ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Wirbelwind 『TIME TO REALIZE』

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  • 国産メロデスシーン期待のニューカマー
  • THOUSAND EYESバリの慟哭疾走
  • 哀愁バリバリのギター&キーボードが最大の聴き所

 

先日ディスクユニオンにて、ストアプレイがガンガンかけられ激プッシュを受けていたバンド。それまでバンドの存在すら知らなった僕ですが、店内に入って物の数秒で「何だこれは!?」と反応し、こうして新譜を買ってしまったわけであります。

 

いくらサブスク全盛になっても、こういう出会いがあるからCDショップ巡りはやめられないんですよね~。まあその分財布にはダメージがのしかかりやすくなるんですが...

 

彼らWirbelwindは、RakshasaやEthereal Sinという、Evoken De Valhall Production所属のバンドでギタリストを務めているKIKKAさんが、ソングライターとして参加している6人組のメロディックデスメタルバンド。2017年に結成されたということで、個々のメンバーの経歴はわかりませんが、バンドとしてはかなりの若手。 

 

ヨーロピアンテイストなメロディックデスメタルを基調にブラックメタルヴァイキングメタルなどの要素をミックスしたシンフォニックなサウンドと、時代・地域を超えた"戦い"をテーマにした歌詞が融合した"Melodic Battle Death Metal"。

 

公式サイトではバンドの音楽性は上記の通りに説明されていました。本作以前に発表されていた1stフルアルバムは、もっとフォーキッシュな要素が強かったんでしょうかね?

 

というのも、本作のみ聴いた感じだと、あまりブラックメタルヴァイキングメタルの要素が強くないから。THOUSAND EYESを彷彿させるようなアグレッシヴで硬派なエクストリームサウンドと、哀愁に満ちた慟哭のメロディアスなギターが絡み、ヴォーカルも迫力満点(デスヴォイスの質感もどことなくDOUGENさんに似てる)

 

要は割とオーソドックスなメロディックデスメタルをプレイしており、バンドが標榜している、"メロディックバトルデスメタル"のうちの"バトル"の要素が、音だけ聴いててもさほど感じられなかったのです。

 

まあこういうコンセプトは歌詞やバンドの衣装、CDのジャケット含めて、総合的に演出させるものでしょうから、音楽だけでは100%伝わることはないんでしょう。

 

まあそんなコンセプト云々は置いといて、本作は5曲のみのミニアルバムですが、収録曲全てにおいて、一切の隙が無いほどの強烈な出来。演奏もヴォーカルも、他の日本の実力派メロデスバンドたちに全く引けを取っていない。

 

先述した通り、基本的にはTHOUSAND EYESのような、疾走を基本としメロディアスなギターフレーズを前面に押し出した哀愁クサメロデスのスタイルなんですが、ギターとキーボードによる哀愁フレーズが美しいフックに満ちていて、大きな聴きどころになっているんです。

 

オープニングを飾るM1「Time To Realize」から、早速慟哭のリフ&リードギターで爆走し、サビではバッキングでメロメロなギターが泣き叫ぶ、疾走慟哭メロデスの王道路線を高いレベルで演出する。この泣きのメロディーのそそりっぷりは凄まじい。

 

 M3「Lament」以外の楽曲は基本的に爆走しているというアグレッシヴスタイルを貫いているのも好感触ですが、唯一のミドルチューンであるM3もメロディーの良さには一切手抜かりがないのが頼もしい。というか、何だったらこの曲が一番ギターの哀愁が濃厚と言ってもいいくらい。

 

ギターとキーボードがクサいメロディーをかき鳴らしながら絡み合い、疾走していくという、彼らならではの個性は薄いものの、メロデスの基本にして王道を潔く貫いた好盤。こりゃあディスクユニオンも激プッシュするわけだ。

 

なお本作の欠点は値段。Veiled in ScarletやGrave to the Hopeの感想でも同じような事書きましたが、5曲入りミニで2100円は高いよいくらなんでも。中身が良いので我慢できるけど、もうちょっとなんとかなりません?

 

 

個人的に本作は

"哀しみをたたえたギターとキーボードを主軸とした、王道を行く超高品質慟哭メロデス"

という感じです。

 


Wirbelwind - "Time To Realize" Official Trailer (Japanese Melodic Death Metal)