしつつ、直前に発表された新曲「Beloved」へと繋げる。この曲はかなりカオティックな曲展開を見せつつ、メロディーをほぼ廃したもののため、エクストリーム度は本日最高。ビートダウンなんか巨大な鉄塊でブッ潰されるかのような轟音を叩きつけていました。

 

そんな凶悪な楽曲に反して、MCではフロアの雰囲気が和やかなもの。Graupel活動期間中の海外に行っていたYuuさんのお話も聞け、「骨折した時にメッセージをくれたのはSotaだけだった」「俺以外誰もくれなかったのは、俺が良い奴じゃなくてお前に問題があるだろ」と、ちょっとした漫才のような掛け合いまで。

 

「水飲みたい人いる?」と声をかけたあと、新品のペットボトルを放り投げるとステージ上部のスクリーンに思い切りゴン!とぶつかってしまったのが、MC中の最大のハイライト。「高いだろこれ!?機材トラブルより焦った!」と狼狽えていました。

 

活動休止前からライヴを観てきた人が大半ながら、活動休止後にこのバンドのことを知って今日のライヴに来たという人も少数いて、ここにいる人たち全てに感謝を表明してくれる瞬間もあり、バンドの真っ直ぐな姿勢は時を経ても不変であることもわかりました。

 

中盤から後半にかけては、僕により響いてくる叙情的でエモーショナルな楽曲がキーとなる。中盤の「Empty Vessels」における美しい合唱パートで胸を焦がし、ライヴ定番ともいえる疾走エモメタルコア「Towpath」で沸点まで持っていかれました。

 

「Towpath」はモッシュの勢いが高まることを予見していたからか、Sotaさんが「2人のセキュリティさん、頑張って!」と励ましていたのが振りになってしまい、ステージダイバーの数がすごいことになっていました。この狭い空間でここまで人間がボンボコ飛んでいく光景は、ライヴハウスに馴染みのない人からすれば異世界だろうな。

 

アンセミックな「Apathy」に、アルバム通りの流れから「Memories」〜「Bereavement」という鉄板の名曲へ。あの静かなSEが流れ始めると、次の曲がわかっていても条件反射で興奮し、拳を握り固めてしまう。凶暴な咆哮から雪崩れ込む疾走ビートと、鈍重なビートダウンの交錯によりフロア中央は怒涛のモッシュピットへと姿を変えました。

 

そしてもちろんラストは、メロディックメタルコアの超名曲「Fade Away」。Sotaさんがフロアに乗り出し、オーディエンスに担がれながら極上のメロディを叫び、歌い上げる。このラストのサビを共に歌い上げながら、メロイックサインを突き上げた時の高揚感、これはGraupelのライヴの醍醐味であると毎度のことながら感じます。これを味わえるのなら、今後の彼らのライヴにもどんどん行こうと思わせてくれますね。

 

 

明後日にもう一度あるからか、それとも持ち曲の数がそんなに多くないからか、1時間程度で終了。ボリューム的にはやや少なめ、かつ機材トラブルもあったものの、聴きたい名曲は全て網羅され、ブランクがあっても変わらぬ熱量をぶつけてくれることがわかったライヴでした。

 

ちなみに何気に今年最初のライヴだったんですが、ややライヴの期間が空いてしまった&ここ最近の仕事の忙しさとストレス&終わった後渋谷のロカホリで飲んだといった事象が重なってしまったのか、夜に相当なレベルの頭痛に襲われてしまったため、改めて自分の体質を呪ったよ。

GLAMOUR OF THE KILL 『Vengeance』

  • まさかの13年ぶりカムバック
  • よりダークに研ぎ澄ませたBFMV直系のメタルコア
  • 歌メロの豊かさは前作よりだいぶ減退

 

いや、まさか新たにアルバムが出るとは思いませんでしたよ、このバンドから。本作リリースの報を聞いた時、ちょっとビックリしましたもん。

 

イギリス出身の4人組メタルコアバンド・GLAMOUR OF THE KILL。00年代後半から10年代にかけて活動していたバンドで、音楽性はハッキリ言ってしまえばBULLET FOR MY VALENTINEのフォロワーそのもの。

 

エモ的なポップさ・キャッチーさを備えた歌メロと、これまたエモに通じる質感のヴォーカルがシャウトを交える。メタルコアではあるものの、重心の低いヘヴィさはあまり目立たず、切れ味鋭いリフで畳み掛けるスタイル。2013年リリースの2ndフルアルバム『Saveges』は以前このブログでも取り上げました。

 

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本作はなんとそこから13年もの時を経て発表された3rdフル。この間に解散して、再結成して、そこからまた活動休止して、ギタリスト脱退があって、残留メンバーも他のバンドに参加して...と、かなりの紆余曲折があった中でリリースにこぎつけたようです。アー写を見ると若々しい新世代感溢れる姿から、しっかり年齢を重ねたことが見て取れるなぁ(当たり前だけど)

 

渋みのある大人になったことが音にも影響しているのか、音楽性も年輪が深く刻まれたように、フレッシュなエモメタルコアからやや変容していることがわかります。良くも悪くもヘヴィで本格感が増した印象。

 

BULLET FOR MY VALENTINEフォロワーの姿勢自体はなんら変わってはいませんが、全体的にジャケットが表すようなダークなムードで統一されています。ヴォーカルの声質もより低くドスが効いたようなものとなり(それでもメタルというよりはエモっぽい)、ヘヴィになりすぎない範囲で重厚感を持ったリフの存在と合わせて、メタルらしいどっしりした雰囲気が強まりました。ちょい前のAVENGED SEVENFOLDにも通じるものがありますね。

 

疾走感を主体とした曲調はキレがあってカッコよく、長尺の速弾きギターソロがかなりの勢いで駆けていくM4「Vengeance」、激しさの中に骨太なシンガロングが存在感を放つM8「Rampage」、スラッシュメタル並みの爆走と共にキレたリフが刻まれるM10「Suffer」あたりは特に良い感じ。

 

欠点としては、前作と比べて歌メロのフックが全体的に落ちたところでしょうか。演奏の本格感が増したことでその場でノレはするものの、いかんせん歌がパッとしないので、聴き終えた後の印象は残りにくい。前作の「Second Chance」のようなキラーが1曲でもあれば良かったんだけどなぁ。あれがポップすぎると感じる人にはちょうどいいのだろうか。

 

サウンドが放つ雰囲気やムード、高速のリフとソロなどは良質なだけに、このメロディーの不足だけが実に惜しいな...。エモキッズから大人になった影響なのかもしれないけれど、この手の音楽性で勝負するなら、キッズのマインドはもうちょっと色濃く残してほしいかも。

 

 

個人的に本作は

"エモメタルコアのスタイルはブレないまま、ダークでメタルの本格感を増した一作。メロディーの不足がやや残念"

という感じです。

 


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KREATOR 『Krushers Of The World』

 

2026年、まだ1月の段階ではありますが、早くも今年最高レベルと思しき名盤がリリースされました。

 

結成40年を超える大ベテランながら、枯れることなく素晴らしい傑作を生み出し続けている、スラッシュメタル界のリヴィングレジェンド・KREATORの最新作。もうジャケットの禍々しさからして、KREATORらしさがプンプン漂ってきて最高です。

 

前作『Hate Über Alles』は、元DragonForceのフレデリク・ルクレール加入という衝撃的なメンバーチェンジを経ても、近年のKREATORらしい凶悪ながらもメロディアスさを忘れないことを照明した力作ながら、スラッシュメタルとして考えるとややスピードを落としたパートも目立つ印象もありました。

 

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翻って本作、ヴォーカルギターのミレ・ペトロッツァは「『Hate Über Alles』には入れる余地のなかった要素をたくさん加えている」「『Gods Of Violence』あるいは『Phantom Antichrist』の継続だと言える」と評しています。

 

僕からすると、『Hate Über Alles』もそこまで大きく作風が異なるとは思っていないのですが、言われてみれば確かに、前作よりも前々作のようなスラッシュメタルらしい鋭利なリフと、疾走ビートの存在感が強いかも...?とは思いました。

 

それはすなわち、KREATORの真骨頂である、邪悪さと疾走による攻撃性が完璧に融合した楽曲、これが大きく存在感を放っているということ。この強烈な殺傷能力はちょっと尋常ではありません。

 

オープニングを飾るM1「Seven Serpents」からして、あまりにもドラマチックなイントロから、高速リフで疾走する様が非常にスリリング。ギターソロも哀愁・慟哭の旋律を紡ぎ、この曲を耳にした時点で本作が傑作であることがわかりました。

 

M5「Barbarian」〜M6「Blood Of The Blood」の流れなんて、スラッシュメタルという、本来は野蛮なまでの過激なアグレッションを武器とするジャンルなのに、それに不釣り合いなはずの「神々しい」なんて形容をしたくなるギターフレーズが顔を出してくる。ミレのヴォーカルと疾走感が無慈悲な攻撃性を発揮しながらも、この劇的極まるギターの妙技に胸を締め付けられる...。こんな感覚、KREATOR以外のスラッシュメタルでは味わえないかもしれません。

 

疾走曲が素晴らしいのはもちろんのこと、スピードを抑えたM4「Tränenpalast」やM7「Combatants」のような曲においても、邪悪さと神聖さという相反する要素を掛け合わせ、どこか儀式めいた緊迫感すら放ってくるから気が抜けない。ザクザクとした極悪リフが迫り来る中、ごく自然にクワイアを混ぜ込む手法も活きている。この人たち、魔神か何かなんじゃ...?

 

ラストを飾るM9「Loyal To The Grave」なんて、もはやスラッシュよりもメロディックという言葉の方が似合うほどにドラマチックなナンバー。ミレのシャウトが痛烈なエモーションを持ち、ツインリードによるギターソロが悲哀に満ちたメロディーを紡ぎ出す。荘厳なコーラスまで含めて、エンディングを悲壮美で包んでくれます。スラッシュメタルのアルバムって、ここまでドラマチックになっていいんだ。

 

今年の新譜で最初に聴いたのが本作になりましたが、いやはや、まさか初っ端からこれほどまでの名盤に出会えるとは感激。僕にとって世界最高峰のスラッシュメタルは彼らだという事実を改めて突きつけられました。

 

ヘヴィメタルに邪悪さ、スピード、攻撃力、哀愁、ドラマ、これらの要素を求めている全ての人に勧められるであろう傑作。これが魔神の真髄だ。

 

 

個人的に本作は

"邪悪なスラッシュメタルと、儀式的かつ神々しきムード、悲哀のメロディーを見事に融合させたドラマチックな傑作"

という感じです。

 


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イギリス出身のポストロックバンド・Chalk Hands

普段スマホでご覧いただいている人は馴染みがないかもしれませんが、このブログには各記事に設けられたコメント欄の他に、読者の方のお問合せフォームを用意しているんですよ。

 

 

コメント欄だと、そのブログ記事に関連した内容しか書き込めないだろうな〜と思ったので、もっとフラットに「このアルバムがいいぜ!」とか「俺は〇〇より××の方が気に入ってるよ」とか、色々意見が書ける場所になったらいいな〜と。

 

まあ、今はPCよりスマホでネットを見るのが主流だし、このブログに意見が集まるなんてほとんどないだろ、と思ってたんですが、こないだフォームに投稿をいただきました。どうもありがとうございます。(90°礼)

 

さて、いったいどんなご意見をいただけるのかな...?と思って内容を見てみると...

 

 

English!?

 

なんとまさかの海外の方からのご意見でした。

 

ブログのアナリティクスとかを見てると、ほんのごくわずかではあるものの海外からのアクセスもあるにはあったんですよ。それでもまさか、こんな場末のブログの問い合わせフォームにわざわざ書き込んでくる人がいるとは思わず。わざわざ本文を日本語訳したりとかしてくれてんのかな。

 

とりあえずGoogle翻訳さんを頼りにして、いったいどんなメッセージを書いてくれたのかを読んでみましょう。とんでもねえ罵詈雑言だったらどうしよう。

 

どうやらイギリスはブライトンを拠点に活動している、Chalk Handsというバンドのベーシストである、ベン・ムーアという方からのタレコミのようでした。自分のバンドが今年の1月30日に新曲をリリースし、その曲を含めたフルアルバム『The Line That Shapes The Coast Of Us』も3月27日リリース予定とのこと。

 

彼曰くこのChalk Handsというバンドの音楽性は"ポストロック、ポストハードコア、スクリーモ、マスロックの中間に位置する"というものらしい。

 

せっかくわざわざこんなブログにメッセージくれたのだから、ここで紹介してみようと思いまして。まずは最新リリースとなるシングル曲「Pauvre De Moi」をどうぞ。

 

 

YouTubeチャンネルのプロフィールに"Loud Sad Song"なんて記してある通り、ポップで楽しげな雰囲気は皆無で、ポストロックらしい内省的なムードともの悲しさが全編を覆い、内なる激情を発散するようなヴォーカルの叫びが印象的なナンバー。メロウな高速リフも激しさの中にある悲しみを表現しています。ラウドな音作り一辺倒ではなく、結構クリーンギターが占める割合も大きい。叙情派ニュースクール系の音からヘヴィさを薄めたような質感でもあります。

 

悲哀さやメロウなムードは一貫して持っていますが、歌やリードギターにはそこまで歌謡曲的なわかりやすいキャッチーさはなく、僕の感覚では雰囲気モノに浸るような感覚になるかも。逆に歌謡的になりすぎるとダサいと感じてしまう人にとっては、このくらいがちょうどいいメロディアスさかもしれないです。

 

彼らのポストロックであり激情ハードコアでもある、というスタンスがわかりやすいのはこれでしょうか。クリーンギターのサウンドが特徴的ですが、時折シャウトも挟んでアグレッシヴな姿勢があるのをアピールしてくれます。

 

爆走するドラムがハードコアっぽさを強めているナンバー。とはいえ、全体通してみれば、哀愁・激情のギターを主軸としたポストロック的側面も強いです。

 

スタジオセッションの動画もあります。切ないアルペジオがをうまく効かせた旋律と、感情的な爆発力を表現しているシャウトが気持ちいい。

 

ザッと聴いてみて、静寂なパートと激しいパートを切り分けながら、悲しくうら寂しい感情を露わにする楽曲が持ち味のようでした。ハードコア的な轟音は控えめで、ヘヴィなビートダウンとかでもないので、キャッチーになりすぎない哀愁叙情派リスナーや、ポストロックのファンに気に入られるバンドかも。

 

発表されている楽曲を聴いてみて、もしグッとくる何かを感じたなら、3月リリースの新作The Line That Shapes The Coast Of Us』をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

Instagramhttps://www.instagram.com/chalkhandsofficial

X:https://x.com/chalk_hands

Bandcamp:https://chalkhands.bandcamp.com/track/breaking-waves

9mm Parabellum Bullet 『The World e.p.』

  • 初期衝動が炸裂したハードでカオスな曲展開
  • 歌謡的歌メロのキャッチーさは今よりかは控えめ
  • 9mmサウンドの基本線はこの頃から確立されてる

 

普段邦楽のニュースを見ている人ならもうご存知かと思いますが、昨年12月31日をもって、9mm Parabellum Bulletのリーダーでありドラマーのかみじょうちひろさんがバンドから脱退しました。

 

natalie.mu

 

僕がこのニュースを見たのは、もう2025年が1時間ちょっとで終わるくらいの時だったので、なんとも微妙な心境のまま年越しをするハメになったんですよ。2026年のライヴも以前より普通に決まっていただけに、元々この日に脱退する予定ではなかったと思われるし、声明文には"脱退してもらうしかない"なんて文言もあり、なんだかTOKIOの国分さんの件のような、よからぬことがあったとかなんじゃないかと、色々と思ってしまいます。

 

まあいらぬ詮索をするべきではないと思うのですが、かみじょうさんは圧倒的な手数足数を駆使したドラミングで、9mmサウンドの魅力に大きく貢献していた人だけに、非常に残念至極。せめてもうちょっと良い別れ方ができなかったものか...。

 

そんな心境で彼らの過去作を聴いていたので、せめてもの思い出を残しておこうかと、このタイミングで彼らの作品を1枚取り上げてみようと思った次第。2007年に発表されたEPで、メジャーレーベルのEMIから初めてリリースされた作品です(一応メジャーデビューは次作の『Discommunication e.p.』で、本作はプレデビューという立ち位置らしい)

 

M1「The World」とM2「Heat-Island」は新曲で、残り5曲は既発ミニアルバム収録曲のリレコーディングという7曲入りミニアルバム。20分程度の収録時間ながら、初期の9mmサウンドの本質はこの頃から確立されていたことがわかります。

 

パンク・メタル・ハードコアといった音楽から影響された、ハードで鋭利なバンドサウンドに、マイナー調で彩られたヴォーカルメロディー、"このままいけばやがて世界に終わりがくるだろう"というフレーズから始まる、卓郎さんの終末思想的な詞世界。そのどれもが今日まで続く9mmの特色と紐づいている。改めて聴き返してみて本当にこのバンドは、芯がブレないまま続けてきたんだなと思わずにはいられない。

 

現在と大きく異なっているところは、やはり「ダサい」という領域にまで入ってくるほどの、歌謡曲的な哀愁が控えめなところですかね。この要素については2ndアルバム『VAMPIRE』で完全開花するもので、本作においてはそこまでのフックはない。

 

現在の9mmに比べると、歌モノロックとしての純度が低い分(この時点で充分にキャッチーなんですけどね)、演奏のトリッキーさや不穏な空気感は今以上に濃密で、M4「Mr.Suicide」とM5「marvelous」の流れは、初期の9mmのキレ具合を端的に示しています。

 

軽快なテンポで比較的ストレートに進みゆくM3「(teenage)Disaster」、M6「Talking Machine」は9mmらしいバンドサウンドにプラスして、ライヴで映えるダイナミズムに溢れる。ラストを飾るM7「sector」はノイジーなギターが爆発し、スラッシュメタルに通じる疾走感を伴い、4人が織りなすアンサンブルが一触即発の熱量をもって、跡形もなく焼き尽くす。当時これを最初に喰らった人は相当な衝撃だっただろうな。

 

9mmのハード&カオスなサウンドに、若さ青さの熱情を詰め込んだ、衝動性抜群の1枚。音楽的な完成度は、歌謡的なセンスをドッキングさせて、より整理された近年の作品の方が高いのは言うまでもないですが、この頃にしかない刹那的爆発力もまた魅力だよなぁと思わされますね。

 

 

個人的に本作は

"活動初期だからこそ生まれ出る、純度の高い衝動を短い中に落とし込んでいる。ハードでカオティックな展開は今以上に強い"

という感じです。

 


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