ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Kalmah 『Kalmah』

  • 従来から一切ブレない北欧情緒あふれるメロデス
  • キラキラキーボードとアグレッシヴなリフが彩る王道のスタイル
  • 全体通してアグレッシヴな勢いが良い

 

Limp Bizkitの来日公演感想を一回挟んでから、またまたメロデス新譜の感想記事となります。

 

デビューから一貫して、本場北欧フィンランドらしいメロディックデスメタルをプレイし続ける、メロデス界安心安定のブランドといえるKalmahの最新作。前作『Palo』から5年ぶりとなり、このバンドとしてはややスパンが開きました。

 

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フルアルバムとしては8作目と、だいぶ作品数を重ねてきた彼らですが、ここに来てバンド名と同じセルフタイトルのアルバム。音楽性はもはや変わりようがなく、北欧情緒をまとうキーボードと叙情的なギターを活かし、どこか寒々しい空気感を放ちながら疾走する、ド直球の北欧メロデスを潔いほどに貫いています。

 

前作の印象と比べると、まず本作は全体的に勢いが増しているのが好印象。オープニングのM1「Haunted By Guilt」から、鋭いギターリフと共にドラムがブラストで爆走する、アグレッシヴな楽曲。それでいてリフには、北欧ならではの叙情性が息づき、泣きのメロデスに相応しい哀愁をかき鳴らしている。

 

ダイナミックでありながらちょっと田舎臭いような、アグレッシヴなのにどこか垢抜けない印象も拭えない、従来と変わらぬ土着的な雰囲気も変わらない。この北の大地の香りは、北欧以外の地域のバンドでは、決して醸し出せないものでしょう。

 

頭3曲がいかにもな北欧疾走メロデスのスタイルを貫いていて、この出だしの強力さでアルバムの印象を決定づけている感がありますね。今の時代にはそぐわないくらいに、徹底的にオールドスクールなクサメロデス

 

そんな中でも北欧の森林や山奥のような風景を呼び起こすバラードM4「No Words Sad Enough」、ゆったりとしたテンポの中で、猛烈な哀愁のリードギターを泣かせるM6「Home Sweet Hell」のような存在が、良いスパイスになっています(後者は後半で疾走しますが)

 

静かなキーボードによるスローパートと、メロウなギターがキラキラサウンドと絡み合い爆走するパートのコントラストが鮮やかなM7「Tons Of Chaos」なんて、この手のキラキラメロデス愛する人には、たまらない名曲に仕上がっているのではないでしょうか。

 

透明感あふれるキーボードとともにブラストで爆走する様が、雪景色を通る冷たい爆風を彷彿させるM9「Taken Before Given」も、フィンランド出身だからこそ演出できたものでしょうね。ラストを飾るM11「Silent Sorrow」における、あまりにも哀しすぎる、それでいてどこか勇壮なムードを持ったメロディーも素晴らしい。

 

疾走しようがしまいが、とにかく自身のアイデンティティとなる北欧臭を終始放ち続け、勢いのあるリズムとリフで固めているパートが多いこともあり、疾走感に身を委ねつつ哀愁に泣く、実に気持ちのいい聴き方をすることができる快作。

 

モダンでグローバルスタンダードな音を好む層からは、そっぽを向かれる…というかそもそも気づいてもらえない程に土着的ですが(笑)、この垢抜けなくも美しく、哀しいサウンドは、メロデス愛好家には必ずや刺さると思います。

 

 

個人的に本作は

"北欧出身バンドでしか成し得ない、冷たい叙情性を垂れ流す超王道メロディックデスメタル。アグレッシヴな疾走が多くとも、寒々しく土着的な雰囲気がプンプン漂う"

という感じです。

 


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