ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

MORS PRINCIPIUM EST 『Seven』

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  • 正規メンバーはたったの2人
  • コンポーザーはイギリス人だが北欧の空気感はバッチリ
  • やや地味だが哀愁に浸れる良質メロデス

 

北欧メタルの中心地であるフィンランド出身のメロディックデスメタルバンドであり、バンド名の読みにくさには定評のあるMORS PRINCIPIUM ESTの、タイトル通りの7枚目のフルアルバム。

 

ただ今の彼らを「フィンランド出身のバンド」と形容してしまっても良いのかどうかはちょっと疑問。

 

というのも前作発表後にメンバーが2人脱退し、さらに今年にも1人の脱退劇が発生。今残っているメンバーは初期からヴォーカルを務めていたヴォーカルのヴィレ・ヴィルヤネンと、ギタリストのアンディ・ギリアンの2人のみ。

 

そしてアンディはイギリス人であるということで、体制だけ見ると「フィンランド人とイギリス人のタッグによるメロデス・プロジェクト」のような状態になってしまっているのです。

 

ただ本作のドラムは過去作の制作にも携わったメンバーであり、ライヴはサポートを迎えて行うようなので、フィンランドメロデスバンドといっても差し支えはないのでしょうが。

 

それはそうと本作、ギターの他にベースやオーケストレーションも担当しているアンディが作曲をしているようですが、イギリス人の彼が手掛けているとしては、フィンランドのお国柄がしっかりと出ているというか、パッと聴いただけで北欧のメロディックデスメタルだということがわかる仕上がりになっています。

 

アグレッシヴ刻まれつつも切ない叙情性をしっかりと保持しているリフに、哀愁度の濃いメロデスらしいリードギター、そしてどこか不穏で寒々しい冷気を携えたような雰囲気。まさに北欧慟哭系メロデスそのものズバリな姿。

 

モダンなヘヴィさや、デジタル音、Djent風味の機械的なリフといったものには目もくれず、ひたすらに王道のメロデスを追求する様は実に頼もしいものがある。北欧メロデスってこういう音だよね!そうそう!

 

ただ同じように北欧メロデスそのままの姿を体現しているKalmahと共通して、全体的にちょっと地味ではあります。疾走感もほどよく、バスドラの高速連打もあり、適度なシンフォニック要素もあるんですが、ARCH ENEMYやかつてのChildren Of Bodomといったバンドと比べると(これはちょっと比較対象が悪い気もするが)、今一つ突き抜けた者が感じられないかな。「普通に良いね!」以上になりきれないもどかしさがあるような。捨て曲がない代わりにこれといったキラーチューンも無い。

 

まあメンバーの交代が激しく、正規メンバーが2人しかいない状態になっても、古き良きメロディックデスメタルの正しき姿を継承してくれてるだけ、メロデスファンにとってはこのバンドの存在はありがたいはず。とりあえずメロディックデスメタルの王道を聴きたい人には、しっかりと期待に応えてくれる楽曲を取りそろえてくれてますよ。

 

 

個人的に本作は

"全体的にややパンチ不足だが、高クオリティーの王道北欧メロディックデス"

といった感じです。

 


MORS PRINCIPIUM EST - A Day For Redemption // Official Lyric Video // AFM Records

 


MORS PRINCIPIUM EST- My Home, My Grave (2020) // Official Lyric Video // AFM Records