- メタルコアバンドから世界的ロックバンドへ
- クリーンヴォーカルによりエモーション爆発
- エクストリームな攻撃性も程よく残してる
2024年の新年ごあいさつ後、最初のブログ記事は何にしようかなと思ってましたが、やはり昨年のNEX_FESTにて、大きなインパクトを残してくれたバンドについて書いてみようかなと思いました。
show-hitorigoto.hatenablog.com
デスコアバンドからキャリアをスタートし、今や世界的ロックバンドにまで規模を拡大させたBRING ME THE HORIZONの、2013年に発表した4thフルアルバム。
本作発表前まで長いこと所属してたVISION NOISEを離れ、メジャーレーベルのRCAと契約して放つメジャーデビュー作であり、プロデューサーもPANTERAやLimp Bizkitを手掛けていたテリー・デイトを起用、ギタリストのジョナ・ウィーンホーフェンが脱退し、キーボーディストとしてジョーダン・フィッシュが加入(つい最近脱退)するという、バンドの体制が大きく変化した上での作品です。
その変化がサウンドにも現れたのか、これまでデスコア/メタルコアと呼ばれる音楽をやってきた方向性に関しても、かなり大きな変化を感じさせるものに仕上がっています。
全体通してデスコアはもちろんのこと、メタルコアと言い切ることもできないスタイル。ヘヴィネスを活かした楽曲もあるので、100%メタルコアじゃないとも言い切れないけど。
オリヴァー・サイクスのヴォーカルはクリーンで歌い上げる比重が大きくなり、専任キーボーディストが加入したことから、エレクトロっぽいアレンジの存在感が増している。ギャウギャウと喚き散らすようなヴォーカルスタイルのみだった1stからすると、同じバンドとは思えないほどの変わりようです。
M1「Can You Feel My Heart」や、M7「And The Snakes Start To Sing」という、クリーン主体で切なく歌い上げる曲、M8「Seen It All Before」のような、シャウトに頼らずにエモーションを発散する曲は、コアな音楽性のままでは成し得なかったもののはず。
ヘヴィさを強調したM2「The House Of Wolves」、M6「Shadow Moses」、M9「Antivist」といった曲の存在もあり、エクストリームミュージックとしての矜持もまだ捨て切っていない感じでしょうか。それでもひたすらにアグレッシヴに突き進むような曲調ではなく、エモ/ポストハードコアに通じるようなメロウさが存在している。
シンフォアレンジと神聖なコーラスが彩るM10「Crooked Young」は、ヘヴィさを捨てず、かつオーソドックスなメタルコアにもならない、本作のスタイルを象徴する名曲でしょう。
個人的にはもうちょっと王道を行くメロディックメタルコアの方が好きだし、本作で聴けるメロディーも、自分のツボのド真ん中を射抜くようなキャッチーではないのですが(メロディー面で言えば次作の『That's The Spirit』の方が好き)、飽和したメタルコアシーンに風穴を開けようとする冒険心、革新性に満ち溢れた本作は、普通のヘヴィミュージックにはない魅力が備わっています。
型にハマらずに、自分たちが満足する音楽を恐れずに追求していく姿勢が、明確に現れ始めた一作。本国イギリスのチャートでは初のベスト3入りを果たし、これを機にモンスターバンドへと成長を遂げていったのも頷ける、大きなスケールが感じられます。
個人的に本作は
"根幹は未だヘヴィミュージックながら、メタルコアから本格的に脱却し、世界的ロックバンドへと歩みを進めるキッカケになった記念碑的作品"
という感じです。