ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SOULREST 『Until I Open My Eyes』

  • 中国出身のオーソドックスな叙情メロデス
  • 鋭いギターリフと、劇的なリードギターによる哀愁が強烈
  • 緩急のついた展開でよりダイナミック&ドラマチックに

 

前回、前々回と日本のメロデスバンドの新譜感想をアップしましたが、まだまだメロデス祭りは続きます。

 

今回取り上げるのは、中国の西安にて2013年に結成されたSOULREST。本作以前にEPとシングルを出しているみたいですが、フルアルバムは本作が初らしい。

 

中国のメタルシーンがどうなっているのかなんて何も知らない。というかそもそも中国という国に「監視社会」というイメージがついてしまっているだけに(実情がどうなのかはわかんないけど)デスメタルバンドが満足に活動できるのかとすら思ってしまいます。大丈夫?お国から文句言われたりしてない?

 

しかしそんな僕の心配とは裏腹に、本作に収録されている音は、普通にクオリティーの高いまっとうなメロディックデスメタル。モダンさを感じさせる音作りながら、常に哀しみを湛えた慟哭のギターリフを主体とし、時には弦楽器やピアノを用いて、実にメランコリックなサウンドを展開している。

 

中国出身ながら、ほとんどチャイニーズな雰囲気は漂っておらず、何とな〜くアジアンテイストは残ってるかな〜...?と感じるくらい。かなり王道路線の哀愁メロデスを貫いています。

 

ギターリフが非常にシャープで鋭い印象に仕上がっていますが、その反面ズシンとくるようなヘヴィさは少なく、全体的にちょっと音が薄い感じかな。デスメタルの音圧としては軽めの音作りではありますが、リフのザクザク感は好みなので、個人的にはそこまで気にならない。

 

激情的なリフでゴリゴリと押し通し、哀しみを発散させるスタイルが基本ですが、楽曲によっては途中でアンビエント要素というか、クリーンギターを使った落ち着いたパートも挿入されているため、静と動の緩急をうまくつけている。そのクリーンギターによる旋律も、非常にもの哀し〜いメロディーになっているところがまたイイ。中にはガッツリクリーンヴォーカルも入れたM7「Groot」のような、哀愁バリバリのミドル曲もあり、これがまた良いスパイスになっているんですよ。

 

ラストを飾るM10「Reborn」〜M11「The Mobius ♾️」は、オーケストレーションを大々的に導入した荘厳な楽曲となっていて、クライマックスを盛り上げることに一役買っています。特にM11は哀愁をまき散らしながら、本作随一と言えるほどの爆走するパートはさながらブラックメタルのようであり、映画BGMのように盛り立てられるオーケストラが壮大なドラマを描く。アコギによる裏寂しいラストも趣があって良いですね...

 

本作で特に気に入った曲はM3「The Sorrow From Lost」ですね。クリーンなイントロの時点で、すでに尋常ならざる哀愁が漂っていますが、ヴォーカルが入ってくるなり、極上の哀しみに彩られた美しい旋律が顔を出す。その後に慟哭のリフで疾走しちゃえば、もう一気に引き込まれるのみ。

 

滑らかに美しいメロディーを紡ぐギターソロも素晴らしく、さらに輪をかけて強烈なのが、女性クリーンヴォーカルを取り入れた壮大なサビ。エクストリームなパートと、メロウでゆったりとしたパートがバッチリと融合し、そのどれもが哀愁叙情美旋律を奏でるという悶絶モノのキラーになっています。

 

疾走感と号泣必至な哀しみを湛えながら、静かなパートでブレイクを挟む緩急、ラストに向かって盛り上がりを見せるオーケストレーションを取り入れ、叙情派リスナーのツボをグイグイと突いてくる。これはかなり強烈な哀愁メロディックデスメタル作品に仕上がっているのでは。

 

メロデスファンはもちろんのことながら、メタルにドラマ性や叙情性を求める人ならまず聴いて損のないクオリティー。欧州メロデスに遜色ない作品が、メタル先進国とは思えない(だよね?)中国から出てくるとはなかなか驚き。アジアにメロデス旋風が巻き起こるというのか!?

 

 

個人的に本作は

"シャープなリフ、激情のリードで哀しい叙情美を描き出すオーソドックスな高品質メロデスクリーントーンを活かした緩急、オーケストラによる壮大な演出も聴きどころ"

という感じです。

 


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