ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

THOUSAND EYES 『BLOODY EMPIRE』 (2013)

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  • 国産エクストリームメタルの最高峰
  • 悶絶劇的泣きメロと獰猛な攻撃性のコンビネーション
  • 全曲キラー さらに抜きんでた超キラー有り

 

先日2013年に発表された(僕が持っている国内盤は2014年発売ですが)GYZEの1stアルバムについて書きました。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

そうなればやはり同年に出たメロデスバンドの1stフルアルバムである本作についても取り上げないとな、と思った次第です。

 

もはや世界でもトップクラスと言っても過言ではないほどの楽曲クオリティーを誇る、メロディックデスラッシュバンド THOUSAND EYESの衝撃のデビューアルバム。

 

元々はLIGHTNINGという正統派メタルバンドや同人音楽というマニアックなシーンで活動していたギタリストのKOUTAさんが、2011年に結成したこのバンド。KOUTAさん以外のメンバーもAFTERZEROやVOLCANO、TEARS OF TRAGEDYといったバンドで活動歴のあるメンバーを取りそろえて完成した布陣。

 

そんなキャリアあるメンバーを集めたバンドなだけあり、1stの段階ですでに楽曲のクオリティーは完成しています。デスラッシュとしての突進力は申し分なし。DOUGENさんのヴォーカルはデスメタルというよりはハードコア系の咆哮で、低音の唸りから高音の絶叫まで恐るべき破壊力。

 

そして何といってもリフからソロにいたるまで極上の哀愁に満ちたメロディアスなギターワーク。このギターが強靭なデスラッシュサウンドに、一切の違和感をもたらすことなく馴染んでいるのが、このバンド最大の特徴であり美点でしょう。GYZEほどクサクサになることはないものの(むしろクサくなりすぎない哀愁だからこそデスラッシュにハマったのかも)、胸の奥を締め上げる極上の哀しい旋律がたまらないのです。

 

多少のテンポの違いはあれど、基本的にはほとんどの曲で勢いよく爆走。そして全曲に渡りKOUTAさんとTORUさんによる、エモーショナルなギターが絡んでくるスタイルなので、アルバムとしての起伏はあまりない。バラードの類などもないので、いわゆる金太郎飴状態であることは否めません。ただここまで攻撃的に振り切ったサウンドであれば、ハンパにスローダウンするよりも良いのかもしれませんね。曲のクオリティーが高いからダレないし。これぞ「良い単調さ」です。

 

捨て曲なんてものは当然ながら存在せず、M1「BLOODY EMPIRE」から早速獰猛さと悲哀を同居させた轟音デスラッシュが炸裂。続くM2「LAST REBELLION」は曲タイトルを叫ぶシンガロングが熱すぎる!それでいてリードギターは実に哀しくドラマチック!

 

M6「SIGN」のような勢いよりも叙情性を重視したような楽曲でも、ややクリアなギターフレーズが哀愁タップリで染みますね...。疾走感に頼るだけでない曲作りのセンス、尽きないメロディーセンスがこういう形でしっかりと活きている。

 

もちろんアグレッシヴな突進力とシンガロングが目立つM7「DIVIDED WORLD」、M8「CARDINAL SIN」といった曲の高揚感は筆舌に尽くしがたく、本当にどこをどう切っても隙の無い楽曲ばかり。これほどキラーチューンまみれなエクストリームメタル・アルバムは多くないでしょう。

 

そんな鉄壁の楽曲群の中でも、ひと際攻撃性と叙情性を高めた最強のキラーチューンこそM5「DEAD NIGHT, MOONLIGHT」!初っ端からキレがありつつメロウなリフで爆走し、聴き手のテンションをぶち上げる絶叫が木霊する。隙あらばメロディックな速弾きリードを放り込み、極上のメロディーを奏でるギターと暴虐シャウトが重なり合うサビで完全に沸点へと到達!

 

メタルにメロディアスな泣きを求めている人も、モッシュにサークルで暴れ狂いたい人も、双方の血を滾らせるパワーを秘めた名盤。本作だけでなく発表済みのアルバムすべて同じくらい高レベルなので、彼らがいる限りは国産エクストリームメタルは安泰と言ってもいいでしょうね。

 

 

個人的に本作は

"爆走に次ぐ爆走、武骨な攻撃性、エモーショナルに泣きまくる哀愁美旋律の完璧な融合"

という感じです。

 


Thousand Eyes BLOODY EMPIRE trailer

 


Bloody Empire(Live) / THOUSAND EYES

とても公式のものとは思えない映像ですが(笑)、これでも彼らの美点である勢いと泣きの両立っぷりがわかるはず