ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

COMEBACK KID 『Heavy Step』

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ヘヴィメタル専門のレコード会社の代表格であるニュークリア・ブラスト所属、カナダ出身のハードコアパンクバンドの7thフルアルバム。これまでに5回来日しているバンドらしいですが、恥ずかしながら彼らを知ったのは本作が初です。

 

彼らのスタイルはオールドスクールハードコアパンクとのことですが、本作を聴いた限りだと、かなりモダンなヘヴィさが強くて、90年代から00年代初頭にかけて隆盛を極めたモダンヘヴィネス系のバンドの印象もそこはかとなく感じます。ヘヴィリフはもちろん、バキバキとした存在感の強いベースがそれっぽく感じさせる一因かも。

 

ただニューメタルとは異なる質感を持つバンドサウンドに、ひたすら攻撃性の高いシャウトで押し通すヴォーカル、整合性以上に突進力やアグレッションを重視した曲構成など、メタルというよりはやはりハードコアの成分が強い。ギタリストのジェレミー・ヒーバートは「パンクロック、ハードコア、そしてメタルを煮込んだシチューのようなものだ」と言ってるのだとか。

 

メタルもハードコアも好きな僕としてはかなりハマるんじゃないか?思って聴いてみたのですが、これが確かにカッコいい。ヘヴィな攻撃性抜群で、それでいて聴きやすいメロディアスさもしっかりと抑えている。

 

アンドリュー・ニューフェルドによるヴォーカルは、先ほど記載したようにシャウトでゴリゴリに押し通すスタイル。ノーマルヴォイスで歌い上げる瞬間はほぼ無いんじゃないかと思えるほどに、血潮たぎる熱い叫びを上げている。

 

しかしそんな中にあっても、しっかりと歌メロが残っているのが嬉しいところ。ハードコアにも造詣のある川嶋未来さんのライナーによると、彼らはファットレックのようなメロディックハードコアを昔から聴いてきたらしく、この音を聴けばそれも納得。クサさが一切無いこのキャッチーさは、確かにメロコアに通じるもの。

 

言ってしまえば「ヘヴィなメロコア」って塩梅の音なんですが、この気合い入りまくりのヴォーカルと、甘さの無いヘヴィなサウンドからは、ポップパンク、青春パンクのような軽さは皆無。聴きやすくもゴリゴリで頼もしい音です。

 

オープニングのM1「Heavy Step」から早速彼らのスタイルであるヘヴィ・メロディックなハードコアがお出迎え。ベースがバッキバキに唸り、ヘヴィさを際立たせたリフが乗ってくるのはモダンメタル的。その上で皆でシンガロングできそうなキャッチーさを出してくる。

 

いかにもパンク的な緊張感を煽るイントロから爆走、タイトルを叫ぶシンガロングもメチャクチャに熱いM3「Face The Fire」、軽快なドラムから小気味よいリフが絡んで、キャッチーなサビで突き進むM10「Standstill」といった疾走曲のカッコよさが特に際立っていて、時期が時期ならモッシュピットに混ざりたいモンです。

 

M6「Dead On The Fence」、M7「Shadow Of Doubt」のように、疾走感以上に重心の低いヘヴィさを強調した楽曲もあり、そういう曲にも巧みにフックを設けられる手腕も聴きどころ。速い曲から得られる快感の方が僕好みではあるんですが、やはり軽さのないサウンドだとこういうのもサマになります。

 

このように僕としては非常に気に入ったのですが、純なメタルヘッズがこれを聴いてどう思うかは正直ちょっとわからん。ニュークリア・ブラスト所属で、国内盤のリリースがワードレコーズからということもあり、普通にメタルコーナーにCDが並んでいましたが、基本線はハードコアだし、ヘヴィとは言ってもかなりモダンなスタイルだし。

 

ただスタイルに関係なく、重く、速く、やかましいロックが好きであれば何かしら惹かれるものはあると思うので、ぜひこの衝動性に満ちた音を聴いてみて欲しいです。きっと打ちのめされるはず。

 

 

個人的に本作は

"モダンなヘヴィネスとメロコア的キャッチーさを混ぜ込んだ、聴きやすくも攻撃的な疾走ハードコア"

という感じです。

 


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