ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9/24 STRUNG OUT & NO FUN AT ALL JAPAN TOUR 2023 at 吉祥寺CLUB SEATA

ベイエリアスラッシュメタルバンド揃い踏みのライヴから一夜明けて、間髪入れずに次のライヴ。9月のライヴラッシュも、一応この日で最終日となりました。

 

アメリカのSTRUNG OUTと、スウェーデンのNO FUN AT ALLという二組のメロコアバンドをヘッドライナーとしたジャパンツアー。ツアーファイナルとなる、吉祥寺CLUB SEATA公演に行ってきました。

 

STRUNG OUTは海外パンクバンドの中ではトップクラスに好きであり、かつ今までライヴを観ることに恵まれなかったバンド。このライヴを逃す手はありませんでした。

 

ただ、会場となるCLUB SEATAはスタンディングで500人収容という、そこそこの規模感のあるライヴハウスですが、SHADOWSのようなネームバリューのある日本のバンドがゲストアクトについていてソールドしないというのは、なかなか寂しいものがあります。

 

確かにSTRUNG OUTもNO FUN AT ALLも、それこそSUM 41とかTHE OFFSPRINGといったバンドに比べれば、日本での人気・知名度はそれほどでもないかもしれないけど、このくらいの会場で日曜開催でも、ややスペースに空きがある程度の集客とは。

 

事前の宣伝はもっとガッツリやっても良かったのではとも思いましたね。僕だってこのツアーの存在を知ったのは、開催まで1ヶ月を切ったタイミングで見たCDショップのポスターですし。

 

まあそんなことはさておき、開演1時間前くらいに吉祥寺へと降り立ち、ディスクユニオンを軽く物色したあと、会場のCLUB SEATAへ。入場待機列に並んでる最中に、普通に横をSTRUNG OUTのヴォーカルのジェイソンが通ってたのは、小さい会場ならではの光景。

 

日本のゲストバンド含めて五組と、結構な長丁場のライヴでしたが、スペースに多少の余裕があるおかげで、転換中にしゃがんで休憩することはでき、足への負担はさほどでもなかったのが救いでした。

 

 

QUICKDEAD

失礼ながら全然知らないバンドでした。てっきりデビューしたばかりの若手バンドとかをゲストにして、オーディエンスに知ってもらう機会とするような感じかと思ってましたが、メンバーの見た目を見る限り若手ではなさそう(実際に結成は2006年らしく、中堅くらいのキャリアがある)

 

音楽性はもう超がつくほどのストレートなポップパンク/メロコア。2023年のライヴの光景とは思えないほどの90年代パンク感がすごい。

 

上半身裸でビョンビョン飛び跳ねるベースヴォーカルに、NOFXをはじめとしたバンドロゴステッカーを貼りまくったギター、時折スカっぽいリズムを取り入れつつも、基本はテクニカルさ皆無の疾走をメインとする楽曲。バンドを構成するすべての要素が、王道ポップパンクバンドのそれでした。

 

Hi-STANDARDが中心となって盛り上げた、90年代バンドブームが去って久しい日本の音楽シーンにおいて、この音楽性でブレイクするというのはまず無理でしょう。その上であえて徹底的にパンクバンドのピュアネスを貫くとは、本当にこの手の音楽が好きなんだろうな。

 

その潔いまでのパンク愛は好感度が高く、ステージングもパンクらしい勢いに満ちていたもので、観ていて普通に楽しめました。ただメロコア音源として聴くには、やっぱり日本のメロコアバンドの美徳である「哀愁」がもっと欲しいところかな。メロコアにどっぷりだった中高生時代に聴いてれば、もっと刺さったかもしれません。

 

 

FIRE ON FIRE

これまたまったく知らないバンドでした。最初は3ピースバンドかと思ってましたが、演奏を開始してしばらくすると、ハンドマイクでヴォーカルが登場してくる。

 

ヴォーカルは坊主頭で、ピアスやタトゥーも入っていたりと、かなりオラついたパワーを感じさせるルックス。なんとなく元KAT-TUN田中聖さんっぽいな〜と思ってました(今は完全に普通のオッサンみたいな見た目になってますが) MCでtaamaと呼ばれてから、ROACHのヴォーカルの人だということにようやく気づきました。

 

ヴォーカル以外の楽器陣は、遠目から見た限りだと「普通の大学生」みたいなナリで、ヴォーカルとそれ以外のメンバー間における、存在感の差がだいぶ大きめな印象。

 

最初にプレイされた楽曲では、なかなかにヘヴィなサウンドと、シャウトを織り交ぜたアグレッシヴなヴォーカルを披露し、ステージ上を所狭しと暴れ回ったりと、イキの良いアクションを見せる。先ほどのQUICKDEADが完全なる90年代型パンクであったので、そのギャップがすごい。

 

ただ、ヘヴィなパートは割と良い感じだな〜と思って観てたのですが、サビになると一気にナヨっとした爽やかポップパンクっぽくなるのは、だいぶ好き嫌い分かれそうかも。個人的にも「全編シャウトで良いんじゃ...?」と思ってしまいました。

 

 

SHADOWS

ここにきてようやく知ってるバンドの登場。とはいえ音源は全然聴いておらず、「名前と存在は知ってる」というレベルなので、実質的にはほぼ知らないようなものですが...

 

元FACTのヴォーカルとギタリストが中心になって組んだバンドということで、楽曲的にもFACTのハードコアテイストが濃い曲に近い印象。FACTのライヴを生で観たことのない僕としては、「ヴォーカルのパフォーマンスがライヴ動画で見たやつと同じだ!」というミーハーっ気の心象で観てました(笑)

 

演奏はキャリアのあるメンバーが揃っていて、大舞台での場数も踏んでいるだけあり、これまで観たバンドの中で最もタイト。ヴォーカルは声質が細めな上に、演奏の勢いが良いため、だいぶ埋もれ気味な印象ではありましたが、最低限メロディーを追うことはできる。

 

楽曲はスピード感あるメロディックハードコア、それもQUICKDEADのようなポップパンクやスカコアの要素を強めたタイプではなく、硬質で甘さの無いもの。さすがにネームバリューがあるからか、先ほどの2バンドと比べてかなり熱量の高い盛り上がりを見せる。FIRE ON FIREのtaamaさんも普通にフロアに来てました。

 

ただライヴパフォーマンスが良く、曲も良いのですが、FACTのライヴ動画を見た時に感じられたようなテンションの高まりはなく、ちょっと嫌な言い方になりますが可もなく不可もなしって印象を抱いてしまいました。この辺は思い入れみたいなものが大きいからかな。

 

 

STRUNG OUT

ここからは海外勢のターン。この時点で僕はかなり前の方に進み、残り2バンドを観ることに。バンドの並び順からいって、まずはNO FUN AT ALLが来て、その後はSTRUNG OUTだろうな〜と思っていました。

 

しかしステージの幕が開いてくると、現れたのはSTRUNG OUT。「あれっ?STRUNG OUTがトリ前なの?」と驚くまもなく「Velvet Alley」のヴォーカルが飛び出し、大きな歓声が上がる。

 

きっと前日と順番が逆になってるんだろうなと思い、気持ちを切り替えて目の前のライヴに集中。今日のお目当てはこのバンドだったわけですから、早い段階で観れるのは良いことだ。

 

間近でライヴパフォーマンスを観ていて思ったのですが、とにかくカッコいい。僕が単純にバンドのファンだからという贔屓目もあるとは思いますが、演奏のキレや一つ一つのアクションが、どれも見栄えがあって目が離せない。

 

ジェイソンの熱唱型のヴォーカルに、メタリックな高速リフを掻き鳴らすギター、この快感指数は非常に高く、メロコアというジャンルでありながら軽さを感じさせない。濃密に組まれた演奏が爆音で疾走するのだからたまらない。

 

演奏陣もただ演奏のみに徹するのではなく、狭いステージ上でアクションをキメまくり、ちょっとひょうきんな表情でオーディエンスにアピールしたりと、観ていて飽きさせない。左手のネックをさりげなく持ち替えたりと、テクニカルなアピールも忘れない。

 

Setlist.fmをによると、アルバムで最も多くプレイされた曲は『Twisted By Design』から5曲、次いで『Suburban Teenage Wasteland Blues』からは4曲ということで、僕が好きなメタリック度を増した楽曲はそこまで多くはなかったのですが、それを不満に感じさせない好パフォーマンスでしたね。

 

そりゃあ「Blueprint Of The Fall」とか、「The Fever And The Sound」、「Blackhawks Over Los Angeles」といった、僕が好きな楽曲はほとんどプレイされなかったので、セットリストだけ見ると僕好みとはちょっとズレているんですけどね。それが観ている間全然気にならなかったです(やってくれた方がもっと嬉しかったけどね!)

 

MCは僕の乏しい英語力では、何を言っているのかよくわからないことが多かったですが、しきりに共演しているすべてのバンドの名前を呼んでいたり、日本のオーディエンスに感謝を表明していたので、きっと良いことを言ってたのでしょう、きっと。

 

個人的に一番アガったのは「The Animal And The Machine」。名盤のリードトラックだけあり、メタリックなリフとキャッチーなメロディーの畳み掛けが最高にカッコいい1曲。この大サビの爆発力を生で鳴らされたら、そりゃあ高揚は避けられません。

 

後半にはPANTERAの「Walk」の一節を取り入れて、バンドのメタルな部分を垣間見せたり、トニー・スライへの追悼の意を込めた「Soulmate」のカバーを披露して、最後まで熱気を落とすことなく、長尺のライヴを締め括りました。

 

 

その後はトリであるNO FUN AT ALLの出番なのですが、一番の目当てのSTRUNG OUTをがっつり間近で堪能できたし、明日普通に仕事ということを考えると、自宅から遠い吉祥寺に夜遅くまでいるのは良い選択ではないな、と感じまして、頭2,3曲だけ観た後に会場を後にすることに。とりあえずリハでSLAYERの「Angel Of Death」をやっていたのと(まさかこのパンクバンドが集結した中でPANTERAとSLAYERを聴けるとは)BAD RELIGIONにも通じる渋いオジ様のカッコよさを醸し出していたことを確認しました。

 

STRUNG OUT以外のバンドについては、失礼ながら様子見感覚で観ていましたが、どのバンドもパフォーマンスの全身全霊感が伝わるもので、観ていて清々しいアクトばかりだったのが良かったですね。

 

とはいえ、やはり何よりも興奮したのはSTRUNG OUT一択だったのは間違いありません。高速メタリック・メロコアの真髄が濃縮されたライヴアクトで、サウンド自体の爽快感も、パフォーマンスのカッコよさも随一のものがありましたね。キッズの魂に火をつけられましたよ。

 

このパフォーマンスが、小バコの満杯にならない人数しか体感していないというのはもったいないことです。このバンドはもっと人気出ていいと思うんだけどな〜。