ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

1/24 THE冠 / YOUR NAME IS HEAVY METAL TOUR at 渋谷 Spotify O-WEST

2025年最初のライヴはrockin'on sonicでしたが、2025年最初のヘヴィメタルライヴはコレ。THE冠『YOUR NAME IS HEAVY METAL TOUR』のファイナル公演です。ちょうと1年前に観たのも同じ会場だったな〜。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

この日は平日だったので、仕事終わりで間に合うのか不安ではありましたが、なんとか職場を定時少し過ぎたあたりで抜けることができ(仕事は残っているんですが、半ば無視して出た)、人身事故の電車遅延にハラハラさせられつつも、なんとか開演5分前くらいにはO-WESTへと到着。

 

いつも通り力石のテーマで各バンドメンバーが登場し、鳥の羽の装飾を取り付け、より派手になった衣装をまとう冠さんが、挨拶どばかりにシャウトを披露。「ヘビーメタルが帰ってきたぞー!!」とメロイックサインを掲げ、「帰ってきたヘビーメタル」からスタートしました。

 

自分は上手側後方で観ており、あまり背が高い人が前におらず、かつPAに近いということでかなり観やすいライヴだったのですが、それもあってかバンドの演奏をかつてないほどしっかり味わうことができたなと。音響のバランスも良くて、4人の音がそれぞれしっかりと聞こえてくる。

 

サウンドの基盤になるYOUTH-K!!!さんのドラムプレイは終始素晴らしく、タイトさと荒々しさを両立した連打に、大きめのアクションも相まって聴き応えも見栄えも十分なんですよね。力強いスネアの鳴りと疾走時の猛烈なツーバス連打が最高に気持ちよかったです。

 

ギター一本というメタルとしてのハンデを感じせないラインを弾きつつ、時にはバキバキのスラップを響かせる大桃さんに、ステージ上の華という点では他の追随を許さないK-A-Zさんと、鉄板のアンサンブル。ヘヴィなリフと疾走するリズムはヘッドバンギングにピッタリでした。

 

そして冠さんのヴォーカルの良さは言わずもがな。最初は「冠さんにしては調子悪いのかな?」と思うような、声の通りがイマイチな瞬間もあったものの、ライヴが進むにつれてそういった印象は薄れていきました。キメで飛び出すメタリックなハイトーンシャウトの迫力はあいかわらず凄まじい。

 

「おっさん」のラストでの、割り勘に付き合わされるおっさんの悲哀を表現した泣きマネ、新曲を披露するタイミングで、なぜかTRFの「survival dAnce 〜no no cry more」「EZ DO DANCE」を無駄に高い歌唱力で歌い上げたり(場内も合唱が起こっていて、一時代を築いた有名曲の強さを感じました)、エンタメ精神も持ち合わせている。長丁場のワンマンでもダレないんですよね、こういうの。

 

特に印象に残ったのは、昨年末の紅白で話題を呼んだ(僕もこのブログの年間ベスト記事を書きながら見てました)B'zの「LOVE PHANTOM」。ライヴ前の楽屋で多少大桃さんと打ち合わせはしていたらしいのですが、かなり即興に近いパフォーマンスだったためか、バックの演奏とはだいぶ噛み合いが悪い仕上がりに場内爆笑。

 

MCでうまくいかない歌をネタにして「このままじゃ今回のライヴ「LOVE PHANTOM」が一番印象に残る場面になってしまう!雑誌編集者の皆さん、ここレポ書かなくていいです!お前らもSNSで「#LOAVEPHANTOM」とかやるなよ!」と注意を呼びかけてました。

 

 

冠さんご本人のMCや演出面以外だと、K-A-ZさんがそこそこMCに加わっていたり、ソロアルバムを出したことで、収録曲であるインストナンバーを途中で挟んでいたのが、今ままで観てきたライヴとは少々異なるところ。

 

彼のギターは基本的に重低音やタッピングを交えた速弾きがメインで、メロディアスさや泣きを強調したタイプではないのですが、やはり華のあるライヴパフォーマンスとして視覚的効果が加わると、グッと没入度が増しますね。

 

ライヴ後半では、今後のTHE冠についての告知があり、この2025年はTHE冠として結構な動きがあるようで、単発のワンマンライヴに10月にはクラブチッタで大冠祭、そしてニューアルバムのリリースとそれに伴うツアーも控えているという発表が。フルアルバムは『日本のヘビーメタル』以来ということで結構久々だな。

 

今回のライヴではその新作に収録されるという新曲が2曲ほど公開され、1曲目はさほどヘヴィさを打ち出さず、ノリの良いカッティングギターを軸とした楽曲。メタル度はそこまで高くないのですが、リフのモダンなヘヴィさはしっかりと担保されていて、メロディアスな歌が気持ちよく響きました。

 

アンコールに披露された新曲は、今回のツアータイトルを冠した「YOUR NAME IS HEAVY METAL」で、こちらはかなりヘヴィ寄り。あまり歌メロのフックには主軸を置かず、ヘッドバンギング誘発のサウンド面での攻撃性を意識したような感じでしたね。ライヴで聴く分には十分にカッコいいですが、音源としてだったらやはりメロディーが強調されている前者の方が好きかも。

 

ラストにかけてはTHE冠のお家芸と言えるメタルナンバーてんこ盛りの流れ。「世の中暇な奴が多いみたいだけど、自分の人生の時間ってのは短い。他人を攻撃するのに時間を使うんじゃなくて、ポジティヴなこと、メタルって楽しい!THE冠ってカッコいい!ってどんどん発信してほしい」と語った後に放たれた「糞野郎」は最高の仕上がりでしたし、「中3インマイドリームス~行ってみたいなL.Aに~」のラストスパートは、高速ヘッドバンギングを抑えられない高揚感。

 

前述の「YOUR NAME IS HEAVY METAL」が、後続の若いバンドたちへの想いを託した歌であると語った上で、それでもなお「この俺こそが、日本の真っ当なヘビーメタル!」と明言し、ラストとなる「日本のヘビーメタル」。この曲はもう完全に今のTHE冠のアンセムという位置についた感じですね。日本のコールアンドレスポンスである万歳三唱を決めて、およそ2時間半にもおよぶライヴを締めくくりました。

 

 

前回の「MY NAME IS HEAVY METAL」同様、かなりの長丁場でありながら、THE冠ならではのエンタメ精神満載のライヴで、いっさいダレを覚えることなくヘヴィサウンドに身をまかすことができました。仕事終わりのスーツ姿でしたが、お構い無しにヘッドバンギングできるのは、やはり曲の良さとパフォーマンスの良さ、そして何よりメタルとしての魅力を最大限楽しいものに昇華してくれているからですね。

 

彼らのライヴはもう何度も観ているんですが、改めて何度観ても最高に楽しいということを認識しなおせたので、今回の告知で発表された各種ライヴも、行けるところは行ってみようかな。メタルでここまでポジティヴな気持ちで満たしてくれるのは、彼らくらいのものですから、何度でも味わいたいのです。

 

会場を出た後、外は見事なまでに土砂降りで、せっかくの気分がちょっと下がったから、またすぐにでも冠さんに元気にしてもらいましょう。そうしよう。