- 安定感抜群、いつものamorphisワールド
- 唸るグロウルと雄大なクリーンの使い分け
- 時にシンフォニックに舞うキーボードが強み
こないだブログの更新頻度を少し上げたのですが、結局ガス欠になって一週間ほどまた空いてしまいました...。なかなか仕事と私生活との兼ね合いがね〜...
まあ仕事としてやっているものではないからそんなことはどうでもよくて、ここ最近のブログは国産バンドが立て続いたのもあり、久々に洋楽のメタルについて触れたいなと思った次第です。
メタル大国フィンランドにおけるトップランナー、唯一無二のフォークメタルを展開するamorphisの最新作です。
ここ近年に発表されてきた彼らのアルバムというのは、グロウルとクリーンヴォーカルを織り交ぜ、土着的な民謡風メロディーを多量に盛り込み、疾走感に頼らず雄大に展開していく、という作風でほぼ定着。一時期はメタルという枠組みから大きく外れた時期もあったそうですが、現在は完全に自分達のスタイルを確立したと言えます。
それは本作においても継続されており、近作からは全くといっていいほど路線変更は無し。トミ・ヨーツセンによる地を這い唸るようなグロウルと、神秘的なベールに包まれるかのようなクリーンヴォーカルの巧みさに聴き惚れ、キーボードとギターによる民謡的哀愁溢れるメロディーライン、女性ヴォーカルも適宜加えることにより、独自性極まる音楽世界を構築しています。
グロウルの迫力は十分にありますが、基本的には疾走パートなどは無く、エクストリームメタルらしいアグレッションはほとんど感じられない。彼らの音楽は神秘の魅力に酔いしれるのが正しい聴き方のはずなので、これがマイナス点になることはありませんね。
ただほとんどの曲が同一のテンションで流れていき、音楽性が完全に確立されているが故に、風変わりな面白い曲とか、箸休めになりそうな曲が一切無い。良くも悪くも遊びがないので、1時間ずっと正対して聴くとちょっと起伏が欲しくなってくる感覚はあるかも。しかも過去作からずっと似たような曲が並んでいるので。
まあ徹底的に世界観を演出するバンドの方向性ゆえ、下手にそぐわない楽曲を入れるのは厳しいですからね。楽曲のクオリティー自体は申し分ないものが揃っているので、彼らのアルバムはこれで良いのかも。
特に気に入ったのは印象的な哀愁のメロディーがキーボードで彩られていく様が、非常に美しく映えるM7「Seven Roads Come Together」、シンフォニックさが強く出て、徐々に迫ってくるようなサウンドのアレンジが際立ったM9「Halo」です。
ただやっぱり曲ごとに抜き出して聴くというよりかは、やはりアルバム全体を通して聴いて、この異国情緒、北欧の寒々しさ、独自性のある民謡風メロディーにじっくりと浸るのが一番良いですね。コンスタントに作品を出し続け、これだけのクオリティーと個性をしっかりと保っているバンドの力が存分に活きた作品です。
個人的に本作は
"土着的な民謡フレーズと巧みな演奏・ヴォーカルで、神秘的音世界を変わらず表現した安定感が光る"
という感じです。