ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Suotana 『Ounas Ⅰ』

  • 北欧らしい冷気MAX
  • 透明感あるキーボードを中心に描かれるメランコリックな世界
  • 銀世界を脳裏に浮かべながら浸ろう

 

まだまだメロデス祭りは終わりませんよ。前回フィンランドのKalmahの新譜を取り上げたので、それに続くアルバムはやはりこれだろうなと。

 

来年1月にKalmahと一緒に来日することが予定されている、同じくフィンランド出身のメロディックデスメタルバンド・Suotanaの最新作。このアルバムが出るまで、このバンドのことは知らなかったのですが、どうやらこれ以前にもフルアルバムとEPをリリースしているらしい。

 

バンド名の"Suotana"はフィンランド語のSuo=沼地と、Saatana=悪魔を合わせた造語なのだそう。Kalmahもスワンプ・メタルと自身の音楽性を定義しているし、さらには本作にはそのKalmahのキーボーディストである、ヴェリ・マッティ・カナネンがゲスト参加しているなど、どこまでもKalmahとの共通点を感じさせるバンドです。

 

そしてやってる音楽もKalmahと同じく、北の大地由来の叙情性を強く感じさせる、ザ・北欧キラキラメロデスなのですが……ちょっとこの作品は常軌を逸してますね。

 

何がって、北欧臭がです。前回取り上げたKalmahの最新作も、充分すぎるほどに北欧メロデス特有の冷気、土着性を感じさせるものでしたが、本作から放たれる寒々しさはそれすらも超える勢い。メロウに鳴り響き続けるリードギター、バッキングを彩る透明感あるキーボード、美しさの臨界点を押し広げる荘厳なコーラス、そのどれもが北欧メロデスならではの空気を醸し出している。

 

全曲合わせて40分ほどの短さなのですが、その時間帯のどこを切っても冷たい空気のオンパレード。メランコリックな旋律で紡がれるリードギターの情緒に泣き、キラキラと光るキーボードで雪景色を脳裏に浮かべ、突進力のあるドラムで暴風レベルの北風を浴びる。特にキーボードが良い味出してますね。勇壮で、哀しくて、そして冷たい。

 

一応デスメタルではあるものの、ステータスを「北欧らしさ」に全振りしているため、モッシュだとかサークルだとか、そういったエクストリームなノリは似合わないですね。音から溢れ出す美旋律にひたすら浸り、白銀の大自然を味わうのが正しい聴き方でしょう。

 

収録曲は全部で6曲しかないため、必然的に各曲は長め。M5「River Ounas」は13分以上にもおよぶ大作となっています。長い曲は基本的に苦手な僕ですが、本作はアルバム全体通して放たれる空気感を味わうように聴く作品であり、曲単位で取り出して聴くようなモンでもないので、長いせいでダレるということは起きませんでした。

 

ラストのM6「Land Of The Dead」は、女性ヴォーカルも交えて、より一層叙情的な世界を描き出す名曲ですが、これはオーストリアブラックメタルバンド・SUMMONINGのカバー。原曲はひたすらゆったりとしたアトモスフェリックな曲でしたが、彼らの手によって立派に美麗な北欧メロデスへと姿を変えてます。個人的にはコッチの方が断然好きだな。

 

何度も述べるように、とにもかくにも北欧ならではの冷たい叙情性がハンパではない!雄大な自然を想起させるようなムードもバッチリなので、この手の北欧叙情メロデスを求める人ならマストで聴くべき作品でしょう。僕が今年聴いてきたメロデス作品の中で(まあ大した作品数ではありませんが…)、冷気の強さは間違いなく最強レベル。

 

今年の冬はどうやら暖冬になるらしいですから、冬の透明感・空気感が物足りない人は、ぜひ本作をお供にしてみてはいかがでしょうか。きっと体感気温下がりますよ。

 

どうでもいいけど、前回のKalmahの感想記事とあわせて、何回「北欧」ってワード使ったんだろ。

 

 

個人的に本作は

"最高レベルの北欧冷気を感じさせるメロディックデスメタル。聴くだけで極寒の大自然の景色が広がる"

という感じです。

 


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