ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9/27 THE冠 / 日本のヘビーメタルTOUR 2020 at CLUB CITTA'

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実に半年ぶりのライヴです

 

コロナウイルスにより全国のライヴ、イベントが延期や中止に追い込まれてしまった今年、最後に観たライヴは3月のA.V.E.S.Tで観たTHE冠でした。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

最後のライヴがTHE冠というのは、まあ日本のメタルヘッズとしては悪くないな~とは思っていました。

 

ですがやはりまだまだライヴは観たい!次の機会をひたすら待ち続けていたこの半年。ついにその時が来たのです。

 

本来大冠祭2020を行う予定だったこの日、入場者数を制限し飛沫感染防止対策を徹底した二部構成としたうえで、延期となった日本のヘビーメタルTOURの初日としてライヴが行われることになりました。

 

コロナ騒動が激化する前の最後に観たライヴと、ライヴハウスが営業を始めだしてから最初に観るライヴがTHE冠。この事実になんとなく特別な思いを抱きつつ川崎へ。久々の爆音メタルライヴということで、メタルの正装・革ジャンで気合を入れる。

 

モッシュもサークルも起きないのはもちろん、満足に声を上げることすらできないという環境。しかし久しぶりのメタルサウンドを生で味わえる機会を逃すわけには行きませんからね。

 

ラゾーナ川崎を少しプラプラしたあと会場となるCLUB CITTA'へ。書類に必要事項を記入したあとに順番通りにフロアへ入場。椅子がズラッと並んでおり、仮に全部埋まったとしても、本来のチッタのキャパに比べれば恐ろしく少ない人数しか入らない。これ、バンド側はちゃんと収益が入るのだろうか...?

 

上手側の前の方、それも通路に面していてステージが非常に見やすい好ポジションをキープ。普段のライヴハウスとはまったく違う環境ながら、たしかに楽器が並ぶステージを目の間に開演を待っている状態。久しく味わっていなかった感覚に、すでに喜びがこみ上げてくる。

 

そして開演時間に差し掛かって暗転すると、フロアの左右に設置されたスクリーンにライヴ前のオープニング映像が流れる。冠さんが沖縄のパワースポットを巡ってライヴに向けてパワーを蓄えるという内容ですが、やたら中途半端なところで切れてしまったのは、二部構成が前提になっているからでしょうね。

 

そしてTHE冠おなじみのSEが流れ、バンドメンバーが入場。今回はギタリストのべっちさんがお休みでシングルギター編成。やはりK-A-Zさんの放つオーラ、存在感の大きさはハンパではない。

 

 そんな彼のギターがギュワ〜〜ンと唸りを上げ、早速オーディエンスの士気を上げる。声は出せなくとも、たくさんのメロイックサインが掲げられた会場からはライヴの幕開けにふさわしい熱気が感じられました。ああ...この時をどれだけ待ちわびてきたことか!!

 

そして3月からずっと髪を切らずに過ごしてきたせいで、今までの坊主頭からだいぶ様変わりした冠さんが登場......と思いきや、いつもの姿ではなく、戦国時代の武将のような甲冑を身にまとっている。最近本物の甲冑に身を包んだメタルバンドがアルバム出しましたよね。

 

アルバムのオープニングは最新作からの「日本のヘビーメタル」。個人的には、期間が空いてからの最初のライヴなので、「帰ってきたヘビーメタル」で「ただいま」といってほしかった気がするも、あくまで新作のツアーですからね。順当な出だしです。

 

「7ヶ月ぶりのライヴです!!」と冠さんが叫ぶと、それに呼応するようにオーディエンスから腕が上がる。大きな声は出せない状況とはいえ、久しぶりのライヴハウスで浴びる爆音に僕のテンションもブチ上がる。

 

本当であればこの曲のサビでウォーオーと叫びを上げられたはずなんですけどね〜...。しかしガイドラインはしっかり守らなくては、ライヴを結構してくれた演者サイドやライヴハウスに迷惑がかかりますから。ここはしっかり従う。

 

オーディエンスからの歓声が無いということは、バンドサウンドやコーラスをしっかりと聴けるということでもあるため、そういう意味ではメリットが無いわけではない。ギターが一本なこともあって、ベースラインも聴き取りやすく、普段以上に音への没入感は増した感じです。

 

続く「傷だらけのヘビーメタル」における疾走パートでは渾身のヘッドバンギング。周りの人たちも待ってましたと言わんばかりに長髪を振り乱しており、みんなこの瞬間を待ちわびていたんだな〜としみじみ。まだまだ不完全なライヴとはいえ、この時点ですでに感動。

 

冠さんの歌声、シャウトはガッツリとリハーサルで仕上げてきたのか、久しぶりのライヴとは思えないほどに絶好調。低音のマイルドな歌い上げも絶品だし、日本のロブ・ハルフォードと言えるメタリックなシャウトの伸びも文句なし。甲冑であまり自由には動けないと思うのですが、少なくともヴォーカルパフォーマンスにおいては何の問題もありませんでした。

 

MCでまたライヴハウスに戻ってこれた喜びを語りつつ、爆音で鳴く鶏のオモチャやタンバリン、でんでん太鼓などの鳴り物をを持ってきた人たちを、いつもどおりの茶目っ気でイジる(今回のライヴは声を出せない代わりに、会場をうるさくする鳴り物の持ち込みが許可されている)

 

 

ラッパのような吹くものは飛沫の観点からダメらしいですが、今後のライヴでは一体どんなものが持ち込まれるんでしょうね。冠ファンのセンスが問われることになるでしょう。

 

そしてライヴの中盤のMCでは、みんなが何となく気になっていたであろう冠さんの髪の毛の話題に。前述の通り3月から髪を切っていなかった彼ですが、ライヴ再開の今日、とうとう断髪式を行うと宣言。そしてオーディエンスに向かって「俺の髪の毛切りたい人は手を上げて!」と呼びかけ。結構たくさんの手が上がっていましたね。

 

そして最前列にいる女性をステージに上げ、後頭部の髪に一度だけハサミを入れてもらうことに。「記念に持って帰っていいよ!」と言うものの、さすがに汗でビッショリの髪は気持ち悪いのか拒否されていました(笑) 多分僕もそうする。

 

そして今度は冠チームの長髪代表であるK-A-Zさんがバリカンを手に取り、容赦なく刈り上げていく。「ツーブロックにしてね。Dragon AshのKJがやってたみたいに」と要望するも、明らかにバリカンは額から脳天にかけての部分を刈っている。

 

そして出来上がった彼の髪型は、本日の甲冑姿と相まって完全に落ち武者。会場中が爆笑に包まれました。

 

 

格好が恰好なだけにかなり様になっていましたが、さすがにこの髪型では締まらないからか、一旦冠さんが袖にはけて楽器陣によるインストパフォーマンス。やはりいちばん目立っていたのはK-A-Zさんで、タッピングやアーミーを駆使した派手なソロで会場を沸かせる。

 

ただこの人のギターは速弾きテクは十分にあるものの、メロディアスに泣かせるタイプではないのでその点はちょっぴり物足りないかも。なんとなくかつて観た若井望さんを思い出しました。ただその分畏怖の対象となりえるほどの圧倒的なオーラで、パフォーマンスとしての不満はまったく感じさせないあたりはさすが。

 

そしてしばらくすると冠さんが見慣れた坊主頭になって戻ってくる。髪をのばした姿は、あれはあれで似合っていたとは思うんですが、やはりTHE冠といえばこのヘアースタイルですね。しっくりきます。

 

この髪型になってこそ「ハゲてないわ、カットしとんねん!」のフレーズが意味を持つ「奪冠」でライヴはいよいよ大詰め。

 

THE冠のレパートリーでも屈指のキラーチューンである疾走ナンバー「糞野郎」がコールされたときは、もう全身に電気が走ったかのようにゾワッときましたね。本来であればサークルピットが発生するはずなのですが、そんなことはお構いなしにじんわり目頭を熱くさせながらヘッドバンギング

 

 第一部のラストナンバーは「最後のヘビーメタル」。サビでシンガロングはできませんが、代わりに懇親の力を込めたフィストハングを繰り返し、熱気の最高潮を迎えました。ただ今まで完璧だった冠さんの歌唱が、この曲のときのみバンドサウンドに埋もれ気味で音程もあやふやに感じたのはちょっと気になりました。しきりに耳を抑えていたので、イヤモニの調子が悪くなったのでしょうか。

 

とはいえライヴの熱気が削がれるようなことはなく、ラストに強靭なハイトーンシャウトをおみまいして圧巻のフィニッシュ。声は出せずとも、こんな厳しい状況の中でライヴを敢行してくれたステージ上の4人に惜しみない拍手が送られて、第一部は終了となりました。

 

このあと第二部のライヴがある関係で、ワンマンのボリュームとしてはやや物足りないはずだったのですが、それを一切感じさせない最高のパフォーマンス。そしてそれを半年振りに爆音で体感することができ、本当に感無量でした。ライヴハウスという薄暗くも魅力的な空間で、ラウドな生演奏をその身に浴びながらひたすら頭を振るというこの感覚、久しく忘れていましたね。

 

本当に素晴らしいライヴを見せてくれたTHE冠のメンバー、ツアー再開を決めてくれたスタッフ、ガイドラインを考慮しながら準備を進めたライヴハウス、すべての関係者に心から感謝します。

 

そして頭痛持ちの僕はもちろん、激しい光と音を食らった後は頭がガンガンするハメに。「ライヴ後の頭痛も久しぶりだな〜。今ではこの痛みも愛おしいよ」とはなりえませんね。ツライもんはツライです。