ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SCHIZOPHRENIA 『Recollections Of The Insane』

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まず、バンド名が読みにくいです(笑)

 

彼らSCHIZOPHRENIA(スキッツォフレニア。カタカナ表記でも読みにくい)は、ベルギー出身の四人組デスラッシュバンド。結成は2016年という若手で、本作がデビューアルバムになります。現在のバンド名に改名する前の前身バンドは、なんとメンバーが中学生の時に結成されたのだとか。

 

前回もTYMOという若手のスラッシュメタルバンドについて取り上げてみたので、その流れに乗って同時期に発売された若手エクストリームメタルのアルバムについて、もういっちょ書いてみようかと思いました。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

そのTYMOが昨今珍しいくらいに、王道で健康的な(?)スラッシュメタルを貫いていたのに対し、彼らはグッと邪悪な音像になっています。

 

もともとは純粋なスラッシュメタルを志していたそうですが(SEPULTURAから多大な影響を受け、バンド名もSEPULTURAの2ndアルバムが由来)、本作で聴ける音はほぼ完全にデスメタルのそれ。一応ジャンルとしてはデスラッシュに分類されますが、スラッシュ色は(あくまで僕の感覚では)そこまで強くは感じられない。

 

そう感じる要因としては音質によるもの。スラッシュメタルとしてのリフの鋭さ、ザクザク感がそこまで目立っておらず、デスメタルのグチャッとしたアンダーグランド臭が濃厚だからです。M5「Onwards To Fire」のリフとかは、割とスラッシュ的な刻みが感じられるんですが、全体的な音の質感は90年代のオールドスクールデスっぽい。

 

M3「Sea Of Sorrow」、M8「Fall Of The Damned」とかに顕著な、メロディアスなリードギターが飛び出す場面もあり、必ずしも邪悪な疾走一辺倒ではないところを見せつけてくる点も魅力の一つですね。とはいえ「メロデス」と呼べるほどドラマチックだったり、哀愁バリバリだったりはしていません。あくまでメロウなリードを多少取り入れた、疾走重視のデスメタルといった印象ですね。

 

ロディアスなメタルを好む者としては、やはりこの手のスタイルだとちょっとメロディーの要素が少ないので、心底気に入るタイプではないのですが(デスメタルはわかりやすいくらいのメロデスの方が好き)、この地獄の底から這い上がってくるようなヴォーカルと、ブラストを交える超速ドラムによるデスメタルナンバーは「キャッチーさなんぞ知るか!」というデスメタラーには響くものがあるのではないでしょうか。あまり輪郭がハッキリしていない音質も、初期デスメタルに通じるものがあって魅力になりそうですし。

 

どの曲もほぼ同じ方向性を向いていますが、個人的にはスラッシュ的リフや、メランコリックなエンディングが印象的な前述のM5、同様に殺傷能力の高いリフとドラムの絡みが美味しいM6「Souls Of Retribution」あたりが好き。メロウなギターとテンポチェンジを交えながら高揚させてくれるM8も良い感じ。

 

デスラッシュではありますが、スラッシュメタルよりもデスメタルの要素に魅力を感じる人にオススメ。今後のエクストリーム界隈における、新世代代表格になり得るポテンシャルはありそうです。

 

 

個人的に本作は

"デスラッシュながら、スラッシュメタルらしいリフの主張はやや控えめ。オールドスクールな音像を主軸とした、疾走感溢れる邪悪なデスメタル"

という感じです。

 


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