ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

花冷え。 『来世は偉人!』

  • ありそうでなかったZ世代型ヘヴィロック
  • 一貫して硬質な演奏とハイテンションなヴォーカル
  • 超チャラい&イマドキなのでダメな人は滅法ダメかも

 

海外のフェスティバルにも出演し、今年11月に開催されるNEX_FEST、さらにはLimp Bizkitの来日公演ゲストアクトにも抜擢されるなど、今ノリに乗っているガールズロックバンドの2ndフルアルバム。

 

このバンドは、僕が毎号購読している音楽雑誌『ヘドバン』が、ここ最近メッチャクチャに推しまくっていて、それで知ったという人も多いのでは。僕もそうです。

 

BABYMETALの大成功、およびALDIOUSらがガールズメタルシーンを確立させたことにより、女性によるメタル/ラウドアーティストが、ここ10年くらいでかなり見られるようになりました。このバンドもそういったシーンの流れに乗って頭角を表してきたバンド......と思いきや、楽曲を聴いた感じだと、必ずしもそうとは言い切れないっぽい。

 

というのも、BABYMETALの流れを汲んだ「Kawaii Metal」ではなく、かといって多くのガールズメタルバンドのような歌謡メタルでもない。LOVEBITESのような正統派パワーメタル路線でももちろんありません。

 

いわゆる日本で「ラウドロック」と呼ばれるような、メタルとは質感が異なるモダンなヘヴィさと、デスヴォイスで攻め立てる攻撃的なサウンドをベースに、何と言えばいいんでしょうかね。アイドル的なアザトカワイイ要素とは異なる(曲によって無いわけではない)令和的なイマドキのチャラさ(?)が加わっているのが最大の特徴。

 

歌詞には「リセマラ」だの、「デジタルネイティブ」だの、「インフルエンサー」だの、近年よく聞くようになった言葉がバリバリ。いわゆるZ世代的なアレです、アレ。

 

公式曰く、音楽ジャンルは「原宿コア」だそうです。「コア」と名のつく音楽は、もうここまで来てしまったのか。

 

一般的なガールズメタルの文脈とは異なる位置にいるバンドで、かつ音楽性も近年でないと存在し得なかったタイプのもの。なかなかありそうでなかったサウンドと言えるのではないでしょうか。革新的なことをやって、停滞するシーンに風穴を開ける可能性のあるバンドを『ヘドバン』は積極的にプッシュするので、そういった面に期待をかけてるのだと思います。

 

奇抜なメンバーのルックスに加え、あまりにもイマドキの若者すぎる歌詞は、正直20年も30年もメタルを聴いてきてるオッサンリスナーが触れるにはかなりキッツいと思われます。小っ恥ずかしくて聴いてられん!という人も多いでしょうねぇ...(『ヘドバン』の梅澤編集長のキャパの広さはすごいと思う)

 

ただ、音に耳を傾けてみれば、重心を下げたヘヴィリフの迫力、演奏の締まり具合はその辺のラウドバンドに引けを取らないレベルでまとまっているし、シャウトヴォーカルのアグレッションも必要十分なものを備えています。サビにて聴けるクリーンヴォーカルについても、女性らしいしなやかさを武器としつつ、変にヘロヘロとしていない芯の通った歌唱を聴かせてくれるのがポイントですね。今のJ-ROCKシーンは、これよりはるかにナヨナヨした男ヴォーカル山ほどいますからね

 

全曲通してハイテンション・ハイエナジーですが、アルバムのランニングタイムは30分以下と短く、サクッと聴けるようにしているのも嬉しい。さすがにこの弾けまくった楽曲が長々続くと、聴いてる方のテンションが追いつかないもんね(笑)

 

音数の詰まったヘヴィ&スピーディーなパートが気持ちいいM4「今年こそギャル〜初夏ver.〜」や、ハードコアモッシュが発生するのではと思うほどのリズム落ちを持つM6「Warning!!」、ヘヴィな疾走メロコアという形容が相応しい爆走しまくりのM10「Today's Good Day & So Epic」など、随所に「ここカッコいいな」と思える、ヒキのある箇所が出てくるのは好印象。

 

ロディックなラウドとして聴くには、もう少しクリーンのメロディーをキャッチーにしてほしいところではあるかも。ただ、この路線でどキャッチーになったら、だいぶあざとくなってしまうので難しいか。

 

「原宿コア」というバンドのコンセプトに、令和キッズ感満載の歌詞、ハッチャケまくったヴォーカルワークと、かなり聴き手は選びそうなバンドですが、話題になるのもうなずける明確な個性を持ったバンドだなと。硬派なロックファンからはやいのやいの言われるでしょうけど、これでちゃんと海外進出という実績を作れたのですから、これもまた一つのヘヴィロックの未来の形なのかもしれません。

 

ちなみに僕はまだギリ20代ですから、ちゃんとアルバム通して聴けましたよ。まだまだ気持ちだけは若くいたいのだ。

 

 

個人的に本作は

"モダンなラウドロックをベースに、Z世代ならではのチャラさを大胆に導入した個性的サウンド。クオリティーは高いが聴き手はかなり選びそう"

という感じです。

 


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