ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

TORTURED DEMON 『Rise Of The Lifeless』

 

こりゃまた将来有望なバンドが現れたもんですね!

 

ギターヴォーカルのジェイコブ・パーキンソン、ドラムのジョー・パーキンソンという、パーキンソン兄弟を中心に結成された、スラッシュ/メタルコアバンド。以前にもアルバムやEPをリリースしているらしく、本作は2ndフルアルバム。

 

特筆すべきは何と言っても若さで、前述のパーキンソン兄弟は兄のジョーが19歳、弟のジェイコブが17歳と、まだティーンエイジャー。ギタリストのビリー・ホーリガンは20歳、ベーシストのショーン・ ゼイヴィアは22歳と、年長者ですらこの若さ。

 

そうか...もう海外のメタルバンドに、自分より10歳も若い人が居るようになってしまったのか...。これが時の流れの恐ろしさというやつか。まだまだ自分も若手のつもりでいるはずだったのに。

 

でも、確かに最近の若い人たちの流行りなんてTikTokくらいしか知らんもんなぁ...。こうやって少しずつ、蛇蝎のごとく忌み嫌っていたはずの「老害」という存在に近づいていってしまうのか。ああ〜イヤだイヤだ!......ってそんなことはどうでもいいだろ。

 

そんな若くてピチピチフレッシュなTORTURED DEMON、やっている音楽としては基本的にスラッシュメタル、それもデスラッシュに近いような攻撃的なシャウトヴォーカルが絡むもの。

 

そこへBULLET FOR MY VALENTINEあたりに近いような、メタルコアの要素を入れ込む。ただスラッシーに疾走するのみならず、モッシュが似合うようなリズム落ちパート(あからさまなブレイクダウンという程ではないが)も積極的に取り入れている印象です。これをどっちつかずで中途半端と捉える人も中にはいるかもしれませんが、基本的にはエクストリームメタルを好んでいるなら、普通にカッコいい音と判断できるのではないでしょうか。

 

アグレッシヴに疾走しながら、邪悪なヴォーカルで彩るスラッシュメタルに、ガッツリメロディックなわけではないけれど、どこかクールなキャッチーさを見いだせるメタルコアが混ざり合う。この音像の痛快さはかなりのもので、聴いてて理屈抜きに「カッケエ!」と思ってしまいました。これはかなりの強力盤では。

 

イントロから続くM2「Rise Of The Lifeless」の、"Here it comes!"の掛け声からバスドラ連打で爆走するオープニング。もうこの時点で「こりゃイイ!」と思いましたね。ほんのりメロディックな要素が絡むサビも実にクール。粗野なヴォーカルの叫びがキレキレで、テンションをブチ上げるのにピッタリ。

 

よりシンガロングしやすいサビを持つM3「Virtual Death」に、これまたバスドラの超速連打と、叩きつけるようなリズムが気持ちいいM4「Global Threat」と進んでいく時点で、本作を痛快至極な名作認定する人も多いはず。

 

疾走感を基本に据えつつ、サビで決めるときには多少メロディックに寄り、メタルコア的なリフワークでモッシュを促してくる、という方向性はだいたいどの曲も共通している。焦点が絞れてて、興奮を妨げる余計な要素が排されているのは潔いものの、飽きが来るのも早いかもしれません。M2に並ぶくらいインパクトのあるキラーが、中盤から後半にかけてもう1曲あるとさらに良かったかな。

 

M10「The Damege Is Done」は7分以上になる大作で、アコースティックのみになるメロウなパートや、クリーンヴォーカルによるメロディアスな歌をサビとして活用するなど、「曲の幅を広げよう」「ハイライトとなる楽曲を作ろう」という意思は見受けられますね。このまま曲作りを重ねていけば、強みであるアグレッションをキープしつつ、さらに起伏に富んだ面白いアルバムを生むようになるかも?

 

超若手バンドながら、(アルバムで聴く限りは)演奏も破綻なくまとまっていて、かつ勢いもある。曲もシンプルにカッコいいものばかりだし、これはかなりの大器なのではないでしょうか。本作1枚で、僕の中で一気に今後が楽しみなバンドの筆頭にのし上がりましたよ。

 

あとは、あまりに若くして成功・注目されてしまうことで、かつてのBLACK TIDEのように、バンドの方向性にブレが生じて(メタルコア化したBLACK TIDEは、アレはアレでカッコよかったけど)、尻窄みになってしまうなんてことがないように祈りたい。このブチギレたアグレッシヴさで、メタル界に風穴を開けていく存在になってほしいですね。

 

 

個人的に本作は

"スラッシュメタルメタルコアの良いとこどりサウンド。若さあふれる獰猛な突進力と、ほのかに噛み合うキャッチーさが魅力"

という感じです。

 


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