ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9/26 大冠祭 2021 at CLUB CITTA'

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今年もこの季節がやってきました。THE冠主催のメタル縛りライヴイベント(と言ってもメタル以外のバンドもよく出るけど)大冠祭。

 

去年は新型コロナウイルスの流行により中止せざるを得ず、その日にTHE冠のニューアルバム『日本のヘビーメタル』リリースツアーの初日のライヴが行われたのも記憶に新しいところです。

 

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今年ももちろんフロアすし詰め状態での開催はできませんが、座席によりフロアの人数を絞ることで無事実施が可能に。この日のために準備してきた関係者の人たちには感謝感謝ですよホント。

 

ちなみに全くの余談ですが、この日の前日はオモコロチャンネル大反省祭を見ていたので、この土日は二日連続で祭に参加したことになりますね(笑)

 

会場に着く前に横浜のタワーレコードディスクユニオンをしばし物色し、いい時間になって川崎へ到着。道中の薬局にて耳栓を購入するも、軽くポッケに突っ込んでいたのが運の尽き。会場に向かう途中のどこかで500円以上した耳栓を見事に落っことすという大ポカをやらかしました...。今日川崎で耳栓拾った人、僕ん家まで郵送してくれ。

 

幸いにもカバンの中に、以前のライヴで使った耳栓が入ってたのでそれを使いましたが、買ったばっかの物を速攻で落とすのはなかなか精神的にキマすね...。ライヴ前に気分がマイナスになってどうすんじゃい。

 

CLUB CITTA'に到着し、ワンドリンクでレッドブルを交換して座席に座る。今回は500人程度のキャパで絞っているようで、この時点ではまだ前半部分くらいしか埋まっていない。

 

そこそこ前方(6〜7列目くらい?)の上手側に座って待っていると、フロア右の壁にかかったスクリーンにLUNA SEAの真矢さんに扮したレイザーラモンRGが、「THE冠あるある」を歌い上げて一笑い掻っ攫う。何でも「物販のTシャツ、Lサイズが特に売れ残りがち」とのことでしたが、終演後の物販で僕が買おうとした水色のTシャツはLサイズ普通に無かったんですけど。どういうことだおいっ。

 

そして大冠祭恒例の幕間映像は、冠さんがスタッフとの激辛麺早食い対決に負けた罰ゲームとして、富士登山をさせられるというもの(とはいえそのスタッフもカメラマンとして同行してるので、実質二人とも罰ゲーム受けているようなもの)。朝4時半からスタッフに家に押しかけられ、そのまま富士山を登る羽目になった冠さんの姿が、ステージの転換中に都度挿入される形で映し出されました。

 

 

Ailiph Doepa

冠さんの開幕宣言を迎え、まず最初に現れたのはド変態なカオティックヘヴィロックバンドAiliph Doepa。THE冠を除けば本日一番のお目当てでもあるバンドです。

 

相変わらず個性豊かすぎるルックスのメンバーが登場し、「Ailiph Doepaのお出ましだぁーーー!!」とアイガーゴイルさんが目を見開きながら拳を突き立て煽る。オープニングは「Galactic kamadouma」。ムチャクチャなテンポチェンジに変態的なヴォーカルワークを持ちながら、非常にキャッチーなサビで疾走し聴きやすさも感じさせるキラーチューン。祭の幕開けでテンションMAXにするには、これ以上ない楽曲です。

 

大冠祭は初出場である彼ら、「初めましての人も多いと思います」と語っていたので、ライト層に配慮してか、これまでの音源でキーとなっている楽曲を主軸にしたセットリストで、これまでライヴで聴けてこなかったようなマニアックな曲は少なめ(「Doggy Man」くらい)

 

「自分で言うのもなんですが、我々、そんな変なバンドでは無いんですよ。結構ノリやすいでしょ?」と語っていた通り、今回は彼らのレパートリーの中でも比較的キャッチーでわかりやすい曲が多かった印象でした。それでも充分すぎるほどアクが強いが(笑)

 

彼ら流のダンスパーティーソング「Scary Night」で怪しくもコミカルなサビを披露し(MVの振り付けを完コピしている猛者も)、マーチのリズムで親指を立て、Hawaiian6ばりの哀愁メロで爆走する「My right hand thumb is a Kraken」でフロアの熱気を高めつつ、ここぞとばかりにヘヴィパートではヘッドバンギングの嵐を巻き起こす。もちろん僕もつられて頭を振り狂っていましたが、最初の段階で嬉々として暴れすぎたために、残り3組いる段階ですでに首のダメージがキツい。

 

クラーケンの前にサビのメロディーを、アイガーゴイルさんがゆっくりとアカペラで歌う演出があったのですが、そこで彼が単なる変態的パフォーマーではなく、まっとうかつハイレベルな歌唱力を持ったヴォーカリストであることを改めて示していました。

 

ラストはお馴染みのキラーチューン「Machu Picchu」。座席のためにサークルピットができないと言うことで、バンド側から提案されたのが、その場でグルグル回転する「一人サコピ」。ステージでヴォーカルがチュピチュピ言いながら、それに合わせて観客がその場で回転しているという、事情を知らない人からしたら異次元の光景が繰り広げられることになってましたね(笑) 

 

 

SEX MACHINEGUNS

お次はベテラン組であるマシンガンズ。本日の出演組の中では最もピュアメタル指数の高いバンドのため、ここでガッツリメタルへの欲求を満たしたいところ。

 

初っ端から代表曲「みかんのうた」、そして間髪入れず激烈疾走ナンバー「ONIGUNSOW」という並びがまず強烈!ちょっぱやのドラムに合わせて頭を振り、ANCHANGさんの痛烈な速弾きソロに目と耳を集中させる。先ほどのAIliph Doepaはメタリックというよりもっと広義のヘヴィロックな音作りでしたが(本人たちもメタルであることには拘ってないらしい)、やはりこのメタルらしいひしゃげたギターリフには胸躍る。

 

ただちょっと不満点を挙げるとすると...彼らの音、デカすぎじゃないですかね。サウンドチェックの段階で、スネアドラムの音がちょっとした破壊音のようになっていたし、ライヴ本編が始まると、それに輪をかけて全体的にバカデカくノイジー。体毛が音に合わせて震えているのがわかるくらいでした。

 

迫力があるのはいいことなんですが、細かな音の分離が聴き取りづらく、せっかくの「ONIGUNSOW」も最後の強烈なバスドラの連打が聴こえないし、さらに終始高音のノイズみたいな音がヴィ〜〜ッと鳴っている感じで、耳栓を装着していなかったら厳しかったかも。

 

まあ不満点はそのくらいで、フロント3人によるフォーメーションのような動きに、軽妙でユーモアあふれるMCで場を沸かす様は文句なしに楽しめました。「このクラブチッタでは、色々なメタルバンドのライヴを観てきて、自分もここに立ちたいって思ってきたけど、実際に立てて嬉しい」と語った時のANCHANGさんの笑顔が本当に嬉しそうで微笑ましかった。

 

あと言われるまで気づきませんでしたが、今日のドラム、Phantom Excaliverのトーマスさんだったんですね。彼のキャラクターはかなりマシンガンズにマッチしてたように思えます。

 

 

バックドロップシンデレラ

本日最もメタル指数の高いバンドから低いバンドへ。トリ前を務めるのは、曰く付きの大冠祭2018に出演したバックドロップシンデレラ。やたらサウンドチェックが難航して同じ曲を3回くらい繰り返していましたが、とりあえずは無事にライヴがスタート。

 

最初は「およげ!たいやきくん」のメロディーに載せ、「大冠祭2018の自分らの出演時間は15分、冠さんは10分」「冠さんの寂しそうな笑顔が忘れられない」と歌い出し、メロディーラインと合わせて、あまりにも哀愁あふれる時間に...。当時あの会場にいた人、無事に帰れたのでしょうか...?

 

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本日唯一ヘヴィさを重視していないバンドのため、当然ながらサウンドは今日イチの軽さ。ただその前のマシンガンズの音響がメチャクチャやかましかったため、この軽さがむしろ耳に優しくて心地よかった。

 

ただし、ヘヴィさではなくスカコア的なノリの良さを押し出しているバンドのため、座席が決まっている本日の会場だと、その場から大きく動けない分、オーディエンスの盛り上がりという点に関しては一番割りを食ってしまった感じ。他のバンドはヘッドバンギング、フィストハングでその場で盛り上がれますが、このバンドはスカダンやサークルなどが似合う音楽性ですからね。

 

とはいえ、彼らの楽曲では特に好きな「台湾フォーチュン」「さらば青春のパンク」は体を動かさずにはいられませんでしたが。僕の左隣には人がいなかったので、スペース広めに盛り上がれましたよ。

 

フェスだして」のサビのメロディーをハミングさせたり、冠さんと池袋のライヴハウスで対バンし、出演料に関する提出資料を当日締め日でメールした際、冠さんは富士山にアタックしていたエピソードを話すなどして、アウェイさを感じさせない盛り上がりを生み出す。

 

楽曲は前2組と比べるとどうしてもわかりやすい派手さには欠けてしまうものの、それを補ってしまうほど、フロントマンのでんでけあゆみさんのパフォーマンスが凄い。というか身体能力が凄い。

 

ステージを端から端まで走って移動し、バスドラに乗って大開脚ジャンプ、さらにはメチャクチャ軽やかかつ高速でコサックダンスをするなど、まさに縦横無尽という言葉がふさわしい。あのスピードで足動かすの絶対できねえ。

 

さらについでに言うと、当日物販で販売されていた冠さんのTシャツ(デニス・ロッドマンのような冠さんの顔面がプリントされたやつ)を、「睨みつけられているようで怖い」と言ってましたが、あなたが着ていたシャツの方が怖い。

 

 

THE冠

LUNA SEA河村隆一さんに扮したレイザーラモンRGの、2度目のTHE冠あるある(髪切ったあと恥ずかしがりがち)がVTRで流れたあと、最後はもちろん主催のTHE冠。お馴染みのSEでバンドメンバーが下手側から登場。相変わらずK-A-Zさんのオーラは凄い。

 

そして冠さんがセンターへと移動してきて、最初のナンバーは「帰ってきたヘビーメタル」。やっぱりオープニングはこの曲が一番しっくりくるな。

 

いや〜〜やっぱり、いつ観ても彼らのライヴは素晴らしいですね。今まで観てきた3バンド、どれも非常に良かったですが、やはりライヴ映えという点においてはTHE冠はピカイチ。理屈抜きにメチャクチャ楽しい。

 

冠さんのコミカルなキャラクター性に、純粋な楽曲の魅力、盛り上がりどころがわかりやすい煽りなど、ライヴとしてのエンタメ性は抜群で問答無用でノセられてしまいます。歌唱力も演奏力も文句なしで、冠さんのメタリックなシャウトに、K-A-Zさんのタッピングを用いた速弾きは非常に安定している。

 

エビバディ炎」でマイクを振り乱しながら「いつになったらヘビメタ売れるんだよ」と魂の叫びを披露する。「このくだり、37歳くらいの頃ぐらいからずっとやってるけど、今までずっと続けてきてよかった」と気持ちを吐露する場面も。これはコロナによりライヴができなくなっても、ずっとメタル一筋で生きてきた人が言うからこそグッとくるんでしょうね。

 

そして本日一番のスペシャルな瞬間は、冠さんが学ラン・学生帽・牛乳瓶メガネを身につけて歌われた「中3インマイドリームス〜行ってみたいなLAに〜」でした。曲自体がそもそも今までのライヴで聴けなかったレアなものでもありますし、何より冠さんがド派手なギターを持ち出して(ギタリスト時代から持っていて、全然メンテナンスしていなかったモノらしい)、K-A-Zさんとツインリードを披露。ややたどたどしくも結構綺麗にハモっていました。

 

THE冠最強の疾走キラー「糞野郎」では相変わらずのアツすぎる鋼鉄シャウトをバンバン響かせ、祭の名にふさわしい「担がれた冠」でオーディエンスから無数に手が上がる。いつ味わってもこの定番の曲の高揚感は最高だな...

 

本来なら一度ステージ袖に引っ込んでアンコールと流れるところですが、そのまま引っ込まずに、「担がれた冠」で高まったテンションをそのまま引き継ぐ形で、ダメ押しの一曲。ラストは最新作のタイトルトラック「日本のヘビーメタル」。最後になって"俺が日本の真っ当なヘビーメタル"という堂々としたリリックで締めるのが痛快。声は出せませんが、みんなでバンザイ三唱して祭の最後を彩りました。

 

 

全4組、どのバンドも非常に濃厚かつ素晴らしいパフォーマンスで、座席から動けなくとも大満足の1日でしたが、それでもやはり最後のTHE冠にガツンと持っていかれたあたり、彼らのエンタメライヴバンドとしての力が改めて伝わった感じです。

 

思えば去年、ライヴを観ることがままならなくなり、半年ぶりに観たのもTHE冠で、その不自由な空間をものともしないライヴの楽しさに胸を熱くしたもんです...。思い出すなぁ。

 

さらに終演後、来年の夏に日本でも最大規模の会場で超大冠祭なるイベントを行うという発表もあり。まだライヴの全容は一切見えませんが、日本のヘビーメタルファンとして、今後も彼の活動から目を離すことはできなさそうですよ。