ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

UNEARTH 『The Oncoming Storm』

 

ここ最近自分の中でメタルコアが熱くなっています。いや、ずっと前から大好きな音楽なんですけどね。

 

その理由は明白で、つい先日代官山UNITで観たUNEARTHとSable Hillsのライヴ(Graupelは残念ながら観られず...)。どちらも血湧き肉躍る圧巻のメロディックメタルコアで、久しく経験していなかったライヴハウスらしい景色とも相まって、実に良い経験ができたものです。

 

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その感動を引きずって(正確に言えばライヴの前から予習として)彼らの楽曲や、彼らとスタイルの近いメタルコアを色々重点的に聴いていまして。

 

UNEARTHのアルバムで特にメロディックメタルコアとして質の高いものといえば、やっぱり00年代に出した2nd〜4thあたりのアルバムかな、と思っています。

 

ここで取り上げる本作は彼らの2ndフルアルバムで、2004年という、まさにメタルコアというジャンルがとりわけ高い熱量を帯びていた時代にリリースされたもの。

 

KILLSWITCH ENGAGESHADOWS FALLなどのアメリカのバンドたちが、北欧のメロディックデスメタルから強い影響を受けて、叙情的なリフワークやリードギターを取り入れつつ、アメリカのメタルらしいヘヴィでコアな要素も担保。メタルシーンにムーブメントを引き起こしていました。

 

そんな時期にリリースされたアルバムですから、もちろん王道を行くメロディックメタルコアど真ん中なサウンド。それも他のバンド達以上にメロデス的な叙情性が強く活きているのがポイント。

 

ツインギターである強みをフルに活かして、至る所にツインリードのハモリがブチ込まれており、さらにはメロデス直系のリフワークもガッツリと導入されている。ここがメロディックメタル好きの琴線にビシバシ触れてくるのです。

 

それでいてメタル"コア"としての、タフな音作りが蔑ろにされておらず、サウンド全体からたくましさと攻撃性が漲っているのも良い!歯切れの良いヘヴィリフによるブレイクダウン、メタルよりむしろハードコアテイストを漂わせるシャウトヴォーカルで、メタルコアの攻撃的な一面をしっかりと演出してくれます。

 

ロディックメタルコアは、サビになるとややポップ寄りのメロディーをクリーンヴォーカルがなぞる、という手法がよく使われる印象ですが、本作はクリーンの出現率が控えめで、あくまでメロディーの主軸はメロデス的なギターによるもの。僕は「サビでクリーン」なメタルも好きではありますが、ここまでタフな音作りで攻めてるのに、急にポップになっちゃうと興醒めしちゃうと思うので、この辺の匙加減も彼らは実に心得ていると言えましょう。

 

捨て曲はもちろん存在せず、全ての曲において強靭かつ叙情的リフの猛攻、破壊的ブレイクダウン、強烈な哀愁を漂わせる劇的リードギターが味わえる。M1「The Great Dividers」の突進力から早速容赦無しですし、M4「Black Hearts Now Reign」の疾走パートのリフなんかモロにメロディックデスメタル的で熱い!後半の小刻みなリフはヘドバンを誘発してくれます。

 

M5「Zombie Autopilot」は、彼らのメロウサイドの本質が剥き出しになったツインリードが炸裂。コアな音楽ファンのみならず、「あまりにヘヴィすぎるメタルはちょっとな...」という人ですら黙らせる叙情性に満ちた名曲です。本作でどれか1曲挙げるとしたらやっぱこれかな。

 

アルバム後半になっても勢いはとどまることを知らず、グッとリズムが落ちるヘヴィパートから、メロデスリフで爆走するM7「Lie To Purify」に、静かなインストを挟んでから、緊迫感あふれるヘヴィリフと咆哮で、とびきり重厚感ある出だしとなり(ハードコアモッシュが大量発生しそう)、そこからはお得意のツインリードも挿入、中盤から急にブレーキが壊れたかのように疾走もするM10「Predetermined Sky」など、高い殺傷能力を備えた楽曲ばかり。

 

メタルコアの王道を突っ走りつつ、何度も言うように他のメタルコアバンドと比べて圧倒的にメロデス由来のギターを増強させているのが最大の魅力。典型的ブレイクダウンももちろんありますが、それ以上に本作を特徴づけているのは紛れもなく「ギターの叙情性」に尽きます。

 

ポストハードコア的モダンさが強かったり、デスコアの領域に足を踏み入れていたり、電子音過多のエレクトロニコアのようなスタイルだったりと、一口にメタルコアと言っても色々ありますが、やはり僕の中でのメタルコアといえば、本作のような北欧メロデスの血流があるサウンドになっちゃいますね。

 

 

個人的に本作は

"ヘヴィでタフなメタルコアの王道を貫く。大胆に導入された北欧メロデス直系のリードギターが最大の魅力"

という感じです。

 


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