ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Judas Priest 『Invincible Shield』

  • メタルゴッドの風格は未だ健在
  • 正統派メタルらしいソリッドで攻撃的なサウンド
  • オープニングを飾る3曲の畳み掛けが圧巻!

 

ズバリ、力作だと思う。

 

デビュー50周年を迎えた大ベテランにして、ヘヴィメタルというジャンルを象徴するメタルゴッド・Judas Priestが放つ、19枚目のフルアルバム。

 

50周年ですってよ。すごいですね。当時生まれた人がすでに会社の重役とか、偉い立場になっているような年月。なんかあんまりピンとこないな。「当時小学生だった人がもう成人に〜」みたいな表現よく聞くけど、ここまで長い年月になっちゃうとイメージがつかん。

 

当然メンバーももういい歳...というか、絶対的フロントマンであるロブ・ハルフォードは72歳ですからね。もう完全に「おじいちゃん」と言っていい年齢。それでまだ現役ロックバンドのヴォーカリストやってるってのがすごい。

 

ロブ以外ももちろん高齢となってて、メンバーとしてクレジットされているものの、グレン・ティプトンはパーキンソン病によりツアーから離脱、相対的に若手の部類に入るリッチー・フォークナーは大動脈瘤をライヴ中に発症するなど、そろそろ厳しい立ち位置になってきているな...と感じていました。

 

しかしどうでしょう、本作から放たれるオーラは。

 

名手アンディ・スニープによりプロデュースされたサウンドは、メタリックな音色感を強く押し出しながら、シャープで切れ味鋭く差し迫ってくる。ロブのヴォーカルもハイトーンのロングシャウトこそほぼ無いものの、中音域で堂々と歌い上げ、高音域ではカミソリのごとく鋭く尖った声を響かせる。

 

この研ぎ澄まされたギターと、メタルゴッドによる歌声。この二つの充実度が素晴らしく、圧巻の説得力を持って"ヘヴィメタル"であることを堂々と提示してくる。様々なサブジャンルが台頭しているメタルの世界において、「これがヘヴィメタルだ」と言わんばかりのようです。

 

近代的なメタルほどヘヴィでアグレッシヴでもなく、フック満載の芳醇な歌メロが聴けるわけでもない。いたって普通の正統派ヘヴィメタル。だからこそメタルゴッドとしてのオーラというか、風格めいたものを感じさえてくれるのでしょう。

 

50年のキャリアを持つだけある、熟練のオーラが際立つと同時に、本作のなにが良いかっていうと、勢いのある楽曲をまず頭に持ってきたことじゃないでしょうかね。M1「Panic Attack」、M2「The Serpent And The King」、M3「Invincible Shield」の3曲が、ソリッドなギターで畳み掛ける、アップテンポのヘヴィメタルで非常にカッコいい!

 

やはり第一印象というのは大きいもので、最初にここまでアグレッシヴなスタートを切ることで、本作が良作であることを決定づけてくれた感じですね!M3の後半のメロディックなギターソロを聴く頃には「これは名盤では...!?」という期待感が大きく膨らみました。

 

残念ながらこの3曲以上のインパクトを与えてくれるような曲は(少なくとも僕にとっては)なく、少々地味めな曲も散見されることにはなるのですが、全体通して神としての厳かな雰囲気や風格を損ねることのない、充実したメタルチューンが続く。初っ端のピックスクラッチから意識をグッともっていくパワフルなM7「As God Is My Witness」、神格化されたロブの叫びが非常にドラマチックなM11「Giants In The Sky」あたりが特に好き。

 

なおデラックスエディションは、ブックレット仕様のパッケージとなり、ボーナストラックが3曲追加されていて、全14曲1時間以上の大ボリューム。曲数が増えてお得ではあるのですが、まあボートラゆえそこまで突き抜けた出来ではなく、本編ラストの余韻をかき消すように流れるので、正直そこまで嬉しいオマケではないな(笑)

 

頭3曲に匹敵するようなキラーが後半にもう1曲くらい入ってたら、もしくは前作の「Rising From Ruins」のような、様式美センスが炸裂したキラーがあれば、さらに印象が底上げされたかと思われるので、そこは惜しい点でしたね。しかしそれを含めても、ヘヴィメタルとして高いクオリティーを誇る、充実のアルバムであることに違いはありません。

 

しかし、もうとっくにドロップアウトしてもおかしくない年齢になっているというのに、ここまでキレある作品を生み出すとは、メタルゴッド恐るべしですね。まだまだやれるぞこの人たち。

 

 

個人的に本作は

"メタルゴッド健在を証明する、堂々たる正統派ヘヴィメタル。冒頭3曲で名作確定したくなる"

という感じです。

 


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