ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

UNEARTH 『The Wretched; The Ruinous』

 

去年の8年ぶりの来日公演における熱きパフォーマンスも記憶に新しい、メタルコアの代表格ポジンションの一つ・UNEARTHの最新8thフルアルバム。

 

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本作のオープニングとなるタイトルトラックM1「The Wretched; The Ruinous」、去年の来日ライヴ時に演奏された曲で、あの時の興奮を思い起こさせる、叙情メロデスの血脈が息づく名曲。メロディックリードギターがサビにて舞いながら、メタルコアらしいモッシュの似合うヘヴィさも完備している。

 

そのままの勢いで叙情的リフの殺傷能力が落ちないM2「Cremation Of The Living」、メロウなリードギターが終始目立ち、ヴォーカルのシャウトもより激情を表現してみせるM3「Eradicator」という強力な流れが来た時点で、もうメタルコアリスナーはノックアウトでしょう。

 

このように本作は、エレクトロやDjentやデスコア、ポストハードコアなど、一口にメタルコアと言っても色々なサブジャンルに派生している中、「これこそが王道のメタルコアだ」と言わんばかりの、オーソドックスな楽曲で占められています。

 

メロディックデスメタルからの影響を受けた、哀愁の叙情性に満ちたメロウなギターが多くの曲に配され、重心を下げたタフなヘヴィリフの応酬でモッシュを誘発、ハードコア直系のシンガロングパートも盛りこんだ、実に「メタルコアらしいメタルコア」。

 

現在ではこの音はややオールドファッションなものかもしれません。しかしピュアなメタルコアっていうのはやっぱり良いもので、荒れ狂うシャウトとリフがどんどんなだれこみ、バックでは叙情的ギターが泣いているのを聴いて「メタルコアってカッコいいなぁ...」と、改めて感じてしまいました。

 

ギターにどうしても耳が行きがちですが、2007年まで在籍していて、2022年になってカムバックしたマイク・ジャスティアンによるドラムも、要所で詰まったようなバスドラ連打を繰り出しており、音の密度の増幅、および勢いの上昇によく貢献していますね。

 

個人的には、イントロが流れた瞬間に1発で「好き!」と思えるほど、キャッチーなリードギターが暴れる疾走曲M5「Invictus」が特にお気に入り。こういうメロウでクールな旋律がド派手に掻き鳴らされる曲に僕は弱いのだ。

 

美しいクリーンギターが緊迫感を煽るインストのM8「Aniara」を挟んでの、ドラマチックなイントロから、王道を行くパワフルなリフへと繋がり、テクと泣きをしっかりと共存させたツインギターのソロが大きな聴きどころになるM9「Into The Abyss」、本作においては珍しくメロディックな要素を削り、獰猛リフで爆走するM10「Broken Arrow」という後半も最高にカッコいいな!ラップっぽいヴォーカルも邪魔にならず良いフックになってますね。

 

意外性やら予想を裏切る要素やらは無く、徹底的にメロディックでパワフルな王道ど真ん中のメタルコアを、潔く貫いた快作と言えます。イマドキな作風ではないかもしれないけど、高いレベルにまとまった直球のサウンドが気持ちいいんですよ。

 

リフ・ソロともに、全体通してギターが非常に良い仕事をしているのも特徴で、メタルコアのギターとはどういうものか、ということの良い見本にもなりえますね。

 

 

個人的に本作は

"メロデス由来のギターが大活躍し、ヘヴィ&スピーディーな要素も完備した、安定の超王道メロディックメタルコア"

という感じです。

 


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去年の来日時の映像が使われています。僕も会場にいましたが、この映像では自分の姿は確認できませんでした。

 


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