ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

IN FLAMES 『Foregone』

  • 完全なメロデス回帰ではない
  • 従来のオルタナメタルにエクストリームなアグレッションを
  • 悲痛なエモーションの表現は変わらず鉄板

 

IN FLAMESメロデスに回帰した」

そんな前評判を聞いて皆さんはどう思ったでしょうか。

 

「ついに慟哭メロデスに戻ってくれたか!」と喜んだでしょうか。それとも「そんなわけあるかい」と一笑に付したでしょうか。

 

本作『Foregone』が発表される前(そして発売された後も)、盛んに宣伝文句として使われたのが「90年代型のメロデスへ回帰」でした。

 

実際に先行シングルとして配信されたM2「State Of Slow Decay」、およびM8「The Great Deciver」は、アグレッシヴかつ叙情性を滲ませるリフで突進する楽曲、特に後者のリフはメロデスの色が顕著に出ていると思います。近年の作風としては、特にストレートでエクストリームなメタルの雰囲気が強い。「THE HALO EFFECTの活躍に感化されてメロデスをまたやり出した」なんて意見も目にしましたね。

 

しかし、それを以てしても僕は「メロデスに戻った?ウソつけ〜」と思ってました。このバンドが「古くからのファンに喜んでもらえるような曲を作ろう」なんてマインドになるとも、後ろ向きな姿勢をとるようになるとも思えなかったので。

 

だからこそ、本作を聴いて「何がメロデス回帰だ!」と憤ることもなく、単純に良い作品だと思えました(というか、今のIN FLAMESに本気でかつてのメロデスに戻ってくれることを期待している人っているんですかね?)

 

モダンメロデスオルタナの融合という点でいえば、2006年に発表された『Come Clarity』が挙げられますが、あちらは骨格にメロデスがあって、そこへオルタナ要素をドッキングした印象で、本作はその割合が逆転したようなイメージでしょうか。

 

基本線はここ最近でやってきたオルタナティヴメタルの音作りを踏襲しています。そこへエクストリームメタルらしいアグレッションを、過去作に比して多めに取り入れている感じ。アンダース・フリーデンのスクリームと、刺々しく唸るヘヴィリフの絡み、メランコリックな旋律を奏でるギターがカッコいい。

 

前述のM2、タイトルトラックとなったM5「Foregone Pt.1」を筆頭に、アルバム前半はモダンメロデス的な勢いに満ちた楽曲を配して、感情を昂らせてくれる。M5はリフの叙情性もリードギターの哀愁も、近年の楽曲としてはかなり強めに施されていて良いですね。

 

その後に続くM6「Foregone Pt.2」は哀愁の強さはそのままに、ミドルテンポで展開していく落ち着いた曲。タイトルこそ連作っぽいけれど、普通に聴いているだけであればM5と別個の曲に思えるな。あんまり繋がりみたいなものはわからない。

 

後半は後期IN FLAMESらしいヘヴィロック路線が強くなり、アンダースの振り絞るようなシャウトヴォーカル、悲しみの表現力が際立つクリーンの存在感が増したように感じられます。本当に彼のヴォーカルスタイルは、メランコリックな感情に合いますね。M7「Pure Light Of Mind」やM11「Cynosure」あたりは特にそう感じます。

 

ここまで悲痛なエモーションを表現できるヴォーカルがいるのだから、前作収録の「Stay With Me」くらいに情感のある楽曲が欲しい気もするし、地味目の曲もあったりはするのですが(特にM12「End The Transmission」はラストなのだからもう少し印象に残る曲であってほしかった)、総じて今の彼らに期待される路線を、高いクオリティーで提供してくれた良作であると思います。

 

メロデス云々を抜きにして、ネガティヴな感情に満ちたメタルをプレイさせたら、彼らは世界有数の存在になっているのかもしれません。

 

 

個人的に本作は

"近年のオルタナメタルにモダンメロデスの色を織り交ぜた、哀しみの感情表現に長けたメランコリックメタル。言うほど原点回帰はしてないよ"

という感じです。

 


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