ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

SHADOW WARRIOR 『Cyberblade』

f:id:Show_hitorigoto:20201126002124j:plain

  • ニッポン大好き&80年代型正統派大好き
  • イロモノっぽいコンセプトに対し楽曲はメイデン直系
  • 音作りもメロディーもだいぶ地味目

 

サムライやカタナといったニッポン文化を愛してやまない、ポーランド出身の5人組正統派メタルバンドの1stフルアルバム。去年発表したEP『Return Of The Shadow Warrior』が、メタルマニアの間でちょっと話題を呼んでいたようですが、僕が彼らの音源に触れるのは本作が初です。

 

紅一点のヴォーカルは日の丸ハチマキ、ジャケットはサムライが地球を一刀両断とくれば、日本人として興味を持たない訳がありません。こういうイロモノっぽさを好まない人もいるかもしれませんが、個人的には気になってしまうのです。

 

そんなニッポンを愛してやまないアティテュードを隠そうともしない彼らの音楽性ですが、特に和音階を多用しているとか、和楽器が使用されているとかではありません。ただ単に曲だけ聴いていれば、IRON MAIDENあたりの流れを汲む80年代型正統派ヘヴィメタルそのもの。

 

パワフルに歌いあげる女性ヴォーカルを主軸とした正統派といえば、フィンランドのBATTLE BEASTが思いつきますが、あちらのような先進的なサウンドイメージは皆無といっていいです。嫌な言い方をすれば「古臭い」と言ってしまってもいいほど、オールドスクールヘヴィメタル。ちょっとくぐもったような生々しい音作りに、やたらと目立つベースから、否が応でもIRON MAIDENを想起させます。

 

2020年に発表された1stアルバムで、しかもタイトル『Cyberbalde』なんて近代的なものだとは思えないほど、80年代型ヘヴィメタルの音を忠実に再現。ついでに言うとJudas Priestとかに通じるどうしようもない歌詞のダサさも実にヘヴィメタル的であります(笑)

 

インタビューによると本作のコンセプトは「東京で巨大企業を経営している天才が、国家防衛のためにロボット・サムライを製造していたが、突如としてロボットが世界各地で人間を殺し出してしまった」というものらしく、イントロとアウトロでニュースキャスターの胡散臭い日本語の語りが聞けます。

 

ただ純粋な音楽的な面では、やはりまだデビューしたばかりの若いバンドということもあってか、だいぶB級と言わざるを得ないかもしれません。IRON MAIDEN的な音とはいえ、あちらのような圧倒的な楽曲構成力や劇的なメロディーなどはなく、サウンドもだいぶ隙間のある音作りで迫力に欠ける。決め手となるキラーチューンも無く、全体的に地味でスケールが小さい感じ。

 

M6「Demon's Sword」はスローな出だしから中盤テンポアップし、ハイトーンシャウトで盛り上がって速弾きギターソロへ繋がる...というように、ドラマチックな展開を生み出そうとする努力は伝わるのですけどね。まだまだ作曲に関しては要精進といったところ。偉そうな言い方ですみませんが。

 

ただ日本盤ボーナストラックのM9「Heavy Metal Typhoon」は、まるで戦隊モノか戦闘アニメのテーマソングかと言わんばかりのヒロイックな楽曲で、なかなか強いインパクトを放っていますね!日本語による歌唱がダサすぎるのはご愛敬(笑)

 

全曲しっかりと聴けるクオリティーには仕上げてはいるし、この手の正統派を好む人であれば楽しめる作品にはなっていると思います。が、やはりメロディーのキャッチーさが物足りない点、音作りが全体的にショボく迫力に欠ける点がどうしても痛いですね。日本のメタルファンとしては是非とも応援してあげたいバンドなので、今後の楽曲制作でクオリティーアップを図ってくれることを期待したいです。

 

f:id:Show_hitorigoto:20201126001823j:plain

なお本作は666枚の限定生産らしく、僕は124枚目でした。これ手書きかなあ?

 

 

個人的に本作は

"超80年代回帰型の直球正統派ヘヴィメタル。スタイルは徹底されているが全体的に地味さは拭えない"

という感じです。