ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

7/29 THE冠 / OH! SUN SUMMER HIGH PRESSURE TOUR 2023 at 渋谷Star lounge

愛すべきヘビメタバカ・THE冠のライヴを久々に観てきました。東名坂を周る3本のショートツアーのファイナルです。

 

会場の渋谷Star loungeは、店の前こそ何度も通ったことがありますが、実際に中に入るのはこの日が初めてでした。店の前にとてもメタルのライヴに行くとは思えない、フリフリした可愛らしいお洋服に身を包んだ女性たちが大量に並んでいてちょっとビックリしたものの、どうやらお隣のチェルシーホテルのライヴに来た人たちだった様子。

 

Star loungeの列には、冠さんと同世代と思しきおっさんおばさん方が並んでいて一安心(?) あまりの客層の違いにちょっと笑いつつ会場入り。だいぶ狭い会場で、キャパ的には上の階にあるTHE GAMEと大差無い印象でした。

 

そんな小規模なライヴハウスで、しかも開催が土曜日だというのにソールドしないというのは、ちょっともったいない話ですね。観たことある人ならわかると思うけど、THE冠のライヴはメチャクチャに楽しいので、こんな少数な人たちだけに独占させるとは。

 

そんなことを思いつつ、ワンドリンクのジントニックを飲み干した後、開演時間ちょうどくらいに暗転。いつも通りのSEでバンドメンバーが下手から登場してくる。いつもどおりドラムはYOUTH-K!!!さん、ギターはK-A-Zさんなのですが、ベースが春輝さんではなく、坊主頭に黒タンクトップのイカつい人に変更されている。

 

僕は知らなかったのですが、本日のベースの大桃俊樹さんは、冠さんが昔組んでいたSo What?のメンバーで、さらにSUNS OWLにもちょっとだけ加入していた時期があるそう。また以前からもTHE冠のライヴにはサポートで入っていたそうな(MCではメチャクチャな天然ボケを披露して、今日イチの笑いをかっさらっていったあたり、強い個性の持ち主であることが伺えます)

 

そんなメンバーから遅れて冠さん登場。「やけに長い夏の日」からスタート。フェスでアウェイ感を喰らうおっさんの悲哀を歌った曲ですが、ワンマンでもやるんですね。まあツアータイトルにあるおっさんらしさ、夏の要素がある曲ですから、このツアーにはピッタリな曲なのかも。

 

バンドのパフォーマンスは、シングルギターということもあって、ギターソロの時には少し音の厚みが薄くなるような感触があったものの、圧巻の迫力をもって迫ってくる。K-A-Zさんのタッピングを多用した速弾きはご本人のオーラもあって、相変わらずオーディエンスの視線を集中させる存在感を放つ(個人的にはもう少し"泣き"があると嬉しいのですが)

 

大桃さんのベースは時折スラップなどを織り交ぜつつも、さほど派手さを出すわけではなく、太いラインをしっかりとなぞるようなプレイ。サビでのコーラスも彼の仕事で、埋もれてしまいがちなこの手のバッキングヴォーカルとしては、結構聞き取りやすい。

 

そして今回一番良いなと感じたのがYOUTH-K!!!さんのドラムでした。様々なアーティストのサポートをやってきた彼の実力なら当然ではあるものの、アグレッシヴさとタイトさを両立したドラミングのカッコ良さが際立っていましたね。SLANGのタンクトップもそのプレイスタイルのカッコ良さに磨きをかけていました。途中スティックを落とす瞬間がありましたが、それはまあ生のライヴならではということで。

 

この日はドラムの音が良くて、変に丸くなってトゲの無い音になることもなく、デカすぎて割れたような汚い音になることもなく、適度にラフながら破壊的なスネアドラムの音が聴いててメチャクチャ気持ちよかった。このドラムのおかげで、サウンドが一層パワーのあるものに変貌していたように思います。

 

中3インマイドリームス~行ってみたいなL.Aに~」のラストの疾走パートなんて、そんな優れたバンドアンサンブルが、塊になって爆走しますからね。このカッコ良さにはいてもたってもいられず、狂ったようにヘッドバンギングしてしまいました。

 

冠さんのパフォーマンスは、今まで観てきたものと同様に、コミカルな動きで盛り上げつつ、ここぞというところでは強烈なメタリックシャウトを披露。従来と何も変わらない圧巻のエンタメパフォーマーっぷりを見せつけてくれました。

 

歌舞伎役者のような見得を切る動きをお立ち台で披露し、かと思えばなぜか桑田佳祐の歌唱モノマネをするなど、コミカルさ満点のステージングは本日も健在。それでも、いざ歌のパートに入ったら、非常に高い歌唱力でメタリックに歌いこなす。

 

「今日メチャクチャ暑かったやろ!?ちゃんと水分補給してな!」と、肩にかけた水鉄砲を噴射して、オーディエンスに水を浴びせる一幕も。僕も顔面に思いっきりもらいました。

 

哀愁の効いたメロディーが疾走する「メタリックロマンス」、ライヴ定番の「哀罠メタル」と続けていき、その後は今回のツアーのタイトルにもなっている「おっさん」を披露。本日のライヴに来た人には、全員この曲が収録されたCDが配布されており、もちろん僕も受け取っています。

 

他の会場ですでにCDをもらっている人も何人かいたようですが、大半はまだ未聴の新曲。「ただ"おっさん!"て叫べばいいだけの曲やから!初めて聴く人でも、聴いたことがある風に聴いてください!」と呼びかけた上でスタート。冠さんらしいユーモアの効いた歌詞に、重低音を聞かせたサウンドで、他のキラーチューンと比べて特段インパクトが強いというわけではないものの、THE冠らしい楽曲に仕上がっていました。

 

ライヴも中盤にさしかかる頃になると、冠さんがいったん舞台袖に引っ込み、K-A-Zさんのギターソロタイム。タッピングを豊富に交えたソロを弾く姿は、やはり巨匠のようなオーラというか風格が備わっており、とてもこの狭いステージで収まるようなものではない。ただ、押弦は結構ソフトタッチな感じでした。

 

しばし楽器陣のパフォーマンスを堪能したあと、冠さんがハチマキと浴衣という夏祭りらしい格好におめかしして再登場。そこから始まるは、THE冠屈指のキラーチューンである「帰ってきたヘビーメタル」。シャウトと共に疾走するパートのカッコ良さたるや異常で、先ほどまでギターソロタイムで少し落ち着いた会場の熱気が、一気に沸点までヒートアップしたことがわかりました。

 

ここで渾身のヘッドバンギングかましたため、あんまりステージ上のパフォーマンスに注視することはできなかったのですが、後半にかけての明確なハイライトが生まれた感じ。

 

そして後半戦は「」だなんて滅多に聴けないレア曲から、「初志冠徹」「担がれた冠」といった定番までを連発。この辺は何度も場数を踏んでいる曲だけに、オーディエンスの掌握はお手の物といった感じで、特に一体感が強い瞬間になりました。

 

そしてアンコールでは、冠さんがさらに衣替え。アロハシャツに麦わら帽子、虫取りアミとカゴ、浮き輪と、まさに「夏総動員」といった感じの装いになっており、K-A-Zさんから「楽しそうだなお前」とツッコまれる。

 

そこから始まる「夏したい」では、でっかいビーチボールと浮き輪がフロアに投げ込まれ、オーディエンスが手でポンポンと押し出す、主に夏フェスなどで見られるような光景が広がる。

 

ただ、会場となる渋谷Star loungeはそもそも規模が小さいうえに、割と低めな位置に派手めな電灯があるため、ビーチボールが電灯にゴツゴツ当たってしまう。「こりゃ危ない」と感じたのか、後ろからスタッフの方が出てきて、早々に片付けられてしまいました。

 

ラストはTHE冠の中でも、ひときわシリアスな緊張感に満ちた名曲「糞野郎」「日本のヘビーメタル」の二連発。どちらもTHE冠の曲でトップクラスに好きなので、ここで首の負担もいとわず、渾身のヘッドバンギングでラストスパートをかける。今日は客層的にモッシュピットやサークルピットは発生しませんでしたが、そんなノリがあってもまったくおかしくないほどの熱量と疾走感を持って迫ってくる。

 

ラストだというのに、冠さんのシャウトのキレはほとんど落ちておらず、「日本のヘビーメタル」のAメロのカミソリシャウトの攻撃性は凄まじいの一言。

 

「あんたいつまで売れんねんって言われて続けてきて、まだ売れてません!でもみんなのストレスや鬱憤を破壊するために、ヘビーメタルを続けていきます!」とMCで語る姿も相まって、メタルバンドマンとしての生き様を最後まで貫いてくれました。

 

 

終演後は、冠さん自ら物販のところまで来て、ファンと交流をしつつ退場の流れに。2時間フルで、最高にバカで熱いメタルまみれのひとときとなりました。

 

これだけのパフォーマンスを堪能できるライヴが、たったこれだけの人数しか観てないという事実は、前述したとおり非常にもったいないことです。大冠祭のチケットもまだあるようなので、楽しいメタルライヴを体感したい人は、観るべきですよ絶対。

 

というか今年の大冠祭、仮にも武道館アーティストが二組いるのに、なんで土曜のチッタがソールドしないんだろ?僕なんかさっさと抑えないと売り切れると危惧して、真っ先に先行に応募したのに。