ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

4/21 THOUSAND EYES / - One Man Live - "Decade Of Bloody Nightmare" at 渋谷CYCLONE

CARCASSのライヴからわずか2日、再び渋谷へ。

 

リヴァプールの残虐王の次は、慟哭の暴君がお目当て。日本のデスラッシュメサイアTHIUSAND EYESのワンマンです。

 

メロディックデスメタルというスタイルの先駆者となったCARCASSの後に、そのメロデスという音楽のクオリティーを極限まで突き詰めたTHIUSAND EYESを観るとは、この週末はメロデス祭りですね。僕と同じスケジュールだった人、結構多いのでは?

 

昼間は渋谷の街をブラブラしながら時間を潰し(渋谷は小洒落た店見て回ってるだけで結構楽しいからイイよね)、開場時間過ぎにサイクロンへ。

 

THOUSAND EYESはライヴをやる事が久々だったらしく、泣きに渇望しているファンがたくさんいたのか、この日は一度ソールドしてからの追加販売があったほどの大盛況。そんな追加組の僕は呼ばれるのがケツの方のため、フロアに入った時にはすでにかなりの人口密度。

 

なんとかフロア中央くらいまでは行けたものの、その後も前に詰めるよう促すアナウンスが続き、どんどん人が入ってくる。こりゃ完全にキャパを見誤ったのではないでしょうか。club asiaとかクアトロとか、その辺で充分やれたと思うんですけど。

 

開演時間を少し過ぎた辺りで暗転し、「DAWN OF DESPAIR」に合わせてメンバーが登場。そのままアルバムの流れ通りに「DAY OF SALVATION」に移行する。この叙情性満載の幕開けから、無慈悲なデスラッシュへと突入する様は鉄板です。

 

てっきり前方ではモッシュピットが生まれるもんかと思いきや、フィストハングとヘッドバンギングが巻き起こるのみで、モッシュクラウドサーフはなかった。ちょっと寂しい気がしなくもないですが、まあ僕としても特に暴れるつもりはなかったし、熱気は充分に感じられるので問題なし。

 

改めて思ったのが、このバンドのライヴ力の高さ!強靭なリフの破壊力もさることながら、ここぞというところでブッ込まれる泣きに泣いたギターソロ。この旋律がいかに泣きを愛する者の琴線に触れるのか、爆音に飲まれながらでもよくわかります。

 

DOUGENさんとAKIRAさんによるシャウトの交錯も、デスメタルというよりはハードコア的な攻撃性を感じさせ、泣きの旋律が支配的な中にも、ひ弱にならない強靭さをみせる。

 

そんなヴォーカル面の強さもさることながら、個人的に一番凄えなと感じたのが、YU-TOさんのドラム。キャップをかぶってないので見た目の印象はだいぶ違ってましたが(Azamiのギタリストっぽい)、その突進力の凄まじさたるや、音源以上ではと思えるほど。

 

ジストニアの影響で、以前のようにうまく叩くことができなくなっているとのことでしたが、正直素人の僕からすれば、現在の彼のプレイに不足も不満点も何もない。あまりの高速スネア連打に、詰まったように音数が多いバスドラ、鼓膜を破壊せんとするほどのシンバルと、サウンドの攻撃性に最も貢献しているのは彼だったと言えるでしょう。「LOST FOREVER」や「DEAD SORROW OF ME」のような、スピードを少し抑えた曲でさえ、勢いが削がれるような印象がまったくありませんでしたからね。

 

フロアを煽り散らすDOUGENさんに、仕事人的にビシッとした風体で演奏に徹する弦楽隊、その後ろで爆速ドラムをぶっ放すYU-TOさんと、実にTHOUSAND EYESらしいバンド体制がガッチリ完璧に組まれている印象。徹底的に硬派で、暴虐的で、かつ泣いている。こりゃすごい迫力だ。

 

そのあまりの音のバカデカさに、さすがに終始耳栓をせざるを得ませんでしたけどね。っていうか基本的にサイクロンは音がデカいですが、スピーカー付近にいた人は耳大丈夫なんですかね?

 

「今までの流れを聴いてもらったらわかるように、今日のセットリストはTHOUSAND EYESの集大成だ」とDOUGENさんが言っていたように、全4作からバランスよく配分されたセットリストも良かった...のですが、彼らのアルバムは基本的な方向性はどれも同じなので、今まで観てきたライヴとそこまで印象は変わらず。彼らは楽曲が全体的に良いので、どれか1作に選曲が偏っていたとしても、満足度は恐らく変わらなかったでしょうね。

 

とはいえ「ENDLESS NIGHTMARE」のように、久しぶりに聴けた暴走慟哭チューンもあり、嬉しい内容ではありました。パフォーマンス良し、攻撃性良し、セトリ良しと、一本のライヴとしては非の打ち所がないものだったのでは。

 

このバンドについては、音源もライヴも絶対に外さないという信頼感がある、もはや「ブランド」と言ってもいい存在ですが、やっぱりいざ生のライヴを体感すると、わかっていてもそのパワーに圧倒される。

 

アンコールには、もはやバンドの代表曲と言っても過言ではない「RAMPAGE TYRANT」「ONE THOUSAND EYES」という超強烈な2連打。慟哭の暴君が絶望に叩き落とす前者も最高ですが(ラスサビ前のアコギが再現できないのが唯一残念)、やはりなんと言ってもバンド名を冠したラストナンバーが最強です。

 

「渋谷の空を真っ赤に染め上げるぜ!」という言葉通り、赤を基調とした照明がフロア中を照らし、慟哭リフで爆走。ラスト1分半ほどにおよぶツインギターソロは、バンド最高の名演といってもいい仕上がりで、このギターソロに入る瞬間に耳栓を外しました。ギターが描く劇的なフレーズを爆音で堪能させてもらうことに。っていうかマジで音デカいな。シンバルが破壊音みたいな音出してるじゃん。

 

18時半から始まり、終演は20時半。実に2時間半もの長丁場で絶望・激情・慟哭のデスラッシュを浴び続けるひととき。密集地帯でこんなことすると、当然相当な疲労度になるのですが、不思議とそれを感じないどころか、ライヴハウスを出た後にはスッキリした爽快感すらある。

 

やはりこれは、彼らの音楽には鬱屈した精神やストレスを浄化し、解放を与えることができる力があることの何よりの証明ですね。最高のライヴをありがとう、デスラッシュメサイア