ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Galundo Tenvulance 『Lunar Eclipture』

  • 40分爆走しまくるシンフォニックデスメタル
  • シンフォニックサウンドの勢いに負けない泣きまくりギター
  • 疾走メロデスを基本にしながらモダンなアプローチも

 

前回のthe Art of Mankindに続いて、今回もまた日本のメロデスバンドの新譜感想となります。

 

2020年に結成されたばかりの国産メロディック/シンフォニックデスメタルバンドの、スピリチュアル・ビーストよりリリースされたフルアルバム。

 

これまでフロントマンを含む、幾多のメンバーチェンジを繰り返しながら、シングルやEPのリリースを続けており、本作からヴォーカルをとっているMARCHOさんは、前回取り上げたthe Art of Mankindでもサポートヴォーカルをやっていた時期がある人だそう。

 

「日本のメロデスはレベルの高いバンドばかり」と前回書いたばかりですが、このバンドも例に漏れず、1stフルアルバムでありながらその楽曲のクオリティーは確かなものがあります。

 

というかメロデスといい、Graupel・Sable Hills・Earthists.らが活躍しているメタルコアシーンといい、メロディックかつエクストリームなメタルは、世界的に見ても日本の充実度が高まっているようにすら感じてしまいますね。いったいいつから日本はエクストリームメタル大国になったというんだ。

 

本作は、高速なドラムがブラストを交えつつ疾走して、キレの良い哀愁リフが刻まれつつ、時折劇的なリードギターで泣きを演出するメロデススタイル。

 

これだけ聞くと前回のthe Art of Mankindと同じような感じですが、元々は「シンフォニックかつデスコア/メタルコアのようなモダンな要素を併せ持ったメロデス」を標榜して結成したらしく、爆走一辺倒ではなくヘヴィリフが目立った重心の低いパートも存在しています。

 

シンフォニックな側面をアピールするオーケストレーションも全曲で大胆に使われ、ホラー映画やパニック映画さながらの緊迫感を描いているのも、本作の特徴の一つ。Serenity In Murderに通じるところがあり、こっちの方がよりモダンなテイストが強いですね。ギターリフに関してはMORS PRINCIPIUM EST、シンフォニックアレンジはDIMMU BORGIRから影響を受けたんだとか。

 

シンフォサウンドと泣きのギターのコントラスト、攻撃性を失わないエクストリームなサウンドは完成度が高く、M1「Red Raven」から早速このバンドの強みが浮き彫りになる(バンド側もこの曲が名刺代わりの曲になることを狙ったらしい) 泣きメロによる劇的さと、シンフォニックな荘厳さがしっかりと両立されています。

 

THOUSAND EYESにも通じるような泣きのギターが特徴的なM4「Leave This Nightmare」、楽曲の緊迫感を失わずに、バッキングのリードギターがさらにキャッチーになったM5「Solemn Oath」など、推し並べてクオリティーの高いメロウさが冴え渡ります。M10「Therefore I Am」がまた、ドラマ性を増したメロディックリードギターが前面に押し出されていて、クライマックスであることを印象付けるかのよう。

 

どれだけシンフォニックな装飾が大仰に舞おうとも、「メタルの主役はギターだろ」と言わんばかりに、ギターの存在感が薄くならないのがいいですね。エクストリームメタルとしての攻撃性が損なわれていない。

 

ラストのアウトロを除けば、どの曲もほぼ同一のテンションを保ったまま突っ走るため、アルバム全体の起伏や緩急みたいなものはほとんどないのですが、総収録時間は40分程度で、5分を超える曲がないため、聴き疲れしにくい(さすがに全くしない訳ではない。かなり熾烈な音が続くので)のも嬉しい。

 

モダンなヘヴィさを導入しながら、保守本流メロデスらしい泣きのリフ、リードギターは全編大活躍。さらにシンフォニックサウンドの大仰さでドラマチックさに拍車をかける、非常にクオリティーの高いシンフォニックデスメタルに仕上がっています。若手の1stアルバムでありながら、楽曲の完成度はもう十分他のメロデスバンドにも渡り合えるレベルなのでは。

 

前述の通り、アルバム通してテンションがほとんど変わらないのですが、1stアルバムということもあり、自分たちの楽曲スタイルはこれだ!という主張を貫き通した結果なのかもしれません。潔くて気持ちのいい走りっぷりです。

 

あと音楽とは全然関係ないけど、バンド名がメッチャ覚えにくい&読みにくい&書きにくいので、このバンドのことを思い出そうとしたら「何だっけ...あのガランドなんちゃらみたいな...シンフォデスのやつ...」みたいな感じになって、スッと出てくることはなさそう。

 

 

個人的に本作は

"映画音楽さながらのシンフォニックサウンドを使いながら、決して陰りを見せない泣きまくりのリードギターが主張する、モダンなメロディックデス"

という感じです。

 


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