ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

IN FLAMES 『Come Clarity』

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よく聴き返している旧譜作品の感想も、機会があればどんどん書いていきたい。そう思い続けてはいるものの、パソコンの前に座るとなかなか文章が進まないShowと申します。どうぞよろしく。

 

さて、ここ最近リピート率が高いのが、スウェーデンメロディックデスメタルの重鎮にして、現在はオルタナティヴメタルとしてワールドワイドな活躍をするIN FLAMESの、2006年に発表した8thフルアルバムです。

 

本作は、本格的にメロデスからオルタナメタルへと転向を図り出した時期の作品で、サウンド自体は前々作『Reroute To Remain』からの系譜に位置するもの。初期のようなアンダーグラウンドな北欧臭を漂わすデスメタルらしい音像からは離れた、現代的にアップデートされた音作り。バキバキと唸りながら血を這うように進むベースに、ややノイジーな感じで強烈に歪ませたギターが乗っかり、パワフルに疾走していく音の破壊力はかなりのもの。

 

しかしこのアルバムが評価されているのは、そんなモダンな音の中に、リードギターのメロディーの豊富さ、哀しみを常に湛え、リスナーの感情に訴えかけるパワーといった、かつての彼らが持っていた要素が息づいている点でしょう。音作りが新しくなっても、そこには確かに"メロディック"デスメタルとしての美点があります。

 

まあこだわりの強い人ならば「この音はデスメタルじゃない」と思うかもしれませんけどね。これだけ熾烈な音にエモーショナルなメロディーが詰まっている様は、僕からしたら文句なしに「カッコいいメロデス」ですよ。

 

また、リードギターにメロディーの魅力を委ねていたかつてのサウンドよりも、アンダース・フリーデンのヴォーカルの感情表現がかなり強化されているのもポイントですね。絞り出すようなシャウトに、効果的に使われる切々としたクリーンは、本作の激情迸る作風をより克明に映し出す役割を担っています。ネガティヴな感情を目一杯に振り絞るかのような声が良い!

 

M1「Take This Life」はオープニングからわかりやすく本作の方向性を示す名曲で、切れ味鋭いリフが颯爽と表れ、デスラッシュばりのスピードで刻まれていく展開がカッコいい。サビで聴こえるクリーンヴォーカルも妙に耳に残るキャッチーさがある。

 

リフの勢いはそのままに、女性ヴォーカルを用いたスローパートも盛り込みながら、なきを帯びたリードギターソロも設けたM4「Dead End」に、アコギの旋律がもの悲しさをさらに助長しつつ、見事な哀しみのリードギターでも魅せるバラードM6「Come Clarity」、そこから一点、随一の爆走で興奮度を頂点に持っていくM7「Vacuum」、アグレッシヴなリフもメロウなリードも含んだ演奏をバックに、猛然と疾走しまくる爆速チューンM10「Versus Terminus」、イントロのツインリードの時点でリスナーの心鷲掴み、そして壮大なサビも最高にカッコいいとくるM12「Vanishing Light」と、とにかく聴きどころ満載の楽曲ばかり。

 

全体的に勢いのある楽曲が大半を占めているおかげで、気持ちよく一気に聴き通せるし、破壊的なギターサウンドと唸りまくるベースがメタルとしてのアグレッションを演出してくれていて、とにかく聴いていて痛快。モダンなメロデスとしては理想型とすら言える作品なのではないでしょうか。これくらいのバランス感覚がずっと保てていれば、路線変更ももう少しメタルファンから歓迎されてたんではないか。

 

 

個人的に本作は

"彼ら自慢の哀愁メロディーセンスと、モダンで破壊力抜群のサウンドが合致した、超攻撃的モダン・メロディックデス"

という感じです。

 


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