- 8曲・45分というコンパクトにまとめた1枚
- 10分以上の大作含め、勇壮でポジティヴな魅力満載
- 従来通りのヒロイック&ファンタジックな世界観
イタリアを代表するシンフォニックメタルバンド・Rhapsody Of Fireが確立した、RPGから強く影響を受けたヒロイック&ファンタジックなメタル。
そのジャンル(って言っていいのかな？)において、名実共に代表格と呼べる存在にまで上り詰めた、スウェーデンのTwilight Forceが4年ぶりに放つ新作です。ジャケットには相変わらずドラゴンが大きく描かれ、バンドのスタンスは一切ブレていないことを示しているようで実に頼もしいですね。
GLORYHAMMERにWARKINGS、POWERWOLFといった、音楽性や歌詞だけでなく、メンバーのルックス含めて総合的に世界観を演出するバンドが台頭して、いずれも優れた作品を出してくれていて、彼らTwilight Forceも「わかりやすいシンフォメタル、キャッチーなメロスピ」という点では、他に類を見ないほど高い完成度を有しています。
本作においても過去作同様、彼らの劇的ながらも親しみやすい、「勇壮でキャッチー」という要素を完璧に抑えた楽曲に満ちています。これまでの作風を好んできた人であれば、まず期待を裏切られることはないでしょう。
従来と比べて異なる点といえば、作品全体のコンパクトさですね。全8曲、総収録時間は45分程度と、やや大作志向寄りだった従来作と比べて明らかに短くまとまっています。
個人的には長い曲・アルバムを好まないのと、大仰な楽曲は一度にたくさん聴くと聴き疲れやすいというのもあり、この短くまとまった路線は歓迎したいところですね。曲の完成度は高く安定しているし、10分以上にもなる大作曲も収録されているので、密度が薄くなった印象はさほど受けません。
ただ聴きやすいが故に、ある程度長い時間でも割と聴けちゃうの音楽ではあるので(大作を長さを感じさせずに聴かせ通せる、作曲能力の巧みさの証明でもある)、少々の物足りなさは感じちゃうかもしれませんが。
のっけから高速のギターと共に駆け抜け、ポジティヴな泣きを帯びた飛翔系メロディー炸裂するM1「Twilight Force」、およびバンドの王道とも言えるキャッチーなシンフォメロパワM2「At The Heart Of Wintervale」の2連発で、もう本作の良作扱いしたくなってしまう。このツカみの良さ、勢いの良さはアルバム全体の印象にプラスの影響を与えますね。
アルバム中盤に鎮座するM4「Highlands Of The Elder Dragon」は、10分を超える大作ながら、彼ら特有の劇的な展開とメロディーが矢継ぎ早に繰り出され、ダレを覚えることのない名曲。ここがアルバムのハイライトとなります。
10分超えの大作としてはラストのM8「The Last Crystal Bearer」もありますが、メロディーの劇的さは(あくまで彼らとしては)さほど目立つものではなく、語りを配してアルバムのコンセプトを完結させることを目的としたような楽曲。この曲もM4くらいのメロディーが欲しかった、というのが本作唯一の不満点らしいところでしょうか。
ベースとドラムのリズム隊の音にあまり迫力が無いとも感じましたが、それが必須な音楽性ではないので、さほど気になるほどでもない。
総じて「さすがTwilight Force！パワーメタラーの求めるものがわかってるな！」と言いたくなる良作でした。人によってはポップすぎると感じるかもしれませんけどね。ポジティヴなクサさという点においては、もはや現代メタルシーンにおいてトップクラスでしょうこのバンドは。
不死鳥のごとく復活を遂げたEvoken de Valhall Productionにより、今年の来日が決定していて、イタリアのFelloshipが帯同、東京公演には日本のILLUSION FORCEとPhantom Excaliverがゲストアクトを務めるという、なんともマニア垂涎のライヴが決定しているので、この世界観にハマれる人ならマストGOでしょう。自分は同日に別の予定が入ってしまっているので行けませんが...
個人的に本作は
"劇的RPGメタルにブレ無し。ポジティヴかつキャッチーなメロディーはそのままに、1枚通してコンパクトで聴きやすさUP"
という感じです。
