クリスマスですね。聖なる日ですが、そんな世間の潮流に逆らってデスメタルを聴きますよっと。
いやね、昨日のクリスマスイブ、定時に帰れたらいいな〜なんて思って仕事始めようと思ったら、同チームに2人欠員が出ましてですね。僕の方へ仕事やら電話やらが色々と舞い込んできたんですよ。結果帰れたのは定時を3時間ほど過ぎたあたりでした。まったくもう。
メタル界の名プロデューサーとしても名を馳せる(というか個人的にはそっちの方が馴染みがある)、ピーター・テクレンがフロントに立つスウェーデンのデスメタルバンド。前作から8年ものブランクがある新作とのこと。
デスメタルはメロデス以外あまり積極的に聴いてこなかったので、正直彼らの過去作にもほとんど精通していないんですが、大きな路線変更をしてこなかったらしい彼ら。どことなくスウェディッシュムードが漂う、寒々しく叙情的、かつド迫力な極悪デスメタルです。やたらスペーシーな雰囲気漂うジャケですが、近代的な印象は感じられない古き良きスタイルって感じです。
名プロデューサーとして活動しているピーターが担当しているだけあって、サウンドの迫力は極上。野太く濁流のように押し寄せるギターリフの禍々しさ、時折顔を覗かせるメロウなギターフレーズの不穏さ、メロデスの領域に足を突っ込んでいる旋律を聴かせるリードなど、ギターが非常に良い働きをしていますね。この不穏な中にも叙情性を含むメロディーとハーモニー、これはやはり北欧を出自としているバンドの強みでしょうか。
M2「Chemical Whore」やM3「Greedy Bastards」のようなズンズンとした低音を基調とし、過剰に速いテンポは抑えたような楽曲では、よりギターが描く北欧情緒を纏う激情のメロディーが際立つ。M3やM11「Gods Of The Underground」の慟哭リフなんか結構わかりやすいですね。こういうの好き。
ガチのメロデスのようにリードギターがメインメロディーをかき鳴らし泣きまくるというほどではなく、けれどもメロディー要素をかなぐり捨てたデスメタルにはならない、このスタイルを中途半端と感じるか否かはリスナー次第ですけど、僕はこの鬱屈したリフに潜むメロディーはなかなか惹かれるものがあります。まあもっとわかりやすくメロデスしている方が好きなのは間違い無いですが(笑)
オープニングのM1「Worship」のブチ切れまくった疾走感、M6「Brotherhood Of The Serpent」の全てを破砕するかの如き鈍重リフの塊、全編を凶悪なムードで覆い尽くすピーターの獰猛なデスヴォイスなど魅力は色々ありますが、やはり一番のポイントは哀愁を漂わせる北欧的激情かな。良いリフです。
速い曲好きとしては、前述のM1やM8「Another Day」のような猛然と突っ走る爆走デスメタルがもうちょっと欲しいと感じますが、極悪叙情リフに飲まれるにはもってこいのアルバムで、予想以上に聴きやすくもありなかなか気に入りました。
個人的に本作は
"疾走にあまり重きを置かない迫力満点デスメタル。北欧ムードが滲ませる適度なメロディアスさが良い"
という感じです。