ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ヌンチャク 『ヌンチャク』

  • 一時代を築いた伝説的ハードコアバンドのデビュー作
  • 狂いまくったテンションとバンドサウンドのキレ
  • 下世話な変態歌詞がサイテーすぎ(褒めてます)

 

前回に引き続きハードコアバンドのCD感想記事になります。

 

90年代に千葉県柏市にて結成され、「KCHC -Kashiwa City Hard Core-」をスローガンに活動した伝説的ツインヴォーカルハードコアバンド・ヌンチャク。

 

当時のバンドブームが追い風となったのか、最初の解散までの活動歴は5年ほどしかなったものの、解散ライヴでは赤坂BLITZで2000人近いオーディエンスを集めるほど人気を博したそうです。今の感覚ではにわかには信じ難い。

 

ヴォーカルの向達郎さんは現在kamomekamomeで活動されていますが、そっちにあるようなカオティックな怪しさ、キャッチーな歌メロといった要素はかなり薄い。ヌンチャクはより衝動性に重きを置いた、ヤケクソ気味な勢いが強いです。

 

特筆すべきは何と言ってもそのテンションの高さでしょう。一歩間違えればおふざけと見做されてしまいそうなくらいに、ツインヴォーカルの狂いっぷりが凄まじい!重心の低いヘヴィなリフと、バキッとしたスラップを響かせるベースが硬派なハードコアのサウンドを展開しつつ、このイカれたヴォーカルがさらに突進力に磨きをかけている。

 

さらにこのバンドの特徴として挙げられるのが、その独特な言語感覚とに彩られた歌詞ですね。ユーモラスかつ変態的なその歌詞は、普通のハードコアにあるような反体制的メッセージや、パンクスピリットとは異なるもので、これはもう実際に歌詞カードを読んでもらわないとこの魅力は伝わらんでしょう。

 

不思議な言語感覚という点ではkamomekamomeも同様ですが、ヌンチャクはより下世話というか、俗っぽいというか、変態というか...。

 

強靭なリフとスラップベースで、早速サウンドの魅力をむき出しにしてくるM1「アップフロントヴァギナ」、サイテーな歌詞ながら、狂いまくったヴォーカルで疾走するブチギレっぷりと、"パンツ!丸見え!"のシンガロングがイカしてるM5「るれくてしラェフ?」、最初聴いた時思わず笑っちゃったくらいに、ヴォーカルのテンションがイカれてるM6「オレシャーシャー」など、とにかく圧倒的な血の気の多さ、沸点まで到達したテンション、ヘヴィで攻撃的な演奏が目白押し。休まる暇がありません。

 

あと、メタルファンとして絶対に聴き逃せないのがM9「3コードで悪いか」の存在。タイトル通りに、3コードの楽曲を肯定するかのようなハードコアアンセムなのですが、その肯定の仕方が素晴らしいです(笑) これもやっぱり聴いてもらうしかない。

バ◯ン読者は近寄らないでちょうだいネ

 

そんな彼らの音楽性・詞世界の濃度が共に頂点を極めたのが、ラストを飾るM10「アナル窒息」!この曲はスゴいぞ!

 

切れ味抜群、恐ろしくカッコいいヘヴィリフで疾走し、ブラスト気味な爆速ドラムまで聴けるサウンドの痛快度がハンパではない。このバッキングサウンドだけで、大暴れしたくなるほどアドレナリン大放出なのですが、さらに畳み掛けるヴォーカルの掛け合いがアツすぎる!滾る!

アナル!アナル!アナル窒息!

短髪!短髪!短髪奴隷!

兄キの肉体!お!ん!どぉぉぉーーー!!!

 

全体的に歌詞がサイテーでサイコーです(笑) 僕の性癖はノーマルですが、この歌詞に注目しないのは無理だ。こんなド変態歌詞なのに、曲はチビるほどカッコいいのがズルいですね。

 

下世話でお下品な歌詞に、終始キレまくりのヴォーカルは、真面目で整合感を愛するリスナーとバ◯ン読者には絶対に不向きだと思いますが、こういったハードコアな音に理解のある人は、必ずやこのカッコよさが響くと思います。

 

といっても、「ハードコアな音に理解のある人」ならば、とっくにこのバンドの曲は聴いてると思うんですけどね。短い期間で人気を博したのも納得の、ハイエナジー・ハイテンション名盤。理屈抜きにアガるならこの音。

 

 

個人的に本作は

"サイテーでサイコーな歌詞世界と、ブチギレたテンションの高さ、ヘヴィでソリッドなバンドサウンドが一体化した濃密変態ハードコア"

という感じです。