ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

11/3 NEX_FEST 2023 at 幕張メッセ

その革新的なメンツぶりにより、発表当初から話題沸騰、チケットもソールドアウトしたNEX_FESTに行ってきました。

 

こんな機会でもない限り、観ることがなさそうなアーティストも多く、どんな空間になるのか予想もつかない。なかなかカオスな空間になるのではないかと、必ずしも僕が好むアクトばかりでないにも関わらず、事前の期待値は結構高かったです。

 

いわゆるラウド系のアーティストが集うフェスは、10年前にOZZFESTが日本開催されてから色々行われているものの、だいたいどのフェスも似たようなメンツで揃えられていることが多かったので、本フェスはそういった停滞気味のフェスシーンに風穴を開ける存在になれるのではないかと。

 

そういった期待感を持っていたのは僕だけではなかったようで、開場時間の20分くらい前に海浜幕張に来てみたら、かなりの長蛇の列が形成されていました。僕は今回はグッズを購入する予定はなかったので、単に入場するだけの列に並びましたが、グッズ購入者の列は恐ろしいほどの人数で溢れかえっており、あれに並んだ人はいったいどのくらい待たされたのでしょうか。

 

11月という冬に片足を突っ込んでいる時期だというのに、何でまだ「夏の残暑」があるんだよ、と秋晴れの日差しに若干苛立ちつつ(天気が良いのはいいことなんですけどね)、待機列に並ぶ。この長さでは入場するだけでも時間が喰われそうだと危惧していたものの、入場時間になると意外にもすんなりと列が進んでいきました。

 

最初のアクトまでやや時間はあるので、クロークに荷物を預け入れて(入場はわりかしスムーズだった分、このクロークで若干時間をとられた。何でシール用意してないのさ)、ステージの位置や動線をチェック。とりあえず朝ごはんがてら、フェスお馴染みのガリバタビフテキ丼に、ワンドリンクによるモスコミュールを注入。

 

地べたに座ってジャンクな飯を食う。これにより「フェスに来たな」って気分にさせられますね。

 

会場内をフラッとしながらフェスの空気感を味わっていると、サブステージにて最初のアクトであるAlice Longyu Gaoのライヴが始まる。全くもって知らない人でしたが、中国生まれのアメリカ人女性シンガーで、たどたどしいながらも日本語で、今日が日本で初めてのステージであることを発表。アバンギャルドな見た目でハープを弾く姿はインパクトがありましたが、何もフェスの幕開けをこんな不気味な曲にしなくてもいいだろうに...とは思ってしまいました(笑)

 

 

YOASOBI

メインステージのトップバッターを務めるのは、今のJ-POPシーンのトップランカーとも言えるYOASOBI。午前中なのにYOASOBI。

 

彼らについては「夜に駆ける」と「アイドル」だけは聴いたことがあるのと、ソングライターのAyaseさんが、もともとメタルコアバンド(後になって楽曲を聴いてみましたが、これをメタルコアと呼んでいいのかは結構意見が分かれると思う)でヴォーカルをやっていた経歴があるということは知っていました。が、要はそのくらいしか事前知識がない状態でした。

 

今一番流行っているアーティストに関して、この程度の知識しか持てなくなってしまっているのか...と、なかなかに悲しくなってくるな。老害には絶対になりたくはないのだが。

 

まずビックリしたのがステージセットの豪華さですね。LED画面で覆われた特設ステージと、立体的なアーティストロゴ、ド派手なライティング。トップバッターなのに、トリであるBRING ME THE HORIZONに次ぐステージの充実っぷりで、やはり売れてるアーティストは、こういったところにちゃんと予算をかけられるんだな。

 

肝心のライヴに関してですが、予想以上に楽しめました。大ヒットのキッカケになった「夜に駆ける」がオープニングだったのですが、流麗なピアノと素朴な歌声が軽やかに駆けていく様は、耳に馴染みやすくてスッと入ってくる。ヒットしているだけあり、大衆性の高さは随一。

 

そして予想はしていましたが、さっそくモッシュピットの仕切り屋さんたちが、周りの人たちを押しのけていきサークルが形成される(僕の後ろの方で「何でだよ!」とツッコミが入ってました/笑) 「他の人たちは全然知らないけど、YOASOBIが観られるから来ました」という人たちにとっては、未知の光景に面食らったのではないかと思います。

 

中盤はしっとりと聴かせる楽曲中心だったため、少しフロア全体の熱量は落ち着いた様子でしたが、ラストの「アイドル」になると、狂騒がすごいことに。どデカいサークルピットが形成され、大サビ前にリフト勢の壁も現れ、クラウドサーファー大量発生という事態。普段のライヴじゃ絶対見られないシーンだろうなぁ。

 

終わった後Twitterに「Ayaseが見たかった光景」と言われていてちょっと笑いました。でも、実際ここまでリアクションが大きくてご本人も嬉しかったのではないでしょうか。「BRINGは俺のヒーローだ」と言っていたし、こういったライヴができたことは、少なからず彼にとってグッと来るものがあったのではないかと。

 

 

花冷え。

YOASOBI終わりでゴソッと人が大量流出。ソールドアウトしているだけにものすごい人でした。同じ幕張メッセでも、去年のDownload Japanとはこうも違うものなのか...

 

退場するだけでも時間がかかるために、メンバー入場の瞬間は間に合いませんでしたが、何とかサブステージで行われる花冷え。のライヴを、オフィシャルバー付近から観られることに。

 

遠目からなのでド派手なルックスをしっかりと見ることは叶いませんでしたが、気合いの入ったヴォーカルパフォーマンスと、ヘヴィな演奏の迫力はバッチリ。

 

いや、バッチリというか普通にかなり上手いですね。特にヴォーカル面においてはステージ上を暴れながらのシャウト、ギターを弾きながらのクリーン共に、CD音源とほとんど遜色ないクオリティー。やはり海外フェスからも声が掛かるほどになったのは、楽曲の独自性もさることながら、演奏の質の高さも一因なのかもしれません。BAND-MAIDとかもそうなのかな。

 

疾走チューンの「TOUSOU」では、ピットを作れと促される形で、これまでやや様子見感のあったフロア後方(僕のすぐ目の前)の位置にもデカめのサークルピットが出現したことは、バンドの熱量あるパフォーマンスがオーディエンスの心を掴んだからに他ならないでしょう。

 

ニューアルバムからの楽曲多めのセットリストで、すでに予習済みだったこともあり、後方からではありましたが、気持ちよく体を揺らすことができました。願わくばもう少し近い位置で最後まで観たかったのですが、次にメインステージでやるI PREVAILも観たい関係で、「お先に失礼します。」まで観た後にそそくさと移動しました。

 

 

I PREVAIL

2013年から活動する若手〜中堅程度のキャリアを持つ、アメリカのポストハードコア/メタルコアバンド。今回が初来日であり、この機会を逃すといつ観られるかわからないバンドなので、今回のメンツで一番観ておくべきだなと思っていました。

 

正直なところ、Spotifyで彼らの曲をチョロっと聴いた限りでは、あまり僕が好まないタイプのメタルコア(サビになるとテンポダウンしてクリーンなるが、あまりメロディーにフックがない感じのやつ)をプレイしている印象だったので、是が非でもライヴを!って感じではなかったんですけどね。こういうヘヴィ・ラウド系統のバンドは、ライヴが締まっていることが多いと思うので。

 

そしてそんな僕の予想は的中し、非常にタイトで見応えのある(一般チケットの位置ではステージすべてを観るのは難しいけど)パフォーマンスを披露してくれました。演奏もヘヴィでビシッと丁寧な印象がありつつ、ツインヴォーカルはアグレッシヴに動いて、オーディエンスをどんどん扇動していく。

 

あまり日本のメタルコアリスナーにウケるタイプじゃなさそうと思っていたし、知名度も高いとは言い難いはずなのですが、やはりこのフェスの客層にはバッチリと噛み合っているのか、アウェー感など少しもないほどの盛り上がり。ヘヴィなだけでなく、メロウに聴かせるパートも多かったのですが、それで熱気が冷めることもなかったです。

 

この熱狂ぶりにバンド側も嬉しくなったのか、途中のMCではヴォーカルのエリック(どことなくEMPERORのイーサーンに似てる)が、歓声に気押されて言葉を詰まらせる瞬間も。しきりに感謝の言葉を述べていました。

 

海外アーティストの来日ライヴの際によく見られる、オーディエンス作成の歓迎フラッグを手に取ってマイクスタンドにかけたり、カメラに向かって広げてアピールをしたり、ステージを降りてコミュニケーションをとったり(ずっと着ていた大谷翔平のユニフォームも誰かにプレゼントしたっぽい)、ヘヴィな緊張感の中でもフレンドリーな空気が形成されていました。

 

極め付けは左右に大きなサークルピットを作るように煽り、パックリと大きなスペースが生まれたあとに繰り出された、SLAYERの「Raining Blood」のリフですね。エクストリームメタルの基本とも言えるこの曲の殺傷能力で、一気に興奮の坩堝となりました。

 

ライヴはきっと良いのだろうという僕の期待をさらに上回る充実のステージでした。まだ三組目だというのに、この時点でかなりの満足度だ。

 

 

マキシマム ザ ホルモン

次にサブステでやるKRUELTYも観ようかと思いましたが、今ここで休憩しておかないと次がもたないなと判断し、重低音の効いたハードコアを肴にフェス飯にありつく。マヨたま焼きそばの屋台に並んでいたのですが、この人数のせいで待機に時間がかかるのが厳しいところですね...

 

サクッと腹ごしらえを済ませたところで、メインステージのマキシマム ザ ホルモンへ。あまり前の方へ行きすぎるとステージが見えないため、今回はかなり後ろの方で眺めることにしました。このバンドについては、8月に大阪遠征した際のRUSH BALLで観ているので、多少遠くても良いだろうと。

 

やはり大小様々なステージでのライヴで場数を踏みまくっただけに、変わらずパフォーマンスは安定している。ダイスケはんの低音デスヴォイスの調子も良さげな感じだし、ナヲさんのバスドラムの連打も非常に気持ちよく響きました。「F」の疾走パートでの音の詰まった感じが好きなんですよね。

 

正直言うと、ここ近年のこのバンドの活動方針はロクにアルバムを出さず、よくわからんYouTube企画とかに力を出している印象があって、あんまり良い目では見ていなかったんですが、そうした冷めた気持ちも、ライヴではしっかりと温めてくれるのはありがたい限り。

 

目下最新曲である「恋のアメリカ」もプレイされましたが、やっぱり『ロッキンポ殺し』『ぶっ生き返す』をリリースしてた頃に比べると、ロックとしてストレートにカッコいい魅力は減退してきている感があり、その辺はちょっと懸念材料かも。「What's up people?!」と「絶望ビリー」の流れは最高だっただけになおさら。ただギターソロについては、ホルモンの曲の中でも1,2を争うくらいに良いと思います。

 

あと、「絶望ビリー」のライヴアレンジはメッチャ良いですね。サビ前のブレイクの緊張感が素晴らしくて、このアレンジのままリレコーディングしてほしいと思ってしまいました。

 

「俺たちが出演している間は、『NEX_FEST』じゃなくて「NECKS_FEST』だ」という言葉通りに、フロアは首筋を破壊せんばかりにヘッドバンギングの嵐が巻き起こってて、改めてこのバンドの掌握力の高さを見せつけるようでした。

 

14年前の自主企画でBRING ME THE HORIZON、BLESSED BY A BROKEN HEARTとツアーした事にも触れてましたが、J-ROCKシーンでトップクラスの知名度を誇るようになったホルモンと、アリーナクラスのモンスターバンドになったBMTHが、今ほどの地位を得てない時代に共演していたとは、当時生で観た人は一生の記念でしょうね〜。

 

 

YUNGBLUD

オフィシャルバーで購入したレッドブルウォッカを片手に(並んでる間のVMOの激音で耳をつんざかれそうになった)、フロア右手後方あたりで観るのはYUNGBLUD。イギリスのポップパンクアーティストで、何とまだ26歳だとか。俺より年下なのかい。

 

まず目を引くのが何と言ってもステージアクション。もう「じっとなんかしてられない!」と言う感じで、終始ジャンプして走り回って、アグレッシヴ極まりない。今日のステージで一番運動量が多かったのは彼だと思います。

 

しきりにジャンプやハンドクラップを要求したり、「手を上げて!」と呼びかけてみせたり(ちゃんと日本語で言ってました。しかも何度も)、さらにはカメラに向かってやんちゃな顔芸を延々と繰り返したり、自分のステージで観客のボルテージをとにかく上げよう上げようという意思がヒシヒシと伝わってきました。

 

しまいにゃテンションが上がりすぎて、コップに入ったビールを何度もぶちまけたり、客席に向かってギターをブン投げたりとやりたい放題。アレお客さんに当たらなかったのかね?大丈夫?

 

そんな彼の熱量に感化されていったのか、かなり後ろの方にいたのにも関わらず、僕の周りの人たちも盛んに手を上げて体を揺らしている人が多くなってくる。このアクティヴさは単純に観ていて楽しい。

 

喉への負担が大きそうな叫び方を終始続けているので(歌ってるより叫んでる時間の方が長いんじゃないかと思うくらい)、人によっては耳障りに感じたかもしれませんけどね。個人的には若いロックアーティストならこのくらいやってナンボだと思います。

 

あまり良いメロディーが聴けるわけでもなく、歌のクオリティーも本日聴けた中ではだいぶ低い方ではあるんですが(その反面ギターはタッピングを交えたソロを弾いたりもしてましたが)、下手に行儀良くまとまらずにはっちゃけるステージングの楽しさで、全部どうでもよくなるタイプのライヴでしたね。きっとフロア前方の方では、彼に促されるようにモッシュピットがバンバン作られていたはずです。

 

ハイライトとなったのは、アニメ調のYUNGBLUD本人と、BMTHのオリヴァーがバックスクリーンに映し出されてから繰り出された「Happier」でした。パーカーのフードを被ったオリヴァーがステージ上手側から登場した際には、ひときわ大きな歓声が響きました。この日以前のNEX_FEST EXTRAでは、何故かオリヴァーは出てこなかったらしいので、これを待っていたという人も多かったはず。

 

 

BABYMETAL

本日のメインコンテンツであるBABYMETAL→BRING ME THE HORIZONという流れは、是が非でもしっかり堪能したいため、もうこの時点でサブステージに行くのは諦めました。PALEDUSKはちょっと観たかったのですが、まあいずれチャンスはあるでしょう。

 

しばらくアリーナに残ってから、トリ前に来るBABYMETALを迎え撃つ。何気にライヴを観るのは結構久々。MOMOMETALが正規メンバーとなってからは初めて観ます。

 

オープニング映像(「我々には過去を乗り越えることしか道は残されていない」というナレーションがカッケー)がバックスクリーンに流れ、お決まりである「首の準備はできているか?」の煽りに、ヘッドバンガーズ達の歓声が響く。直後に鈍重なヘヴィリフが刻まれ、「BABYMETAL DEATH」からスタート。

 

この曲はいわゆる導入的な楽曲ではありますが、もうこの時点でデカいモッシュピットが形成されており、僕も押し込まれるようにモッシュの波に揉まれる。この時点で替えのTシャツを持ってくるのを忘れたことに気づいたのですが、もはやここまで来たらどうでもいいと、汗だく運動会に参加することを覚悟しました。

 

一般チケットかつモッシュピットにいるせいで、ステージ上の3人をはっきり視認することは難しいわけですが、スペースが空けば割とステージ全体を見渡せるようになるし、爆音に合わせて体を動かすのはシンプルに楽しいので、視界の悪さは大して気にならない。

 

機械的な"Give me..."のSEが鳴った瞬間に、オーディエンスはさらにヒートアップ。「ギミチョコ!!」でギアを全開にした後に、「PA PA YA!!」「Distortion」というアッパーな楽曲で熱量を継続させる。

 

なお、「PA PA YA!!」のフィーチャリングアーティストであるF.HERO、および後半の「メタり!!」でのトム・モレロは、それぞれ自身のソロパートになると、その場にはいない代わりにバックのスクリーンにて本人映像が流れるようになっていました。それをやるなら「Distortion」の時にアリッサが出てきてくれてもいいのに、と思ったのですが、まああの曲にわかりやすいソロが無いからしょうがないか。

 

今回のセットリストは割と通好みというか、「BxMxC」とか「Brand New Day」のようにちょっと変化球多めな感じで、シンプルにアガれるとは言い難い。ファンからすれば王道から少し外れた曲も聴けて喜ぶべきなのでしょうが、フェスならもうちょっとわかりやすい曲を並べてもいいんじゃないかな。まあ、歌メロが良いから楽しめるんだけどさ。

 

今回ちょっと意外だったのは、SU-METALのMCが今まで観てきた中で一番フレンドリーだったこと。かつてのライヴでは英語を交えながら煽り立てることはあっても、基本的には世界観演出と、パフォーマンスに終始するのみでほぼ喋らないといった印象だったんですが、今回はかなりオーディエンスへの呼びかけが多い。

 

「皆に会えて嬉しいよー!」とか、「Monochrome」でスマホのライトが無数に点灯された時は「とっても綺麗だよー!」とか、今まであまり聞けなかったような言葉が多くて、いつの間にこんなにコミュニケーション路線になったんだろう?と思わずにはいられない(知ってるメイトさんがいたら教えてください) 個人的には親しみやすさが増したのは良い変化だとは思いますけどね。

 

ラストはBABYMETALのキメ曲と言えるであろう「メギツネ」と「Road of Resistance」で圧巻の締め。特に後者では特大のウォールオブデスを生み出し、会場全体に渡りシンガロングを巻き起こすなど、明確なハイライトを演出しました。ちょっとセットリストが変わり種でも、ラストにここまでやってくれたら問答無用で「良いライヴだった...!」と思わせてくれますね。

 

 

BRING ME THE HORIZON

濃密だった1日もいよいよ最後の時。デスコアという極めてアングラな音楽性からスタートし、今や世界で一大センセーションを巻き起こすようなメジャーバンドへと成り上がった、BRING ME THE HORIZONの登場。ステージ後方と側面全てをLEDモニターが覆い尽くすようなセットからして豪華仕様で、これからすごいショウが展開されることを予感させる。

 

ステージ脇のスクリーンに、テレビゲームのスタート画面のような映像が流れ、難易度「EXTREME」を選択しスタート。ナビゲーターのようなキャラクターが登場し、これから始まるライヴへの期待感を煽ってくる。

 

教会かなにかかというようなイメージがLED画面全体に表示され、階段状に並んだステージにメンバーが散らばって位置につく(ドラムセットが右端の方にあるのはなかなか見られない光景だと思う) どこか不気味なイントロが静かに流れ出し、オープニングナンバーの「Can You Feel My Heart」がスタート。初っ端から紙テープの束がパァン!と打ち出され、大歓声が会場中を包みました。

 

あんまりモッシュ向きの曲ではないと思うのですが、この時点で一気に後ろから圧が発生してモッシュの波に揉まれることに。「この曲でそこまでエキサイトする?」という思いがよぎるも、やはり生の爆音で浴びれば充分以上に興奮できるのでしょう。その気持ちもよくわかる。

 

先ほどのBABYMETALと同様に、今回もまたステージをじっくりと観ることは叶わないわけですが、頻繁にモッシュピットが発生するためスペースが空き、割と全体を観わたせる時間もできる。位置的に下手側はほとんど観えないがこれはまあ仕方ない。

 

しかしそんな制限のかかった視界においても、ハッキリとわかることがあります。それがフロントマンであるオリヴァー・"オリ"・サイクスのカリスマ性。

 

ギラギラとド派手に輝くステージ上に立っていても、決して陰らない存在感、軽やかにステップを踏みオーディエンスを扇動し、凶悪なシャウトを織り交ぜつつ、エモーショナル極まりないヴォーカルを響かせる。この日出演したどのアーティストよりも、スター性が際立っていて、この場にいる全ての人にロックスターであることを認めさせる力があったように思います。照明効果により左側の壁に大きく映し出された影すらカッコよかったですからね。

 

そんなオリヴァーのオーラが眩しすぎて、どうしても他のバンドメンバーに意識が向きにくくなってしまうのが正直なところではあるかも。決してヴォーカルだけのワンマンバンドではないとは思うんですけどね。やっぱりオリヴァーを目で追ってしまうんです。

 

やはりトリということもあり、このバンドの登場を待ち侘びていた人も多かったのでしょう。曲名がコールされたり、イントロが流れた時点で逐一大歓声が鳴り響き、シンガロングが止むことがない。僕の後ろにいる人、歌うのはかまわないけどオリヴァーの声を聴きたいからもうちょっと自重してくれ(笑)

 

「Happy Song」「MANTRA」のような声の出しどころがわかりやすい曲は、より会場の一体感が増し、「Dear Diary,」ではここにきて最大級とも言えるようなサークルピットが出現。周りから「ヤバいヤバい」「ちょっと落ち着け!」というような声が聞こえるほどに、半狂乱と化したオーディエンスの盛り上がりが続く。

 

「Shadow Moses」の"This is sempiternal!"のシンガロングは、この日一番の声量なんじゃないかと思うほどでしたね。その後に続くYUNGBLUDを招いての「Obey」も、サビが叫びやすいが故に、熱気が落ち着くことがない。YUNGBLUDからモッシュピットを促されると、僕のすぐ右横で先ほどの「Dear Diary,」で作られたピットの大きさをさらに更新するほどの巨大サークルが出現しました。

 

こんな近くにあるんだから、一回くらいサークルで揉みくちゃになってみるか!と一念発起し、「Obey」の大サビ前にあるブレイクダウンポイントで、意を決してサークルの中央まで突っ込みモッシュに参加。疲れるし汗でグッチョグチョになるけど、やっぱりこういうノリはスッゲエ楽しい。キッズに戻っちまったよ。

 

非常にキャッチーな歌メロが魅力の「DiE4u」からは、しばらく狂騒が落ち着き、オリヴァーの歌に聴き浸る時間になる。バラードの「Follow You」はアコースティックのアレンジが効いており、原曲のしっとりとした叙情性に拍車をかけていました。

 

ちょっと会場の空気がクールダウンする時間となりましたが、そこから一気にギアチェンジすることになったのは、オリヴァーの「15th anniversary "Suicide Season"」という言葉から始まった「Chelsea Smile」でした。彼らがまだまだエクストリームな楽曲をプレイしていた頃の曲であり、メタルコアキッズ達は「ここで暴れなきゃいつ暴れるんだ!」と言わんばかりに、特大のピットを作ってハードコアモッシュの嵐を巻き起こす。

 

ただこの曲におけるオリヴァーのヴォーカルは、ちょっとフェイクが多いというか、だいぶ崩した歌唱だったような...。まあ後半にこんな叫びっぱなしの曲をやったら疲れるのはわかるし、"Repent! Repent!"のシンガロングをすれば、ある程度どうでもよくなっちゃうんですけどね。

 

この流れでさらに「Pray For Plagues」みたいな激コアな楽曲をプレイすれば、キッズの興奮は沸点に達したのでしょうが、さすがにそこまでエクストリームには寄らず、アンコール前ラストを飾ったのは「LosT」。エレクトロサウンドを大きく導入したポップパンク的楽曲で、「Chelsea Smile」との落差がすごい。

 

この曲のスケール感の大きなサビはやはり魅力的で、ステージ脇のモニターに歌詞が表示されたのもあり、大きなシンガロングが巻き起こる。ラストを飾るに相応しい大団円観を醸し出す瞬間でした。

 

もちろんこれで終わるわけではなく、いったんメンバーがはけて暗転した状態から、アンコールを求めるハンドクラップが鳴る。まだこの日集まった多くの人が期待していたであろう曲に、ラストを飾るに相応しい名曲をやっていないので、当然このまま終わるわけありませんからね。

 

少し待たされた時点で、ステージに光が灯る。スクリーンに映ったゲームのナビゲーターから"PROJECT KINGSLAYER"とコールされ、ステージ中央の台にBABYMETALの3人が現れると、会場中が沸き立つ。

 

多くの人が待っていたであろう「Kingslayer」では、イントロの"テッテレーテッテッテッテレッテ!"から大合唱。オリヴァーのスクリームに合わせて、モッシュピットの勢いが増し、サビ終わりのリズム落ちパートでは予想通り特大サークルも発生。ステージ中央ではオリヴァーとBABYMETALの3人が揃ってヘッドバンギングをしており、曲終わりには盟友通しのハグを交わし合っていました。

 

ここが本日一番のハイライト...と思わせて、まだダメ押しで見せ場を持ってきてくれたのがこのバンド。BABYMETALがはけていった後にプレイされたのが、壮大なコーラスで彩られる「Drown」。これまでもステージから降りてGOLDチケットの観客の目前まで来ていたオリヴァーでしたが、ここでさらにフロア中央のあたりまで通路を通ってきて、一般チケットのスタンディングフロアまでやってくる。

 

その移動の際にPAブースあたりにいた、PALEDUSKのDAIDAIさんと熱いハグを交わしてた様子。ラウド界のヒーローが日本のミュージシャンと関わる瞬間、こういうのって夢ありますよね。

 

そしてなんとフロア中央にある大きなカメラ用の鉄塔を登って、天高くそびえたつ台の上から歌うという光景が。360°全域のオーディエンスから繰り出される「Drown」のコーラスを一身に浴びるオリヴァーの姿は、まさしくカリスマという言葉が相応しい。

 

フロアに降り立って、オーディエンスに支えられたりするヴォーカルはこれまで何度か観たことありますけど、あんな所にまで登る人は初めて観たかもしれない。

 

「Drown」終わりに自身の持ち場にオリヴァーが戻り、いよいよ本日ラストの楽曲。あの神秘的なイントロが流れ出た後、会場には最後のシンガロングがこだまする。この曲を聴かなきゃ終われない、名曲「Throne」がラストナンバー。このイントロが鳴った瞬間が、個人的に一番グワっと湧きたった瞬間でした。

 

最後の最後で会場を一つにするかのようなウォーウォーというシンガロング、オリヴァーの「Sit!」の指示により全員がしゃがんでからのラスサビでのジャンプは、濃密だったこの日を締めくくるに相応しい大団円。

 

しゃがんだ時に僕の隣にいた外国人男性に肩を組んでもらいましたが、こうやって名前も知らない人と肩組んで盛り上がるのは、だいぶ前に同じく幕張メッセでBiSHのライヴを観て以来だなぁ...と、ちょっと懐かしい気持ちになりました。

 

 

「Throne」で堂々の完結を見せたラストのBRING ME THE HORIZON、もちろんトリだからこその演出の効果もありますが、それでも圧巻でしたね。ショウとしてのクオリティーの高さ、見どころの多さ、クライマックスの会場全体を包む高揚感、そしてフロントマンの圧倒的カリスマ性、全ての面が素晴らしく、この日つまらないライヴをしたアーティストは(少なくとも僕が観た限りでは)一組もいなかったのですが、それでも文句なしにブッチギリのベストアクトです。

 

ちょっと圧倒的すぎて、一本のフェスの後に彼らの単独ライヴがあったかのような印象すら受けるほどで、世界を巻き込むモンスターバンドとしての真髄を見ることができたような気がします。

 

しかし終わってみれば、長らく非日常空間を味わえたような、しかしあっという間だったような、非常に濃厚な1日になったなと。こんなイベントじゃなきゃ観られないであろうアーティストに、絶対楽しめるであろう安心感のあるアクトもあって、そしてBRING ME THE HORIZONの圧巻のパフォーマンス。全ての満足度が高くて、ここまで濃い1日はなかなか過ごせないだろうと思えましたね。

 

ソールドアウト故の人の多さも、待ち時間や入退場に時間がかかるとはいえ、特別なお祭り感があって結構心地よかったりしましたね。動線については色々不満が出ていたようですが、これは今に始まった話じゃないからなぁ...(笑)

 

しかし、そんな充足感で胸をいっぱいにしながら外に出てみると、海浜幕張駅の前に見たこともないような人混みが形成されている。

 

この付近でNEX_FEST以外にもイベントがやっていたらしく、あまりの人の多さに海浜幕張駅に入場規制がかかっているらしい。駅の入場規制って初めて見たぞオイ。

 

せっかく夢のような時間の余韻に浸っているのに、ギッチギチの人混みに潰されながら時間を浪費するのは絶対イヤだと思ったので、疲れ切った脚にムチを打って、30分以上かけて幕張駅まで歩いて移動することに決めました。

 

楽しかったフェスの締めくくりがコレかよ...と最初はゲンナリしたのですが、人気のない静かな夜道をゆっくり時間をかけて歩くのは、この日の余韻を反芻するのに案外悪くないひとときでした。今後幕張メッセでライヴがあったら、またこうやって歩こうかな。