ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

2/11 DEVI BATTLE〜デビバト〜Vol.7 Ailiph Doepa × DEVILOOF at Zirco Tokyo

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発表当初から「すげえ異色の組み合わせだな〜」と思っていたツーマンに足を運びました。ド変態エンターテインメント・ヘヴィロックの雄であるAiliph Doepaと、極悪ヴィジュアル系デスコアを貫くDEVILOOFのライヴです。

 

会場となるZirco Tokyoは始めて来る場所ですが、去年12月に発生したビル火災の影響を受け、つい先日になってようやく営業再開できたのだとか。ただでさえ厳しいご時世においてなんとも気の毒な...

 

ただその際のビルメンテナンス期間をうまく利用したのか、内部は非常に綺麗で快適でしたね。キャパ250人という小ささながら、ドリンクカウンターのスペースが広く取られているのも良いですね。

 

僕が入場列で並んでいたときは、ほとんどの人が「お目当ては?」の問いにDEVILOOFの名前を挙げていたので、ドーパはちょっとアウェイな感じになっちゃうかな...?なんて思っていましたが、フロア前方には結構ドーパTシャツ姿の人も多く、ほどよく両者のファンが混ざっていた印象。ヴィジュアル系バンド主体のイベントながら、男性客も結構な数が入っていました。ギャ男ではなく、デスコアキッズってな感じの身なりも多かったですね。

 

 

Ailiph Doepa

個人的お目当ての(今までライヴを観たことが無いという点ではDEVILOOFも目当てでしたが)Ailiph Doepaからスタート。恒例のやたらファニーなSEに続いて、DEVILOOFにも負けないほど個性的なメイクを施したメンバーが登場。そういう意味ではドーパもヴィジュアル系だな(?)

 

やたら早口にまくし立てつつ、ヘヴィリフもポップなメロもブッ込んだ「Chupacabra」から始まり、早速のド変態ワールドが繰り広げられる。バンドのコンディションは非常に良いように見受けられ、演奏力の安定感は言わずもがな。デスコアにも負けないほどの低音グロウルから、オペラチックな雄々しいヴォーカルパフォーマンスを聴かせるアイガーゴイルさんの存在感は相変わらずハンパない。

 

「今日は2月11日......ワンワンの日ですよーー!」と吠えたあとの「Doggy Man」。この曲のインロトの手拍子は、リズム感の無い僕には少し難易度が高いです。犬の鳴き声に呼応するように小刻みなリフでヘッドバンギングをする異様な光景に、本日初見のDEVILOOFファンはビックリしたのではないでしょうか(笑) 

 

MCで「DEVILOOFファンの皆さん、気をつけてくださいよ。Ailiph Doepaのファンは、ライヴ中にその場でクルクル回ったり、親指立てたり、クロールしたりする危険なヤツらですよ!」とフロアに向かって煽り立てると、ドーパ流ダンスナンバーの「Scary Night」で奇妙な振り付けで熱気を上げていく。

 

正直デスコアリスナーであるDEVILOOFのファンにとって、彼らの楽曲というのはいささかシリアスさや凶暴性に欠ける印象を与えてしまうのではないかと思ってたのですが、いざライヴが始まってみるとなんのことはない、DEVILOOFのマーチに身を包んだファンからも積極的に手が上がり、ヘヴィパートでは一心不乱のヘドバンの嵐が巻き起こる。やはり彼らの怪しくも親しみやすく、問答無用で気分をノせてしまうパワーは、ジャンルやファンの質などの垣根を超えて通用するものなのでしょうか。

 

そんな僕の思いを知ってか知らずか(知ってるはずはないのですが)、MCで「マスクの内側からでも伝わってきます。皆さんの言いたいこと...「Ailiph Doepaよォ!柔らけえ音出してんじゃねえよ!!」って。俺たちこんな見た目してるけど、それほどエクストリームじゃねえんだよ!正確に言えばエクストリームな曲の幅が小せえんだよ!バーカ!殺すぞ!!」とオーディエンスを睨みつけながら暴言を吐く様に、この日一番の(笑い的な意味での)盛り上がりが。その後にドーパ流エクストリームメタル「My Goblin」を投下。ファニーさを廃した、ダーク&ヘヴィな一曲で、低音デスヴォイスによる早口ヴォーカルはいつ聴いてもインパクト大。

 

出だしに圧巻の歌唱力を見せつけ、急激なテンポチェンジをものともしない非常にタイトにまとまった演奏とともに疾走する「My right hand thumb is a Kraken」はやはり激アツ、初めての対バン、初めての会場でのライヴを記念してブッ建てられる「Totem Pole」でラストを飾る。

 

ドーパトップクラスとも言えるヘヴィなパートから、思いっきり明るく弾けたパートの落差が凄まじく、この日最大のインパクトを残した楽曲で幕を下ろしました。「Machu Picchu」がラストに来なかったのはちょっと意外でしたが、もうこの時点で十分に満足です。エンタメ性MAXのステージはやはり楽しい!

 

 

DEVILOOF

Ailiph Doepa目当てでDEVILOOFはそれほどでもないという人が会場を後にしたのか、先程に比べて多少人口密度が下がった状態で、DEVILOOFのライヴがスタート。

 

僕はデスコアというジャンル自体あまり熱心に聴かないリスナーであるので、彼らのことも名前だけ知ってるけどアルバムを持っているわけではありません。Spotifyで最新作『Dystopia』をちょろっと聴いたことがあるくらいです。

 

そんなわけでちょっと「怖いもの見たさ」みたいな感情も多少はあったりしたのですが、うん、やはり恐ろしげな見た目をしていて、迫力は凄まじいものがあります。全員コープスペイントのように顔面真っ白、下手側ギターの愛朔さんなんか目が真っ赤ですし。

 

特に嫌でも目を引くのがヴォーカルの桂佑さんで、顔面に痛々しい傷口を模したメイクを施し、ほぼ上裸の状態でとんでもなく凶悪無比なヴォーカルパフォーマンスを披露する。ピッグスクイールとホイッスルボイスの高速切り替えは圧巻の一言に尽きるし、ヴォーカルパートのメインとなる低音グロウルの破壊力は閉口してしまうほど。

 

ただちょっと意外だったのは、曲間のMCになると鬼気迫る感はだいぶ減退し、程よくフレンドリーな一面を見せてくれたこと(アイガーゴイルさんのモノマネはなかなかのレベルに達してた/笑) てっきり見た目通りの凶悪さを曲間でも見せる、もしくはDIR EN GREYのようにMCらしいMCを一切せず、徹底的に世界観づくりに終止するバンドなのかと勝手に思っていたので。

 

また楽曲の方もガチのデスコアがメインながら、中にはクリーンヴォイスを大々的に導入して疾走する「ESCAPE」のような楽曲があるのも、本日始めて知りました。まあそこまでキャッチーというほどではなかったですが...

 

その他にもダンスミュージック的な電子音が飛び出す「Libido」や、途中に思いっきりブレイクし、和のムードをブチ込む「Newspeak」など、ただのノーマルデスコアにならないような試行錯誤をしていることが感じ取れましたね。ただ電子音はまだしも、和の要素はヴィジュアル系デスコアというバンド形態とは必ずしも食い合わせが良いとは思わないかも。

 

ラストの「流転」では、Ailiph Doepaのアイガーゴイルさんが、途中のクリーンコーラスから登場して、見事な歌唱力、およびデスコアサウンドにも埋もれない強烈なシャウトを桂佑と交錯させる。ほぼほぼ黒一色に統一されたDEVILOOFの面々に、やたらカラフルなアイガーゴイルさんが加わる異様な浮きっぷりにちょっと笑いつつ、最後を締めくくるにふさわしいスペシャルなステージを見せてもらいました。

 

 

まさに異種格闘戦という呼び名がふさわしいような、異質の組み合わせではありましたが、ともにヘヴィかつ自身の強みを存分に活かした充実のアクトを展開してくれ、満足度は非常に高かったですね。

 

ただ一つだけ気になったことと言えば、僕だけじゃなくこの日会場にいた人全員が思っていたと思うんですが、DEVILOOFの後半のMCのとき、残響がかなり大きいがために声が埋もれて何を言ってるのか全然聞き取れなかったです(笑) 次観るときはもうちょっと音のバランス考えてね。