ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Gladenfold 『Nemesis』

  • メロディックデスメタル.....ではない?
  • 美しく悲しい旋律に満ちた北欧の世界観
  • クリーンヴォーカルとキーボードによる哀愁のメロディーが武器

 

前回amorphisについて取り上げたので、その流れに乗った形で、またフィンランドのメタルバンドの新譜についての感想書きます。

 

前身バンド時代を含めると、2003年に結成したという中堅クラスのキャリアを持つ、たぶんメロディックデスメタルバンド・Gladenfoldの最新作。前作『When Gods Descend』の時点で国内盤が出ており、存在自体は知っていましたが、実際に音に触れるのは本作が初です。

 

フィンランドっていう国は、本当にいろんなメタルバンドの活動が頻繁なんだな〜と改めて思わされますよね。ライナーノーツによると、フィンランドは人口に対するメタルバンドの比率が世界一なのだそう。そりゃ魅力的なバンドがわんさか現れるわけです。メタル大国は違うんだな。

 

さて、先程このバンドのことを「たぶんメロディックデスメタルバンド」と表現したのには理由がありまして、たしかにメロディアス、かつデスヴォイスが使われているものの、一般に「メロデス」という言葉から連想される音楽性とはちょっと異なるから。

 

メロデスっていえばメロディアスな要素こそあれど、やはりそこはデスメタル。どこかアンダーグラウンドな雰囲気だったり、邪悪さを含んだ音楽性であることが多いです(ARCH ENEMYChildren Of Bodomのようなメジャーバンドになると違ってきますけど)

 

しかしこのバンドにおいては、そんなデスメタルらしいドロドログチャグチャしたアングラ感は皆無。その実態は完全に美しく悲しい、北欧パワーメタルのそれ。デスヴォイスに負けず劣らず使用されているクリーンの存在感が、その印象にさらに拍車をかけています。

 

専任キーボーディストがいる強みを活かした儚い旋律に、シンフォニックメタル的バッキング。それらをふんだんに活用したサウンドは、どの楽曲においても北欧の寒冷な空気をパッケージングした哀愁に満ちている。

 

言ってみれば「北欧の哀愁メロディックメタルにデスヴォイスブレンドしたもの」といった感じのスタイルで統一されています。メロデスを「美」と「醜」を融合した音楽性とするなら、彼らの音に「醜」の要素はほぼ無い。

 

これ、特に北欧系のメロディックメタルを好む層には受け入れられると思いますが、ガチで激しさと慟哭を求めているエクストリームファンにはどう映るんでしょうか。「こんなヤワな音じゃ哭けねえんだよ」とか思われちゃったりするのかな。それでも、この麗しきメロディーセンスには、どこか惹かれるものがあるのではないでしょうか。

 

ブラストビートで爆走しつつ、透明感あるキーボードが覆いかぶさり、静かなパートで泣きに泣いたギターソロがツボをついてくるM2「Chiara's Blessing」、ファンタジー映画のBGMかというくらいに盛大なシンフォニックサウンドインパクトを放ち、壮大なクリーンヴォーカルの歌メロにもますます磨きがかかるM7「Revelations」などを筆頭に、北欧臭プンプンのメロウさが全曲から香ってくる様は強烈。この手の音を愛する北欧マニアならきっと満足するはず。

 

M5「Saraste」のようなバラードにおいても、かれらのメロディアスなセンスがクリーンギターとキーボード、およびバックのコーラスからビンビンに感じ取れますね。徹頭徹尾デスメタルなバンドであれば、きっとこういう曲に説得力をもたらすのは難しかったのでは。

 

全曲息を呑む美しさを醸し出す、美麗な北欧メタルラッシュを繰り出す力作。ここにアルバムを代表するキラーチューンが配されたら、さらにすごいことになりそうな予感がします。

 

なお、国内盤ボーナストラックのM12「Enter The Dreamworld」は、デスヴォイスすら取っ払われた、完全なる明朗系メロディックスピードメタル。ある意味一番インパクトあります。明るいイントロはぶっちゃけ本作の中でかなり浮いちゃってますが、曲としてはすごく良い感じです。

 

 

個人的に本作は

"エクストリームメタルらしさには頼らない、哀愁・美麗な北欧メロディックメタル meets デスヴォイス"

という感じです。

 


www.youtube.com

 


www.youtube.com