ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9/2 大冠祭 2023 at CLUB CITTA'

ヘビメタを愛し続ける大ベテラン・THE冠が主催を務める毎年恒例のライヴイベント、大冠祭に行ってきました。なんだかんだ結構な回数参加してる気がするなあ。

 

昨年は、「超大冠祭」と称して、今まで以上に規模の大きなイベントを開催すると予告していたものの、会場が抑えられなかったのか、スケジュールやメンツの問題だったのか、結局なんの音沙汰もなく、開催されることはありませんでした(この日の幕間の映像でもそのことについてスタッフから触れられていた)

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

そのため今回の大冠祭は2年ぶり。前回は椅子が用意されており、その場を動かない中でライヴを観るスタイルでしたが、今回はそういった縛りは無し。制限のない満員のチッタでメタルの祭りを味わうことができます。

 

開場時間ちょっと前くらいに川崎に到着し、タワーレコードで2枚ほど新譜を買って(店舗面積もメタルコーナーも、以前と比べて大幅削減されていたのが悲しい)、良い頃合いでクラブチッタへ。THE冠ファンのメタルヘッズはもちろん、打首獄門同好会ROTTENGRAFFTYのTシャツを着た人たちもかなり多い。

 

僕の整理番号はそこまで若いというわけではありませんが、ケツの方というほどでもないので、割とスムーズに入場に成功。フロア前方付近の下手側に陣取り、開演時間まで待つことに。オープニングでは冠さんが白いスーツに身を包んで登場し、ケータリングのお弁当を持ち込んできた花団のメンバーと掛け合いしつつ、祭の開催を宣言しました。

 

 

Sable Hills

トップバッターにして、本日のメンツで最も正統的なメタル度の高いアクト。WACKENの舞台や海外ツアーを経験し、今まさに日本を代表するメタルアクトに上り詰めんとする勢いが頼もしい、Sable Hillsの登場。

 

全員が長髪(ドラムのKeitaさんのみドレッドですが)にジャケットと、典型的なメタルヘッズの風貌をしたメンバーが登場し、最新曲である「A New Chapter」からスタート。この曲はまさに「和製AS I LAY DYING」と呼ぶべき名曲で、初聴きの段階から新たなアンセムになることが期待されたわけですが、その期待に違わぬカッコよさ。

 

ちょっとサビのクリーンヴォーカルの通りがイマイチに感じましたが、唸る重低音に泣きのリードギター、Takuyaさんのさらに凶暴さを増したシャウトがギンギンに響く。長髪をガンガンに振り乱すヘッドバンギングも、メンバー全員揃っていて見栄えがありますね。

 

この日の客層を踏まえると、ちょっとこのバンドはあまりにメタルすぎるのか、それとも単にトップバッターだからか、バンドのパフォーマンスの熱量に対して、フロアの盛り上がりはそこそこ、といった感じでしたが(前方中心部にはしっかりサークルピットは形成されていました)、観ていたオーディエンスに「メタルでしかなし得ない熱さ」をこのバンドが持っているということは、充分に伝わったのではないかと思います。そのくらバンドのステージングは充実していたので。

 

EMBERS」の必殺のリードギターは、相変わらず殺傷能力抜群ですね。この曲のギターで悶絶できるだけでも、彼らのライヴを観る価値ありますよ。

 

 

アイリフドーパ

続いては日本が誇るド変態バンド・アイリフドーパ。今年リリースされたデジタルEPにおいても、全く変わらない、むしろさらに酷くなっている変態ぶりが実に頼もしいです(笑)

 

ただキテレツなことをやっているのではなく、確かな演奏技術に裏打ちされてこそ、彼らの楽曲というのは高いクオリティーを保っているわけですが、ライヴにおいても同じことが言える。ステージパフォーマンスの熱量に、複雑な展開を物ともせずタイトに演奏し通すハイレベルさが、この日も際立っていました。

 

自分たちのファンばかりではないイベントであることを配慮してか、「The Record of Johnny」のような超強烈なナンバーはやらず、「Galactic Kamadouma」「My right hand thumb is a Kraken」のような、初見でも魅力の伝わりやすい(彼らにしては)ストレートな楽曲がメイン。何度かウォールオブデスを要求し、その都度オーディエンスがグチャグチャに衝突し合うなど、盛り上がりはかなりのもの。開場の空気を巧みに掌握していました。

 

代表曲である「Machu Picchu」は早い段階で披露され、前回の大冠祭では一人ひとりがその場でくるくる回ることしかできなかったものの、今回はしっかりとチュピチュピ言いながらサークルピットを形成することに成功。

 

全体的にエクストリーム度の高いライヴだったものの、持ち前のコミカルな変態的キャッチーさと、エビ型(?)のバルーンに乗ったアイガーゴイルさんが、オーディエンスの頭上を泳ぐように突き進むような視覚的楽しさも相まって、二番手にして一気にフロアの熱量を高めた印象でした。

 

 

打首獄門同好会

ステージの幕が閉じて、サウンドチェックをしている段階で「皆さんそろそろお腹が空いたところでしょう。今からおやつを配りますよ」とアナウンスされ、前方から大量のうまい棒が入ったビニール袋が回される。

 

この時点で「デリシャスティック」がプレイされることがわかるものの、彼らのライヴをよく知らない人は、本当にただサービスで配ってくれただけだと思ったかもしれない(実際すぐに口をモグモグさせてたおっさんを見かけました)

 

そしてその「デリシャスティック」からライヴがスタート。曲に合わせてうまい棒サイリウムのごとくふり乱される光景はやっぱり異様。

 

ライヴ前半はちょっと音響がよくないのか、ギター一本であるにも関わらず、ヴォーカルの声が埋もれててだいぶ聴き取りにくい。後半はさほど気にならなくなったものの、歌詞が特徴的なバンドなだけにやや損なステージだったかもしれません。

 

「普通のフェスであれば俺たちがラウド枠になるはずだが、今日のメンツでは俺たちはJ-POPバンドだ」とMCで語っていた通り、本日一番ポップな楽曲が多いアクトで、先程のSable Hills〜アイリフドーパの狂騒と比べると、フロアの熱気は少し落ち着いた印象ではありました。ただスクリーンに映されたイメージ映像の効果もあり、ライヴとしての楽しさは決して引けを取るようなものではない。

 

ステージングで一番目立っていたのは、やはりベーシストのjunkoさんで、とても俺の会社の上司のおっさんたちより10歳近く年上とは思えない。キラッキラの存在感でした。

 

ラストの「日本の米は世界一」がやはり突出した盛り上がりで、この曲のシンガロング、およびモッシュピットの勢いが一番でしたね。

 

 

ROTTENGRAFFTY

続いては冠さんと同郷のROTTENGRAFFTY。今年は大型フェスで2回ほど観ているものの、ここまで近い位置で観るのはなにげに久しぶりかもしれない。

 

セットリストもフェスで観たものと大方共通しているもので、ありがたみは薄かったのですが、キレ気味のステージングは観てて痛快でカッコいい。やっぱりロックバンドなんだから、変にお行儀よくなるよりも、これくらいワルっぽい方が良い。(本人たちもMCで「俺たちが冠さんの知り合いの中で一番ガラが悪い」と言ってた)

 

ただこうやって近くでマジマジと観ていると、やはり正式メンバーだったKAZUOMIさんがいなくなり、サポートギターの人がいかにも「サポートです」ってナリのプレイスタイルなので(あんまりでしゃばるわけにもいかないでしょうが)、バンドとしてのパフォーマンスのまとまりは、学生時代に観たときほどではないか。

 

とはいえ、そんなちょっとした不満くらいなら吹き飛ばしてしまえるくらいのパワーはあり、モッシュ、サークル、クラウドサーフの規模はこれまで観たどのバンドよりも大きく、視覚的な意味における盛り上がりの熱量は、間違いなく本日イチだったと思います。

 

彼らのファンばかりではない会場であるにも関わらず、代表曲の「金色グラフティー」ではサビの大合唱を生み出し、ラストのサビにてかなりの人数のクラウドサーファーを生み出すなど、ライヴバンドとしての力量の高さを見せつけるかのようなアクトでした。

 

ただ個人的には、もう何度か聴いてきてる金色よりも、彼ら特有のダサさがいかんなく発揮された「銀色スターリー」を初めて聴けたことの方が嬉しかった。

 

 

人間椅子

ここで今まで下手側辺りで観ていた位置取りから、グッと前の方まで移動。ステージど真ん中が見える所まできました。このバンドは間近で観てみたいと思ってたんですよ。

 

日本が誇る大ベテランハードロックバンド・人間椅子の登場。サウンドチェックの時点で普通にメンバーの姿が見えていたので、SEが鳴ったときの「満を持して登場!」感は若干薄れてしまった気がするも、オープニングから超名曲「無情のスキャット」が来るもんですから、当然グッとくるわけです。

 

派手さはないものの、ヘヴィで重厚感あるギターリフと、血を這うグルーヴを鳴らすベース、ミドルテンポのどっしりとした重さを描くドラム、これらが三位一体となってクラブチッタの空間を重く震わせていく。

 

これまで出てきた4組は、それぞれバンドカラーは異なれど、基本的にヘヴィでキャッチー、かつアグレッシヴなサウンドで、フロアをかき乱すように盛り上げているバンドでした。

 

しかし人間椅子は、そうしたガンガンにモッシュを誘発させるような音像ではもちろんない。フロアも腕を振り上げたり、体を揺らしたりといった反応はあるものの、先程までの狂騒は皆無です。直前に出たROTTENGRAFFTYのライヴが、本日一番と言っていいほど熱い反応だっただけに、余計落差を感じました。

 

では、人間椅子のライヴはこの日一番オーディエンスの反応が悪く、盛り上がりに欠けるものだったのかと問われれば、もちろんその答えは「NO」です。

 

会場の空気が、これまで出てきたバンド群とはまったく違うんですよね。根幹から。ステージ上で繰り広げられるバンドの世界観が圧倒的で、みんなグルーヴに体を揺らしつつも、そのパフォーマンスを食い入るように見つめることができなくなっているというか。

 

モッシュクラウドサーフといった、視覚的な反応のみがライヴの盛り上がりを意味するものではないという事実を証明するうえで、これ以上ないほどの良い見本だったと思います。ぴょんぴょん飛び跳ねながら、歯ギター、背面ギターを駆使する和嶋さんのパフォーマンスのように、わかりやすく熱気上昇を誘発させるプレイも見受けられましたが、基本的には堂々と構えた貫禄の演奏で魅せる、ベテランらしいライヴアクトでした。

 

唯一の不満は、あの会場にいた誰もが思ったであろう曲の少なさ。ただでさえ持ち時間の少ないイベントながら、長尺曲を2曲用意したもんだから、曲数わずか4曲。あっという間にラストの「針の山」までいってしまい、「え?もう終わり?」という感情でいっぱい。

 

長い曲でも長さを感じさせずに聴かせることができる証明になったわけですが、せめて「なまはげ」とかは聴きたかったなぁ。

 

 

THE冠

ラストはもちろんこの男。前回のOH! SUN SUMMER HIGH PRESSURE TOURと同じバックバンドのメンバーを従え、いつもの衣装に身を包んだ冠さんが登場する。

 

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日本のヘビーメタル」からスタートし、さっそくフロア前方にはモッシュピットが形成される。前回のライヴではモッシュの類いは一切発生しなかったわけですが、今回は客層が客層だけに、オーディエンスの反応もアグレッシヴ。冠さんもそれに釣られるようにサークルピットを促す場面も(冠さんがサークルを煽るのって珍しい気がする)

 

ただ単に」のような、わかりやすく盛り上がれる疾走曲はやはり気持ちよく、後ろからくるモッシュの圧迫を感じながら、飛び跳ねているときの高揚感は凄まじい。これまでずっと立ちっぱなしで疲労は溜まっているはずなのですが、それを一瞬で忘れさせてくれるほどの楽しさに満ちている。

 

やっぱりメタルをエンタメ性MAXで楽しく聴かせるという点においては、THE冠は一級品ですね。こんなん目の前でやられたら、じっとなんてしてられませんよ。「傷だらけのヘビーメタル」の疾走感抜群のサビで、渾身のヘッドバンギング

 

「さっきのROTTENGRAFFTYが「金色グラフティー」の大合唱をさせたから、俺もやってみたい!」と、オーディエンスに「糞野郎」の歌い出しを任せる一幕も。途中若干歌詞が怪しい部分もありましたが、充分に歌声が響いていて冠さんも「すごい!できてる!」とご満悦でした。

 

基本的には今まで聴いてきたライヴお馴染みの楽曲(新曲の「おっさん」を除く)で占められたセットリストで、言ってしまえば「いつものTHE冠のライヴ」といった感じでしたが、そのいつものライヴが最高に楽しいのですから文句はない。ラストの「担がれた冠」で、祭りの最後を過去最高の一体感で締めくくりました。

 

 

ライヴ終了の記念撮影のあとに、会場横のスクリーンにて「来年の大冠祭は関東&関西のダブル開催」という告知が。ここに来て去年できなかった超大冠祭の足がかりとして、規模を大きくしていく感じでしょうか。いずれにせよ来年以降も楽しみ。

 

そして、大阪遠征が終わったあと、すぐに立ちっぱなし暴れっぱなしのライヴを堪能して、疲労が蓄積したのが良くなかったのか、このライヴの3日後くらいに39度台の高熱を発症して数日間ブッ倒れる事態に見舞われました。マジで勘弁してくれ。

 

幸いコロナ陰性だったし、ライヴの無い週だったため、行きたいライヴに行けないなんてことも起こりませんでしたが、やっぱり体への負担は考えないといかんな...。ただでさえここ最近仕事が忙しくて疲れが溜まってるだけに。

 

そんなわけで、ブログの更新がかなり久しぶりになってしまったのであります。決してめんどくさくなったわけじゃないのよ。