ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Take This to Heart 『Hypernova』

  • 期待の新人が生み出す"ハイパーメタルコア"
  • 大きく全面に出たギターが主役を張る
  • オーソドックスで良質なメロディアスさ

 

2021年結成という、出来立てホヤホヤな東京出身のメタルコアバンド。昨年末にリリースされた1stフルアルバムです。

 

"ハイパーメタルコア"なる音楽性を標榜し、激ロックのメンバーコメントにおいても、やたらハイパーハイパーと連呼して、さらにはタイトルも『Hypernova』。そのハイパーに対するこだわりは筋金入りであることが伺えます。自信家のベジータですら、名乗りはスーパーベジータ止まりだったのに。結成2年足らずでこの自信は只事ではない。

 

そして音を聴いてみて、確かにこれは自信を持ちたくなるよなぁと思わざるを得ませんでした。新人バンドとは思えないほど普通にメタルコアとしての完成度が高く、どの曲も安定して良い。

 

曲調としては、メロデスからの影響が大きそうな、叙情性をたっぷり含んだリフを主体としたもの。非常にオーソドックスな、メタルコアらしいメタルコアオールドスクールではないけど、モダンになりすぎることもない。同じ日本のメタルコアなら、Graupelに近しいものがあるかも。

 

特筆すべきはなんと言ってもそのメロディアスさを一点に担う、ギターの存在感。アグレッシヴな突進力を持ちつつ、絶妙にキャッチーな味わいのメロウさを常に放ち続けている。メロディックメタルコアらしい、王道のリフが目白押しなのが嬉しいところです。

 

M1「Hypernova」は、のっけからギターがピロピロピロピロピロ!と鬼のように速弾きを炸裂させてインパクト大。楽曲が進んでいっても、隙あらば速弾きを挿入しており、「主役は俺だ!」と言わんばかりの主張がすごい。

 

その主張は他の曲になっても落ちることはなく、メタルコアマナーに則ったメロウなリフをガシガシと鳴らし、ヴォーカルのバッキングでは速弾きをブチ込み、ここぞという場面ではテク以上にメロを重視したギターソロを展開する。このギターの躍動っぷりこそが、本作の最大の強みと言っていいでしょう。

 

個人的には、ひときわメインリフの叙情性が強く表出したM4「Aurora」に、インストを挟んでから小刻みなリフで疾走し、ヴォーカルの狂気度もアップしたM6「Dogmatic Monarch」の流れが一番グッときたな。いかにもアルバムの締めを意識したコーラスワークが特徴的なM9「Ignis」も良い。ちょっと青臭いけど、このキャッチーなセンスは優れたもの。

 

なおM9が締めらしい締めを演出してくれているのですが、CDにはさらにそこからM10「Amethyst」が始まるので、ちょっとアルバム構成としてはマイナスとまでは言わないけど、興が削がれなくもない?楽曲自体は本編に引けを取らない完成度ですけど。

 

しかし、デビューしたばかりのバンドが、これだけしっかりしたクオリティーのアルバムを出せるとは、今の日本のメタルコアシーンの充実度はかなり高いと思わせられますね。Graupel、Sable Hills、Earthists.のスプリットも記憶に新しいですし、NOCTURNAL BLOODLUSTやDEXCOREといったヴィジュアル系からの台頭、C-GATEやView From The Soyuzといったハードコア色の強いバンドも来てるし、まだまだアンダーグラウンドながら、どんどんシーンに厚みができている気がします。

 

Sable Hillsが主催するFRONTLINE FESTIVALにもオープニングアクトとして出演が決まってますし、これを弾みにしてさらにメタルコアシーンに波を立ててほしい有望株と言えます。僕としてもぜひ観てみたいものの、残念ながらPUNKSPRINGと丸かぶりなんだよな〜...

 

 

個人的に本作は

"メタルコアらしいリフと、主張の激しい速弾きギターで牽引するメロディックメタルコア。王道を行くメロディアスさが大きな武器"

という感じです。

 


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